『 世界のお弁当 心をつなぐ味レシピ55 』作る人、食べる人をつなげるお弁当。世界各国のお弁当事情あれこれ。

世界のお弁当
服部直美・著 情報センター出版局 ¥1,575/OMAR BOOKS

 

風が朝夕はひんやりするようになった。季節は確実に秋に向かっている。
そろそろ巷では本格的な運動会シーズンもやってくる頃。
運動会といえば、誰もがお弁当にまつわる思い出を持っているように思う。そこで「お弁当」について、読む人の視野を広げてくれそうな本を今回はご紹介。

 

各国のお弁当事情を1冊で知ることが出来るこの本。
香港での生活がきっかけとなり食に関心を持つようになった著者が、世界各地を訪れてその地で出会った人々のお弁当を取材してまとめたもの。

 

冒頭の写真で紹介されている「お弁当のある風景」では、オフィスや海辺、移動中の列車、市場の中など様々な国の人たちの生活の一場面にお弁当があって、見ていて笑みが浮かぶ。
どれも愛情が詰まっているようなお弁当を食べている人たちの背景に、それを作ってくれた人の姿が見える気がして、とても温かい気持ちになった。
 

 

世界22のエリアの定番メニューが紹介されていて、個人的に面白かったのはブータンやブラジル、ノルウェーなどの食材や詰め方。

 

世界のお弁当

 

例えば、世界一辛いお弁当と言われているブータンのお弁当のページでは、唐辛子をスパイスとしてだけでなく食材そのものとして使うというお弁当の中身はもとより、「ポンチュー」というかわいい響きの、ざるのような編み籠を二つ合わせた容器にも惹かれた。

 

国ごとに、その風土や暮らしもふまえたコラムは、丁寧にかつ分かりやすく書かれ、読者はきっと楽しみながら読めるはず。
お弁当の中身が写真で紹介されているだけでなく、レシピもしっかり記載されているので再現しようという気になるのもこの本の良いところ。

 

なぜか日本の項目の次に、国ではないけれど沖縄があって、そこでは「ポーク卵」(缶詰のスパムやランチョンミートなどを使った、沖縄では食堂などでも定番のお肉と卵のコンビ)が入ったお弁当が紹介されていた。

 

 
その他、お弁当箱や水筒についての豆知識やお弁当にまつわる著者の体験など読み物としても楽しめる。
その中に出てきた台湾の水筒(中に茶漉しが付いていて上下どちらからでも飲める)が欲しくなってしまった。それと丸いシンプルなお弁当箱も。

 

サブタイトルにあるように、お弁当は作る人、それを食べる人がどちらも幸せを味わえる、心をつなぐ方法。
読み終えると、自分にあるいは誰かのためにお弁当が作りたくなる。

 

年代、性別問わず楽しめる一冊。
食に興味が湧くこの季節に、参考がてらぜひどうぞ。

 

OMAR BOOKS 川端明美




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