『「調べる論」しつこさで壁を破った20人 』「調べる」をキーワードにほんとうの話

調べる論
木村俊介・著 NHK出版 ¥860 (税別)
 
春が近づくと、何だかざわざわとする。きっと大きなものから小さなものまで到るところで芽吹いている気配を感じるから。
 
またこの季節、いつも一度は経験してみたいと思いながら実現出来ずにいるホエールウォッチングのシーズン。せわしない生活を送っていても、遠くで優雅にクジラが潮を吹いていると思うとほっとしたりする。
 
遠い、自分とはかけ離れた違う世界のことを知る、ということはそういう効用みたいなものがあるのかもしれないと思う。ほっとするだけではなく、また同時にわくわくもする。
それで今回は様々な職種の人たちの「生の声」を集めたインタビュー集をご紹介します。
 
「調べる」と言っても、何か特別なことを指すわけではなくて、私たちが普段日常で無意識にやっていることだったりする。
 
新鮮な野菜が手に入ったのでそれを使ったレシピをクックパッドで探したり、耳慣れない言葉を辞書で引いたり、旅で見知らぬ場所を訪れることも「調べる」の中に括ってしまえる。でも仕事となるとこの「調べる」の意味合いがまた変わってくるのが面白い。
 
問いって大事。ふと疑問に思うことがその人のオリジナルを浮かび上がらせる。自分がこれを知りたい、というところから全ては始まるのだから。そんなことがこの本を読むと強く伝わってくる。
 
内容はインタビュアーとして注目されている著者が、記者や内科医、演劇プロデューサー、弁護士、ケアワーカーなど様々な職種の20人に「調べる」という視点から聞いた話をまとめたもの。
「ほんとうの話」がしたくて、という著者が、それぞれから印象的な言葉をいくつも引き出している。人の話を聞くってなんて刺激的なことなんだろう。それも生身の声、というのがポイント。以下はその中から。
 
「直につながった人のためにできることこそが社会に還元できること」
 
「前に人のいないはじめての場所に入り込むと、そのうちに問いも答えもない世界に自分はいるんだと気づく。そこに分かっている人間はいない。だから自分で決断して自分で自分の問いに答えるしかない」
 
「一生懸命に何かをやっていれば、どこかで同じように何かをしている誰かに会える」
 
「インタビューは密室と密室をつなぎ、共鳴させるもの」
 
今まで見えていた先にまだもっと先がある、という感覚は人を明るくする。
知らないことを知る、というのが学びの本質だとすればこの本は「学び方についての本」だとも言えるかもしれない。
 
多岐に渡る仕事のプロたちに聞いたそれぞれの学び方。新しい季節を前に参考にしてみてはどうでしょう?

OMAR BOOKS 川端明美




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