『 雪のひとひら 』思いはつねに、そのなぜというところに。すべての女性へ捧げる寓話。


ポール・ギャリコ著 新潮社 ¥438(税別)/OMAR BOOKS

 

「雪のひとひらは、ある寒い冬の日、地上を何マイルも離れたはるかな空の高みで生まれました。」の一文からから始まるポール・ギャリコの代表作『雪のひとひら』。

 

小さな雪の結晶として生まれた「ひとひら」を一人の女性に喩え、人生の過程で誰もが経験するであろう出会いや別れ、苦境、試練、幸福などに出会う様を描いていく。世界中で長い間、特に女性に愛され続けてきた普遍的な寓話。

 

いつのまにか、主人公のひとひらは空(くう)を舞っていた。
大勢の兄弟姉妹たちと一緒に。
そして一人になったひとひらの冒険が始まる。

 

「思いはつねに、そのなぜというところに立ちもどってゆくのでした。」と彼女(ひとひら)はいつも考えている。
正確には考えているというより、対話している。
自分自身と。
この世界に生まれてから、優しい伴侶と出会って後も、子どもたちが生まれた後も、最後の別れを告げるときまで。
それは自分に与えられたものを深く味わい、大切にすること、だと言い換えることも出来る。

 

ひとひらの、その鏡のような透明な姿に映し出された世界はきらきらと輝き、光に満ち溢れていてとても美しい。
著者のポール・ギャリコは、全ての女性たちにあなたたちも周りを見渡して御覧なさい、と伝えたかったのかもしれない。

 

優しく語りかけるように綴られた言葉たち。
文章の上に添えられた小さな挿画も素朴で優しい。

 

ひとひらをお話の最後に迎える言葉は、きっとあらゆる女性が望んでいること。女性はただその一言を待っていると言っていい、とは言い過ぎだろうか。

 

人生の大仕事を終えた女友達に贈りたい。
男性なら大切な人への贈り物としてぜひ手にしてほしい。
寒い日に心の内を優しく温めてくれるような慈愛に満ちた物語。
おすすめの一冊です。

OMAR BOOKS 川端明美




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