DOKUTOKU460 城間英樹沖縄発のオリジナルキャラクターを世界へ



テレビCMのアニメーション、街に貼られているポスター、お店の看板・・・
城間さんの作品を沖縄で見ない日はないといっても過言ではない。

「独立して3年目、それまではずっと東京にいました。ゲーム会社に勤めていたんですが、オリジナルコンテンツを作る会社から立ち上げに参加して欲しいと言われて転職。その後、個人でやろうと独立しました。キャラクターを中心とした企画、コンテンツ、デザインなどをやっています。」

—–クライアントから依頼を受けて制作するのでしょうか?

今はそういう形が多いです。でも一番の目標は、自社のオリジナルでキャラクターを作り、そのキャラクターがあちこちで商品化され、子ども達に夢を与えることです。

—–子ども達に向けて、という考え方は以前から持っていたんですか?

自分自身がドラゴンボールで育ったので。でも、きっかけはやっぱり自分の子どもが生まれてからでしょうか。子どもができると自分の考え方も大きく変わりますよね、やっぱり。



—–沖縄でも絵を勉強なさってたんですか?

はい。浦添工業高校のデザイン科で学んで、姉妹校の美術系の学校が大分にあったのでそこに進学して。当時は油絵を中心に学んでいたんですが、その後「3DCG(3次元コンピュータグラフィックス)」が出てきて、映画「トイ・ストーリー」を見て衝撃をうけて。「こういう作品を創りたい!」と、卒業後に上京しました。絵は自信があったので就職はできるだろうと思っていたら見事に何十社も落とされて。「絵は良いけど、パソコン使えないと今はどこもとらないよ」と言われました。そこで計画を変更して、パチンコ屋でバイトして専門学校の学費をため、CGの学校に半年通いました。学校に寝泊まりして必死で作った作品が認められ、ゲーム会社に入りました。

—–CGを半年で?!

僕が入ったのがプロが入るようなコースだったんです。でも自分はど素人だからもちろん何もわからなくて。だって23歳で初めてパソコン触ったんですよ、MacとWindowsの違いもわからないようなレベルでした。他の生徒さんからも「城間くん、大丈夫〜?」なんて心配されるほど。でも、その人達はパソコンはできるけど絵は描けない。僕はその逆、パソコンをおぼえればいいだけだろう、絶対負けない!と意地で作品を作りました。

—–当時は今ほどパソコンが普及してなかったんですよね。

そうなんですよ。持ってる人が珍しいっていう時代。しかも僕がもともとパソコンに興味がなくて、油絵描いたりエアブラシ使ったり粘度で造形作ったりってことが好きだったので。それで食べていけるだろうと思っていたのに、まさか社会がこうなるとは(笑)今では、僕にとってパソコンは表現する上での必需品になっていますが、絵の具セットがパソコンに変わっただけで、やってることは変わってないんです。



—–城間さんがデザインするキャラクターに共通するポイントはありますか?

アニメって必ず主人公がいるじゃないですか?でも主人公ってただ可愛い、キレイ、かっこいい・・・僕はそういうキャラクターにはあまり興味が無くて、主人公のそばにいる、名前もついてないような、ちょっと破綻したような感じのキャラが大好きなんですよ。敵兵とか、敵のボスの近くにいる変なヤツとか。そういうキャラクターに僕がスポットを当ててあげたいと思ってます。

—–「BUDOG(ブドッグ)」もそうですね。

そう。BUDOGはどこかに激突してそのまま顔が治らない、そういう感じが好きなんです。「かっこい〜!」ではなく、笑える・楽しいキャラクター作りを徹底してやっています。


事務所のドアに貼っているのは、子ども達が描いた絵による「子展」

—–トイ・ストーリーに感銘を受けたということですが、やはり映画はよくご覧になるんですか?

そうですね、仕事柄、最先端の作品は観ておいたほうがいいので。子どもも観られそうな映画には一緒に連れて行ったり。でも、子どもと行くと悲惨ですね(笑)先日、楽しみにしていたトイ・ストーリー3を一緒に観に行ったんですけど、「父ちゃん、うんこ〜」「父ちゃん、椅子低い〜」「(3D用の)めがねずれるー」って。僕は集中して観たかったので辛かった(笑)

—–子ども達に向けた仕事をなさっている城間さんは、ご自分のご家族もすごく大切になさっているようですが、頭の中は家族と仕事と半々?

意識して家族を第一に考えるようにしています。
毎年、手帳の後ろに一年の目標を必ず書くんですけど、今年はそこに「家族!」って書きました(笑)もともと大切にはしているつもりですが、気持ちだけでは十分ではない、やはり行動が伴わないと。家族のために仕事を頑張る!とも言えますが、家族と仕事はやはり分けて考えないといけないんだなと、ここ数年で色々学びました(笑)。今は、毎日子どもの顔をちゃんと見て話をする時間を作るようにしています。こういう仕事なので時間を区切るのもなかなか難しいんですが、意識的にやっていればそれが習慣になるんじゃないかなと思っています。


BUDOGの模倣品が中国で出回っている。「周囲からは『良かったね、有名になった証だよ』と言われました」

—–今後、お仕事のフィールドはどのように広げていくんでしょうか?

今一番力を入れているのはオリジナルアニメ。自分たちでキャラクターをデザインし、原作を作って、アニメにし、そこからおもちゃや文具などへ展開させて行きたいなと。そうすればより多くの子ども達に見てもらえますから。今年は特にその方面に力を入れていて、話も具体的に進んでいます。
あと、BUDOGですね。実はニューヨークの会社からも話を頂いていて。ある大企業の最高経営責任者がたまたま日本にきてBUDOGを見て認めてくれて。今話を進めているところです。

—–沖縄発のキャラクターが世界の子どもたちに知ってもらえる日も近いかもしれませんね!

そうなると良いなと思っています。夢を持って、チームで一丸となって頑張ります。

写真・文 中井 雅代

 
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