スキンケアライン2830(ニーハチサンゼロ)月と蜜蜂から、自然を想う

2830

 

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沖縄の自然を活かしたナチュラルソープが県内外で人気のFROMO(フローモ)。その全てを手がけた石渡みち代さんが、新たにスキンケアブランドを立ち上げた。その名は『2830(ニーハチサンゼロ)』。“月”と“ミツバチ”という意味が込められている。沖縄の自然とその暮らしから着想を得ているのは、石けんと同じだが、それにしても“月”とは驚く。最近見たのもいつだろうか…思い出せないような暮らしをしている。そんな空気のような存在の月が、どう肌に影響するのだろう、興味深い。

 

「『2830』の28は、月の満ち欠けの周期を表しています。新月から満月にかけては、肌の吸収力が高まる再生期、逆に満月から新月までは不要なものを排出しやすい浄化期と位置づけ、それぞれの時期の肌に応じたケアができるように、2つのラインを作りました」

 

再生期に使うSライン

 

浄化期に使うJライン

 

この2つのラインを、その日その日、空に昇る月の満ち欠けに合わせて使い分ける。

 

「再生期は栄養をたっぷり与えるエイジングケア、逆に浄化期はむくみやくすみがとれやすいデトックスに適しているので、たとえば再生期には肌にハリや弾力を与える島人参のエキス、浄化期には収れん効果の高い沖縄県産のパッションフルーツなどを入れています」

 

再生期に使うSライン、浄化期に使うJライン。それぞれの化粧水を手の甲に伸ばしてみる。Sラインからは華やかなローズの香り、Jラインからは清々しく甘さもある香り、ネロリ。どちらも天然の香りが優しく、強く立ちのぼり、一気に夢見心地に包まれる。

 

「ローズは女性ホルモンを活性化してくれますし、ネロリはビターオレンジの花から採れる希少なもので、こちらはむくみをとったりにも良いんです。ケアに合わせて、より効果的な香りを選んでいます」

 

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世に、敏感肌や乾燥肌などの肌質、または朝と夜で変えるスキンケアはあったが、月の満ち欠けによって変えるのは初耳だ。

 

「月のリズムを取り入れることで、自分のリズムも整えられたら…と思ったんです。月を見ることで、『今夜は満月だからゆったりマッサージしよう』など、生活習慣を正すきっかけにもなるので。それに月の引力は、潮も動かすぐらい大きなもの。人体も70~80%は水分でできているので肌も影響を受けると思っています。私は沖縄に来た時、こちらが旧暦の文化で、何にでも月が深く関わっていることが驚きでした。三線の先生に、『エイサーも、旧暦の満月を選ぶから夜でも観られるわけ』と言われてハッとなって。そんな風に、月に添った沖縄のアイデンティティを大事にできるものを作りたかったんです」

 

2830

 

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スキンケアを通して、自然をも意識すること。それは2つのラインに共通して使われているハチミツからもうかがえる。

 

「2830の30は、ミツバチの寿命の日数を意味しています。私が沖縄で、養蜂から手がけて採ったハチミツです。ハチミツがビタミンやアミノ酸たっぷりで、肌にも健康にもよいということは広く知られていますが、沖縄のハチミツはまた特別良いんですよ」

 

沖縄の恵みがたっぷり含まれたハチミツ。それは唯一無二のものといってもいい。

 

「ハチミツの成分は、ミツバチがミツをとる花の成分によって変わるんです。ミツバチは、中には百花蜜といっていろんな花からミツを集めるものもいますが、普通は1種類の花からミツを集める習性があるんですね。そして、沖縄に生えてるタチアワユキセンダングサ…これは乾燥すると服にくっつくので“ひっつき”と呼ばれて嫌われてる花ですけど、この花から集めたミツが凄く良いんですよ。お肌の老化防止にいいビタミンB6とB7が豊富で。この花は沖縄地方と奄美大島しか生えていなくて、他の地方のハチミツにはビタミンB6とB7はほぼ含まれないそうです。なんとしても、沖縄のこの花のハチミツがほしくて」

 

 

 

それは石渡さん自ら、まったく未知の養蜂に挑戦してまで手に入れたかったものだ。

 

「でも調べてみると沖縄は、農作物の受粉用のミツバチを育ててるところは多いのですが、ハチミツを採る産業はあまりなかったんですね。じゃあ私がやるしかないかなって。前から興味もあったんです。アインシュタインが『ミツバチがいなければ人間は4年と生きられない』と言っていて、人間が食べる植物の3分の1ぐらいはミツバチが受粉していますし、食物連鎖の要なんですよ。ヨーロッパでは養蜂はもっと盛んで、ルイヴィトン本社やオペラ座の屋上でもミツバチが飼われてるんです。そんな養蜂を、私も始めてみたのですが、1年目は全滅してしまって、2年目からようやくミツが採れだしました。沖縄にはアルゼンチンアリやダニという天敵もいますし、温度が急激に上がるのも良くないし、台風が来ると花がなくなってしまうし、大変なことをあげたらキリがないんですけど…」

 

だが、ミツバチについて語る石渡さんは楽しそうでもある。それはどこかペット自慢に近い。

 

「ミツバチ、もふもふしてて凄く可愛いんですよ。皆に『えっ可愛い?!』って言われるんですけど(笑)。 毎朝、ブーンって一斉に旅立ってね、働き者で、健気で…。だからミツバチがたった30日しか生きられないと知った時はショックでした。でもそんなに短い命でも何かを残していくことに学ばされますし、ミツバチを飼うということは花を守り、環境を守ることにもつながりますから、すぐ身近に自然を感じられるというか」

 

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大自然の力。それはハチミツ以外の『2830』の他の成分からもうかがえる。

 

「どちらのラインにも、無農薬で栽培した月桃を使ったり、県産のヘチマやシークワーサー、オクラのエキスなど、沖縄ならではの肌に良い成分も入れました。そしてスクワランも、一般的には深海ザメから採るものが多いのですが、こちらではオリーブの木から採ったものを使っています。深海ザメ由来のものは化学的に安定させるのが難しくて、匂いが変わりやすいんですがオリーブはそんなことないんですよ。あとはビタミンCもですね。こちらは薬事法で医薬部外品しか美白ということはうたえないんですけど、浸透しにくい水溶性でなく、脂溶性のビタミンCを配合しています」

 

沖縄の素晴らしさをつめこんだ『2830』。それは、自然を意識しながら暮らす、生き方の提案でもある。

 

「今の女性は忙しいですよね、外で働いて、おうちでも忙しくて。でも夜、鎧を脱ぐ瞬間、ディズニー映画ではないですけど(笑)、ありのままの姿に戻るためのアイテムとして『2830』をイメージしています。月とともに生活を整えて、良い香りに包まれながらリラックスしてという…。どの女性にも、美しい生き方をしてほしいです。私が思う、美しい生き方とは、決してストイックなものではなくて、美味しいものの食べ歩きやファッションも大好きだけれど、身体のメンテナンスもちゃんとするというような、すべてを楽しむ生き方。その中に、『2830』を取り入れていただければ」

 

石渡さんは東京で大手化学メーカーに開発職として勤めた後、13年前に沖縄に移住。沖縄での暮らしを通して見つけたのが、全てを楽しむ姿勢こそが美しさにつながるということだった。

 

「東京にいた頃は、いつもストレスを溜めていたんです。今思えば、世間の価値観に縛られていたんでしょうね。キャリア積まなきゃとか、
いいところに住まなきゃとか。体調もあまり良くなかった。でも沖縄に来て、東京では見られなかった夕焼けの色や海の綺麗さを見て、気持ちがとても楽になったんです。ずっとこだわっていたことって小さいことだなと思えて。楽しめれば、それでもういいんだと初めて気づきました。そうしたら健康もついてきて」

 

 

そして『2830』は、これまでさまざまなアイテムを提案し続けてきた石渡さんの集大成ともいえる。

 

「気づきを得てから、初めはFROMOで、沖縄由来の成分を使った石鹸を作りました。スキンケアでも、月桃の力を活かしてマイナスの肌をゼロまで取り戻すためのラインも作っています。防腐剤フリーで月桃が入っていて肌への負担を少なく…と考えたもので、アトピーや敏感肌の方にも、『これだけは使える!』と喜ばれていますが、今回の『2830』は月だったり、香りだったり、ケアそのものを、もっと楽しみながら使えるようにしました。ずっと沖縄の力を活かすスキンケアを作りたかったので構想だけは昔からありましたが、今回行動に移すにあたってエッセンシャルオイルや他の成分はもちろん、ロゴ、パッケージにも全てこだわりました」

 

2015年春に発売となった『2830』。今は外資系ホテルなどのスパでの使用が多いが、一般向けにも、目にする機会が広がりつつある。

 

「スパでも、月齢カレンダーを見て、『今日の月は新月なので、このラインを使ってお手入れします』とお伝えすると、『月に合わせてのケアって初めてだわ』と喜ばれるようです。ラインはもちろん、マッサージの仕方も再生期と浄化期で変えているんですよ。自然をすぐ近くに感じながら暮らすのは、すごく贅沢なこと。高いワインを飲むというような贅沢とはまた違いますけど、毎日のケアを通じて肌の美しさだけでなく、生き方の美しさも意識できるようになれれば…と思います」

 

いじらしいミツバチや、沖縄ならではの素材に肌を助けてもらう。心地良い香りに包まれながら月を想い、自然をすぐ近くに感じる。2830は肌だけでなく意識も変えてくれるスキンケアラインだ。

 

文/石黒万祐子(編集部)

写真/金城夕奈(編集部)

 

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2830(ニーハチサンゼロ)
取扱店 FROMO(フローモ)
沖縄県中頭郡嘉手納町水釜476 No.7229
098-956-2324
2830公式サイト http://2830.jp
FROMO HP  http://www.fromo.jp