Island Aroma(アイランドアロマ)沖縄の自然素材+アロマ=肌と環境に優しく、香りで元気になれる石鹸

Island Aroma

 

「洗顔でこんなに癒さるなんて思わなかったわ。
こちらの石鹸を使うようになってからは、洗面所に行くのが楽しくって。だって、大好きなハイビスカスの香りに包まれるんだもの!」

 

そう話す女性客の肌は、シミもしわもなく色白、つやつやとしてハリもある。

 

「きっと石鹸のおかげね。初めてお店にうかがった時に『肌が元気になりますよ』って教えていただいたのよ」

 

効果を実感しているので、親や兄妹にもプレゼントしたいと嬉しそうに話す。

 

沖縄県産素材を用いた手作り石鹸のさきがけとも言える Island Aroma。
オーナー・佐敷好美さんは、店名にもあるようにアロマの香りを重視した石鹸づくりをこころがけている。

 

「私がもともと興味を持って勉強を始めたのはアロマの世界。石鹸を作るようになったのはその後なんです。
ですから、香りが人に与える影響をとても大切に考えています。
何かの香りを嗅いだときに、特定の人や場所などを思い出すことがありますよね? 嗅覚は、それ以外の五感とは異なる経路を通り、ダイレクトに脳に到達すると考えられているんです」

 

嗅覚以外の五感(視覚、聴覚、触覚、味覚)はまず視床下部を通り、大脳皮質に情報を送ってから大脳辺縁系に到達する。しかし嗅覚だけは、嗅神経を通して直接大脳辺縁系に情報を送る。
また、大脳辺縁系は情動や意欲に関与しているため、匂いが記憶だけでなく感情まで呼び覚ますこともあるのだ。

 

「私自身がアロマの香りによって癒されたり元気をもらったりと、様々な効果を実感してきました。
アロマを石鹸に配合することで、精神面だけでなく美容面にもアプローチしたいと思ったんです」

 

Island Aroma
Island Aroma

 

自身も敏感肌である好美さんが、石鹸を手作りする上で最もこだわったのは製法だ。

 

「市販の化粧品を使うと、私の場合たいてい肌が真っ赤になってしまうんです。私のような敏感肌でも安心して使えるということは、絶対条件でした。

 

一口に手作り石鹸といっても色々な作り方があります。
私にとってのベストな製法は『コールドプロセス法』。40度以上の熱を加えずに作るので、保湿成分であるグリセリンがたっぷり含まれた石鹸が作れるんです」

 

一般的な石鹸の多くは「中和法」という製法で作られている。
あらかじめ、油脂を脂肪酸とグリセリンに分解し、脂肪酸だけをアルカリと反応させて作る。有用な保湿成分であるグリセリンが除去されているため、顔などを洗うとつっぱり感が残ってしまうのだ。
しかし、この方法だと短時間で大量に石鹸を作ることができるため、多くの企業が中和法を採用している。

 

好美さんが実践しているコールドプロセス法は、想像以上に手間ひまがかかる。
植物油脂に含まれる脂肪酸とアルカリを反応させるのだが、油を傷めないよう40℃以下の低温でゆっくりと反応させ、さらに時間をかけて自然に熟成させる。そのため、油脂に含まれる有用成分が劣化せず、グリセリン、スクワレン、ステロール、ビタミンA・B・Eなどをそのまま石鹸に閉じこめることができるのだ。

 

「中和法であれば2~4時間ほどで完成しますが、コールドプロセス法ですと4週間はかかります。
一度に大量には作れませんが、大切なお客様に自信を持っておすすめできる石鹸が作れます」

 

Island Aroma

 

Island Aroma

 

Island Aroma

 

Island Aroma

 

Island Aroma

 

Island Aroma の石鹸の多くに、沖縄由来の素材が使われている。

 

「月桃にはポリフェノールが豊富に含まれていますし、最近ではシワやたるみを改善するというアンチエイジング効果も発見されました。
手作りソープ『GETTOU(月桃)』には、月桃の葉150kg からわずか60cc しか抽出できない貴重なエッセンシャルオイルを使っています。さらに、月桃の香りと相性のよいラベンダーとティートゥリーの香りもプラスしました。

 

人気の『KOKUTOU(黒糖)』は、無農薬のサトウキビで作る黒糖液(さーたーゆー)を使っています。黒糖はシミやそばかすを改善するなど、美白効果があると言われていますし、保湿効果も高いんですよ。

 

沖縄の海は、ミネラルが豊富に含まれていることで知られています。沖縄の海水から採取した海塩と天然にがりを使用した『OCEAN(海)』は、肌荒れに悩む方にお勧め。年間通じて人気の石鹸です」

 

沖縄に移住してきたばかりの頃、好美さんに沖縄の「いいもの」を色々と教えてくれたのは、姑だった。

 

「義母は何でもこだわりを持って選ぶ人なんです。『黒糖ならこれ、もずくならこの会社のもの』と、何も知らない私に詳しく教えてくれました。
沖縄で生まれ育った義母だからこそ知っている本当にいい素材を、石鹸作りにも生かしています」

 

Island Aroma
Island Aroma オリジナルのソープディッシュ。

 

好美さんのこだわりは、環境面への配慮にも及んでいる。

 

「一般的な石鹸が使用している合成界面活性剤は、一度海に流出させると分解するのに相当な時間が必要です。
Island Aroma の石鹸は、石油系ではなく自然由来の素材で作っているので、海に流れてもすぐに分解できるんです。
県民の方がみなこの石鹸を使ってくれたら、沖縄の海の汚染も止まるんじゃないかなーと思うのですが…」

 

強いこだわりをもって石鹸を作り続ける好美さんが初めて香りに興味を持ったのは、高校生の頃だった。

 

Island Aroma

 

当時、日本ではアロマオイルの一大ブームが巻き起こっていた。

 

「もともと香りが好きだったので飛びつきました。ショップに通い詰め、購入したアロマを家でたいて癒されていましたね。
大学進学を機にお化粧をするようになったのですが、敏感肌なので普通の化粧品は使えない。そこでアロマのスクールに通い、自分で化粧水などを作るようになったんです。香りがいいだけでなく肌にも優しいし、手作りするとリーズナブルと良いことずくめ。一層アロマに惹かれていきました」

 

大学卒業後、好美さんは管理栄養士の資格を生かして食品系の企業に就職したが、アロマスクールには変わらず通い続けていた。
就職して4年ほど経ったころ、ある転機が訪れた。

 

「日本で屈指のハーブ・アロマテラピー専門店がスタッフを募集していることを知って。1955年創業の老舗で、この店が運営するスクールにも通っていましたし、憧れの店だったんです。もちろんすぐに応募しました」

 

面接を受け見事合格した好美さんは、やがて六本木ヒルズ店の店長を任されるようになった。

 

「アロマ関連の商品を販売するだけでなく、店舗内に工房が設置されていたので、そこで毎日エッセンシャルオイルを配合した石鹸を作っていたんです。
自分の考案したオリジナルの石鹸を製作・販売することもできたので、貴重な経験を積むことができました」

 

ベースラインとは別にオリジナルの限定商品を作っていたが、好美さんが考案した石鹸は口コミで評判となり、今では定番商品になっている。

 

アロマに囲まれて充実した日々を送っていたが、結婚を機に沖縄への移住を決意した。
専業主婦に転身しようと思っていた矢先、夫の祖父の力強い一言が好美さんの人生を変えたと言う。

 

Island Aroma
Island Aroma

 

「100歳を迎えた祖父は、ものすごく元気で闊達とした人。
嫁いで間もないある日、私をまっすぐに見て言ったんです。『あなたは何がやりたいんだ? 俺の目が黒いうちにやりなさい!』と。
その言葉にはっとさせられて、結婚して1年後には宜野湾に店をオープンさせました。
当時の沖縄には手作り石鹸の店がなかったので、沖縄の方にも是非知ってもらいたいと思ったんです」

 

オープンして1年後、出産を機に一時休業していたが、再開を求める常連客からの声は後を絶たなかった。
その際、手伝いを申し入れたのが夫だったと言う。

 

「子供との生活を大切にしたい私は、なかなか店を再開できずにいました。産後半年くらいたった頃です。お客様からのお声をメールや電話で受けているのを隣で聞いていた夫が、『俺が石鹸を作ればいいんじゃない?』と言ってくれて。夫はずっと土木設計の仕事をしていましたが、仕事を辞めた夫に1年ほどかけて作り方を指導しました。
もともと一つのことを淡々とやるのが好きなひとなので、本人の性格にも合ってるんだと思います。
それまでは一人でてんてこまいでしたが、夫のおかげでだいぶらくになり、私は企画・販売に専念できるようになりました」

 

宜野湾に店をかまえて8年後、知念に自宅兼店舗を建築することが決まった。

 

「宜野湾に住んでいた時も、賃貸していた戸建て住居の一部を店にしていました。私にとっては『自宅兼店舗』というスタイルが重要なんです。子供が帰ってきた時、母親である私が自宅にいて迎えてあげたくて。

 

転居先の知念は、のどかでとてもいい所。
美しい海を見ながら、お客様に心も肌も癒していただけたら幸いです」

 

Island Aroma
自動車のソケットに差し込んで使えるアロマディフューザー。「運転中もアロマに癒されます。私以上に夫が気に入って、毎日使ってますよ(笑)」

 

Island Aroma
貴重な自家製ハチミツ。「在庫はもう、残りわずかなんです」

 

今後は、自宅で養蜂を行いたいと好美さんは言う。

 

「自宅兼店舗を構える以前、義父はこの土地で養蜂をしていたんです。
Island Aroma の石鹸『HONEY(蜂蜜)』には、そのときにとれたハチミツを使っているんですよ。
義父が作ったハチミツは、味わいも濃厚でとても人気があったのですが、今は作っていなくて。
ハチミツには殺菌作用、保湿効果、美容効果があり、日焼けのケアにも使えるなど万能な自然素材なので、私たち夫婦で養蜂を再開したいと思っています。

 

さらに、ハチミツを始めとした『知念吉富ラインナップ』の石鹸を作れたら嬉しいですね。
海、山、緑、太陽…。ここは豊かな沖縄の自然に囲まれた土地ですから」

 

Island Aroma
アロマインストラクターの資格を持ち、ワークショップ等の活動も積極的に行っている。

 

「私の親世代のころから、洗髪にはクチャを使っていたの」

 

ハイビスカスの石鹸を愛用している常連客は、昔を懐かしむように話してくれた。

 

「南国の黒髪にはクチャが一番だからと言ってね。
そして仕上げには、リンス代わりにハイビスカスの花と葉をすりつぶしたものを髪に塗ってたんですよ。
特に葉はぬめりが出るので、髪がつやつやになるのよね。
今では考えられないような話かもしれないけれど、当時はみな普通にやっていた美容法です」

 

ナチュラルライフ、ロハスなどに高い関心が集まる昨今において、コールドプロセスで作られる石鹸は時代の最先端をいく化粧品であるように感じられる。
しかしハイビスカス石鹸の香りに癒される彼女のように、古くから人は、自然素材を活用して美しくなる方法を見出していたのだ。
好美さんは、沖縄の自然素材とアロマのパワーを組み合わせ、手軽に使える化粧品を生み出した。
それが、Island Aroma の石鹸。
ハイビスカスの花と葉をもいですりつぶさずとも、洗面所に行くだけでその香りに癒され、保湿効果の恩恵が受けられるのだ。

 

写真・文 中井 雅代

 

Island Aroma
Island Aroma(アイランドアロマ)
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