水のように自然なていで、肌に入っていく。ただ、胸のすく独特な香りがぱっと広がるから、これは月桃のものだとすぐに分かる。アロマ専門店ペタルーナが作る“月桃ハイドロゾル”の印象だ。
沖縄ではおなじみの月桃が、肌にもいいことはよく知られている。保湿力もしっかりあり、たっぷり含まれたポリフェノールにはアンチエイジングを期待できるから。そんな月桃に目をつけたスキンケア商品は今や珍しくない。ただ、そのほとんどは月桃の葉を用いるなか、“月桃ハイドロゾル”には花だけが使われている。その理由を、広報の赤嶺さんは、より優しいものにしたいからだと明かす。
「“月桃ハイドロゾル”のハイドロゾルは芳香蒸留水という意味なんです。フラワーウォーターなんて言い方もしますね。花を蒸留したものは刺激の少ない肌あたりになるので、敏感肌の方でも安心して使っていただけるんですよ。それに花の部分なら、香りもまるく甘くなるんです。県外の方やうちなんちゅでもたまに『ムーチーの匂いは苦手…』と言う人もいらっしゃるんですけど、月桃には肌にいい成分が本当にたくさん入っているので、香りで敬遠しちゃうのはもったいないと思うんです。でも、この花の香りなら、『あ、これなら大丈夫!』ともよくおっしゃっていただけます」
アロマ専門店だけあり、“月桃ハイドロゾル”はスキンケアだけでなく、香りから取り込む力も重視して作られている。
「“月桃ハイドロゾル”のハイドロゾルは芳香蒸留水という意味なんです。フラワーウォーターとかフローラルウォーターなんて言い方もしますね。花を蒸留しているんですけど、水と混ざりにくい精油の成分も数値にすると1%未満ではありますが、しっかり溶け込んでいるんですよ。なので、これも立派なアロマといえます。私たちは普段からアロマテラピーも提案しているので、香りも大事にしています。月桃の香りは不安感やストレスを和らげてくれる力もあるんですよ。もちろん月桃の精油も出していますが、蒸留水ならば肌に直接つけられますし、スキンケアにいい成分だけでなく、香りの力もお手軽に取り込むことができます。スキンケアにはぜひ芳香蒸留水を使ってほしいですね」
ペタルーナでは、取り扱う全てのアイテムが自然由来であることにこだわっている(関連記事:アロマショップ petaluna リラックスだけじゃない、心身の健やかさのためのオーガニックアロマ)。自社製品だけでなく、主にオーストラリアから輸入する精油や石鹸もそうだ。そんなペタルーナだから、“月桃ハイドロゾル”の原料となる月桃の花も、安心安全なオーガニックで育てられたものだけを選んでいるという。
「南城市にある、オーガニックの月桃農園の月桃をどうしても使いたくって。10年以上農薬を使っていない土で、化学肥料も使わないでのびのびと育てられているんです。それに、沖縄県産の月桃というのにも大きな意味があります。実は月桃って沖縄だけの植物ではなくて、台湾やオーストラリアにも生えているそうなんですね。その中でも沖縄の月桃は過酷な紫外線を浴びて育つので、抗酸化作用のあるポリフェノールが多く含まれるんですよ。さらに農園のあるあたりは、4月から6月の間に霧がかかるんです。この霧の正体は海から立ち上る水蒸気のようなもので、この霧に良い微生物やミネラル、カルシウムがいっぱい含まれているらしく、これが月桃の花にぴとってくっついて吸収されるので栄養価がグーンと高くなるのだと作り手の新里さんからは聞いています。この新里さんの月桃に出会えたからこそ、今の“月桃ハイドロゾル”があります」
ただ、その原料のよさを生かせるかどうかは製法次第。せっかくの豊かな栄養を損なわないためには根気と丁寧さが必要とされる。
「月桃成分の抽出方法に関しては、土壌学の専門家で、沖縄農林水産部長も歴任されている大城喜信先生との出会いが大きかったですね。喜信先生から色々教わりながら、手探りで見つけだしていって。抽出する機械も、初めは普通の圧力鍋にホースつないでやるような、手作り感満載のところからスタートしたんですよ(笑)。月桃の花は葉と違って収穫時期も限られますから、今もそんなに大々的には作れないんですけどね。大量生産したかったら加熱を強くして短時間でパッとやっちゃう方がいいんですけど、この柔らかさを失ってしまったら意味がないので、私たちは限られた量しか作れなくても6時間以上かけて、ゆっくり引き出していくんです。芳香蒸留水というシンプルなものだけに、ごまかしがきかなくて」
また、月桃の花の優しさを十二分に発揮できるようにと月桃以外の脇の部分もしっかり固められている。“月桃ハイドロゾル”にはアルコールを添加していないので、アルコール成分に触れると肌が赤くなってしまうというひとでも安心して使うことができるのだ。
「アルコールフリーというのも強みとして言えますね。アルコールはいわゆる防腐剤の役目をするので、スキンケアにはよく使われるんですが、敏感肌や乾燥肌の人によっては刺激が強かったりして、ヒリヒリすることもあるんですね。そこで月桃ハイドロゾルにはアルコールではなく、天然のグレープフルーツシードエキスを入れて防腐剤代わりにして、品質を保つようにしています。他にもいろいろと自然由来に限定して防腐剤の役目をするものを入れて試したんですが、こちらが“月桃ハイドロゾル”と相性良く、肌馴染みが一番だったんです」
原料と製法、どれをとっても理想を維持するのはたやすくはないが、それを押してでも赤嶺さんたちが月桃ハイドロゾルを作るのは、強い想いがあるから。、“月桃ハイドロゾル”は、たったひとりの、超がつくぐらいの敏感肌の悩みから誕生した。
「うちの代表の伊藤はアトピーにずっと悩んでいて、敏感肌なんです。もうごく限られたスキンケアしか使えないし、それすらも使っているうちに肌に合わなくなってきてしまうという揺らぎ肌でもあって。いつも新しいスキンケアや石鹸は、私たちスタッフ全員で実際に試してみるんですけど、伊藤の肌をパスできたら、それはすごく安心なものだねってモノサシになってしまってるぐらいです。そんな彼女が、植物性のものを片っ端から試して、出てきた答えが月桃で。月桃なら肌がざわざわしないし、使い続けても大丈夫ってなったんです。そこで、月桃を使うことにして、用いる部位や他の成分などにも念には念を入れて、伊藤ぐらいの超敏感肌にもOKな化粧水を作ってみようとなったんです」
新都心本店のキッズコーナー。子連れのママでもゆっくり過ごせるようにと、スタッフからの提案で設けた
敏感肌も使えるように、とことん優しいものを。そんな赤嶺さんたちの想いを超えて、月桃ハイドロゾルは敏感肌だけでなく、特に肌トラブルのない人たちからも支持を集めている。それは、昨年度行なわれたペタルーナ総選挙という、ペタルーナの扱う商品の人気投票イベントで、月桃ハイドロゾルが他の精油やスキンケアを抑え、1位を獲ったことからもうかがい知れる。
「敏感肌の方にも愛用されていますし、もちろん普通肌の方にもいいと思います。私自身もそこまで敏感肌じゃないんですけど、ホルモンバランスの崩れなのかなんなのか、たまにデコルテに赤いブツブツができちゃうことあるんですね。そんな時でも、月桃ハイドロゾルでパシャパシャすると、3日間ぐらいでケロッと落ち着いてくれるので、私は月桃は炎症を落ち着かせてくれる力を一番実感するかな。日焼けやニキビにもいいと思います。普通肌の方ですと、あまりにもスッと馴染んでしまう使用感だからか、『一度違うもの使うと、なにげに月桃って良かったんだーってハッキリ分かるんだよね』みたいな、いったん離れると改めて良さに気づくという方もいらっしゃるんですけどね」
月桃ハイドロゾルはタイプを問わず、さまざまな肌を優しく潤す。ただ、赤嶺さんたちは既に、月桃の次の素材にも手をのばしている。沖縄県産のウコンを配合したクレンジングオイルなどもそれにあたる。ただ、どんな素材を用いても、指針とするのは優しさ。それがペタルーナのアイデンティティだ。
「月桃だけでなく、沖縄の強い紫外線と海風を強く受ける環境は有用な植物をたくさん育ててくれます。少し前はウコンにも注目していて、私たちらしく自然な形で成分を抽出することに成功しましたし、シークヮーサーやカンダバー、長命草なんかも肌にいい可能性があって、これも研究が進むのを待っているところです。これからも私たちは色々試しながら何かしら作っていくと思うんですけど、超敏感肌も使えるようなナチュラルで優しいものをというのは、この先も、どの植物を使うとしてもずっと変わらないですね」
写真 金城夕奈
アロマショップ petaluna(ペタルーナ) 新都心本店
那覇市天久1-26-23 絆ビル 1F
098-861-5166
営業時間10:00~20:00(平日)、11:00~20:00(土日祝)
定休日 年末年始
http://www.petaluna.com
アロマショップ petaluna(ペタルーナ) 北谷サンセット店
沖縄県北谷町美浜9-39 オークファッションビル1F
098-989-9989
営業時間 11:00~20:00
定休日 年末年始
駐車場(無料)あり
http://www.petaluna.com
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