Zooton’s(ズートンズ)ハンバーガーはジャンクじゃない。新鮮野菜にからだも喜ぶ「こんもり系」バーガー。

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インパクトのあるビジュアルに、まずノックアウトされた。
人気メニューの1つ、「アボカドチーズハンバーガー」だ。
パテやトマトの分厚さもさることながら、やはり目をひくのはワカモレ(=アボカドソース)の量!
上から蓋のようにかぶせるはずのバンズは、最初からそれを諦めて脇にちょこんと添えられている。
その豪快な見た目に思わず笑ってしまいながら、ごくりと生唾を飲み込んだ。というのも、具材のどれもが美味しそうだから。

 

両手でしっかり持ち、思いっきり大口を開けて豪快に頬張る。
ワカモレの味付けが、意外にも和風で驚いた。食感はまったりとクリーミー。これだけでも瓶詰めで購入したくなるほどの美味しさだ。
焼きたてのパテはふんわりと柔らかく、「じゅわわ〜っ」と肉汁が溢れてきた。また、分厚くカットされたトマトの酸味は、ワカモレのコクと抜群に合う。

 

「ハンバーガーはバランスが命ですから」

 

店主の岡勝(おか まさる)さんは語る。

 

「バンズ・パテ・野菜のバランスがとれていることが大事なんです。
ひとつひとつが主張しすぎず、しなさすぎず。これが全てですね。
ワカモレやトマトは、量が少なすぎるとパテに負けてしまうし、逆に玉ねぎは多すぎると辛味が強く出すぎてしまいます。
この辺は、何度も試作を重ねてベストバランスを見つけました」

 

もちろん、素材一つ一つへのこだわりも忘れてはいない。

 

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ジューシーに焼きあがったパテを、これまたトーストしたばかりの熱々バンズに乗せる。

 

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「ワカモレの味付けですか?…それだけは秘密にさせてください(笑)」パテの上にはオリジナルソースをたっぷりと。

 

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これでもかとワカモレを盛る。「ワカモレは主役でありながら、個性的な素材たちを繋ぐまとめ役でもあるんです」

 

特にパテについては、ひき肉に使用する肉の割合にも工夫を凝らした。

 

「パテって、『ビーフ100%じゃなきゃ!』みたいなイメージがありませんか?
でも、それだとどうしてもパサつき感が出てしまうんです。実は、豚のひき肉を少し混ぜた方が柔らかくなって美味しいんですよ。だけど、ビーフ特有の食べごたえもキープしたい…。
そこで導き出した黄金比が、『牛:豚:牛脂=7:2:1』なんです。

 

また、豚肉には県産豚を使用し、食感を楽しんでもらうために全ての肉を粗挽きにしています」

 

たしかに、一般的なバーガーのパテと比べると、ふんわりとした柔らかさやジューシーさが加わり、とてもおいしい。パテというより、ハンバーグのような食感なのだ。

 

またバンズも、生地から作って店内で焼きあげていると言う。

 

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「一般的なバンズよりも大きめに作っているのですが、生地を低温でじっくり発酵させているので軽いんです。
また、サクッとした食感になるよう、焼き上がったバンズをそのまま使うのではなく、カットしたあと再度トーストしています。
上から振りかけているゴマの風味もポイントですね」

 

今のバンズに行き着くまでは、レシピにも改良を重ねたと言う。

 

「最初はバンズの高さが出なかったり、だらーっとした生地になってしまったりと、思うようにいかず苦労しました。水分量を変えたり、発酵時間を調節したりと色々試し、やっと理想のバンズが完成しました」

 

ベーコンもまた、自家製にこだわっている。

 

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こんなにたっぷり良いんですか? と訊きたくなってしまうほど厚切りにしたベーコンで作るのは、その名も「自家製厚切りベーコンバーガー」。
デンマーク産豚肉を仕入れ、毎週一度は自分で燻しているという。

 

「豚肉に下処理を施したら、塩漬けして数日置きます。その後、塩抜きして乾燥させ、最後に燻煙したらやっと完成。結構、手間ひまがかかるんですよ」

 

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厚み1cm以上のベーコンが大胆に重なっていて、なんとも豪快な見た目。
自慢の自家製ベーコンは、塩・胡椒がぎゅっと染みこんだ濃厚な味わいで、ハンバーガー全体の味を引き締めている。
じっくり時間をかけて丁寧に作られているからこそ、うま味も凝縮しているのだろう。ついついお酒も頼みたくなる、大人な一品だ。

 

また、肉好きさんには何とも嬉しいことに、ベーコン入りだからとパテを抜かないのが Zooton’s 流。ベーコンとパテ、両方ともしっかり味わえる欲張りなメニューだ。

 


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店内には、色とりどりの酒の瓶が並んでいる。
アルコール類は、昼間でもオーダーすることができると言う。
店内を照らす黄色い明かりと洋楽の BGM が、なんだか外国のバーに迷い込んだような気持ちにさせる。

 

岡さんは以前、横浜のバーで働いていた。
宮古島出身の奥様と結婚し、沖縄に店を開くことを決めたときも、最初はバー主体の店にしようと考えていたそうだ。

 

「メニューもたくさんあったんです。パスタ、ロコモコ、ピザ…、数えきれないくらい。僕たちが最初からハンバーガーを推していたわけじゃなくて。でも、ハンバーガーに人気が集中したので、他のメニューはどんどん削っていったらこうなっちゃった(笑)」

 

こうして、営業時間やメニューは、昼の営業を意識したものに変わっていった。

 

「ついこの間まで『うちはハンバーガー屋さんじゃないんだけどな…』と思っていましたが、今では完全にハンバーガー屋さんです(笑)」

 

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今後はさらに、ハンバーガーへのこだわりを追求したいと岡さんは言う。

 

「ぜーんぶ自分でやりたい! と思うようになってきました。例えば、肉のかたまりを入れてひき肉を作る『ミートチョッパー』という機械があるのですが、それも手に入れたいんですよね。肉の挽き具合を自分で調整したくて」

 

冗談めかして、レタスも自分で植えちゃったり? と水を向けると、「そうそうそう、自家栽培もやりたい!」と、満面の笑みで返してくれた。

 

 

2013年11月には、首里に2号店がオープンする。

 

「2号店では、パンケーキにも力を入れています。
ハンバーガーのバンズのレシピは、調理師免許を持つ妻が考案したのですが、パンケーキも妻が作っているんです。
いろいろな店のパンケーキを食べ歩きましたが、妻が作るのが一番おいしいですね」

 

と、岡さんは照れながらも自信たっぷり。
バターミルクは北海道から取り寄せるなど、パンケーキにも岡夫妻のこだわりが詰まっているようだ。

 

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岡さんは、新作の開発にも意欲的だ。

 

「魚を使ったハンバーガーを作りたいんですよ。でも、魚肉を叩いて成形し、衣つけて揚げたものをサンドするというような一般的なものではなく、ソテーした魚を使いたくて。
普段、肉を食べないお客様からのリクエストでもあるので、是非実現させたいですね」

 

 

ハンバーガーに対し、なんとなく不健康なイメージを抱いていた私の価値観を、Zooton’s は覆してくれた。罪悪感を抱かせるどころか、「良いものを食べたなぁ」と思わせてくれるハンバーガーがあるなんて。

 

ハンバーガーってすごい。岡さんのこだわりを聞いた上で、もう一度その姿をしげしげと眺めてみると、まるで皿の上の小宇宙のように見えてくる。
奥が深く、こだわろうと思えばどこまでもこだわる事ができ、各素材が絶妙な加減で主張しあって味のバランスを保つ料理。
軽食と呼ぶのもはばかられる気がするほどだが、Zooton’s は街の「ハンバーガー屋さん」として、気さくに私たちを迎え入れてくれる。

 

文 青木舞子/写真 中井 雅代

 

zootons
Zooton’s
那覇市久茂地3-4-9
098-861-0231
open
11:00-22:00(ラストオーダー21:00)
火曜のみ 11:00-17:00(ラストオーダー16:30)
無休
HP http://www1.ocn.ne.jp/~zootons
ブログ http://zootons0717.ti-da.net

 

Zooton’s 首里
那覇市首里山川町3-61-9-3F
090-4546-4234
open
月 11:00 – 16:00
水 – 金 11:00 – 16:00
土 – 日 10:00 – 16:00
close 火
ブログ http://zootons2.ti-da.net