「しまなみ海道」100キロメートル、サイクリングの旅!


hadana

 

この夏、帰省した神戸から足をのばして幼馴染たちと出かけたのは、「しまなみ海道」2泊3日のサイクリングの旅。

 

広島県の尾道市から、愛媛県の今治市まで瀬戸内海の6つの島をつなぐ全長約70㎞の「瀬戸内しまなみ海道」。世界で唯一、自転車で横断できる海峡です。

 

この「瀬戸内しまなみ海道」世界中からサイクリストが集まり、サイクリストの間では「聖地」と呼ばれるほど人気が高いと聞いて興味津々。自転車はスポーツタイプから電動アシスト付きに2人乗りのタンデムまで色んな種類が揃い初心者からレンタルできるそう。途中で気が変わっても、15箇所ある自治体が運営するターミナルへ自転車の乗り捨てが可能。それに自転車専用道路もあるという。
ヨーロッパで走った自転車専用道路の楽しかったことが忘れられず、近いうちに行てみたいなあと思っていたところ、「よっしゃ、今年の旅はしまなみ海道や!」とだいぶん年上だけど地元の友人、原さんがとんとんと計画を進めてくれました。

 

そして旅は原さんのこんなメールからはじまりました。

 

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第1回しまなみ海道チャリ隊横断大会
しまチャリ隊 概要

 

〇起点←→終点
尾道~今治(どっちかね…。)

 

〇走行距離 片道約70キロメートル
本気な奴・・約3時間
早い奴・・・約5時間
体力ない奴・約6時間
ゆっくり・・約8時間(これは島々観光、あばれる、制覇)

 

〇日数
あばれた後のメンテナンス必要!

 

〇尾道←→今治
6個の島々と約10本の橋あり…。

 

〇チャリ貸し出し料金
中学生以上→1日500円(ミキオとタツヤは、知能指数から300円…。)

 

〇橋の通行料金
片道→500円(タツヤでも払える)

 

〇決行時期
私的ですが…わたくし、原!その日、親が死なない限り…。
最優先事項にするつもりです!
がっ!皆さん生意気にも、半端に大人ですから…なかなか足並みが揃いません!
今年のチャンス!5月~9月中旬頃までです。
天候(雨男がいてます!)
暑さ(俺以外は軟弱ヘタレあり)
体力(俺以外は無理!!)

 

〇参加人間
人間、原。

 

以下、もののけ。
ミキオ、オータ、タツヤ、ソーズ、ミチヒロ、ユマ…以上予定!

 

問題、質問等あれば、遠慮がちによろしく。
文句は受け付けない!!

 

人生の折り返し地点が過ぎました。
日本の原点…瀬戸内の島々をめぐり、もう一度人生を見直し、反省しなさい!

 

以上、しまチャリ隊隊長 原

 

 

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↑この原ハゲ隊長。
みんなの20歳年上、60歳、還暦。志村けんとそのまんま東を足して2で割ったような風貌、永遠の中2(笑)。ですが最近2人の孫のじいちゃんにもなったとか。
なぜかぼくらと外で走り回って遊んでいたおっさんですが、学生の頃タムロしていた(笑)喫茶店のマスターで、いつの間にか25周年の友人となってしまいました。

 

若い頃に、船乗りとして世界中を旅した経験があり、今もたまにその頃の面白い冒険話が登場します。とても還暦とは思えない思考回路は、船乗り時代の影響でしょうか。ただのいわゆる中2病でしょうか。この船の仕事が盛んな瀬戸内海の島のひとつが原さんの故郷でもあります。

 

台風9号の影響で沖縄から関西方面行きは、僕たちが乗る予定の前便までの欠航が決まり、もう今回は中止になるかと思っていた中、何とか飛ぶことに。しかし到着した関西が台風で大荒れ。三宮から実家までの電車は早々に運休。残された交通手段のタクシーに乗り込んだまでは良かったものの大渋滞。「大回りになるけど、おっちゃん、抜け道知ってるからまかせといて、ゆっくり座って休んどって」と神戸の気の良いタクシーのおっちゃんにほっとしたのも束の間、どの抜け道も豪雨による土砂崩れの恐れなどで通行止め、おっちゃんの20年になるタクシー人生の中でもこんなことははじめてだそうです。「心配せんといて、メーターストップしとくわな。いつもの料金で家まで送り届けるから。」と通常よりも安い値段を提示してくれます。30分で帰れるところを5時間かかって深夜3時にやっと到着。「ごめんなあ、えらい遅なってしもたなあ」とおっちゃん。こんな大変な帰路に巻き込んでしまったこのタクシーのおっちゃんに感謝、感謝の旅のスタートとなりました。

 

 

翌朝もまだまだ関西方面のいろんな道が閉鎖されていて予定より遅れ気味のスタートとなりましたが徐々に開通し無事に尾道へ到着。

 

尾道には昨日の台風が嘘のように爽やかなが青空が広がっていました。

 

 

 

 

 

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と前置きが長くなりましたが、この永遠の中2、原隊長を筆頭に「しまなみ海道」サイクリングの旅ははじまりました。

 

レンタサイクルショップの前におしゃれな倉庫を発見。それは海運倉庫として使われていた建物をリノベーションした ONOMICHI U2(オノミチ ユーツー)。

 

自転車ごと宿泊可能な「HOTEL CYCLE」や世界一の自転車メーカー「ジャイアントストア」、レストラン、ベーカリー、ライフスタイルショップなどを併設する複合施設で、広島出身の建築家、谷尻誠さんの設計だそうです。

 

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動く前にこんなに食べて良いのか? と思いつつもこういう事になりました。

 

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シュッパーツ!

 

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笑顔が素敵なお2人は沖縄も走ったんですよ!と関東から自転車を担いでやってきた本格派のサイクリスト。てんとう虫柄のウエアに身を包み颯爽と駆け抜けていきました。

 

 

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外国人の姿も多く見かけます。

 

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出発30分後。
スイスイ走るみんなにいくら漕いでも追いつかない。。。

 

カメラのシャッターを切るのに夢中になっていた僕は変速ができることにも気がつかず、から回りしまくっていた足はすでにもうパンパン。。。

 

 

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普段、無口なミチヒロもハジけてます(笑)。

 

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先ずはひとつめの向島から因島へ。

 

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モデルコースのルートから少し外れて因島から原さんの生まれ故郷、弓削(ゆげ)島を目指します。島民の足でもある島へと渡すフェリーに自転車のまま乗り込み生名島へ。

 

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瀬戸内しまなみ海道振興協議会のHPの地図より。

 

 

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なんだかさらにローカルっぽくなってきましたよー。

 

 

 

生名島から吊り橋を渡り弓削島へ。
目的地は遠くに小さく見えているけど、なかなか辿り着きません。

 

 

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チーム中年。乗り慣れない自転車にヒーヒー言いながら、やっとこさたどり着きました。

 

 

 

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温泉でひとっ風呂浴び、さっぱりした後、原さんの仲間も集まり、とれたてのタコや魚が並ぶテーブルを囲んで乾杯!よく冷えたビールが火照った身体に染みわたります。昔話に花が咲き、みんなでワイワイ楽しいひととき。お腹がいっぱいになった頃、漁港ではおじいちゃんと孫との楽しそうな声、心地よい方言に耳を傾けながら今夜は年に一度の村の花火大会です。

 

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原さんの同級生にお借りした民家で、馬鹿話をしていたのも束の間、鳥の声と朝日で目覚め、原家のお墓参りをしながら朝の散歩。お世話になったみなさんに挨拶を済ませ、いよいよ今治に向かって出発です。

 

昔から脈々と受け継がれるゆったりとした暮らしに溶け込み、まるで僕たちも故郷へ帰ってきたように迎えてもらった弓削島でした。

 

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さあ、次の島へ。

 

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チーム中年には過酷なアップダウンを乗り越え、大三島にある大山祇神社(おおやまづみじんじゃ)へ。神々しい樹齢2千年とも3千年ともいわれる迫力の大楠。神社内の楠群は日本最古の原始林社叢の楠群として天然記念物に指定されています。この境内に舞台がつくられ、狂言や能や歌舞伎が奉納されるそうです。

 

 

原さんのたっての希望で大山祇神社への参拝。
どうも勝運、金運のパワースポットでもあるそう、早速、競馬新聞片手に鼻メガネの奥に、細い眼を輝かせておりました。

 

 

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原さんにご利益がなかったのは言うまでもなく(笑)。

 

 

 

途中から絶景写真を撮ることなんかはすっかり忘れ、いつの間にかみんな精神年齢中学2年。追い越し追い越され、歓喜のゴール!なんでしょうこの達成感。

 

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今治からの帰路は痛いお尻のことも忘れちょっとした高揚感に包まれながら車を走らせ、これまた美しい尾道まで戻ってきました。

 

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人生早いもんですねー。気づけば40のおっさんですわ。

 

 

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路地裏へ。ローカルな店に入ってみるのも旅の楽しみ。

 

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原隊長の「人生の折り返し地点が過ぎました。日本の原点…瀬戸内の島々をめぐり、もう一度人生を見直し、反省しなさい!」でスタートしたこの自転車の旅。五感をフル稼働させて身体いっぱいに自然を感じ、心もからだも気持ち良くからっぽになりました。

 

瀬戸内の穏やかで美しい島々、斜面に広がるレモン畑、出会ったやさしい人たち、みんなの笑顔、思い出すたび、ほのぼのとあたたかい気持ちになる「しまなみ海道」100キロメートルの自転車の旅でした。

 

 

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しまなみ海道は1999年に開通され風光明媚な景観が売りとはいえ、自動車で素通りされるだけの観光地に過ぎなかったそうです。ですが、2007年頃から自転車で渡れる橋を生かした「まちおこし」が住民の間で模索されはじめ、今やサイクリストの聖地と言われるほど国内外から人気を集めています。実際に走ってみて、「しまなみサイクルオアシス」と書かれたブルーのタペストリーを店先や地域のあちこちに見かけ、気軽にトイレや給水に立ち寄ることができました。他にも「しまなみ島走レスキュー」などもあり、パンクや故障、悪天候などの時などに立ち往生してしまうサイクリストに地元として何かできることはと発足され、できる範囲でバックアップしてくれるそうです。自転車専用のスタンドがあちこちにあったり、道路にはブルーのラインでサイクリング推奨ルートがペイントされていて、地図がなくても迷うことがないし、あと何キロ走れば目的地だなあと自転車に乗りながら把握することもできました。地図やパンフレットも充実していて、地域全体で「ようこそ、しまなみ海道へ」とおもてなしの心を感じ、安心感もありました。そんな中、自然と地域の人とサイクリストとの交流が生まれ、旅はさらに魅力的なものになっていきます。こんな「まちおこし」が波及して四国一周1000kmのサイクリングルートもできるとか、これからますます目がはなせない「瀬戸内しまなみ海道」からでした。

 

 

 

 

 

文・写真 葉棚達也・由真

 

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