小さな石ころも、木の切れ端も、美しく愛おしい。イギリス、 ケンブリッジの「KETTLE’S YARD」へ

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ひっそりとしているし、閉まっているのだろうか。。。なんとなく中に人がいるような気配を感じ、呼び鈴を鳴らしてみると扉がそっと開かれ、 上品で物腰のやわらかなご婦人が笑顔で迎えてくれました。一歩家の中に入ると穏やかな、なんともいえない心地よい空気。思い返す度その時の高揚感がじんわりとよみがえります。

 

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ここ「KETTLE’S YARD」はテートギャラリーのキュレーターだったジム・イードが妻と1958年から1973年まで暮らした家。ケンブリッジ大学に寄贈され、今もなお当時の姿が保たれ、一般に公開されています。

 

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差し込む光も美しい。

 

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石に刻まれているのは

 

KETTLE’S YARD
CAMBRIGE
ENGLAND IS THE
LOUVRE OF THE
PEBBLE

 

「ケトルズヤードは小石のルーブル」

 

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さりげなくとけ込むアートの数々。

 

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数多くあった舟の絵はイギリス、コンウォールの港町、セント・アイヴスで船具 商を営み、70歳になってから独学で絵を描きはじめた異色の画家のアルフレッド ウォリスの作品。ジム・イードと親交のあった画家のベン ニコルソンらが偶然ウォリスの家の前を通りかかり、飾られた彼の絵を目にしたことから発掘された才能だそうです。素朴な味わいに満ちていて心惹かれます。

 

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どの椅子にも自由に座るこができ、椅子に座ってみると作品の位置になるほどと納得。

 

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風化したデッキブラシ

 

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アンリ・ゴーディエの彫刻

 

ルーシー・リーの器、ブランクーシの彫刻、ミロの絵、20世紀のイギリスを代表する彫刻家のヘンリームーアといったイード夫妻の審美眼によって集められた現代美術の彫刻や絵画、拾ってきた小石や、貝殻などの自然の造形美、使い込まれた道具や家具など全てが調和し暮らしにとけ込んでいます。

 

ベッドルームやバス、トイレにいたるまで暮らしの中にアートがちりばめられていて美術館やギャラリーの持つ緊張感がなく、どれもやさしく語りかけてくるような佇まいです。

 

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自然がつくり出す美しいかたち。

 

 

たくさんのドローイングが飾られていた屋根裏部屋。

 

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イード夫妻はここに暮らしながら毎日午後の2時から4時の間、若いアーティストや学生に自宅を開放しコレクションを案内したといいます。そして57年経った今もなお、その想いは受け継がれここを訪れる私たちそれぞれの心に何かを語りつづけてくれています。

 

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このひだまりのような室内ガーデンのいきいきとした植物たちに囲まれて座っているとおばあちゃんの家の縁側にいるような懐かしさや何かに守られているような安堵感に包まれます。

 

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アートや自然の美しいものにふれられる喜び、見えないなにかが心に沁み入り満たされていくのを感じた「KETTLE’S YARD」。

 

素晴らしい場所。

 

 

「KETTLE’S YARD」へ行く道のりもまた楽し。ケンブリッジから旅の一ページでした。

 

 

 

文・写真 葉棚達也・由真

 

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