WOODVILLE HOUSE(ウッドヴィルハウス)アンティークの金具に自作の棚。唯一無二のモノとスペースを提案

WOODVILLE HOUSE
 
「日本って、部品の規格がどれも似てるんですよね。例えばスイッチ。だいたいカバーが四角形で、上下に一つか二つスイッチが付いてて…って、想像つくでしょ? そういうのがちょっと面白くないなーと」
 
その言葉を聞いて改めて店内を見渡すと、確かにこれまで見たことのないようなスイッチが数多く並んでいる。
 
「アメリカでアンティークのものを買い付けているのですが、色々あるんですよ。
カバーが丸いもの、スイッチ部分が押すタイプのものや上から下へ下げるタイプのもの…。
普段、何も考えずに使っているものが変わったデザインだと、それだけで生活に楽しみが生まれると思うんです」
 
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2012年にリニューアルしたショウルームには、味のあるアンティーク雑貨が多数並び、自宅や店舗で使いたいと、多くの人が訪れる。
 
「アメリカってヘンなものがいっぱいあって面白いんですよ。
その中でも、自分の家でも使いたいなと思えるものだけ買い付けています」
 
小さな変化で、生活に彩りを。
代表・木村伸作さんの価値観は、内装の仕事にも反映されている。
 
「当たり前な造りをちょっと変えるのが好きですね。例えば、市販のドアではなく、古材を使って木製のオリジナルを作ったり、ドアノブやハンドル部分にアンティークの金具を取り付けたり」
 
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今までに手がけた内装のほとんどが、住宅ではなく店舗だと言う。
 
「一言で言うと、やぱりアンティークな雰囲気の内装が好きです。手作り感が伝わる空間というか。ですから、クロスや合板よりも、生木や土壁を使うことが多いですね。
住宅のデザイン・建築のご依頼もお引き受けしていますが、店舗のほうが大胆に遊べる部分が大きいので、ついそちらが多くなってしまうんです」
 
最初に内装を手がけたのは、中国茶を扱うカフェだった。
 
「オーナーさんと一緒に、家具や雑貨を買い付けに上海まで行きました」
 
しっくいを使った味のある空間に、アンティークの中国家具を配した。
完成して7~8年経つが、今も度々訪れると言う。
 
「自分が関わった店ですから、やはり気になりますよね。
時間が経つとメンテナンスが必要になってくることもありますから、客としてフラッと立ち寄るんです」
 
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WOODVILLE HOUSEでは、デザインと施工を一括してとり行うため、コスト削減というメリットが生まれる。
 
「現場を見た上で何かご要望があれば、他社を介さずにその場で職人に指示することができるので、施工期間の短縮に繋がります。複数の業者が関わっていると、変更が発生するたびに確認をとらねばならず、その分工期が伸びてしまうことが多いんですね。
工事をしている間は人件費がかかりますし、家賃の支払いも始まっていますから、施主としては工期が短いにこしたことはないんです」

 
カフェ、レストラン、服屋、雑貨店、美容室…。
様々な店舗内装の経験を経て、木村さんは自身が経営する店を作るという新たな試みに乗り出した。
 
「自分の店を作ってみようと考えたんです。
これまで色々なお店に関わらせていただいたことで、どういう風につくればお客様に喜んでいただけるのかがわかるようになってきたんです。そのノウハウを100%生かしてみたくて」
 
工事を始めてみると、それは楽しかったと木村さんは言う。
 
「内装屋としては最高ですよね。思い通りに作れるわけですから」
 
完成したバーは2012年11月にオープンし、客足も伸びていると言う。
本来は木村さんが経営を続けるつもりだったが、ある考えが頭に浮かんだ。
 
「作った店を人に譲り、また別の店を作りたいな、と。
周りには『カフェをやりたい』『自分の店を持ちたい』という人が沢山います。でも、抱えるリスクの大きさの前にひるみ、実際は足を踏み出せない人がほとんど。また、勇気をふりしぼって店を始めても、ノウハウを知らないために経営が立ち行かないという人をこれまで数多く見てきました。
でも、僕らにはこれまでの経験があるので、店舗経営にも自信があります」
 
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「内装は全て僕らまかせというわけではなく、施主と共にアイデアを出し合います。そのほうがより良いものができますから」
 
そして完成後、最初の1年間は施主は店長として勤務する。木村さんはオーナーとして経営に携わり、店が軌道に乗ったところで施主に引き渡す。
 
「こうすることで、施主にとっては開店時のリスクを大幅に削減できるし、僕らとしても店のオーナーとして自分たちの意見をしっかりと店作りに反映させられる。
また、不動産屋にとってもメリットがあるんです。普通、オーナーが途中で変わるのは嫌がられるのですが、それまで店長を務めた人であれば実績があるので信頼度が高いし、借り入れもしやすい。良いことづくめなんです」
 
施主、内装業者、不動産屋という三者間で、ウィン・ウィン・ウィンが成り立つ画期的な方法だ。
 

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大阪出身で、祖父、曾祖父ともに大工という家系に生まれた木村さん。実家の目の前には材木屋があったと言う。
 
「職人が出入りする様子をよく見ていましたよ。
小さい頃から簡単な木工をして遊んでいたのも、そういう環境が影響していたのかもしれません。
家の前でコトコト作ってると、職人のオヤジさんがやってきて『こうやるんだよ』と教えてくれたりもしました」
 
両親の知り合いが営んでいた工務店に、16歳で弟子入りした。
働きはじめて三年経ったころ、仕事で沖縄に来る機会にめぐりあった。
 
「その時初めて沖縄に来たのですが、『良い所だな〜』と」
 
海が好きだったこともあり、木村さんは移住を決意。糸満の内装業者で働き、23歳で独立した。
 
「最初は、建築業者や材木店などから注文を受けていました。
でも徐々に、渡された図面通りに作ることに楽しさを感じられないようになって…。自分でデザインしたいと思うようになってきたんです」
 
中国茶のカフェを手がけたことをかわきりに、徐々に仕事の依頼が入るようになった。
アンティーク家具や味のある素材を使用した内装が、評判となっていった。
 
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WOODVILLE HOUSEでは、ワークショップも頻繁に開催している。
 
「作るものはその都度違いますが、約半日かけて乾燥まで行い、その日にお持ち帰りいただけます」
 
参加者は意外にも女性が多いと言う。
 
「『大工女子』って言うらしいですよ!
生活の中で不便を感じたとき、『自分でどうにかしてみよう』と考える方に女性が多いのかもしれません。
たとえば、トイレのちょっとしたデッドスペースが気になって、『ここに棚があればいいのに』と思っても、ピッタリなものってなかなか見つからないんですよね。あったとしても高価だったり」
 
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確かに、シンプルな家具でも値段を見て驚くことは多い。
そこで、「これくらいなら自分でも作れそう」と思っても、実際に材木を買いにいって、道具を揃えて…と行動に移すひとはそれほど多くないのではないだろうか?
 
「そこで、うちのワークショップがとっかかりになったらいいなーって。
DIYのメリットは安くできることだけじゃないんですよ。自作のものって愛着が湧くでしょう? 量販店で入手したものと違って、この世に一つしかないものだし、ずっと大事にしていきたくなるんですよ」
 
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単純に考えると、家具や雑貨も販売しているWOODVILLE HOUSEにとって、DIY上手な人が増えてしまうと売り上げ低下に繋がるのではないかと思ってしまうが、「価値観を広げてほしいから」と木村さんは語る。
 
「似たようなデザインばかりが溢れているよりも、自作のものやアンティークなど、色々あったほうが楽しいと思うんです。
家や店も同じじゃないでしょうか。
作ることに自分から関わっていくと、住まうこと自体に新たな楽しさが生まれるんです。
 
例えば、プロがやったように綺麗にはできなくても、見る度に作った当時を思い出せます。
不便を感じたら、自分で手を加えてみようと思えるようになります。
 
だから店舗の内装を行うときも、可能な限り施主さんに手伝って頂いてるんです。コスト削減だけが目的じゃなく、店に愛着を持っていただくために」
 
自分で作ったものには愛着が湧く。
見る度に当時のことを思い出す。
 
だからこそ、木村さんは自身が内装に携わった店に、いつもふらりと立ち寄るのかもしれないな、と思った。
「個人宅はふらりと立ち寄ることができないから」というのが、個人宅より店舗の仕事を優先的に引き受けている理由の一つだと言う。
木村さんにとっては、内装を行ったすべての店が、愛着のある自宅のような存在なのかもしれない。
 
唯一無二のモノ、店、家。
新たなチョイスのきっかけが、WOODVILLE HOUSEには詰まっている。
 

写真・文 中井 雅代

 
WOODVILLE HOUSE
WOODVILLE HOUSE
宜野湾市大山1-10-6
098-890-0304
open 11:00~20:00
close 火
HP:http://woodville-house.net
ブログ:http://woodvillehouse.ti-da.net