続く。

文/関根麻子

 
 
 

 
 
 
 
11日の日曜日、赤木明登さんの展示会が終わった。
 
喜びと感謝の余韻がまだ続く。
 
 
 
 
 
 
あれだ、これだとたくさんある種類の中から一番を探そうと
お椀の形を真剣に見つめながらのお母さん。
きっと食卓を想像しているのだろう。
その傍らでは、盃をはじめとした酒器ばかりを手にとり、にんまりとお父さん。
 
「お父さんどれがいい?」
「僕はこれ、片口と。。。」
「お椀のこと言ってるのに」
「うんうん、わかってるよ、ね、盃もみて」
 
何とも微笑ましい。
長い時間をかけてそのご夫婦が選んだのは
お母さんの決めた家族分のやわらかなフォルムの椀と
やっぱりお父さんが手から離さなかった、酒器。
 
 
 
いつか娘の結婚の時にはこれでお祝いの酒を飲むんだよ、と帰り際、嬉しそうに話していた。
 
 
 

 
 
 
 
 
ある女性。
「私ね、今年結婚30周年なの。でも新婚旅行もなかったのよね。。。だから、うん。
決めた!このお椀でお父さんとこれから毎日ね、一緒にお味噌汁をいただくことにする」
 
その方にぴったりの潔く、そして温かな表情の「夫婦椀」
これからのお二人の暮らしが想像出来た。
 
湯気立つお味噌汁を前に、日々を大事に重ねていくんだろうな。
 
 
 

 
 
 
 
漆は「再生」という希望を持つ器だ。
欠けても、漆が薄くなってきても、塗り直すことによって再生するたくましい器。
漆は本来、より丈夫にするために施されたもの。
赤木さんは無償で何回でも塗り直しをしてくれる。
 
大事に毎日毎日、使う。
 
ずっとずっとそこにいる。
そう、私たちより長生きなのだ。
 
 
 
赤木さんの展示会最終日は3月11日。
一年前にあの震災があった日。
きっと皆それぞれに、様々な思いで過ごされたことと思います。
 
 
その日いらした方が、漆の美しさとたくましさに見入り
そして、漆の再生の話を知った。
 
「再生か。今日というこの日に、会うべくして会ったのだな」と
一枚の漆皿を手にし、帰っていった。
 
 
 
 
 

 
 
 
 
人と漆の物語が10日の間にたくさん生まれた。
 
 
 
そう、私はと言えば。
さんざん悩んだ末、一つの椀を注文した。
美しいフォルムの夕焼け色の椀。
届くまでは、あの器に盛るゴハンの腕をあげとこう。
私にも穏やかで楽しい物語がきっと生まれるのだろうな。
 
 
 
 

 
 
 
 
返品作業を今日終え、ちょっぴり寂しい気分になる。
終わりが近づくにつれ、どんどん愛着が湧いてくる展示会だった。
10日ほどだが、漆に囲まれ親しくさせてもらった。
漆と訪れた方々から、たくさんのことを学ばせてもらった。
喜びが私の中で生まれた。
 
 
たくさんの皆様が足を運んでいただいたことを心より感謝いたします。
 
 
 
 
 
 
 
さぁ、4月も、5月も。
わくわくする、ときめく、そんな展示が続きます。
これからもShoka:は、軽やかな風を皆さんに届けたいと思っています。
 
感謝が続く、いい仕事をこれからも。
 
 
 

写真/島袋常貴(酒器、四角のお皿) 関根麻子(その他の漆写真)
 
 
 
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今後の展示
 
 
4月20日(金)~29日(日)
 
「mon Sakata展」
 
2年ぶりに、沖縄にmon Sakataがやってきます
毎日着たくなる、
ハミングしたくなる、
そんな身も心も軽やかになる楽しくて、自由な服たちです。
 
 
 
 
 
5月11日(金)~20(日)
 
「NO BORDER , GOOD SENSE」
 
三谷龍二 木工作家
   +
安藤雅信 陶作家
   +
皆川明 minä perhonenチーフデザイナー
 
形にならないわくわくを風にのせて ピクニック オン ザ ビーチ!
「すきな時に、すきなところで、すきな人達と一緒に作ったもの」
3氏がお互いのBORDERを越えて、自由に表現した世界が初夏の沖縄へ
 
 
 
 
 
そして、Shoka:は今年の夏、常設となります!
詳しくはブログやこちらの記事でこれから少しずつご案内していきたいと思っています。
 
 
 
Shoka:
住所:沖縄市比屋根6-13-6
電話:098-932-0791
HPとブログ:http://shoka-wind.com