ギャルリ百草 百草夏百種展「沖縄から」

写真 文 田原あゆみ

                     

 

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今週の12日から岐阜県多治見市のギャルリ百草にて始まる、百草夏百種展「沖縄から」。私が暮らす沖縄で今までにご縁があったすばらしい仕事をされている方達を、ご紹介しました。

 

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沖縄の工芸を思うとき、陶器なら魚の絵や伝統的な絵柄が描かれているやちむんや、織りや染色なら紅型染め、上布やウージ染めなどが浮かんでくる方も多いと思います。それも沖縄らしくていいのですが、私が紹介する作り手の方々は、揃って自分の感覚に耳を澄まして製作をされている方達ばかり。作品はとてもシンプルですが、味わうほどにその人の世界観の深みが伝わってきます。

 

 

作陶家の大嶺實清氏をはじめとした、大嶺公房の陶器。大嶺先生は、私が沖縄に帰ってきた後知り合った人々の中でもその存在は大きい方。会う度に沖縄のもの作りの歴史や、彼自身の見解や哲学を語って下さり、私はそれを聞きながら沖縄という土地へ根を下ろす事が出来たのでした。琉球の歴史の表面的な情報だけではなく、土地の魂が伝わってくるような話を色々と大嶺實清氏からたくさん聞いて来たのです。

 

大嶺先生の作風は、いわゆる沖縄の民芸のやちむんの世界から抜きん出ているように見えます。それは、土も形も色もどれも独特な世界観で貫かれているからなのでしょう。魂の世界には深みや大きさに枠は存在しないという事を深く感じました。

 

私の心の師匠大嶺實清氏の写真のオブジェは藁葺きの家をモチーフにしたもの。小さな頃の故郷沖縄の藁葺きの家の思い出が、彼の原風景になっているのだそうです。

 

私がそれまでに読んだり聞いたりした故郷沖縄は戦後史の方が私の時代から近くて身近だったのですが、大嶺先生のこの家を見た後から、それ以前の時代の沖縄の記憶に触れたような感覚がじわじわと広がっています。

 

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赤瓦ではなくて、藁葺きの家が大嶺先生の心にある原風景。この家の中の柱は、珊瑚が化石化して出来た琉球石灰岩の白い石の柱が4本立っていたのだそう。考えてみたら珊瑚の化石が隆起して出来たのが琉球諸島。不思議でおとぎ話のような成り立ちだと私は感じてしまうのです。

 

その竜宮のような成り立ちの沖縄に住む織り姫たちもまた素敵なのです。

 

私はヨーガンレールを通して、それこそたくさんの布に触れてきました。沖縄に帰ってきて知り合った、織り手の方の織る布たちのうつくしさと、力強さ、たくましさはまるで沖縄そのもののように生き生きと輝いて見えたのです。

 

 

 

私自身の好奇心に導かれて出会うものたちは、とてもシンプルなものが多いのです。複雑さよりも、単純でシンプルだけれども深みがあるものが私は大好きなので、そのようなもの作りをされている方にとても惹かれます。

 

今回ギャルリ百草さんへ紹介した5人の織り手の方々は、どの方も皆さんとても素敵なもの作りをされています。知り合ってからもう長い年月が経ちました。なのでお互いに年齢を重ねてはいますが、年齢を超えた初々しさと、透明感、かわいらしさのある素敵な彼女たちの事を、私は沖縄の天女たちと呼んでいます。

 

沖縄の光のなかでつむぎ、染色された糸の色で織られた布たちは、どんなにシンプルでもやはり沖縄を感じるものになっています。

 

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沖縄はその昔女性には霊的な力があると信じられていました。家族の女性が織る布は身につける人の命を守るといわれ、工業化が進んだ現代でも布の文化は根強く残っていて、織り手の数は他県と比較にならないほど今でも多いのです。職業として続けてゆくのは難しい染色と織布の世界ですが、自然体の女性の織る布にはやはり神聖な力が宿っている事を、私は感じ信じています。

 

素敵な彼女たちは今日12日(土)と、明日13日(日)は丸一日在廊する予定になっています。是非彼女たちのおおらかさや、やさしさ、シンプルな力強さに触れて欲しいです。

 

さあ、故郷沖縄の人々の関わるこの展示は私のルーツにもつながっているので、気持ちを抑えて書くのが難しいほど。このメンバーで展示する機会はきっともうないと感じるほど、私が心から敬愛する方達ばかりです。

 

陶器
大嶺實清
大嶺公房

 


真喜志民子
宮城さゆり
高良留美子
永津禮子
内間ルミ子

 

彫金
喜舎場智子

 

漆器
木漆工とけし

 

宗像堂のパン
八重岳ベーカリーのクッキー

 

この続きはShoka:のHPにゆだねます。

 

私は今日東京で用事を済ませてから4時頃には百草に着くと思います。
台風一過の東京の空は今は淡い水色。気温はこれからぐんぐん上がりそうです。

 

この機会に岐阜のギャルリ百草へ皆さんどうぞ行って、このりゅうぐうの宝物のようなものたちに触れてみて下さいね。

 

 

 

 

 

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Shoka:
http://shoka-wind.com

 

12:30~19:00
沖縄市比屋根6-13-6
098-932-0791