» rubodan(ルボダーン) 儀間朝龍(ギマトモタツ)「みんな真似してほしい」 家庭でも作れる、廃ダンボール発のポップなステーショナリー

 
 
鮮やかな色彩が目をひく可愛いノートの表紙は、
いずれも「どこかで見たような・・・」というデザイン。
実はこのノート、
お店や市場の裏手でよく見かけるダンボールの山から生まれているのだ。
 
どんな技術を使ってるの?
やっぱり工場に依頼して?
再生するのは大変な手間では?
 
「この小さなアトリエの中で、手作業で作ってるんですよ〜。
作り方? もちろんお見せできます。
企業秘密なんてありませんよ、
むしろみんなに真似して作って欲しい。
今ここでやってみましょうか?」
 

 
「普通のダンボールを適当な大きさにカットして、」
 

 
「水に浸します。」
 

 
「数分ほどするとのりが溶けて、
層になっていた紙がぺろっと剥がれます。」
 

 
「壁に貼付けて自然乾燥。
色々試したけど、この乾かし方が一番綺麗にできるんですよ。
波うってる部分を手で伸ばして貼るのがポイント。」
 

 
「しばらくするとぱりっと乾きます。
これに殺菌のためのアイロンをかければ出来上がり。
ね、簡単でしょ。
シンプルな作業からシンプルな紙ができるので
『 SIMPLE PAPER製法 』と名づけました。」
 

 

 

 
儀間さんは2つの名前を持つアーティストだ。
「rubodan(ルボダーン)」を始め、琉球人形などを元にしたコンセプト作品を制作するときは「儀間朝龍」、
そして、イラストの仕事や絵などを制作する時は「ギマトモタツ」と名乗っている。
 
そもそも、廃ダンボールから作品を生み出そうと思ったきっかけはなんだったのだろう?  
 
「アトリエが牧志公設市場の中にあるから、
毎日山のように捨てられる可愛いダンボールを目にする機会が多くて、
勿体ないな、これで何かできないかな? と思ってました。
もともと空き箱や紙袋、新聞紙などの廃材を使って作品を作ったりもしてたので、
ダンボールもどうにか使いたいなと。
 
でもダンボールってちょっと硬いから、
絵を描くにしてもはさみ入れるにしても、柔軟性が足りない。
 
ある日、雨に濡れてべろんってなってるダンボールのことが頭に浮かんで、
『そうだ!』ってひらめいて。
早速水に浸してみたら、しばらくするとノリが溶けてべろんとはがれて
『あ、紙ができた』
って。」
 
儀間さんは惜しげもなくその製作方法を話してくれる。
 
「みんなに言ってますよ(笑)。
この製法をもっと広めたいんです。
 
実はね、最初は特許もとろうと思ってたんです。
というのも、他の誰かが儲け目的で先に特許をとって、
それによってその人だけが大儲けしてみんなが作れない状況になるのが嫌だったから。
でもね、特許とれないんですよ、製法が簡単すぎちゃって(笑)。
特許って『新規性』がないとダメなんですって。
誰もが思いつかないアイディアであるってことが条件らしくて。
つまり、業者も知らないようなこと。
でも、こうすればダンボールの層がはがれるなんて業者なら絶対知ってるはずですもんね(笑)。
 
それに今のところ、『真似したい』『一緒にやろう』っていう人もいないので、
そこまで必死になって隠す必要もないなって(笑)。
気を遣いすぎちゃってたんですよね。」
 
そこでアイディアを広げるべく、
ワークショップなどの活動に力を入れ始めた。
 

「このダンボール可愛いでしょ?なかなか手に入らないんですよ、レアもの(笑)」
 

 
「rubodan の製作工程は、アトリエ内で一応システム化されてるんですよ。
ここにあるのがアイロンしたやつ、ここのはまだアイロンしてないやつ、
ここがオリオンビールのダンボール・・・って感じで(笑)。
 
手伝ってくれる人が一人いて、その方と共同で地道に作っています。
単純作業なので、今後は高齢者や障害者の方と一緒にできたらなって。
 
ただ、売れすぎちゃうと設備も充実させないといけないし、
なんだか商売人みたいになる気がして・・・。
 
でも、最初は『儲けるつもりはない』って言い切ってたんですけど、
最近はそれもちょっと違うかな? って思うようになって。
というのも、『ダンボールで儲けてオレは家を立てたよ〜』って言ったら、
みんな真似してくれるんじゃないかな?って(笑)。
 
とにかくみんなに真似して欲しいんです。
それでいつか、どこかの国に行った時に道端で少年がこれを売っている光景に出逢いたいなって。」
 

 

沖縄の海も南国の植物も載っていないが、一目で沖縄からの便りだとわかるハガキ
 

 
「僕、JICA(ジャイカ)の仕事で去年サモアという国に行かせてもらったんです。
サモアには紙を作る技術もなく、ゴミを処理する工場もないんですよ。
だから、ダンボールは100%輸入だし、他のごみも山に埋めてるだけ。
段ボールを使うことはあっても、リサイクル処理はされない。
 
だから、サモアでこのアイディアを実践したら、
今までは買っていた紙が、自分たちで作れるんだよなと思って。
 
そこでワークショップをやったら、先生方に
『ゴミも処理できて紙も作れるだけでなく、環境教育にも役に立つね』
とすごく喜ばれたんです。
これが大きなきっかけとなって、帰国後に『 rubodan 』をブランドとして立ち上げ、広く普及させる決意をしました。
 
ブランドとして SIMPLE PAPER 製法で作った商品はとても売れるんだよ、という状態を作った上で、製法とアイディアを色んな国に輸出したいんです。
 
日の光と水とダンボールさえあればできるから、コストも低いですし。」
 


 

ステッカーも多種揃っている
 

rubodan ステッカーでカスタマイズされた儀間さんのノート
 
rubodan は国内のコンペで入選も果たした。
応募総数105点の中から最終プレゼンテーションを行う候補12点まで残ったが、
「アイディアは良いが、値段が少し高い」
という評価を受け、優勝は逃した。
  
「作業所で働く障害者の方の一ヶ月の給料をきいたんですね。
その時『極端には安くしたくないな』って思ったんです。
この仕事をやっていれば、ある程度楽に生活ができるというレベルまで持っていきたい。
養護学校でワークショップをした経験もあって、
安いからという意味で仕事をお願いしたいとは思ってないんです。
 
それに、アイディアは僕のですけど、デザインしたのはどこかのデザイナーさんなんですよね。
だから可愛くないはずがない。企業が全力を尽くしてデザインしたものですから。
あななたちが作ったダンボールは役割を終えてもなお、
こんな良いモノに生まれ変わるんですよという証明になればいいなと思ってるんです。」
 

 
儀間さんの口から自身の利益について語られることはない。
いつも頭の中にあるのは、社会のこと、資源のこと、遠くの国のこと。
 
アーティスト「儀間朝龍」というフィルターを通過することで、
廃ダンボールは単純に「ポップで可愛い!」と感じられる商品に生まれ変わった。
そこに「廃材の再利用」「高齢者、障害者の就業機会確保」といった背景があることを知らずとも、
自然と手を伸ばしたくなる魅力のある商品に。
 
rubodan の出発地として沖縄という地は有利かもしれませんね、と言うと、
 
「そうですね、沖縄はローカル色が強いですから。
オリオンビールなど、地域性が強いながらも全国的な知名度もある程度備えたブランドも多い。
これからも製法を広めるためにワークショップも含めて色々な活動を行いたいけれど、個人で動くのは限界があるので、協力してくれる人や企業が出て来てくれると嬉しいですね。
もちろん、市場とも共同でお土産作りなどもしてみたいです。
これだけお世話になっていますから。
そして沖縄の離島でも、サモアと同じようにダンボールが処理できずにゴミになってると聞きました。
今後は是非、離島での普及も行いたいです。
島に入ってきたダンボールから、お土産にもなるような『島ノート』みたいなものを作ってみたいんです。
呼ばれればどこにでも行きますよ(笑)。」
 
rubodan の商品を持っていればきっと、
「何これ?!」「どこで買ったの、可愛い〜」「面白いね!」
と、きっと話も盛り上がるし、
お土産としても喜ばれるだろう。
 
これが沖縄土産の定番になれば・・・
海外でもみんなが真似して、その土地オリジナルの rubodan を作ってくれれば・・・
 
儀間さんの夢は国境を超えているが、
夢実現の出発点として沖縄は最適の地であるように思える。
 
私たちにもきっと何かができる。
 
ただ「可愛い」という、シンプルな気持ちがきっかけでも全く構わない。
その気持ちの集積は時に海を越え、大きな夢の達成をも実現に導くことができるのだから。
 

写真・文 中井 雅代

 

GALLERY point-1
那覇市牧志3-1-1 水上店舗 2階
098- 862-3653
(12月末より松尾2-7-8へ移転)
rubodan HP http://www.rubodan.com
ブログ http://gimatomotatsu.ti-da.net