» 紅型作家 縄トモコ・筒引きの世界 「はじまりのカタチ」




広い空間に天井からつり下げられた
まる、さんかく、しかく
のバッグ。


宙づりにされたものは、
時折ゆらゆらと不規則に揺れ、
さまざまな表情を見せる。


「kufuuさんはスペースがとても広いので、
その空間を生かす展示の仕方を考えた時に
かばんのような立体の作品のほうがより空間を表現できるのではと思って。」


展示方法にもこだわっている。


「商品をただ並べるだけじゃなくて、
ちゃんと展示としてみせたかったんです。
空間を楽しんで頂けるように。」


入り口に立った時のお客さまの目線、
会場に入ってからの動線、
その時の視線の動き方、
色々な観点から展示の構図を検討。


「置いてあるだけだと
遠慮されて手にとられない方もいらっしゃるので」





確かに、つり下げられた状態だと
自分が手に取らなくても、
その中まで覗き込む事もでき、
取っ手の裏側やバッグの内側に柄が入っているのも一目瞭然。


「ここまで柄が入っていると喜んでいただけそうだなと思って。
着物の裾からちらっと赤が見える、みたいな、
チラリズム的な感じで(笑)」


今回展示されている作品のデザインに、紅型の古典柄は無く、
その全てが「筒引き」という、型紙を用いない手法で染められている。


「紅型をやっている友達が見に来てくれたんですけど
今回の作品を見て
『こんな自由でいいんだ!』
って。
嬉しかったんですけど、
『いいのかな?!』って(笑)」


紅型に対して持っている私たちの固定観念を覆してくれる作風。
見ている方は楽しいが、
ご本人には葛藤も。


「紅型ってなんだろう?って思います。
枠を出て、手法は紅型を用いて、紅型じゃない表現をしている先生もいらっしゃって。」


紅型の定義は、手法?柄?
答えのでない疑問。
しかし、生まれた作品はどれも
そんな葛藤とは無縁の、
突き抜けた清々しさがうかがえる。





型を使って作る、規則的で均一な柄から受ける印象とは違い、
柔らかく、ナチュラルで、あたたかい雰囲気。
白い無地が占める割合も多く、
柄を楽しめ、
タペストリーにもできそうな手ぬぐい。





個展のテーマはどういう風に決まったのだろう?


「昔、ポンキッキで『まるさんかくしかく~』っていう歌があったんですけど
それが急に頭の中で回って(笑)
これだっ!って。
丸、三角、四角だけが出てくる絵本もあるし、
子どもの歌にもなっている。
それくらいいちばん基礎的な形だと思うし、
赤ちゃんがものをおぼえる時は、形から入るらしいんです。」





バッグの形だけにではなく、
柄にもまる・さんかく・しかくが。


「まるいバッグを三つ組み合わせると一つの大きな柄になったり、
しかくのバッグを横並びにすると柄がつながったり、
遊びも取り入れてみました。」


紅型を始めたとき、一番作りたかったのが
ご自身が大好きなバッグだったという。
そのバッグも、作るうちにデザインの方向性が徐々に変わってきた。


「以前はバッグ一面に柄をいれていたんですが、
今回、構図や背景の大切さを学んで。
(展示に使っている)幕を作った時も、
ちょっとひいて見てみると、なんか違う、って。
自信がないと、何もない空間を埋めたくなるんですよね。
でも、検討を重ねていくうちに、余白も受け容れられるようになってきて。
そうすると、全体的にすっきりしてくるんです。」


かばんを引き立たせる背景になるべき幕が、
最初は主張しすぎて、主役のようになっていたという。


「毎回課題だらけで(笑)
だから、個展もとても勉強になります。」





紅型だけでなく、生地にもこだわった。


「(南城市の)『さちばるまやー』の『BIG HUG』のデザイナーさんに
素材を買い付けてきて頂いたんです。
良い素材を使って良いものを作っていきたいと
思うようになりました。」


素朴な色あいと肌触りの生地に、
紅型の鮮やかな発色が映える。



小さめのポーチはデジカメやiPhoneも入る。


「かばんは飾るものではなく使うものですから、
縫製をお願いした方にも相談して、
形やデザインを決めました。
かばんって靴やお洋服と合わせたり、楽しんで使うものですから、
自分が欲しいもの、
持ってみて楽しそうなものを作りました。」


自由に、ランダムに配置された「カタチ」の柄は
すべてオリジナル。
今日はどれを持って行こうかと選ぶのも楽しい。



「お客様に『やっぱり作った本人が持つと似合いますね』と言われました(笑)」


今回の個展をきっかけに、
また新たな方向へと向かう意欲がわいてきたという。


「今回はかばんを中心に作ったので
他の作品を作りたくなったし、
型紙を使って染めたい、とも。
ああしたい、こうしたいっていう欲が出てきました。
ここからまた、自分の作品が変わっていくんだと思います。
受けた影響は大きい。やって良かったって思います。」


これから生み出される新たな作品が
どんな欲求をもとに
どんな新鮮さを携えて登場するのか。
今から楽しみだ。



紅型作家 縄トモコ・筒引きの世界
「はじまりのカタチ」

kufuu『 Design Office × Interior Shop 』
沖縄県宜野湾市大山2-22-18-1F
(パイプライン沿い)
tel&fax : 098-890-4095
11月 28日(日)まで
13:00 〜19:00(最終日は、18:00まで)
*会期中は無休。全日程、作家本人が在廊
・縄トモコ ブログ:http://nawatyou.ti-da.net/
      HP:http://bingata-nawachou.daa.jp/
・kufuu ブログ:http://kufuu.ti-da.net/