「 シゴトアソビ 」  三人の大人が本気で遊んだ11月

写真・文 田原あゆみ(Shoka:)

                        

 

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2012年の「NO BORDER GOOD SENSE」から早2年と半年が過ぎ、3人の表現者たちがまた沖縄へとやってきます。
写真左から ミナ ペルホネンデザイナー 皆川明氏
写真中央上 木工デザイナー 三谷龍二氏
写真左はし 作陶家 安藤雅信氏

 

3氏ともにその業界で光っている存在。
それぞれの志を持ち、仕事を通じて社会と関わっているかっこいい大人たち。
時間を作ってでも、この機会に彼らの仕事に触れないと損。
人生はいつどこで誰に会ったのか、それが大きな影響を及ぼす事を私は知っています。

 

今回の企画展のタイトルは「シゴトアソビ」
このタイトルの名付けの親は、ミナ ペルホネンデザイナーの皆川明氏。

 

『子供の頃、泥だんごを作ったり、プラモデルを作ったりしていたらそれは「アソビ」と呼ばれます。大人になって働いてお金を対価としてもらうようになると、それは「シゴト」と呼ばれます。その違いは何でしょう。
それは遊びというのは対価がないので個人の喜びでもよくて、仕事というのは対価と引き換えに他者や社会の喜びを生む義務があるということだと思います。そのような仕事という枠組みの中で労働は義務化され、個人の喜びがおろそかになってきてしまいました。今、考えたいのは個人の喜びと他者や社会の喜びを持っている「義務」ではなく、「志」としての労働について考え、“やらなければいけない”という義務感からではなく、“やるべきこと”という志から生まれる行為。そのことを「シゴト アソビ」と名付けたいのです。』

 

彼の今回のタイトルに対するメッセージの一部です。
本気で生きている大人だから発信できるメッセージ。
仕事と遊びが二つで一つで、二つ合わせると一人の人間の姿になる、そんな言葉だと私は感じています。

 

 

前回の記事はこちら
ハーモニーが聴こえる

 

 

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シゴトアソビ隊 かろやか隊長 木工デザイナー 三谷龍二氏

 

フラットで柔らかい物腰と、大きな手を持つ三谷龍二さんは、言わずと知れた木工デザイナー。木の表情や質感に惹かれて触れているうちに、自分で使う木の器を作り始めました。松本クラフトフェアを立ち上げた中心人物でもあり、日本で木工のカトラリーが日常的に使われるようになったきっかけのような人。

 

 

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今年の6月に工房を訪問した時に色々とお話を聴いて、仕事場や最近のお仕事を見せて頂きました。

 

その時に感じた事は、三谷さんはどこから見ても、どこを切っても三谷さんだという事。

 

材料のストックの仕方、道具の置き方、工房の佇まい、着ている服や、身のこなし方、話し方に、その声。
その人が自分らしく生きる事って、なんて自然体で気持ちのいい事なのだろう。三谷さんと交流していると、余分な力が抜けてゆくのを感じる。

 

 

漆を塗るのための工房へ移動をする時に、ピクニックの似合う人だと後ろ姿を見ながら思う。

 

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たんぽぽや、ハルジオンの咲く小道が似合う男性はめずらしいとは思いませんか?
この前日に今回の企画展の打ち合わせと、インタビューをしませんか?と約束をして、会ってみたら、そんな事は置いておいて、いろんな話しをして一緒に時間を愉しんだ方がずっと伝わるものがある、そんな感じがしたのでそう伝えると、「ああ、良かった。インタビューって言うから緊張しちゃった。それがいいよね。」そう、言ってほっこり笑顔。Shoka:のスタッフも全員で、三谷さんと食事や会話を楽しみました。
たまの交流を重ねていて感じるのは、気分を大切にしているという事と、自分の感覚に素直に舵をとる事の出来る柔軟さ。
そして、向かい合っている相手との間のちょうど中間を渡ってゆくようなコミュニケーションの軽やかさに優しさを感じました。

 

それが作品にも出ていて、小さなスプーンから大皿に至るまで、何とも温かみがあり、トーストとコーヒーだけの朝ご飯でも、彼の器を使うと気張らず、日常のくらしの中にほっとするような空間が出来上がるのです。

 

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蜂蜜を入れて、トーストの側に置くだけでやさしい時間が広がりそうな小さな器。

 

今回は一体どのような作品がShoka:にやってくるのでしょうか?
今回は特別に、沖縄の木も使って少しだけ器を作っているようです。
楽しみです!

 

三谷さんの2年前に来沖したときの記事はこちらからどうぞ。

 

NO BORDER, GOOD SENSE
仕事場を訪ねてⅡ「大人の愉しみ」 木工デザイナー三谷龍二

 

 

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シゴトアソビ隊員 違いの分かる男 陶作家 安藤雅信氏

 

そういいたくなるのは、名前のせいだけでは無い。何か安藤さんの中に即座に、ものを見る鋭さを感じるのは私だけではないだろう。陶作家であり、ギャルリ百草の廊主であり、彫刻家であり、安藤さんとつきあっていると、人間の多面性の面白みを感じる。見る人の器量によって様々な個性が見える人なのだ。
蘊蓄理論寄りの硬派なのかな、そう思ってつきあっていると茶目っ気があって感動屋。目の鋭い無口な大人か?と思うと、様々な知識と思いをない交ぜに滔々と少年のような情熱で好きな事を語りだす。甘いものが大好きで、餡子を口にしたときの無邪気に笑う笑顔はなんだか憎めない。

 

硬質な陶器で作られた彫刻。彼自身が創作した作品のような人である。
見る方向で様々な顔を見せるのだ。
そのギャップは魅力的だ。

 

 

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2013年の10月半ばにギャルリ百草を訪れた時、入り口の人々を迎える空間に置かれていたこのオブジェに釘付けになった。
形といい、炭化した木肌の質感といいバランス感覚の良さと美意識の高さを感じた。
一体誰の作品なんだろう?
尋ねてみたら、安藤さん本人がその作者だった。
後でメールで製作年度とそのときの状況を尋ねたら、以下のような返信が来た。

 

「結婚する前の1988年の作品です。神田のときわ画廊で個展発表。タルコフスキーに影響を受けてました。結婚は92年です。インドに行く前です。ギャラリーに水を張ったりしてました」

 

もう少し突っ込んだ製作状況等も知りたかったのだけれど、簡潔な返信に安藤さんらしさを感じた。
対面した時に彼の中に在るものの形と質感について聴いてみましょう。

 

 

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Shoka:では何度か安藤さんの企画展を開催しているので、彼の器のフアンは多いと思うが、今回の企画展には、彫刻もやってくる事になっている。一体どんな彫刻がやってくるのかとても楽しみだ。
硬質な肌と、繊細さを感じる形。
形と質感と、見せる空間全体を意識する人は多くはないけれど、安藤雅信氏は表現する全体を俯瞰してしつらえる事の出来る人。

 

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無機質で硬質な空気感を持つ安藤さんのうつわだからこそ、食材の有機的な色が鮮やかに映え、香り立つような生命力が際立つ。持っている個性の違いは、多面な世界があるからこそ引き立てあう事が出来る。

 

彼の作陶の現場は面白い。彫刻的な形を引き出す要素が彼の美意識の原点になっていて、まずは形の基を作り、工房で働く人たちがその形に添うよう力を添えている。
2012年に書いた安藤雅信氏の工房を尋ねたときの記事はこちら。

 

NO BORDER , GOOD SENSE
仕事場を訪ねてⅠ「静けさに耳を澄ます」 陶作家 安藤雅信

 

 

 

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シゴトアソビ隊員 天才メッセンジャー ミナ ペルホネンデザイナー 皆川明氏

 

皆川さんは、テキスタイルデザイン、服飾デザイン、詩人、企画、コピーライティング、様々なツールを使ってメッセージングをしている。
彼は自分の行動や発言、それから仕事への姿勢、すべてを媒体にした表現者だと私は感じている。

 

 

まるで人々の暮らしに寄り添う自然を賛美しているような、刺繍レースの forest parade.
風に揺られた植物たちが、謳っているような清らかさを感じる。

 

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服の中に一遍の詩が揺れている。
ミナ ペルホネンはまるで、暮らしの詩集のようなブランドだ。

 

 

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今年の9月の打ち合わせの時に、服を作った後の余った布で製品を作ったブランドpieceの布ををいじっているな、と思ってみていたら。

 

 

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こんなものがテーブルの上に生まれています。少しだけど毒もちゃんとあって、ユーモラスな表情が何とも言えない存在感を出しています・・・
打ち合わせと言っても、大枠を話した後は今進行中の事や、最近面白かった事、そんな事を話しているのですが、その合間合間に感じる彼の言葉遊びの才能には驚くほどのものがあります。
「OLIVE」という単語の中に、「I LOVE OLIVE」のすべての文字を見つけたり、ホを3つ描いて、森と組み合わせたり。
森のホホホ・・・
楽しい時間と、スキップと。
常に頭の中で何かがうごめいている皆川さん。
質問や問いかけをインプットすると、頭の中で化学反応が起きて、チーンと鳴ると思いもよらないものが飛び出してくる。
それも結構なスピードで。
なんて面白い人なのでしょう!

 

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そして、皆川さんの発信はどこか可憐でユーモラス。
今回の企画展には、お洋服の他にバッグ等の小物や生活雑貨などが入荷する予定。
皆川さんがどんな風に仕事で遊んでいるのか、その表現を様々な角度から味わってみたいと思っています。

 

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あのぐじゅぐじゅの向こうに、いろんなアイディアが湧き出ているように見えてしまう。
今回の展示品は一体なんなのでしょうか??
私もとても楽しみです。

 

 

「NO BORDER, GOOD SENSE」
仕事場を訪ねてⅢ「四番目の葉」  ミナ ペルホネンデザイナー 皆川明

 

 

どこをどう切りとっても、その人らしさに溢れている。
それがこの3氏の共通点。

 

さあ、今回の企画展初日の夕方に開催予定のトークイベントも楽しみです。
以下がそのトークイベントの詳細です。中々この3人のトークを聴く事は出来ないので、乞うご期待。
みなさまShoka:でお会いしましょう。

 

 

トークイベントは安里家にて!

 

 

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「シゴトアソビ」トークイベント

 

 

木工デザイナー 三谷龍二
陶作家 安藤雅信
ミナ ペルホネンデザイナー 皆川明
三氏による企画展「シゴトアソビ」に合わせて、トークイベントを開催します。

 

一部の人たちからはレジェンドと呼ばれているこの三氏。自分の感覚を信頼して才能を社会に差し出し続けて来た事で、今の立ち位置を築いてきました。私から見た3人は、それぞれ個性豊か、好奇心旺盛、少年のように遊び心を忘れない、様々な経験からぶれない骨太な芯を持つ、何とも人間味が溢れる人々です。その三氏による2回めのトークイベント。一体どのような展開になるのやら。
今回、集中して聴いて欲しいので、Roguiiの前にある私の実家「安里家」のリビングにての開催です。
Roguiiでの軽食付きなので、小腹を満たした後、トークは19:00からのスタートです。Roguiiは17:00から開場しています。
そして三氏のエッセンス満載の小冊子がついてきます。いろいろ乞うご期待!

 

 

日時  2014年11月7日(金)
場所  安里家 (住所等詳細は参加決定後にお知らせいたします)
開場  Roguii17:00  安里家開場18:30 開演 19:00 ~ 20:30
参加費  Roguiiの軽食&小冊子付き 1500円

 

 

*〈完全予約制〉*
定員に達し次第閉め切らせて頂きます。

 

※当日のみShoka: は17:30にてクローズいたします。*

 

 

お申込み方法
1.参加者名(全員のお名前を書いて下さい)
2.人数
3.連絡先 (代表者メールアドレス、ご住所)
4.代表者携帯電話番号
5.車の台数(駐車スペースに限りがございますので、出来る限り乗り合わせのご協力をお願いいたします)

 

メールのタイトルに「トークイベント参加希望」と必ず書いて下さい。
申し込み先 Shoka: スタッフ 金城&佐野
liferesource@me.comまでお問い合わせ下さい。
以下の点にご注意下さい。
◯必ずメールにてお申し込みください。
◯Shoka:の展示期間中はお子様連れも大歓迎ですが、お話に集中していただきたいことから大人のみの参加とさせていただきます。ご理解のほどよろしくお願い申し上げます。
◯駐車スペースが限られていますため、車でいらっしゃる方はできるだけ乗り合せのご協力をお願いします。
○当日は立ち見の可能性もございます。予めご了承下さい。
○先着順で定員に達し次第、締め切りとさせて頂きます。
○ご予約のメールを頂きました後、こちらから返信を持ちまして予約完了といたします。
○2日たっても返信が届かない場合は、お手数ですが、098–932–0791Shoka: までご連絡下さいますようお願いいたします。

 

 

 

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くらしを楽しむものとこと

 

Shoka:
http://shoka-wind.com

 

12:30~19:00
沖縄市比屋根6-13-6
098-932-0791