今回の旅はミュンヘンに住む友人、Mikioファミリーとギリシャのミコノス島へ。そしてもうひとつの目的地がミラノから車で1時間ほどの北イタリアへカトリン・アレンスさんの工房を訪ねることでした。
飛行機の乗り継ぎでミラノを経由することになり、せっかくだから1日だけでも滞在しようと、Mikioの提案で家具デザイナーのカトリン・アレンスさんの工房を訪ねることに。
写真はミラノのマルペンサ空港。
小さな古い第2ターミナルはのんびりとした懐かしい雰囲気。
ここから車を借りて北東へ40キロメートルほど走ります。
高速を降り、住宅街でぐるぐる迷うも、庭でバーベキューの準備をする家族や犬の散歩をしている人たちに道を尋ねたり、ちいさな町でジェラートを食べたり、イタリアを少しづつ感じながらベルガモのビラ・ダッタへ到着。
少し早めについたので付近を散策。広い庭の屋敷が続き、歩いているだけで、贅沢な気分になります。
アルプス山脈の麓、プレアルプスと呼ばれる山脈の裾、ミラノとコモの中間にベルガモは位置し、長くヴェネツィア共和国の領土だったので、ミラノとは全く違う雰囲気です。このベルガモにあるプレアルプスは2500m級の山々が方を並べていて、スキーやトレッキングなどをたのしむ人が多いそう。
見学をお願いしていたカトリン・アレンスさんが工房に戻ってきました!
憧れのこの車、カトリンさんにもこの地域にもぴったりです。
「KATRIN ARENS」の工房へ。
元紡績工場だったこの建物、現在は「KATRIN ARENS」として1階が工房と事務所、2階がショールームに。
選びぬかれたアンティークウッドに伝統的な職人の技術によって「KATRIN ARENS」の家具は生み出されているそう。今でこそ、古材を使った家具は珍しくなくなりましたが、カトリンさんは20年前からこのスタイルだとか。
カトリンさんはハンドメイドの子供服のデザイナーとしてもその名を知られており、その活動範囲は子供服や家具のデザインにとどまらず、セラミックや照明などまで幅広く手がけています。古材、布、土、セメント、鉄、ガラス、ステンレス、、、、共通するのは素材を見極める確かな審美眼と探究心!そして一番強く感じるのはひとつひとつの素材への愛情でした。
ワイン工場の依頼でつくられたこの上の写真のシャンデリアもカトリンさんによるもの。
ワインの瓶(再利用)のガラスを一枚ずつ面取りし、手仕事の温もりを感じさせる数百のガラスのパーツからなるシャンデリアに。ひとつひとつの素材は素朴だけど、迫力ある姿。見せてもらった夜のワイン工場のレストランの写真は、映し出された陰影がドラマチックでとても美しいものでした。
窓から見える木々、差し込む光、布が吸い込んだ太陽の匂い。気持ちいい余白のある空間。
子ども服は娘さんに着せたい服がなく、縫い始めたのがきっかけで、伝統的なヨーロッパの子ども服をベースに麻や綿などの天然素材にこだわり、シンプルに着心地よく、カトリンさんの手によってあらたに命を吹き込まれたもの。
「エスプレッソのマシンは100杯目ぐらいから美味しい」と溶けてしまったプラスチックの取っ手は木製に。暮らしをたのしむこと、味わうこと、美しいと思う感覚、こんな小さなひとつの木の取っ手がカトリンさんを物語っています。
彼女の顧客は世界中にいて、今はちょうどニューヨークの顧客のために子供部屋をつくったのだとか。(ベッドやクローゼット、本棚など)
棚の上にはお母さんの描いた油絵。母から娘へ表現のかたちは違うけれどこうやって受け継がれていくんんですね。
部品ひとつとってもカッコよく惚れぼれします。
1階の工房と事務所へ。
工房では忙しそうに手を動かす制作を担当するカトリンさんのパートナー。
日本から来たと言うと、作業の手をとめて、今も忘れられない素敵な笑顔で迎えてくれました。
剣道5段なんだそう!
旅の中のほんのひとときでしたが、会って、見て、触れて、体感することはやっぱりとても刺激的!
なにより素敵な人との出会いが、心に響いたイタリアへの小さな旅でした。
最後に見送ってくれたカトリンさんと。
KATRIN ARENSホームページより
KATRIN ARENSホームページより
15世紀に建てられた元製粉場がカトリンさんの住まい。
アッダ川のほとりの自然に囲まれた暮らしはとても魅力的です。
KATRIN ARENS http://www.katrinarens.it
文・写真 葉棚達也・由真
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