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「『首里、海が見える』で物件を検索して、
一番最初に出て来たのがこの物件だったの。」
と、家主のNさん。
首里に住む事は決めていた。
あとは眺望。
検索してヒットした物件を見た瞬間、
そこで暮らしている自分の姿がありありとイメージできたという。
しかし、不動産屋に問い合わせていざ物件を見に行ってみると、
そこは不動産屋のホームページで見た部屋とは違っていた。
実は、該当物件の階違いの部屋に案内されていたのだ。
「そこは畳部屋もあったりして、まったく雰囲気が違ったの。
キッチンもオール電化になっちゃってて。
私は火がつくコンロでしか料理はしないし、
『私が見たのはここじゃないんですけど』
って言ったら、
『ああ、じゃあ下の階ですね』
って。」
しかし、当時はとある理由で貸し出しはしていなかった。
不動産屋が間に入り、オーナーと交渉、
結局、希望の部屋を借りることができた。
「ネットで見た瞬間から、そこで暮らす自分をリアルにイメージできていて、
現実がそのイメージに追いついたっていう感じでした。」
玄関を入ると、目の前に広がるLDKの広さに驚く。
首里の町が一望できるその眺めは圧巻。遠くには海も見える。
「子供が描いた絵みたいって言われるけど、うちにある絵の中で一番高価なの(笑)。」
絨毯はご両親から譲り受けたもの。「中国のものだったかな。」
世界一周旅行に出たことがあるNさん。
各地で買い求めたインテリアや楽器類がさりげなく置かれ、
また、好きで購入した絵もバランスよく壁に飾られている。
「本物からもらえるパワーってあるんですよ。
絵は特にそう。
そこに一枚あるだけで、まわりの空気までぱ〜っと変わるのがわかるんです。
疲れた時は眺めているだけで元気ももらえるし。」
インテリアとか雑貨がお好きなんですね、と訊くと
「好き? ・・・どうだろう、考えたことないなぁ〜。
でも、気づいたらこうして増えているってことは、好きなのかもしれませんね。
でも、そんなに高価なものを集めているわけじゃないんですよ。
私、古道具が好きでね、安くで良い道具を売っている良いサイトがあってよく見てるんです。
ほら、ソファの前のテーブルもそうだし、本棚も。キッチンにあるテーブルもそう。
・・・やっぱり私好きなのかも、インテリア(笑)。」
本人に自覚がなくとも、
自然と部屋に集まって来るのは良いモノばかり。
その由来を一つ一つ聞くのも楽しい。
「このカップとソーサーは北欧製。
今は復刻版が出回っているけれど、これは発売当時の珍しいもので・・・」
どんなに貴重な品でも、
飾って楽しむのではなく、日常使いしているところも素敵。
そして、そんな選び抜かれた品々は、古道具に不思議とマッチする。
首里の町と那覇の海を眺めながら、淹れたてのコーヒーを飲むひととき。
ここにはいつも、豊かな時間が流れている。
写真・文 中井 雅代