青木

 

ヨガ教室の企画で、おおみそかに108回の太陽礼拝をし煩悩をきれいさっぱり取り除いた青木です。
新年を筋肉痛で迎えたのは計算外でした。

 

最近、カメラ好き男子の間で、空撮が流行っているのはご存知でしょうか?

 

空撮って何?という方、まずはこちらの動画をご覧ください☆

 

DREAMER 〜The colors of Yambaru〜 from Bird's Eye Okinawa on Vimeo.

 

 

この動画は、沖縄北部の海や森を『鳥目線』で撮影しています。
製作者は私のパートナーです。海が好きな彼が「Bird’s eye Okinawa」という名前で制作活動をしています(平日はスーツ着て働いてます!)

 

時々、動画を見て下さった方に「どうやって撮ってるの?」と聞かれることがあります。

 

その時彼は、「タケコプターで」と答えていますが、実際は、カメラ付のラジコンヘリで撮影しています。コントロールボタンがたくさんあり、操縦が大変そうです。恐ろしくて触ったことはありませんが…

 

 

そしてもうひとつの動画は、川の中で撮影しています。鳥目線ではなく、、、亀目線かな。こちらは、水中カメラを持って、素潜りで撮っています。

 

 

Jump!!! from Hidenori Aoki on Vimeo.

 

 

これらの動画を見て、「沖縄って海だけではなく、森もいい!」
と思ってくれる方が増えたら嬉しいです。
ちなみに最近、北部に引っ越してきた友人は、沖縄の森を見ていると、映画「ジュラシックパーク」を思い出すそうです。

 

 

青木

 

今まで、野外イベントの粒揃いの出店で、あれもこれも頬張り、
「これが1日限りじゃなくて、ずっと続けばいいのに…」と夢見たことは?
フードコートといえばファーストフードばかりで、
「もっとチェーン店以外のお店も並んでたらいいのに…」と溜息をついたことは?

 

そんな私たちの願いを叶えてくれる、まったく新しいフードコートがCCSSだ。

 

店名のCCSSとは、『Chicken House』『Cactus Eatrip』『the Scarpetters(ザ スカルぺッターズ)』『Seaglass』の頭文字をとったもの。丸焼きチキン、ベーグル、ミートボールにドリンクとスイーツが並ぶ。北谷のこの地に元々あったSeaglassに3つのお店が加わった格好だ。

 

「面白いと思います。個性が強い3つの店が、こんなに1ヶ所に集まってるのって」

 

Chicken Houseの店長でもあり、CCSSのマネージャーでもある山田大(たかし)さんが言う。

 

CCSS

 

CCSS

 

このChicken Houseの丸焼きチキンにしてからが、爽やかなハーブが香る個性的な味わいだ。

 

「丸焼きチキンといえば、味つけはニンニクメインのところが多いんですけど、うちはハーブをふんだんに使ってますね。鶏肉の味つけ方法って2通りあるんですよ。調味料にドボンって漬け込んでおくタイプと、皮と身の間に調味料をすりこませるタイプ。うちみたいにすりこませる方が手間かかるけど、その方が皮部分だけじゃなくて、もっと深い部分まで味がしみこむので。その味を皮でフタして閉じ込めるようなイメージかな。もちろん鶏そのものからもこだわっていて、僕たちのチキンは、沖縄県産の若鶏しか使いませんし、冷凍保存もしないです。着色料とか甘味料、添加物とか人工的なものも一切使いません」

 

1号店のある那覇よりも、ここ中部地区には丸焼きチキンのお店が多いが、この深い味で既に多くの支持を集めている。

 

「このあたりは外国人が多いし、今までより味くーたーにした方がいいのか?ともチラッと初め考えたんです。でもやっぱりうちの鶏肉にはこのハーブの香りと味がベストだ!となって。サイズだけは1号店よりも少しだけ大きい1.4kgにしてるんですけどね」

 

CCSS

 

CCSS

 

CCSS

 

また、Cactus Eatripの天然酵母ベーグルは、その弾むような歯応えが印象に残る。Cactus Eatripの店長 勝見麻紀子さんも言う。

 

「北谷だし、7~8割は外国人のお客さんなんだけど、ベーグルってアメリカが本場でしょ? その本場の人たちが『Special!』『オイシーイ!』って言って、リピーターになってくれてるから嬉しいです。うちのベーグルは卵不使用で、発酵に時間をかけるから、小麦の味が凝縮されててモッチモチで食べられるの。それにベーグルにはさむ具材、ピーナツバターやフムス、ドライトマトとかも自分たちでちゃんと手作りしてますよ。素材も、外国のパンの味を出したいから小麦だけはあえて外国産だけど、他は国産で特に九州産のものを多く使ってます。ベーグルって材料がシンプルだからこそ違いが出ると思って」

 

CCSS

ミートボールプレート レギュラーセット

 

 

CCSS

スライダー。ミートボールをはさんだミニバーガー。タルタルソースやバジルペーストなどソースも選べる

 

ジューシィーな肉の旨みが詰まったミートボールを出すのはthe Scarpetters。店長の久高将年さんたちが素材から厳選して作るものだ。

 

「ミートボールは牛、豚、鶏の3種類から選べるようになってます。混ぜたりはないです。宗教上で食べられない人に配慮っていうよりは、それぞれの持ち味をしっかり味わってほしいから。牛はニュージーランド、豚と鶏は沖縄県産なんですけど、挽肉で仕入れるんじゃなく、肉の塊を自分たちでミンチにするところから始めて、2日間マリネして、飴色にしたタマネギと混ぜてって作っていくんですよ。だから値段はちょっと張っちゃうんですけどね」

 

the Scarpettersは、CCSSへ店を出すにあたり、初めてのミートボールというメニューに挑むことにしたという。

 

「うちは元々『バカール』っていうピザ屋なんですけど、オーナーがアメリカ旅行中に、ミートボールの良い店に出会っちゃったらしいんですよ。それで、『これ美味しいし面白いし、日本でもやってみたい!』って。面白さってのは自分で選べることですね。その店ではサイドメニューを数種類の中から選べたそうなんです。それをここでもやろうってことで、ミートボールの種類はもちろん、添えるソースからサイドメニューまで、好きなように組み合わせられるようにしました。でもミートボールを作るノウハウは全くないですから試行錯誤でしたね。初めは『合挽き肉でもいいんじゃない?』とか…。あまりこんなお店がない、イコール情報が少ないわけで、ネットでレシピを調べるところからスタートですよ。それでも食べたお客さんから『GREAT!』の言葉が出た時は報われたかなって」

 

 

そしてseaglassではソフトドリンクからアルコールまで多く選択肢があり、カフェタイムにはスイーツも味わうことができる。

 

 

CCSSは2014年7月にオープンしたばかりだが、北谷界隈の人々を中心に、既になくてはならない存在となっている。Cactus Eatripの勝見さんが言う。

 

「多い人だと、もう週2~3でベーグルを買いに来てくれるんです。私はここをカフェ以上の場所にしたくって。気取らなくてもすぐに来られる生活空間の一部というか、おうちの代わり、おうちの延長みたいな。だから、価格は300円から~って安くに設定してて。原料的に増税的に厳しいではあるんだけど、主婦の方が上の子を送った帰りなのかな、ベビーカー押して毎日のように来てくれたりするのを見ると、『ここでお店出して良かったな!』って」

 

そしてファンが増えていく一方、嬉しい誤算もあった。the Scarpettersの久高さんが言う。

 

「フードコートでまず選べて、メニューでも選べてって、たくさんの選択肢の中から選ぶ楽しみを提案したつもりだったんですけど、意外に皆さん初めに食べたものをずっと延々と食べ続けちゃうんですよ。それでも日本人のお客さんはまだいろんなものを試してくれる方なんですけど、外国人のお客さんは一度気に入ると本当にそればっかり。国民性の違いなんなのか、なんなのか…。もちろん常連さんになってくださるのは嬉しいんですけどね」

 

そうそう!とばかり、Chicken Houseの山田さんも続ける。

 

「うちは『チキンオーバーライス』っていうチキンにヨーグルトをかけたメニューがあるんですけど、それを週5で食べに来るお客さんがいましたね。毎日毎日よく続くなって…(笑)」

 

このフードコートの楽しみ方は人それぞれ。丸焼きチキンを買いにきたついでにベーグルも買う人もいれば、ただもう一心不乱にグレービーソースのかかったミートボールだけを食べ続ける人もいる。朝でも昼下がりでも。テイクアウトでもイートインでも。CCSSの提示する、フードコートという可能性は幅広い。

 

Chicken House 山田さん、Cactus Eatrip 勝見さん、the Scarpetters 久高さん、スタッフ

 

また、新たな動きも生まれようとしている。Chicken Houseの山田さんが言う。

 

「せっかくこうして隣り合っているんだし、コラボするのも面白いよねってみんなで話してるんです。Cactus EatripのベーグルにChicken Houseのチキンをはさんだり、the Scarpettersのミートボールを載せるとか・・・。普通だったら、他の飲食店の人たちとキッチンを共用したり、一緒に接客したりなんて、まずないですよね。キッチンでは盛り付けとか試作について意見出しあったりしてて、お互いに今すごく良い刺激を受けてるんですよ。ライバルでもあり仲間でもあるっていう関係から、もっと何か生み出していけたら…って」

 

山田さんの頭の中には、既にいろいろな可能性が浮かんでいるようだ。

 

「北谷っていうのも面白い場所ですよね。僕、今38歳ですけど、僕が18歳ぐらいの頃ってタコライスがすごく流行ったんです。タコライスっていったらキングタコスだけど、北谷にもテイクアウトできるお店があって、ドライブがてら来て買って防波堤で食べてってしてた街なんですよ。有数のナンパスポットでもあってね。今は海遊びがメインで朝晩はマラソンしてる人なんかもいて、ずいぶん空気が変わりましたね。でもまたなんか食べ物からのムーブメントを起こせたら面白いなって」

 

その波を起こすのは、丸焼きチキンかもしれないし、ベーグルやミートボールかもしれない。あるいはこれらをコラボした新しいものかもしれない。フードコートが北谷の海岸沿いの風景に馴染み、今、面白い波が来ている。

 

文/石黒 万祐子(編集部)

写真/青木 舞子(編集部)

 


CCSS (Chickenhouse×Cactuseatrip×theScarpetters×Seaglass)
北谷町宮城2丁目46番地
098-936-2123
close 水曜日
facebook CCSS

 

※各店舗により、営業時間が異なります
Chicken House 11:00~19:00
Cactus Eatrip 8:00~15:00
the Scarpetters 8:00~17:00
Seaglass 8:00~19:00

 

青木

 

新垣志保

 

「アホみたいに時間がかかります」

 

苦笑いを見せるのは、柿渋染め袋作家の新垣志保さん。1枚の布を染めるのにおおよそ半年の時間をかけるという。

 

「もう、何回染めてるのか回数はわかんなくなるくらい、、染め、干し、染め、干し、染め、干しの作業を繰り返すんです。深みや色の濃さに満足いくまで延々と続けます」

 

 

手間の多さに気が遠くなる。けれど、ただ染めの作業を重ねれば、納得がいく色が出るわけではないと言う。

 

「早く色を出したくて何度重ねて染めても、ダメな時はだめで。酸化が進まないと色が出ないんですよ。それで、失敗したと思って、あきらめてしまっておくんです。すると、しばらくしてその布が出てきて、『なんていい色〜』ってなることも多いんです。かなりの時間忘れていないとその色は出なくって。

 

染めた布を『待つ』ことと、一度自分から『離す』ことが大事なんだと感じています。離すというのは自分の意志から離すんです。全部思い通りにやりたくなっちゃうんですけど、そこから離す。自分がしている仕事と、勝手に起こっていく反応があるんですよね」

 

柿渋で染められた布はぱっと見、みんな土色だ。けれど並べて見ると焦げ茶、赤茶、黄みがかった色などそれぞれ違うことに気づく。

 

志保さんが指を指しているところは銅とかけ合わせて出た色。

 

「茶色に変化をつけたい時は、金属を掛け合わせる『媒染』という工程を加えるのですが、ここでかけ合わせる金属によって、色に違いが出るんですよ。例えば、焦げ茶色は鉄とかけ合わせて出ている色です。少し赤っぽいのは銅ですね。チタンとかけ合わせると、他より黄みがかった茶色になるんです」 

 


媒染の工程。染め用孫の手でかき混ぜながら。柿渋布をチタンとかけ合わせている。

 

志保さんは、柿渋染めを軸に活動している作家である。「軸に」というのは、時には琉球藍や草木、化学染料などでも布を染め、柿渋染めと組み合わせた作品に仕上げるからだ。

 

「柿渋ってだいたい色相が決まっているんです。質感とか特性を活かそうとすると他の作家さんと作品の雰囲気が似てきて、個性を出しにくいんです。自分の作品に、人の作品との違いを見いだせなくなってしまった時期があり、このままじゃダメだなあと。そこから、藍色が似合うなとか緑がかいいなといったふうに柿渋に似合う色を探し始めたんです。天然染料って、ひとつひとつすごく性格が違って、染め方がひとつひとつ違うんで、全部一緒にやると全部中途半端になるなと。それで、軸はちゃんと決めておこうと思ったんです」

 

志保さんが軸を柿渋染めを選んだ理由は、シンプルだ。

 

「初めて柿渋で木綿のキャンバスを染めた時に、風合い、色の展開共に一点の曇りもなく、『うん。ずっとこれが好きだった』と強烈に思ったんです。その気持ちを大事にしようと思いました」

 

布合わせのインスピレーションになっているのは、家の向かいの建物であったりする。

 

「畑とかでよく見かけるトタンの小屋とか好きですね。それぞれのトタンの色の抜けるスピードがずれてて、パッチワークみたいになってるんです。意外とああいう色って、染めで出そうとしてもなかなか出ないんですよね。あの古びた金属の風合い、ずっと気になっています。
それから、パソコンの内部にある機械基盤の色のバランスや配線の感じも好きです。子どもの頃読んだ絵本とか、地図とか航空写真、動物の模様なんかもヒントになりますね。実際に、地図を切り取ったようなものを作ってた時もありますよ」

 

新垣志保

柿渋と琉球藍や、柿渋と顔料に藍をかけ合わせたり、と1枚の布に何色も染め重ねたりすることも。

 

作品づくりの企画、型作り、パーツ選び、縫いまで全てを志保さんは自ら行なう。

 

「誰かにお願いするという発想がなくて。自分は染物屋だと思っていたんですけど、染めた布はカバンになるといいだろうなと、縫い始めたんですよね。それもまた楽しくて。これを専門の方に縫ってもらって、きれいなラインで仕上がったら、またぜんぜん違うイメージになると思うんです。でも、少しまぬけな方が自分らしいなと思って」

 

デザインによっては、縫い終えたバッグを染めることもあれば、染めてから縫うこともある。染め重ねた布は、固すぎて針が通らないほどになる。

 

縫ってから染めているバッグ。部分的に染まり方に変化がでて、それも味になる。

 

「柿渋って、縮んだ繊維をそのままぎゅっと固定するような力があるんです。一般的に繊維って洗うと縮みますよね。本来なら戻っていくけど、柿渋染めの場合は戻らないんです。元に比べ10%くらい縮んだままなんです。だから、縫う時なんか針が通らないくらい布が固くって。あらかじめ穴をあけておいたりしてましたね。最初の頃はミシン針がバキバキ折れてました(笑)。そんなこともあり、染めすぎてバリバリになっちゃった場合は、布を重曹に浸けて柔らかくしたりします」

 

志保さんは、決して見ためだけを重視した作品づくりはしない。彼女の考える鞄は「道具」であって、飾り物ではないからだ。

 

「使い始めてがっかりされるというのがすごく嫌なんです。使えば使うほどいいねっていうのは、やっぱり使いやすさの部分だろうなって。なので、丈夫で機能的なものを作りたいです。例えば、ポケットをつけるにしても、チャックを付ける位置や向きをしっかり考えます。その結果、チャックが斜めにつき、かわいい見ためになる。そんなのが理想ですね」

 

新垣志保

 

志保さんが柿渋染めに出会ったは、お母さんの習い事がきっかけだった。

 

「私が高校の頃、母が染めと糸つむぎを習い始めたんです。そんな母を見て影響を受け、県立芸術大学の染織科織物コースに進みました。でも、やりたいことと向いてることって違うじゃないですか。すっごく向いてなかったんですよ(笑)。数かぞえたり、計算したりするのすごく苦手で。何センチ幅の布を作るために縦糸を何本入れるとかを計算して織る課題があったんです。その計算が間違っていたらしく、皆が細い布に仕上がってるのに1人だけ太い布ができあがってたり(笑)。織りは、一番好きだったことでもあるし、一番苦手だったことでもあるんです。で、結局、大学は辞めてるんです」

 

その後、芸術療法の勉強や福祉の仕事を経験し、再び染めの世界に戻って5年が経った。志保さんは、いつかは「織り」も作品に取り入れたいと目標を立てている。

 

 

「織りもやっぱり好きなんです。染めだけだと、できることって限られてきます。単色で染めたり、模様をつけたり。織ったら出てくる色って、その意外性が楽しいんですよね。その糸も自分で染められたらどんなに嬉しいか、、、実はもういっぱい糸を買ってあるんです。その布を、作品の裏布としても使えたらいいなと。でも、柿渋染めがまだ修業中なので、あまり手を広げすぎずに、織りは当分、こっそりと趣味としてやっていこうと思っています。これは先の長い目標です(笑)」

 

新垣志保

 

 

志保さんは決してやみくもに世界を広げているわけではない。あくまでも柿渋で染めた布を活かすため。制作している「今」だけでなく、使っていく「未来」のことも人一倍考えている。

 

「時間が経った方が柿渋染めは素敵なんです。それと響き合う色を合わせますし、長い年月を共に生き残れる裏布やボタンを選びます。柿渋染めの布が命を全うできるように」

 

 

 

新垣志保(あらかきしほ)工房名 KU-TA(クータ)
hiyokomame432000.ti-da.net

 

 

ーー取扱い店ーー

 

和睦郷里
沖縄県名護市大中1-8-9 1F
0980-50-9952
10:00-18:00
close 日曜
http://wabokukyouri.ti-da.net

 

aterlier+shop COCOCO
店舗 : 沖縄県南城市玉城當山117
駐車場 : 沖縄県南城市玉城當山124
090-8298-4901
営業時間:11:00-17:00頃
定休日:火・水 +不定休
http://masa36.wix.com/cococo

 

青木

BALANCO

 

BALANCO

 

「俺、ウサギなら完全に死んでるよね(笑)寂しくて」

 

夜中に1人でデミグラスソースを煮込む作業をそう表現するのは、BALANCO(バランコ)オーナーシェフの宮崎祐介さんだ。

 

宮崎さんが孤独と戦いながら(?)作るデミグラスソースは、そんな寂しさを微塵も感じさせない豊かな香りがする。その香りに誘われて、全身に散らばっていた食欲が一気に口の中に集まってくる。スプーンで少しすくって舐めてみる。ベースが野菜なので甘い。肉の旨味も惜しみなくぎゅっと詰まっていてコクがある。それでいて丁寧に作られた繊細な舌触りだ。ソースの艶やかな深い色づきを、焦げ茶色と呼ぶのは忍びない。それは、宮崎さんがソースを焦がさないように注意を払って煮込んでいるから。

 

宮崎さんは、このデミグラスソースを一週間かけて作っている。

 

「粉と油を少しずつ混ぜながらルーを作るんです。これに3日くらいかけます。一気にやろうとすると、焦げ臭くなっちゃうんです。だから、1日30分から1時間くらいずつ、少しずつ色を付けていきます。それとは別に、野菜や肉をじっくり煮込みます。毎日炒めた野菜を足しながら煮込むこの作業に、3日程かけます。これにさっきのルーも合わせてまた煮込み、最後に丁寧に全部をこして完成です」

 

ソースひとつにこんなに手間暇かかっているなんて! メモを取る手がそれを諦めてしまうほど。別に特別な作り方はしていないと言う。けれど、こうやって作るデミグラスソースの味は、宮崎さんが長年かけて解いた「答え」なのだ。

 

"BALANCO

 

宮崎さんが育った長崎の街には、ポルトガルやオランダ文化の影響を受けた昔ながらの洋食屋さんが多い。そこで食べるハンバーグやビーフシチューのデミグラスソースは、宮崎さんにとって日常的な味だった。

 

「うちの母さん、あんまり料理上手じゃなかったんですよ。小学生の頃、デミグラスソースが食べたくて、母さんに頼んだんです。当時、料理人がこんなに手間暇かけてソースを作ってるなんて、想像もしないから。普通にできると思うじゃないですか(笑)そしたら、ハンバーグに市販のデミグラスソースがかかっていて。美味しくなくてショックをうけました(笑)この頃からですね、どうやったら、美味しいデミグラスソースが作れるんだろう?と思い始めたのは」

 

そんなこともあり、宮崎さんは幼い頃からデミグラスソースに強く惹かれていた。大人になり仕事を選ぶ時も、決め手になったのは「ソース」だった。

 

「何になろうかと決まっていなかった時に、『何百種類かのソースを伝授します』という求人が目に飛び込んできたんです。その中に僕が求めているデミグラスソースがあるかもしれない!と思って。それがきっかけで料理の世界に入りました」

 

宮崎さんは、その後、洋食屋に限らず、メキシカン、沖縄料理、フレンチビストロなどジャンルを問わずに料理修業を続けた。そして休みの日には妻である真己(まき)さんと共に、美味しいと評判のお店をひたすら食べ歩いた。

 

「彼は、まず料理の香りをかぎ、それから少しずつ味わうんです。考えながら。そこが、料理人って感じでしょ(笑)」

 

そうやって美味しいものに触れているうちに、故郷長崎にあるような「街の洋食屋さん」を開きたいという意思が固まっていったのだ。

 

BALANCO

 

BALANCO

BALANCOをオープンするにあたって、自宅兼店舗を設計したのは真己さんだ。彼女は、フラワーコーディネーターの先生でありながら、店舗設計士としてのキャリアも持つ。

 

「BALANCOのこだわりは、デミグラスソースです。これ以外ないかもというくらい(笑)」

 

そう断言してしまうほど宮崎さんはデミグラスソースに力を注いでいる。それは、彼のルーツである長崎の味だ。

 

「長崎には老舗の洋食屋さんが多いんですよ。おばあちゃんが小さい頃から行っているようなお店がまだ残っていたりして。僕らも帰ると必ず行ったりするんですけど。どこのお店も当たり前にデミグラスソースから作っているんです。そういうのが一番好きなんですよ」

 

東京出身の真己さんは、長崎の洋食屋さんを巡るまで、宮崎さんのソースへのこだわりが理解できなかったという。

 

「長崎に住んだことのない人間にとっては、なんでこんなに手がこんだことやってるんだ?と。デミグラスソースについて、熱く語られてもピンとこなかったんだよね。でも、長崎に行ってみて、その理由がわかったの」

 

1日10〜12種類のデリカに加え、お弁当やオードブルも。

 

BALANCO

ディナータイムの人気メニュー。
デリカから3種類選んでお皿に盛り合わせるプレート(500円)

 

BALANCO

 

 

宮崎さんは今後も、デミグラスソースにこだわり続けるお店でありたいと言う。

 

「ソースを使った新メニューを取り入れたいです! 長崎の洋食屋さんで定番メニューのトルコライスとか。それから、BALANCOは特別な日のためのお店としてではなく、身近な、庶民的な存在でありたいです。長崎に当たり前にある、昔ながらの洋食屋さんみたいにね」

 

小さい頃から惹かれ続けた美味しいデミグラスソースを、宮崎さんは今、自分で作り出すようになった。もしあの時、お母さんが当たり前においしくソースを作っていたら、BALANCOのデミグラスソースは誕生しなかったかもしれない。彼が夜中にじっくり煮込んでいるソースは甘く、どこか懐かしい味だ。それはまぎれもなく宮崎さんの故郷長崎の「当たり前」の味なのだ。

 

写真・文 青木舞子(編集部)

 

BALANCO
kitchen&delicatessen BALANCO(バランコ)
住所 名護市宮里903-1
電話 0980-43-8116
営業時間 ランチ 11時30分~15時 ディナー17時30分~21時
定休日 日曜日・第4月曜日
blog http://balanco.ti-da.net

 

青木

やんばる木の美術館

 

やんばる木の美術館

 

やんばる木の美術館

 

その形が魂を思わせることから、“木の魂”という名のついたおもちゃがある。やんばる産の17種類の木を、丸く削り出して作られており、木の種類によって比重や肌触りが異なることを確かめることができる。一番重たい魂は、イスノキ。ギュッと詰まっているようで、ひんやりとする。一番軽い魂は、デイゴだ。硬めのスポンジのようで、表面がざらざらしている。

 

やんばる森のおもちゃ美術館には、木のおもちゃが30種類以上も並ぶ。そしてその全てが、触って遊んでいい展示品である。やんばる森のおもちゃ美術館は、鑑賞するのではなく、五感で感じることのできる美術館なのだ。

 

やんばる木の美術館

 

やんばる木の美術館

 

一番人気があるのは、国頭村に生息する鳥、ヤンバルクイナのたまごをイメージした「たまごプール」だ。プールのそばには常に子どもたちがいて、他のおもちゃで遊びながら、次は自分の番かしらと周りの様子をうかがっている。中では、泳いでいるふうの子もいれば、寝そべっている子もいる。また、たまごを握りながら「ツボ押しにいいなぁ」と考えている大人もいる。

 

「このたまごは、木工職人が1人で作ったんです。5000個も! 3ヶ月ほどかかったそうで、もうたまごを見るのも嫌だなんて冗談言っていました(笑) けれど、たまごを気に入ってくださった方々から、うちにも欲しい! どこで買えますか?と声をかけていただくことが多いので、商品化しました。それに、県外の幼稚園からまとめて購入の問い合わせもあったりして、作ったかいがあったなぁと」

 

やんばる生まれのおもちゃについて嬉しそうに話すのは、やんばる森の美術館を担当する国頭村役場の大城靖さんだ。

 

 

やんばる木の美術館

 

館内でひときわ存在感を放っているのは、リュウキュウマツのオブジェである。跳び箱のように跳ぶ小学生や、よじ登る子ども、ハイハイでくぐる赤ちゃん、そして馬のようにまたがる大人の姿も。

 

「これ、いい形でしょう?自然にできた空洞を利用して作ったんですよ。このツヤもね、中から染み出てきた樹液や、人々が触ることによって出てきたものなんです」

 

やんばる木の美術館

 

やんばる木の美術館

 

大城さんたち国頭村の人々にとって、このオブジェには、ひときわ愛着があるという。それは、材料となったリュウキュウマツが国頭村で長年親しまれていた木だったから。

 

「これはね、樹齢250〜300年と言われる蔡温松で作られたんです。蔡温松というのは、琉球王朝時代の役人の名前からとったのです。彼は、特に造林や山林保護に力を入れていました。当時の経済は貿易で成り立っていて、貿易船を作るにも、木が大事でしたからね。その頃に蔡温が植えた松は蔡温松と呼ばれ長く親しまれていました。けれど、2012年の大型台風で倒れてしまったんです。この木をなんとか活かせないかと考えて、蔡温松はオブジェとして生まれ変わったんです」

 

やんばる木の美術館

ジャンボ体操パズル。身長21センチの人型だ。ふんばったようなポーズが、お茶目。積み方によっては、滑稽な組み体操になり、ふふっと笑いを誘う。

 

やんばる木の美術館

リュウキュウマツ、クノキ、センダン、ハマセンダン、ウラジノエノキ、そして、オキナワウラジロガシの6種の県産木でできているマグネット式六角積み木。

 

やんばる木の美術館

 

木のおもちゃの良さはそのシンプルさにあると大城さんは考えている。

 

「プラスチックのおもちゃと違って、ボタンを押すとピコピコ音が出て、ニョキッと何か出てきてみたいな複雑な仕掛けが、木のおもちゃにはないですよね。その複雑さがない分、子どもがいろんなイメージを膨らませられるんです。どう並べたらこの形になるだろう?どう積み重ねたら、高く積めるだろう?というふうに。自然に、『考える力』も身につきます。大人も一緒に積んだりして、自然と親子の会話が増えますよ」

 

また、木はおもちゃとしてだけではなく、教室や家など建物の床材や壁の材料としても優れているという実験結果を聞かせてくれた。

 

「埼玉大学の先生が、『コンクリートの教室にいる子』と『木の教室にいる子』では集中力や落ち着きにどう違いが出るかを比較実験したそうです。すると、木の教室にいる子の方が集中力があるというデータが出たのです」

 

壁や床材の色、温もり、そして、かすかな木の香り。これらは子どもたちをまるで自然の中にいるようにリラックスさせるのだろう。

 

やんばる木の美術館

 

木のおもちゃでは五感を刺激でき、木でできた教室では集中力が高まる。木のある生活は良いことばかり。けれど、1本の木が資源として使えるようになるまでには、相当な年月がかかる。

 

「30年以上かかるです。やんばるの森は、イタジイという木が60%を占めていて、この木は亜熱帯気候に合うんでしょうね、よく成長します。よくとは言っても早くて30年なんです。チャーギという木はもっと成長が遅く、40〜50年かかるんですよ」

 

しかも、じっくり成長した木は、切り倒したからといって、すぐに使えるわけではない。

 

「水に浮かべたり、泥の中に沈めたりして、中に入っている虫を出します。その後、しっかり乾燥させることも大事です。この過程に2〜3年かけるのが望ましいのです。でも、なかなかそうもいかず窯に入れて早く乾かしたりすることもありますが。乾かすのが充分でないと、歪んできてしまうんです」

 

切ってからもこんなに手間がかかっているとは。そんな話を聞くと、やっと育った木を切って使ってしまうのは、なんだかもったいないと思えてしまう。しかし、大城さんから返ってきた答えは逆だった。

 

「木は30年くらいすると年を取り、酸素を供給する量が減っていきます。そのままにしておくのではなく、切って材料として活かし、若い木を植林する。そうすることによって、また新しい木が成長し、森の酸素が増えるのです。こうして、森を循環させていくんです。『木づかい活動』は、自分の世代で終わりではないんですよね。子や孫に、どんなふうに使ってもらいたいか考えながら木を育てる、『気づかい活動』でもあるんですよね」

 

そう話す大城さんからは、木への愛情が伝わってくる。まるで、自分の子どもの話をするお父さんのよう。

 

やんばる木の美術館

 

昔から、林業が盛んだった国頭村は2013年、国頭村森林公園内に、やんばる森のおもちゃ美術館を設立した。地域の資源である木を活かし、「木育」をしていこうと、美術館外でも活動をしている。

 

まずは、美術館が誕生した記念として、村内に生まれる赤ちゃん約40人に、ヤンバルクイナが彫られた積み木が贈られた。これを「ウッドスタート」と言い、赤ちゃんの時から木に触れてもらおうという取り組みだ。

 

また、10年前からは、小学校に入学する子どもたち全員に、組み立て式木製机をプレゼントしている。親子で組み立てることで、より愛着のある机になるのだ。子どもたちは6年間大事に使うという。

 

さらに、「木育キャラバン」という名で、おもちゃ美術館の出張も行なっている。保育園や老人施設など、普段、美術館へなかなか来ることができない人たちの元へ出向き、木のおもちゃに触れる機会を設けるためだ。 

 

やんばる木の美術館

 

やんばる木の美術館

 

やんばる木の美術館

 

国頭村がこのような活動をしているのは、「木育」を通して、国頭の木の良さを知ってもらいたいからである。そして、みんなで、やんばるの森を守り、活かしていきたいのだ。

 

森を守る?いったいどうやって?私にもできるの?

 

そう難しく考えなくたっていいのだ。美術館へ足を運び、木のおもちゃで遊ぶ。敷地内の森林公園を散歩しながら木々に触れ、木の良さを感じる。それだけでも充分、森のためになっているのだから。

 

「那覇の友達が言うんです。『東京には年に数回行くけど、ヤンバルには10年に一度行くかなー』って(笑)中南部の約75%の水道水は、やんばるの森から運ばれているのにね。彼の家の水道止めてしまおうかと思いましたよ(笑)まずは、気軽にやんばるを訪れてほしいですね。そして、美術館のおもちゃを通して、木の良さを知ったり、思い出したりしてもらいたいですね。美術館が、『木のある暮らしを広める場』になれればと思います」

 

やんばる木の美術館

 

国頭森林公園までの道のりは、那覇からは2時間、名護からでも1時間はかかる。けれど、ここまで来てよかったと思えるのは、美術館の木のおもちゃが想像以上に楽しく、興味深いものだから。

 

存分に木のおもちゃで遊んだ後は、公園内でピクニックしたり、樹上ハウスやバンガローに泊まったり、キャンプして楽しむのもいい。おもちゃになっていない、生きている木でだって遊ぶことができる。

 

やんばる木の美術館

 

五感は、身をもって感じることで研ぎ澄まされるもの。やんばる森のおもちゃ美術館では、肌で感じ、鼻を利かせ、耳を澄まし、目で楽しむことができる。赤ちゃんであれば舐めてみることもあるかもしれない。県内唯一の、五感を使って遊べる美術館なのである。

 

おもちゃを選ぶ時に、つい「静かにしてもらうために」と選んではいないだろうか? 確かに、大きな音、派手な色のおもちゃは、瞬間的には子どもの興味を引く。けれど、頭と五感を使いながら、集中して遊べるのは木のおもちゃなのだ。

 

心豊かな人になって欲しい。親たちのそんな願いは、木のおもちゃで遊ぶというシンプルなことで叶うのかもしれない。「長い目で見て、木のおもちゃがいいと感じてもらいたい」大城さんのその言葉が頭に残っている。

 

写真・文 青木舞子

 

やんばる木の美術館
やんばる森のおもちゃ美術館
沖縄県国頭村字辺土名1094 -1 国頭村森林公園内
TEL 0980-50-1022
休 火曜日
入館料 大人(中学生以上)/ 400円 子供(3歳〜12歳)/ 200円
OPEN 10:00~16:00(入館15:30まで)
http://www.kunigami-forest-park.org

 

青木

ENTRO

 

初めましてCALEND-OKINAWAスタッフの青木です〜。
カレンドでライター兼フォトグラファーをしながら、kitoco.としてTシャツをデザインしたり制作したりしています。
ときどき、青木キトコさん! と声をかけていただきますが、「アオキマイコ」が本名です〜 どうぞよろしくお願いします〜

 

 

さてさて、私は、沖縄県の名護市に2013年12月にオープンしたガラス屋兼アトリエENTROへお邪魔してきました!

 

 

沖縄県外でベネチアガラスを10年間学んできたENTROオーナーの比嘉奈津子さん。彼女の作品は、色もデザインも琉球ガラスとはひと味違います。

 

ENTRO

 

ショップに入って一番最初に目がいく、キノコ型のガラスたち。これはクラゲがモチーフの一輪挿しです。手のひらにすっぽりおさまる形は、思わず触れたくなりますがガラスなので注意ですよ! 窓辺に並べると光の通り具合がとてもキレイだそうです。

 

 

こちらの波なみ模様のガラスは、北欧のテキスタイルのようでもあり、昭和レトロのようでもありますねー

 

ENTRO

 

そしてこちらの底の模様がネジネジになっている器は、奈津子さん一番のお気に入り作品!

 

ENTRO

 

ENTRO

 

 

他にも素敵なガラスの作品がオシャレに飾られています。

 

ENTRO

 

ENTRO

 

ENTRO

 

ENTRO

 

ENTRO

色見本までオシャレ!

 

 

ショップにはアクセサリー作家さんとのコラボ作品なども置いてあります。

 

「はときの子」さんの作品は、歯の形をしたアクセサリー。その後ろの大きい歯は奈津子さん作。怪物の歯ですね。

 

ENTRO

 

アクセサリー作家OSHAREさんとのコラボ作品「ガイコツ指輪」や、

 

ENTRO

 

目玉焼きのストラップやブックマークもユニーク!

 

ENTRO

 

ENTRO

 

ENTRO

 

ENTRO

OSHAREさんのノボリを使ったエコバッグは斬新なアイデア!

 

 

 

ちょうど、奈津子さんが作品をつくっているところを見ることができました!

 

 

こんなに小さく巻き付けられたガラスを1300度で熱し、吹きながら形づくっていきます。

 

ENTRO

 

サポーターにタイミングよく吹いてもらいながら、形を整え、冷め始めたら何度も熱し直す。この作業を繰り返します。続いて、別で熱しておいたターコイズブルーのガラスを淵に沿わせてます。とても熱いので赤く見えますがターコイズブルーのガラスです。見惚れているうちにランプシェードができあがっていました。

 

 

ENTRO

 

1300度で熱したガラスを、できあがってすぐに常温に置いてしまうとガラス組織がうまくまとまらず、割れてしまうんだそう。そこで、あらかじめ500度に温めておいた窯に作品を移し、その窯の温度を1日がかりで常温に下げていきます。こうして、無事、ガラスの作品が完成します。

 

「500度の窯には『悪いガラスの神様』がいると言われています。
うまく作れた! と口に出したら、ガチャンと割られてしまいます。そこで、ガラス作家たちは、窯に作品を入れる瞬間は、静かにします。心の中だけで、よくできた!と叫ぶのです」

 

と奈津子さんは聞かせてくれました。

 

そうして作品を窯に移し、扉をそーっと閉めた時に見せた奈津子さんのガッツポーズが印象的でした。
最後の最後まで力を抜けないガラス作品作りを間近で見て、真摯に取り組む職人の姿って、かっこいいなぁと改めて実感!

 

 

ENTROでは、ナイト吹きガラス体験をできるそうです。
夜に窯の中で光るガラス、想像しただけでも綺麗そう!

 

 

ENTRO
ENTRO
沖縄県名護市宮里585−9 名桜マンション1F
0980-53-2324
http://entro-glass.jimdo.com
4月〜9月営業
平日16:00-20:00
日曜日 14:00-18:00
休 月・火

 

青木

Day1 〜スポーツ観戦〜
ファッションスナップ沖縄
トップス ハリウッドランチマーケット
パンツ 古着のリーバイス
スニーカー コンバース
BAG Gregory

 

ファッションスナップ沖縄
パーカー UNDER ARMOUR
ストライプワンピース 無印
スニーカー コンバース
メガネ OPTICO GUSHIKEN

 

ファッションスナップ沖縄

 

 

Day2
ファッションスナップ沖縄
大輔さん 
ジャケット 友達のお下がり
パンツ E-SHOP
スニーカー コンバース

 

綾子さん
ワンピース honor’s store
カーディガン archi
スニーカー コンバース

 

ファッションスナップ沖縄

 

 

Day3 〜たまにはおそろい〜
ファッションスナップ沖縄
Tシャツワンピ たゆたう 
ストール archi
BAG 古着屋
スニーカー NIKE

 

ファッションスナップ沖縄
シャツ 古着屋
Tシャツ たゆたう
ハーフパンツ ハリウッドランチマーケット
靴 RED WING SHOES

 

 

Day4
ファッションスナップ沖縄
大輔さん
シャツ 無印
パンツ WILD THINGS
スニーカー コンバース

 

綾子さん
カーディガン Vivienne Westwood
パンツ Dickies
シューズ Repetto
バッグ ミナ ペルホネン

 

 

Day5 〜卒園式〜
ファッションスナップ沖縄
撮影場所 hair make salon ALOALO

 

大輔さん
スーツ、ネクタイ MELROSE
シャツ ポールスミス
シューズ alfredo BANNISTER

 

綾子さん
ジャケット FRAPBOIS
ワンピース ピクチャーズ

 

 

 

基本的にはシンプルなファッションが好きという大輔さんと綾子さん夫婦。一人ひとりを見ても、充分にお洒落。でも、さし色を合わせたり、スニーカーを揃えたりとさりげなくリンクする二人のコーディネートは、一緒に見るとより一層魅力的なのだ。

 

「いかにもなペアルックは着ないよね。Day3みたいに、シャツの中のTシャツが同じくらいならいいかな」

 

高校時代の同級生という二人は、昔からファッションが好きで、洋服の買い物へも一緒に出かける。その際、大輔さんは、綾子さんに似合いそうな洋服を探してくれるという。

 

そんな大輔さんがDay2に着ているジャケット、実は女性用。

 

「これ、アヤの女友だちからのお下がりなんです」

 

女性用ジャケットを、そう感じさせることなく着こなせるのはスタイルがいいから? 小学生の娘さんが陸上クラブに入ったのを機に、短距離を走り始めたという大輔さん。名護の陸上大会で表彰台に上がるほどの実力! 体型は運動でキープしているようだ。

 

綾子さんは、夏に第3子を出産予定。妊娠中でもマタニティーウエアを着るのではなく、手持ちの洋服の中から「着心地のよさ」をいつもより重視して選ぶ。先日の娘さんの卒園式には、Day5で着用のストレッチが効いたワンピースで参加した。

 

また、綾子さんは糸満に住んでいる妹さんと洋服をシェアすることが多いという。

 

「趣味が近いので勝手に名護に持ち帰って着ています(笑)」

 

一方、旦那様との洋服シェアは、サイズが違いすぎるからあまりないとのこと。

 

「帽子は借りているかな。あ、靴下も」

 

傍で聞いていた大輔さんから優しいツッコミが。

 


「それは勝手にオレの使ってるんでしょ」

 

行く場所や目的が同じだと、自然に雰囲気の似た洋服を選んでいる二人。そして時には、お互いのファッションを参考にして、アイテムを選んだり、小物で色を合わせたり、さりげなくリンクさせる。絵になる二人は、パートナーのコーディネートも意識したオシャレ上級者だ。

 

 


「久しぶりだからネクタイうまくいかないー」と、綾子さんに結んでもらう大輔さん

 

 

写真・文 青木舞子

 

青木

きのストアー

 

「新しいラップについている、最初のテープなんですこれ。おろすたびに壁に貼っていたらいつのまにかこんなに(笑)」

 

それだけでアートになっているこの部屋は、牧野さくらさん家のパントリーだ。

 

 

「なんとなく、うちみたいな家族でしょ?」

 

 玄関には小さな額縁に入った雪男家族の絵がひとつと丸いオーナメント、それから、大きすぎないシーサーがちょこんと置かれている。

 

どうやら空間に、ものを置きすぎないのがさくらさんのスタイルのようだ。

 

きのストアー

 

 

きのストアー

お母様が刺し子してくれたというふきん。
稲穂のマークは、かつて営んでいたお弁当屋さんのロゴマーク。

 

この家を購入してから、3年後にトイレとバスルーム以外すべてをリフォームしたという牧野家。増築もして、焼き菓子屋「kino store」を営んでいる。

 

「住宅部分のリフォームをする時に設計士さんにお願いしたのは3つだけ。キッチンを部屋の真ん中に配置すること。大きなダイニングテーブルを置くこと。そして、パントリーを広めにとるということでした」

 

きのストアー

 

きのストアー

 

4.5畳ほどもある広いパントリーは、牧野夫婦の宝箱のよう。大型冷蔵庫の他に冷凍庫もあり、食器や乾物を入れる収納も壁一面にたっぷりある。ご主人の洋介さんの趣味でもあるワインもこちらに保存されているようだ。

 

きのストアー

 

 

きのストアー

 

お料理が大好きなお二人のこと、さぞ調理器具もたくさん入っているのだろうと思いきや、意外にも多くはなかった。

 

「集めることが趣味なのではなく、料理すること食べることが好きだから。道具はそんなに必要ないんです」

 

おいしい料理を作るため、いろいろと調理器具にもこだわっているのだろうな、と思っていた私にはとてもインパクトのある言葉だった。

 

事実、「我が家には料理がないとね! よかったらランチも一緒にどう?」と、洋介さんがササッと準備してくれたパスタは中華鍋で作っていた。

 

実に手際良く、スパム、さやいんげん、ドメインレタスのパスタがテーブルに並ぶ。

 

きのストアー

 

きのストアー

 

きのストアー

 

いつから今のインテリアスタイルになったのか、さくらさんに聞いてみた。

 

「ずっと変わらないです。実家に住んでいた学生の頃から。これはもしかしたら、叔父の影響もあるのかなぁ、なんて今になって思います」

 

さくらさんの叔父さんはグラフィックデザイナーとして活躍した人だった。小さい頃、叔父さんの自宅や別荘に行くとデザインセンスに溢れたものがたくさんあったそうだ。

 

そんな環境で感性を磨かれた彼女は、北欧のデザインに惹かれていた。

 

ダイニングにはさり気なく、デンマークの家具ブランド、フリッツ・ハンセンのセブンチェアが。東京に住んでいた頃から愛用しているという。

 

きのストアー

 

きのストアー

 

きのストアー

 

好きだからといって、すべてを北欧のものでそろえたいわけでもないようだ。

 

大きなダイニングテーブルはリフォームをお願いしたTAKE5の設計士、友利さんに作ってもらった。まるで最初からセブンチェアとペアであったかのように馴染む。

 

それから、ダイニングテーブル上のランプは、東京の古道具屋で買った、「おそらく日本の古いもの」だそうだし、ソファーのクッションカバーも洋介さんの実家で眠っていた、おばあちゃんの布団シーツをリメイクした「昭和のもの」。

 

3人がけの大きなソファーも書斎のイスも沖縄の中古家具屋で買ったそう。

 

きのストアー

 

きのストアー

 

 

さくらさんは自分が好きなもの、必要のないものがはっきりわかっている。

 

「掃除が苦手だからモノはあまり置かないんです。グリーンも育てるの苦手で(笑)だから置いてません」

 

そう言っていたけれど、掃除が苦手だからではなく、何も置かないのが好きなのだ。子どものおもちゃだってそう。場所を決めて、その棚以上は増やさない。

 

「1コ足したら、1コ減らす。減らしたものは、友達と開催しているフリマに出しています」

 

油断するとどんどん増えていく子どものおもちゃも、牧野家流に場所を決めて、これ以上増やさないと決めたら、もっと気持ちよく暮らせそう。

 

子どもがいてもスッキリと暮らせる。だけれど、生活感がなく味気ないというのとも違う。

 

 

料理人さくらさんは、最後にこう例えてくれた。

 

「家は、いわば料理でいう白いお皿。家族と時々お客さん、それとおいしい料理があれば、それで私は充分」

 

きのストアー

 

写真・文 青木舞子

 

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