『 ハロウィーン・パーティ 』こちらはミステリーの女王。ハロウィン・パーティで起こった事件とは?


アガサ・クリスティー・著 早川書房 ¥520/OMAR BOOKS

 

つい先日、発表されたばかりのノーベル文学賞。今年はカナダの女性作家、アリス・マンローさんが受賞した。
現在82歳の彼女は文学の世界で「短編(小説)の女王」と呼ばれている。まだ現役で、今なお素晴らしい作品を生み出し続けている。

 

それに対して今回ご紹介するのは、「ミステリーの女王」と名高いイギリスの作家、アガサ・クリスティーの『ハロウィーン・パーティ』という推理小説。
ドラマにもなっている「名探偵ポアロ」が出てくるシリーズの内の一冊。
同著者の代表作『オリエント急行殺人事件』に比べて、少し地味ながらもこの本を読むのに今はいい季節。

 

事件の舞台は、イギリスのあるお屋敷で子どもたちのために開かれたハロウィーン・パーティー。そこで起こった殺人事件に巻き込まれた探偵作家が、ポアロに助けを求めたことから、彼は事件解決に乗り出す。

 

ミステリーだから殺人事件が起きて、犯人は誰だろうと推理しながら読み進めるのはもちろん楽しい。でもこの本では、イギリスのハロウィン・パーティの様子も興味深かった。

 

パーティの中でするゲームの中に、「スナップ・ドラゴン」というのがあった。
どんなことをするのかというと、大きな皿に燃えている干しブドウが入れてあり、文字通り燃えたままのぶどうをとって食べる、というハロウィン・パーティ定番だというゲーム。これはちょっとやってみたい。
殺人事件も「リンゴ食い競争」というゲームの最中に起こる。
被害者の女の子はバケツの中に頭をつっこんだところを発見されるのだけど、その様子を想像すると、どこか滑稽で事件の深刻さがない。
だから、事件の内容にかかわらず謎解きに専念して読める。

 

人はどんなときにミステリーを読みたいと思うのだろう?
ミステリーの基本は謎を解くこと。謎を解くために、登場人物たちの言動の背後にあるものを想像しながら、彼らの心を推理する。
その作業をしながら読んでいると他のことは考えられない。ということは、そのとき何も考えないとも言える。その小説のこと以外は。
だからミステリーを読むときは、何も考えたくないときに読むといいのかもしれない、と個人的には思う。

 

秋の夜長にミステリーとはいうもので、女王クリスティーの作品も、長い夜を過ごすおともに入れてみてはいかがでしょう。

OMAR BOOKS 川端明美




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