『Tea―茶葉のことば』コーヒー派も一読の価値あり、思わず「お茶」したくなる一冊



サラ・スレイヴン + カール・ペッキイ 著 1,733円/OMAR BOOKS 


ダルマ王子、ディンブラ、龍井、カモミール、東方美人、カメリア・ネメシス。
これらに共通するものは何でしょう?


実は、全てお茶に関する言葉。


ダルマ王子は、お茶の樹から摘み取った葉を初めて口にした伝説の人物
(今でいうイケメンで、たくさんの女性を泣かせたらしい。それを改心して出会ったのが「お茶」というわけ)。
ディンブラ、龍井、カモミール、東方美人はお茶の名前。
この中の龍井、別名ドラゴン・ウェル・ロンジンなんてかっこいいと思うのですが、
他にも数えきれないほどの種類があるのは皆ご存じのはず。


ではカメリア・ネメシスは?
答え:お茶の学名です。


この『Tea―茶葉のことば』には、
こういった古今東西のお茶のエッセンスがぎゅっと詰まっている。
ライフスタイルや料理など、女性が喜ぶ本を多く出しているサンフランシスコの出版社・クロニクルブックスの、
今なおロングセラーの人気エスプレッソシリーズの中の一冊。
普段一度ならず何度も口にするお茶。その歴史は三千年にもなるという。
そんな日々身近にあるお茶について少し考えてみるのもまた面白い。
何かで読んだ本にこう書かれていた。


「烏龍茶はあまり多くの人と飲まないことが鉄則」


だそう。たしか、台湾の茶農家の人の言葉だったと思う。
ペットボトルで冷えたウーロン茶も別に悪くはないけれど、
お湯がシュンシュン沸いている側で、
誰かとじっくり向き合って飲むのが本当なのかもしれない。


人と人を繋げてくれるのもまたお茶の役割だったりする。
私たちはよく「お茶しよう」って使うけれど、
「お茶をする」って何?と考えると、つまりは、
一緒に時間を過ごさない?
ということ。
これに代わるものはなかなか思いつかない。
ご飯を食べよう、とか飲みに行こうとかだと何かちょっと違う気がする。
「お茶しよう」
いい言葉だなと思う。


またなんと言ってもこの本の魅力は「お茶」のイメージの持つ凛とした佇まい。
コンパクトなサイズ、
内容良し(ティーバッグの由来をこれで初めて知った)、
構成良し(小説の引用のセンスの良さ!)、
レシピ良し(アールグレイのショートブレッドの作り方!)、
写真良し(どのページもはずれがない)、
ディスプレイやプレゼントにも最適。


女ともだち数人でおいしいお菓子をわいわい食べながら紅茶を飲むのも楽しいし、
丁寧に入れた玉露でお客をもてなしたり、
本を片手に一人リラックスしてハーブティを飲むのも楽しみ方のほんの一部。。


まずはこの本を開いて時間や場所を超えたお茶をめぐる旅へ。
帰ってきたときにはきっといつものお茶との新しい出会いがあるはず。
コーヒー派にもぜひお薦めしたい本。



OMAR BOOKS 川端明美




OMAR BOOKS(オマーブックス)
blog:http://omar.exblog.jp/