RENEMIA(レネミア) 時代も土地もジャンルも超えて、全てがシームレスに繋がる場所

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RENEMIA

 

イラストレータMIREIの個展と聞いてやってきたのは、ギャラリーRENEMIA。だけどちょっと様子がおかしい。イラスト展のはずが、MIREIの作品と同列に並べられているのは、北欧の工業製品に沖縄の工芸品。

 

おまけにコーヒーの香りは漂ってくるし、皆、絵を鑑賞する、商品を吟味するというより、遊んでる…。

 

「ここは、一体何なんだ?」

 

疑問の答えは、運営者である金城博之さんの想いの中に。

 

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金城さんはこれまで商品パッケージや、企業のロゴといったグラフィックにデザインの仕事(関連記事:think of)を中心に活躍するだけでなく、日常使いしたくなる沖縄の工芸品を扱うショップ(関連記事:tituti OKINAWAN CRAFT)も運営し、沖縄のデザイン界を引っ張ってきた人だ。

 

「今まで『沖縄のため』とか『今後のこと』とか、難しいことを考えてデザインに関わってきたんです。でもやっぱり、それってなかなか難しいよねと感じて。それよりももっとミニマムな単位で、自分たちが素敵だと思うことをやっていれば、自ずと輪が広がっていくんじゃないかと。まずはそこに戻ろうと思ったんです。とにかくまず自分達の気持ちに素直になろうって」

 

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RENEMIAでは、金城さんが向き合った「自分の素直なきもち」の表れをいくつも拾うことができる。

 

最初に気づくのは、並べられている品々がどれも深い魅力を持っていることだ。作り手の心の入った工芸品や、数十年という長きに渡り愛され続けている工業製品は、美しさだけでなく機能性においても優れている。

 

「必要だと思っているのが、自分達がまずは欲しいというものを並べることですね。商業ベースから考えて、マーケティングして探していくという一般的なやりかたからは軸を変えていきたいなと。

 

沖縄の元々のものづくりも、たぶんそうじゃないですか。売ろうとして作ってたんじゃなくて、例えばくらしの道具として作っていたりして。それが自然と売り物になっていってという流れがあったと思うんです」

 

 

 

だが、沖縄の工芸に特化したいわけでも、今の新しい工芸にこだわりたいわけでもないという。

 

「外の空気も積極的に入れて行きたいんです。そのことが、沖縄の作家さんたちへのいい刺激にもなるんじゃないかとも思っているので。

 

それにプラス現代のものと対等に、古物なんかも紹介できたらと思っています。
沖縄の古い漆器とか見つけたらそれ置くとか。海外の工業製品とあえて沖縄の工芸品と並べたりね。時間と土地もミックスされて、それが同じテーブルに並べられてたら面白い。

 

あと、実際に仕事として取り組んできた商品も紹介していきます。月桃や黒糖、クチャなんていう、沖縄で昔から親しみのある素材を、今の暮らしにあわせた商品開発やデザインも行っていますので。そういうものもここで、お披露目できたらいいな」

 

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RENEMIAにしばらく身を置くと、その空間があらゆる方面にオープンであることを実感する。文字どおり屋外に対して開いたな広い間口。どんなものを展示しても違和感なく受け止めてくれそうな、ニュートラルオープンとでも呼びたくなるインテリア。これらも金城さんの気持ちが形になったものだ。

 

「場を作るなら、自分の好きなデザイナーの真喜志奈美さんにお願いして好きな空間になってとは考えていました。沖縄にいるけど違う場所にトリップできるような場が欲しいなと思ってて。

 

デザインは真喜志さんに一任しちゃって。キッチン置きたい、テーブルを畳めるようにしたい、1日だけレストランとか食事会が出来るようにしたいとか、そういうことだけ。ワークショップもしたいし、色んなことが出来る場にしたいというイメージだけを伝えたんです。

 

真喜志さんの魅力をこの場で1つだけ言うなら、素材の使い方。このテーブルも棚もベニヤなんですよ。ベニヤって1番素材的にはチープな感じがあるけど、素材を吟味し、使い方次第でこんなにも上質になります。経年変化を楽しめるステンレスを使ったりとか。素材と寸法とのバランス感覚がとても素敵なんです。

 

あとやっぱり、このロケーションと空間。いつもは気にしていなかったのに、テナント告知を知って、ここいいかも!って。間口が2つある、天井が高い、サッシが素敵、公園が目の前にある、大きなデイゴの木がある、桜並木がある、国際通りが近い、駅近い、拝所がある(笑)。最高だな~みたいな。一応ここ由緒ある場所なんですよ。大綱引きの旗頭が上がったり、300年前から沖縄角力(すもう)をとる場所だったり。

 

で、この公園には桜が咲くんです。でいごもあって、月桃が植えられてて。たぶん四季も感じるし、これも含めてRENEMIAとして考えたら、なんて魅力的なRENEMIAなんだろうって思います(笑)。

 

こんないい場所だから、コーヒーでも一杯って気分になるでしょ? だからコーヒーも出してますよ。打ち合わせするもよし、展示をゆっくり眺めるもよし、こちらからの制限みたいなものは、何もないです」

 

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2度訪れること無しには気づかないこともある。それは、金城さんの出会いを大切にしたいという気持ちだ。

 

「作家ものって、お客様からの注文があったからといって、同じものを大量に作るということには向いてないんですよ。でも、本人の心のあり方や環境やらのタイミングが合わさってなのか、すごく面白いものを作ったりすることがある。そういうものを上手く紡いで、その瞬間瞬間がここにあるようにしたいんです。物にも鮮度があって、『3個売れたらもうありません』的な感じでもいいんじゃないかなって。

 

ワークショップも色々企画していて、花のアレンジメントやけしごむハンコのワークショップなんかも考えています。MIREI企画のものもきっと沢山やっていく。彼女はアイディアが無尽蔵なんで(笑)。

 

あと、スタッフにも出会ってほしい(笑)。これは自慢になっちゃうけど、お客様からの『凄く親切にしてくれてありがとう』っていう声が多いんです。『ここまでするの?』ってびっくりされるみたいで。でもね、彼女たちは普通にやってるんですよ。これはきっと沖縄ホスピタリティだと僕は思っているので、ぜひ出会ってほしいです(笑)」

 

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金城さんの「自分の素直なきもち」から生まれたRENEMIAは、ギャラリーでもあり、ショップでもあり、カフェでもあり、ときにはレストランにもなる。

 

店としてのカテゴリーも、空間としての用途も、時代も土地も何も区切らないのがRENEMIA流。

 

観光客の溢れる国際通り脇にこんな面白い空間、間違いなく新名所となる。

 

文 山城梓

 

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RENEMIA(レネミア)
沖縄県那覇市牧志2-7-15
098-866-2501
open 14:00〜19:00
close 水曜日

 

http://www.renemia.com