ジャムと写真。家族が生み出すしあわせの空間。

いがらしろみ
 
「ろみさんのジャムはね、ジャムっていうよりなんだか果物っぽいの。フレッシュなの。それだけでデザートになるくらい存在感があるの!」
 
いがらしろみさんのスコーン&ジャム教室に参加した女性は、「romi-unie confiture(ロミ・ユニ コンフィチュール)」のおいしいジャムやお菓子が詰まった袋を両手に抱えながら、嬉しそうに話してくれた。
 
「ろみさんレシピってね、ひとつひとつのこだわりにちゃんと理由があるの。だから納得して実践できるんだよね」
 
例えば、ジャム作りに使う砂糖はグラニュー糖。
「グラニュー糖は主張し過ぎないので、果物の甘さがすっきりと引き立つからだよ」
 
入れる砂糖の量はすこし多めだ。
「最近は砂糖控えめなレシピも多いけれど、あまり少なくすると果物の味が引き立たないし、瑞々しさも出ないんだって」
 
長時間弱火で煮詰めるのではなく、強火で15~20分一気に加熱する。
「長時間煮詰めちゃうと果物のフレッシュ感が失われてしまうそう。お話してる間にできちゃったよ」
 
そして何より彼女が興奮して話してくれたのは、ジャムを入れる瓶を煮沸消毒する必要がないということ!
「自分でもよくジャムを作ってるんだけど、容器を煮沸するのが億劫で億劫で…。ろみさん曰く、瓶は綺麗に洗って乾燥させておき、できたてのアツアツジャムを入れれば大丈夫とのこと。蓋をして一分間逆さまにしておけば蓋の部分も殺菌できる。
これ聞いてもう、目の前がぱ〜〜〜っと明るくなっちゃったよ(笑)」
 
いがらしろみ
 
いがらしろみ
 
「おいしくなること」をゴールとして作られたろみさんのお菓子やジャム。
それを口にして笑顔にならない人はきっといないだろう。
できることなら友だちや家族、自分の大切な人と、素敵な場所でその時間を共有したい。そして、みんなの笑顔を写真に残せたなら…。
 
そんな想いをすべて実現してしまう、素敵なイベントが開かれた。
 
みやんち
 
みやんち
 
お菓子研究家・いがらしろみさんが、アフタヌーンティーセットをプロデュース。それを食べるおいしい笑顔を、写真家・中川正子さんが写真におさめるという、なんとも贅沢なイベント。開催場所は東海岸を望む沖縄市のカフェ「みやんち」だ。
 

みやんち
 
今回ろみさんが「おいしい笑顔を生み出すように」と用意したのは、romi-unie confiture のジャム3種類とクロテッドクリーム(イギリスでスコーンとともに食されるクリーム)、ろみさんレシピで作ったスコーン、「みやんち」で提供されているミートカラソバ、絶品の豆乳ドレッシングのやんばる野菜のサラダと盛りだくさんのセット。
 
ジャムは、スコーンとの相性を考えて甘さ控えめにつくられたParis(フランボワーズのジャム キルシュの香り)、Le Var(いちじくのジャム オーガニック)、Bretagne(キャラメルと発酵バターとゲラントの塩)など10種類の中から選べる贅沢さ。
 
「どんな味なんだろう?」「どれもおいしそうで迷う〜!」という声もちらほら。
 
いがらしろみ
 
いがらしろみ
 
そして、販売用にもアニヴェルセール(いちごとフランボワーズ)、コント・ド・プランタン(いちごとミントと黒こしょう)、リュクス(アプリコットとバニラ)など、春の新作ジャムを10種類。
 
ろみさんのジャムは、素材の組み合わせがユニークなことも魅力のひとつ。
いちごとミントと黒こしょうなんて、一体どんな味わいなんだろう?
甘い? ピリ辛? それともスッキリ爽やか系?
想像がふくらむのです。
 
焼き菓子も、バターガレットにショートブレッド、メランジェを(焼き菓子は残りわずか!)。
 
こちらは29日までみやんちにて引き続き販売されるそうなので、まだの方はお早めに。
 
いがらしろみ
 
みやんち
 
家族と一緒においしいものを食べていたら、だれだって笑顔がこぼれてしまう。
そんな瞬間を「心を込め、被写体と心を合わせて」撮影するという中川さんが逃さずに捉える。
中川さんは不思議なくらいにするすると家族の輪の中に入り込んでいって、まるでその一員のように自分も笑顔になって、シャッターを切っていた。
 
みやんち
 
自身も一児の母である中川さんは、子どもたちとの接し方も自然で優しい。
カメラに興味津々な女の子が、撮影の最中にカメラの液晶をのぞき込もうとやって来た。
「ちょっと待っててね」と諭して脇によけて撮るのかと思いきや、ふわりと懐に引き寄せ、女の子を後ろから抱きすくめるようにしながらパシャパシャ。
 
みやんち
 
「写真って被写体だけを写しとるものではないと私は思うんです」と、中川さんは語る。
 
「被写体への思いや、撮るひとの感情、その瞬間に流れていた雰囲気、撮影するまでのプロセスごと私は閉じ込めたい。
だからこそ、本当においしいものを食べて生まれた本当の笑顔と、その時間を閉じ込めたかったんです。
 
おいしくないものを食べても『笑って〜』と言えば笑顔は作れます。でもそれはやっぱり、本当においしいものを食べたときの笑顔とは違うんですよね。
そういう意味でも、ろみちゃんのジャムやお菓子のおかげで素敵な笑顔がたくさん撮れたと思います。
 
それと、写真を口実に家族同士がいつもよりひっつける、っていうのもいいですよね。
小学生ともなるとちょっと反抗心が芽生え始めて『えー、俺はいいよ〜』なんて言う子も出てくるでしょ。本当はそんなことないんだよね、一緒に撮りたいんだよね。こういうイベントだと『しょうがないなー』なんて言いながらもひっついてくれる。そういうのって良いじゃない」
 
みやんち
 
みやんち
 
「今日のこの場所には、笑顔しかありませんでした」
イベントを企画した長岡文子さんのことばが、すべてをものがたっていたように思う。
 
「みやんち」のコーディネーターであり、THE BOOMのマネージャーを長年つとめ音楽業界で活躍している長岡文子さんにとっては、初めて試みる音楽以外のイベント。お菓子と写真という異なるものをひとつのイベントにまとめることができるか、不安もあったそうだ。でもそれは杞憂に終わったようだ。それぞれが見事に融合し、混ざり合い、たくさんの笑顔を生み出したのだから。
 
「みんな笑顔で本当によかったー」と話すろみさんの目にはうっすらと光るものが。それだけ、気持ちのこもったイベントだったに違いない。
 
みやんち
いがらしろみさん、中川正子さん、長岡文子さん(左から)
 
イベント終了後、どこかほっとした表情でおしゃべりをする3人はまるで姉妹のように仲睦まじい。
 
「沖縄にはずっとご縁がなかったんだけど、あやちゃん(長岡さん)のおかげで今年だけで5回も沖縄に来ちゃった(笑) 」
 
と嬉しそうなろみさん。
沖縄のお菓子に対する印象を、次のように続けた。
 
「沖縄ってアメリカナイズされたお菓子が多いでしょう? 市場に並ぶアップルパイの山を見てびっくりしちゃった! 沖縄と言えばサーターアンダーギーというイメージだったから。
個人的には Jimmy(ジミー)のスーパークッキーもおすすめ。あれ、おいしいのよね〜。私にとっては沖縄土産の定番、鎌倉のスタッフへよく買って帰ってるよ」
 
「沖縄の食べ物文化って独特で、すごく素敵だよね。今夜の夕飯は沖縄料理屋さん、押さえてあるよ」
と、長岡さんもにんまり。
 
そんな二人を微笑ましそうに見守っていた中川さんがぽつり。
「この二人のおいしいものに対する熱意はすごいのよ。 昨日だってね、ろみちゃんがわざわざ糸満のカステラかまぼこを買って来て…」
 
「そうそう、私『イナムドゥチ』作ったんですよ、初めて! それがすごくおいしくできちゃって」
と言うろみさんは、すっかり沖縄ライフを満喫している様子。
 
 
 
1月、4月と沖縄でのイベントは大好評のうちに終了、次は夏だ。
 
「沖縄の夏のフルーツを使ったジャムやお菓子を作りたいよね」
と、ろみさん。
 
「それいいね〜。話、詰めていかなきゃ!」
と、長岡さん。
 

ろみさんがうみだす「おいしいもの」が、どんな「しあわせ」のカタチを見せてくれるのか今からとても楽しみだ。
きっとまた、そこにはたくさんの笑顔があふれるのだろう。
次回の開催もお見逃しなく。
 
 
みやんち STUDIO&COFFEE

沖縄県沖縄市与儀1丁目29番22号
TEL:098-923-1382
営業時間:11時~17時(定休日・毎週火・水曜日)
駐車場10台