「アロマテラピーというと鼻で嗅ぐもの、いい香りに癒されるものってイメージがまだまだ強いんですけど、頭痛や肌荒れなんかにもアロマはお役に立てるんです。それにはマッサージでアロマの力を体感してもらうのが一番いい。そのためにスパも立ち上げたんです」
アロマの恵みを最大限まで受け取れる方法。それはアロマオイルを使ったマッサージなのだとスパペタルーナの店長、麻生理恵さんはいう。
「アロマオイルの進入経路は多い方がいいですからね。鼻からだけじゃなく、肌に塗ってマッサージして、毛穴という毛穴から取りこんだ方が成分の浸透率も高くなりますから。ただ、アロマオイルは単体で肌に直接塗るのじゃなく、植物性のキャリアオイルに数滴混ぜる形で使うんですが、高品質なキャリアオイルを選ばないと、ちゃんと肌に浸透しないんですよ。よくオイルというと、沖縄では特に『こんな暑いのに、オイルなんてベタベタしそう…』って初め警戒されるんですが、キャリアオイルなら全然ベタつかないんですよ。市販のベビーオイルとかは肌の表面に膜を張るだけなんですけど、キャリアオイルはサラッと肌の内側に入って、アロマの成分を届けてくれるんです」
アロマの力をあやまたず身体に届けるためには、アロマオイルとマッサージオイルの品質がカギとなるが、麻生さんはこの2つの質の高さに何よりの自信を見せる。
「アロマオイルもピンキリで、それこそ100円ショップにもそれっぽいものありますよね。だけど、よく見ると人工香料が入っていたり、天然ものでも農薬や化学肥料が使われていて、肌に触れるのに大丈夫なのかな?ってものも正直あります。こちらのスパで使うオイルは、アロマオイルとマッサージオイルどちらもオーガニックです。オーガニックもまた色々あるんですが、ここのオーガニックは、世界で最も厳しいといわれるオーストラリアのACO(Australian Certified Organic)の設けた基準をクリアしてます。たとえば、ただ農薬不使用というだけじゃなくて、その畑の半径1.5キロメートルも農薬不使用の土地であることとか他にもすごく細かいチェック項目があるんですよ。それに、自分たちでオーストラリアから直接仕入れているので、安全性はもちろんのこと、『上等のアロマオイル使う割にはリーズナブルよね』と言われるようなメリットもあります」
そしてスパペタルーナでは安心して使えるオーガニックアロマオイルの中から、その日の体調や気分に合わせて、自分のためだけのマッサージオイルを調合してもらうことができるのだ。
「こちらには今、お馴染みのラベンダーやティーツリーから、月桃やシークヮーサーなど沖縄素材のものまで、約20種類のアロマオイルがあるんですが、この中から、その方に合ったアロマオイルを調合していきます。『肩凝りが…』という方にはローズマリーやマジョラム、『PMSかも…』という方にはイランイランやゼラニウムとかを実際に嗅いでいただいて、『この香りピンときますか? どんなですか?』とか色々聞いていきながらですね。特にお悩みではないけどリラックスしたいと言う方には、好きな香りかどうかで決めていただいたりします。よく自分が今食べたいものが今の自分に足りてない栄養素だとか言いますよね、それと一緒で、好きな香りが自分に必要な香りとも言えるので、好き嫌いで選んでもいいんです」
自分だけのスペシャルなオイルができあがったら、アロママッサージのはじまりはじまり。このマッサージの技法にも大きな特長があるという。
「アロマのマッサージというと、ひたすら撫であげるようなソフトタッチのところが多いんです。でも、こちらではスウェディッシュというマッサージを採っていて、しっかり揉みこむところは揉みこむ、優しくリンパを流すところは流すという緩急つけた手技でやってます。痩身の要素も入ってますね。やっぱり日本人は首や肩が凝り固まってて、『撫でられるだけじゃ物足りない…』という方も多いので、そこはじっくりほぐすんですけど、『整体来たみたいにしっかりだけどアロマの香りもあるから、なお良いね~』と喜ばれますね。もちろん強くしすぎると揉み返しが出てしまったりするので、筋肉や可動域、身体の状態に合わせたアプローチができるスウェディッシュ、いいんですよ。それに、これを機械使わずにオールハンドで行なうので、肌と肌で癒される部分も大きいと思います」
それぞれのアロマの力に相乗効果をもたらすのが、麻生さんの熟練した手技だ。長年の経験と鋭い観察眼がそれを可能にしている。
「元々私はエステにいて、その頃と合わせたら10年ぐらい人に触る仕事してますし、もう何百人になりますかね。その経験から、いろんな身体に合わせたマッサージができるのが強みだと思ってます。もう見ただけで分かる部分もあるんですよ。お顔が少しうつむきがちだけどデスクワークかなとか。なんだか職業病になってますけど、スタッフ見ても『あれ? 今日骨盤の位置違わない?』とか気になったりして、『えぇっ、昨日いつもと違うストレッチしたんですけど、そんなの分かるんですか?!』って驚かれたりね(笑)。エスカレーター乗ってても、前のおねえさんの左右の歪みがキツそうで心配になっちゃったりもするんです。一人一人を見て、触って、その人に合わせた痛いの痛いの飛んでけー!をする感覚でマッサージしていますね。お客さんが、『手そのものが遠赤外線みたいだね、温かいし』とか、漫画のワンピースにニコロビンっていう、千手観音みたいなキャラがいるんですけど、『ニコロビンだわ(笑) たくさんの手でマッサージされてるみたい』なんて喜ばれるのが嬉しいです」
スパペタルーナの属するアロマショップペタルーナの始まりは、代表の伊藤さんがアロマの持つ力に魅せられ、自らアロマを広めたいと願ったこと。麻生さんも、そんな想いに共感し、集まってきたひとりだ。
「私はアトピー持ちで、首元がバリバリになってしまった時もありますし、不眠とか若年性の更年期のような症状に悩まされたこともあるんですが、そういった心身の不調をアロマで救いあげてもらったんですよね。頭がズキズキする時でも、こめかみにラベンダーをちょんちょんって塗るだけでラクになった!とか色々。そういう驚きからアロマにとりつかれちゃって、エステからアロマの世界に移ってきたんです。アロマを活かせる場所、さらにオーガニックで私でも安心して使えるアロマオイルを扱うこのお店で働きたいとなって。今はお客さんにも、『私もアトピーですけど、全身に出てきちゃった時はラベンダーも良かったですよ』とか『人前でも急に汗かいちゃうから、辛いですよね』とか共感をもってお話ができますし、これこそ天職じゃないかなと思ってます」
アロマをもっと身近に。その想いからペタルーナが生まれ、スパペタルーナが生まれた。想いはどんどん形をとって、進化していく。
「それで初めは、普通にアロマオイルと、その関連のスキンケアの商品をお店に並べていたんですけど、これだけじゃ伝えきれないとなって。まずはお店の一角に、併設する感じでスパを持ったんですよ。アロマオイルを買われた方にトリートメントして、『アロマはディフューザーで焚くだけじゃなくて、こんな風にマッサージで使うとさらに効果的ですよー』ってレクチャーする感じで。でも、それが人気で、どんどん予約が取れなくなってきてしまったので、いっそもうスパはスパで、ベッドの台数も増やしてアロマショップから独立したスペースですることにしたんです。他にも、保育園や児童館でワークショップしたり、アロマオイルから派生した商品を開発したり、私たちでどんどん打って出て、アロマの良さを発信していけたらって」
ひとりでも多くの人にアロマの力を伝えるための試みの数々。2016年6月にスタートしたマタニティ専用のスパもそのひとつだ。
「おなか重たくて、心身とも大変な妊娠中こそ、リラックスする時間が必要なのに、妊婦さんがマッサージ受けられる場所って少ないんですよ。特に沖縄は少ないらしくて、ここもネット検索して探し当てて来てくださる方が多いんです。実際、妊婦さんには避けた方がいいアロマオイルもありますし、マッサージする部位など気を配るべきことは多いんですけど、そこを抑えた上でリラクゼーションを提供できたらと。妊婦さんでも足のむくみや肩はしっかりマッサージしても大丈夫な場合が多いので、じっくりほぐしていくと、『もう全身ガッチガチだったけど、肩やってもらうだけでもラクになった~』って喜んでいただけますね」
特別なごほうびではなく、健やかな暮らしのためのお供としてアロマを取り入れてほしい。麻生さんたちはそう願いながら、今日もアロマで、手技で、ひとを救い続ける。
「少し前ですけど、70代のおばあちゃんがいらっしゃったんです。『今までリラクゼーションなんて来たことないんだけど、家族にチケットプレゼントされたから…』って。それで、アロマトリートメントが終わった時に、『はー、人に触ってもらうって気持ちまでほぐれるねぇ、世の中にはこんなに自分を大事にする方法あるんだねぇ』って溜息を漏らされて。全くその通りなんですけど、やっぱり皆さん何かと忙しくて、病気した時にやっと、大事にできてなかった自分に気づかされたりしますよね。そうなってしまう前に、アロマにできることがたくさんあるはず。こちらのスパも特別な時のご褒美じゃなくて、病院や薬局に駆けこむ前に、なんか心身ともイマイチだし、ちょっとアロママッサージ寄っておこうかなみたいな、身近な存在でいられたらと思います」
organic spa petaluna(オーガニックスパ ペタルーナ)
那覇市天久1-26-4 ハピネス新都心601 ※ペタルーナ新都心本店隣
時間 10:00〜19:00
電話 098-866-3340
メール spa@petaluna.com