BALL DONUT PARK(ボールドーナツパーク)レモンひたひたで出会う、さっぱりふんわりドーナツ

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ポップな可愛さに思わず歓声を上げる。小さなボールのドーナツが積まれたお皿。それにレモンを力一杯絞れば、爽やかドーナツのできあがり。もっちりした食感はそのままに、フレッシュな酸味がからんだことで、ポンポンッと弾むようにおなかに入っていってしまう。

 

「可愛さも大事ですけど、サクッ、フワッ、モチッがひとくちで味わえる形と大きさっていうのも大事なんです。お客さんから、『予想より断然美味しいね~』とか『見た目だけの見かけ倒しかと思ったけど、味も本気だし!』とか言われたんですけど、意外に実力派なんですよ。特に私たち、粉は得意なので」

 

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ボールドーナツパーク那覇店のマネージャー、仲田早織さんはこのドーナツの魅力を、生地からくるものだと念を押す。それもそのはず、ここは沖縄県民ならば誰もが知る老舗、沖縄製粉が手がけたお店なのだ。

 

「私たちの会社は小麦粉関連の製造が約9割で、元々ドーナツの粉も作ってはいたんです。卸し販売が中心ですが、毎年、奥武山公園で開かれる産業祭ではボールドーナツの元になるものを出していて好評だったので、今回お店として展開することにしたんです。普通のドーナツは、小麦粉とベーキングパウダー、卵、砂糖、水のみですけど、うちはさらにタピオカのでんぷんやバターミルクパウダーも生地に練りこんであります。食感が柔らかくなってモチモチっとしますし、甘い風味が良い具合にほんのり香るんですよ」

 

 

そこで、仲田さんは打ち明けるように続ける。

 

「…とはいえ、ドーナツはやっぱり揚げたてが一番美味しいのはもう間違いないです。時間経っちゃった時より100倍は美味しいので、テイクアウトの方にも1コは揚げたてを試食していただくようにしてます。それに、生クリームがのったドーナツをテイクアウトされる場合は、生クリームは別容器に分ける形にして、食べる直前にかけていただくんです。もうできる限り、揚げたてのサクサクッとした食感を守りたいと思って」

 

ドーナツに付いてまわる油っぽさを極力消し、ふんわりもっちりに仕上げたドーナツ。このドーナツにまぶされる砂糖もまた、選び抜かれたものだ。

 

「素焚糖といって、奄美諸島のサトウキビだけ使ったものです。上白糖や三温糖よりもミネラルを壊さない方法で作られてて、優しい甘みがしますよ。黒糖よりクセもないですし。いろいろ試作品を作ったんですけど、これは自然な甘さだったのと、粒度が決め手ですね。粒がとても細かいのでドーナツによくからんでくれるのも良くって。これは、食事系のドーナツ『タコスボール』以外には全て使っています」

 

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ドーナツという土台がしっかりしているからこそ、さまざまなトッピングも映える。トッピングはレモンをかけて味わうシンプルなものから、季節のフルーツをとりいれたもの、そしてタコスなどの食事系まで幅広い。そして、これらに共通するのは遊び心だ。

 

「一番人気のトッピングは『レモン&シュガー』なんですけど、レモンもちょっとスライスしただけのじゃつまらないから、どかっと半個つけます。『ひたひたになるぐらいまで絞ってもOKです!』って。新しい食感を味わってください。私たちは無難なことはしたくないし、いたるところから楽しんでほしいんですよ。トッピングにもそれを出していて、ハロウィンやクリスマスにちなんだ旬のものも登場するし、和風の『きなこ&黒蜜』なんていうものもあって、ドーナツって、こんなに広がるの?と面白がってもらえたら嬉しいですね。あと、私たちはバスケットボールチームの琉球キングスのホームゲームにも出店しているんですが、その時はメニューの名前も、『アリウープ』とか『ダンク』って技の名前にちなんだものにしてるんです」

 

 

 

そして、足を踏み入れた瞬間に気づく、店内のセンスの良さ。紙コップやナプキンにまでも可愛いイラストが描かれ、細かな部分から凝って作りこまれていることがうかがえる。

 

「イラストはタイのイラストレーターさんにお願いしていて、こういう可愛いイラストとちょっと武骨なインダストリアル系のカウンターを同じ空間に入れてバランスをとっています。沖縄には、どちらかといえばナチュラルテイストのカフェや雑貨屋さんが多いので、こういう雰囲気は新しくて面白いかなって。実際にお店で、『いちいち可愛いよね~』とか『電球の並び方まで可愛いんだけど!』なんてはしゃいでるお客さんを見ると嬉しいです。何回か来てくれていたお客さんが、『この場所で働きたい!』ってスタッフになってくれることもあって」

 

 

ドーナツだけでなく、お店で過ごす時間までもが気分を高揚させてくれる。その背景には、仲田さんのこんな想いがある。

 

「美味しいドーナツだけじゃなく、空間込みで楽しんでほしいという気持ちがあったんです。私自身、ドーナツのお店を始める前から、沖縄にももっとおしゃれで、お店にいる時からテンションアガっちゃうようなスイーツがあればいいのにと思っていて。スタバみたいに、コーヒーそのもの以上に場所が果たす役割が大きいお店を目指したいですね。なので、ドリンクだけでも楽しめるように、コーヒーの他にも酵素ジュースやハートランドビールなども置いて充実させました」

 

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ボールドーナツパークが2014年8月にオープンして1年あまり。既に国際通りではここのドーナツを片手に歩く人々の姿を多く見かける。そしてこれからも、味覚もテンションも弾ませてくれるドーナツへの期待が止まらない。

 

「砂辺にある2号店で出してる食事系ドーナツが好評なので、こちらも地域性に富んだメニューを増やそうかなと考えています。いずれトッピングはもっと遊んでしまって、お客さんが細かくチョイスして、色々組み合わせたりできるようにしても面白いかもしれないですね。スタッフ全員でアイデアを出して、いたるところから楽しんでもらいたいですね」

 

文/石黒万祐子(編集部)

写真/金城夕奈(編集部)

 

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BALL DONUT PARK 那覇店
OPEN 11:00 ~ 21:00
那覇市牧志1-1-39 STEPビル 1F
098-988-9249
無休
HP http://www.balldonutpark.com

 

BALL DONUT PARK 砂辺店
OPEN 8:00~16:00
中頭郡北谷町宮城2-46 ホテルサンセットアメリカン 1F
098-936-2123
close 水曜