GROWTHRING FACTORY(グロースリングファクトリー)家具は快適にくらすための道具。ストレスを与えないデザインを

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「使っていてストレスがかからない家具を目指しています。
僕は、快適にくらすための道具として家具を捉えているんです」
 
店内に置かれたダイニングテーブルには、一見してわからない工夫が随所に施されている。
 
テーブルの幕板は、脚を組んでも当たらない厚さに設定。
「食事をとるスペースを1人分40~50センチ、余裕をもってプラス20センチとっています」
と、オーナーの當眞嗣尚さんは語る。
 
テーブルの脚につけた角度にもこだわりが。
「脚の角度によっては、天板から脚の下部がはみ出してしまうことも。そうなると、テーブルの周りを歩いた時に足の指が当たることもあります。使う方の動線を考え、最も使いやすい角度を導き出しました」

 
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天板の厚みにも仕掛けがある。
「天板の裏側を縁に向かって斜めに切り出しているので、実際の厚さは3センチあるんですが、縁の部分は15ミリしかないんです。タイトなフォルムにしたいけれど強度は保ちたい。それでこの形に」
 
全体的な大きさもしっかり計算されている。
「六畳一間のスペースに置いても圧迫感が出ないようにしました。『上等=大きい』じゃないと僕は思うんです」
 
重量も、ダイニングテーブルとしては驚くほど軽い。
「気軽に動かせますから、掃除もしやすいんです。どっしりしたテーブルにはまた別のよさがありますが、掃除のストレスを軽減したくて。
どの家具を作るときもそうですが『こうなったらラクだなー』という願望を叶えられるように心がけています」
 
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GROWTHRING FACTORY(グロースリングファクトリー)の家具はいずれも、個人の身長や体格、家族構成などによってサイズもデザインも決められる、フルオーダーメイドが可能だ。
 
「店に置いている家具を参考に、『この椅子の背をもう少し高くしたいな』とか『テーブルの脚を折り畳めるようにできる?』というように、お客様の要望をとりいれてオリジナルを作ることも多いです」
 
自分の家にどんな家具が合うのかわからない、寸法が決まらないという場合は自宅まで出向くことも。
 
「実際の空間を拝見してから、サイズやデザインを決めることもできます」
 
店に訪れる人の年齢層が幅広いように、家具が置かれる空間もさまざまだと言う。
 
「20代〜60、70代とお客さまの年齢層は幅広いのですが、一人暮らしでもインテリアをあきらめてほしくなくて。空間とのバランスには注意を払ってデザインしています」
 
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家具をデザインする際、當眞さんが特に注意を払う箇所がある。
 
「脚の見た目です。家具の見栄えを左右する、最も重要な部分だと思うんです。
太さが5ミリ違うだけで、全体的な見た目がガラリと変わってしまう」
 
普段は南城市にある工房で制作に携わっている當眞さんは、いかにも職人気質なこだわりをよどみなく語ってくれたが、家具職人の道を選んだ時期は早くはなかった。
 
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「県内の工房で修業を始めたのが28歳のとき。
それまでは色々な職業を転々としていました。
もともとインテリアが好きだったので、『どうせなら自分で作りたい』と思うようになって」
 
当初から独立を視野に入れており、自分の店に対するイメージもあったと言う。
 
「アメリカ家具が好きだったので、そういう雰囲気を持った家具を作りたいと思っていました。
また、家具のリメイクにも興味があったんです」
 
修業を終えて2008年2月に独立、与儀に店舗を構えた。
 
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鍋敷きやまな板といったキッチンツールも。
 
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當眞さんは家具の製作だけでなく、修理やお直し、リメイクもおこなってる。
他店で購入した家具の修理も、喜んで引き受けていると言う。
 
「どこで買ったかは関係ありません。
色や素材を変えたり、壊れた部分を直したり。
また、古くなったダイニングテーブルを小さな椅子に作り変えたりと、家具の種類そのものを変えることも可能です」
 
長く大事に使ってほしい。
家具に詰まった思い出を手放さないで欲しい。
そんな気持ちの表れだろう。
 
こだわりが強く、家具に対しては妥協しない姿勢が伺えるが、當眞さん自身はとても柔らかい人だ。
笑顔を絶やさぬ素朴な人柄は多くの人をひきつけるらしく、友人らと企画した合同展示会が行われていた取材当日も、多くの人で賑わっていた。
 
BROOKFIELD
「枠にとらわれない、異業種同士の合同展示会って面白いんじゃないかという話になって。當眞さんの活動は周囲も巻き込んでますよ」とBROOKFIELD代表のカズマさん。
 
double'h
「女性が着てもかっこいいユニセックスのワーク系アイテムを作っています。今日はそれぞれの店のお客様がいらしているので初めてお会いする方も。すごくいい機会になりました」と、double’h(ダブルエイチ)の比嘉さん。
 
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GROWTHRING FACTORY代表・當眞さん
 
「娘に勧められて」「友だちの紹介で」と来店する人が多い。
機能性と美しさを兼ね備えた家具と、當眞さんの実直な仕事ぶりの評判が口コミで広がっているのだ。
 
「人生において楽しむことを何より大切にしているので、これからも楽しい気持ちで家具を作っていけたらと思っています。
合同展示会もまたぜひやりたいですね。
普段は家具ばかりが置かれているこの店に、洋服やバッグが置かれていると、本当に誰かの家みたいじゃないですか?
そういう自然な空間で自分たちが作ったものを見ていただくと、お客様もより楽しめる気がして」
 
楽しさは外せないという當眞さんのこだわりが、関係するたくさんの人々を幸せにしている。
 

写真・文 中井 雅代

 
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GROWTHRING FACTORY
那覇市与儀1-8-15-1F
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