「ものの持つ時間」

 

時間を経たものには、どこか特別な存在感があるように思う。

 

たとえば、本。
ページをめくるたびに、古い匂いがする。
ところどころに鉛筆で線がひかれていて、それはいつか誰かが胸を打った言葉だったり大切にしたいと思う言葉だったりする。

 

その線をみるたびに、胸の奥が暖かくなる。

 

 

たとえば、器。
無数にちりばめられた小さな傷や色の変化、いつか、だれかがこの器で生活をしていた足跡に思えてくる。
貫入や、ひび割れ、染み。
どれをとっても愛おしくなるような足跡だ。

 

 

たとえば、服。
100年前にどこかの国で仕立てられたお洋服。
いろいろな生地でつぎはぎされていて、日常の中で長いこと大切に育まれてきた美しさがある。

 

炊事洗濯、子供のお世話、道端で四方山話、にぎやかな街へのおでかけ、この服を着て泣いたり笑ったり楽しんだりをしていた誰かがいるのだろう。

 

ものたちが経てきた時間の中には、様々な物語がきっとあって、手に取る私の想像は限りなく豊かに膨らみだす。

 

 

アンティークやヴィンテージに限らず、わたしたちの暮らしの中にはものと育む時間が常に存在している。

 

「育てること」

 

これは、手にした人だけの特別なもので、いつもわたしたちの暮らしのなかにある。
その価値や物語が、使うたびに育っていく喜びがある。

 

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ARTS&SCIENCEのbox shoulder nubuckで作られた鞄。
ヌバックはバックスキン(裏革)とは違って表革を起毛処理したものでバッグスキンよりも手触りが滑らかなのが特徴だ。使う時間が長くなると独特の光沢が出てくる。

 

わたしが使っている鞄と、新しい鞄。

 

マットな質感で、女性的な形ながらかっこよさがある。
ARTS&SCIENCEらしい、職人気質でうなってしまうようなかっこよさ。

 

 

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新しいものには凛とした美しさがある。

 

 

使っていると摩擦した部分に少しづつ艶がでて、色に深みも増してくる。

 

 

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マットな部分も残しつつ、素材の質感に少しずつ味わいが出てくるのが使っていてとても楽しい。
小さな傷ができるたびに足跡ができたような気持ちになって、わたしだけのものと思わず顔がほころんでしまう。

 

 

 

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いつどの時についた足跡なのかは思い出せないけれど、わたしはこのバッグを持っていろいろなところへ行ったのだ。友人と遊びに行ったお店やカフェ、旅行中の街並み。そんな景色が浮かんでくるような愛おしい足跡たち。

 

 

このバッグは本当に使いやすくて、それに持っているとかっこよく見えるから手にするだけで嬉しくなる。

 

シルクのお洋服にも、厚手のニットやコート、パリッとしたシャツ、Tシャツにゆるめのパンツの時にも、とにかく日常で大活躍している。

 

 

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こちらはARTS&SCIENCEの定番生地のcotton linen oxで仕立てられたFront tuck pullover shirt。
クラシカルなブラウスに、humoresque(ユーモレスク)のカシミアのニットレギンス、forme(フォルメ)のbaby carfで作られた靴と。

 

 

シャツのフロントタックが全体を引き締めてくれて、素材の柔らかさが女性らしさをつくりだしてくれる。

 

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cotton linen oxの生地は、ラベンダー色の糸を使って織られていてヴィンテージのお洋服に見られる味わい深い白が再現されている。

 

何度も着て、洗って、しなやかに育っていく生地にはこれからの楽しみがぎゅっとつまっているような気がしませんか?
それから、季節を問わない素材は年中着れるのが頼もしいのです。

 

 

 

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わたしの私物、4年以上何度も何度も着て洗ってを繰り返しているARTS&SCIENCEのcotton linen oxのブラウス。

 

色も少しずつ味わいを増して、柔らかくしなやかにすくすくと生地が育っている。

 

買ったときのときめきも、とても幸せなもの。
そして何度も着て柔らかくくったりと育ったいまの肌触りは、あの頃よりさらに愛おしいものへと変化している。

 

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サイズ3とオーバーサイズのものだったので、以前自分の腕に合わせて袖元を少しお直ししてもらった。

 

こうやってその時の自分にフィットするように調整することは愛おしさも増し、着こなす楽しみのひとつだと思っている。

 

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Shoka:へ新しいブランドが仲間入り。

 

「forme ー フォルメ」

 

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履き心地が良く長く愛せる靴にという願いが込められていて、日本人の足に合うようにと細やかな気遣いや愛情が感じられる。

 

そして革本来の良さを大切にされていることが、靴をみていると伝わってくるのだ。

 

 

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ドレスシューズには、日常に華やかさを添えてくれるような存在感がある。

 

特別な高揚感や、喜びを感じることができるように思う。

 

 

 

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マットな質感のIncal horseの靴、ベジタブルタンニンにより鞣された馬革にロウを浸透させたもの。

 

履いていくことで、少しずつ深い黒になって、良い艶がでてくるそう。

 

 

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ソールはどちらもグッドイヤー製法でつくられていて、すこし硬い。
ボリュームもあるけれど中にコルクが入っていて、ゆっくりと時間をかけて自分の足に馴染んでくるという特徴がある。

 

 

まさに時間をかけて育てる靴。

 

お手入れの一手間も、きっと愛おしい時間に違いない。

 

さらさらぴかぴかの新しいときめきをめいっぱい楽しんだ後は、じっくりゆっくりと時間をかけて自分にフィットしてくれるだろう喜びがこの一足につまっている。

 

ものと過ごす時間のなかには、「もの」と「わたし」で作ってゆく時別な時間が存在する。

 

 

 

みなさまにとってのマイヴィンテージになるような、素敵なものをみつけることができるとわたしたちもとても嬉しいです。

 

沖縄はうりずんの季節、若葉や草花が豊かに庭を彩ってくれています。
そして、各ブランドから素敵なお洋服や鞄が芽吹きはじめました。

 

お時間がある方は、ぜひ比屋根の丘の上へ遊びにいらしてくださいね。

 

 

 

写真・文  桑田 さやか

 

 

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暮らしを楽しむものとこと
Shoka:
http://shoka-wind.com
 

 

 
沖縄市比屋根6-13-6
098-932-0791(火曜定休)
営業時間 12:30~18:00
info@shoka-wind.com