「豊かさ」
日々の暮らしの中で、時には早足で、時にはゆっくりと歩きながら、時に立ち止まり、探し続けていること。
子供の頃は、アイスをお腹いっぱい食べること、西瓜をまっぷたつに切ってスプーンですくって食べること、大好きな色の折り紙を使ったり綺麗な色のクレヨンや色鉛筆でお絵かきする。
小さな世界の豊かさは、今思い起こすと微笑ましくささやかなものだ。
そんなささやかな世界が、大人になると懐かしく優しい記憶としてどこかの引き出しに入っている。
小さな頃は、贅沢な思い出は夏につまっていた。
庭には祖父の大事にしている大きな松の木、鶏小屋、小さな井戸。
朝起きると井戸水を汲み上げ顔を洗い、6時になるとラジオ体操へ向かった。
帰ってくるとそのまま鶏小屋へゆき、いただきますね。と、とりたちにお礼をいってひとつ産みたてのたまごをポケットにいれる。
縁側からただいまと声をかけると、食卓には朝ごはんが用意されていて、祖母が愛おしそうに私たちを見ている。
そして、みんなで朝ごはんを囲み笑いあうのだ。
そんな朝が、夏やすみの間繰り返される。
その中にあったどれを思い出しても、なんとも贅沢な時間だ。
あの頃には気づかなかった豊かさがあって、この懐かしく愛おしい感覚は一生忘れることはないだろうと思う。
大人になるにつれすこしずつ視界が広がり、美味しいものを食べる喜び、自分で好きなものを手にすること、心が喜ぶことに時間をつかってみること、日常の豊かさに目を向け自分で選択をするという、贅沢が味わえるようになった。
庭に咲く花を愛で、季節の移ろいを愛おしむことも。
Shoka:で味わえる豊かさのひとつに、肌触りがある。
そして、わたしはとりわけ冬に味わう肌触りがとても好きだ。
なめらかで、温かみがあって、その肌触りは甘くわたしたちの心を掴んではなさない。
くつろいでいる時間の心地よさに舌鼓をうつたび、お出かけしているときだけが服を着ている時間ではないのだと感じる。
気のおけない人とお家で過ごす時間、映画を見たり、本を読んだり、頭を空っぽにしている時。
そんな時に、肌触りのよいものを纏うと、心がまるで熟した果物のように甘美な喜びを放つのではないだろうか。
彼女たちに羽織ってもらったのは、濱野太郎さんの大きなストール。
夜の海のようなストールは、軽やかで懐が深い。
不思議な光沢に浮かぶいろとりどりの糸は、まるで群青色の中で踊る生き物のよう。
いつかみた、夕暮れ時のような赤いストール。
鮮やかに、そして深く艶やかで大人の色気に満ちている。
丁寧に愛情と時間と手間をかけて織られたストールは、とろけてしまいそうなほどなめらかで、肩にかかるとホッと安心するような温かみが伝わってくる。
それとともに、かっこよくありたいと背筋が伸びるような感覚にもなるのだ。
思いが込められたものを手にした時の心の動きは、ほんとうに不思議なものだと思う。
humoresqueのお洋服はシンプルで潔く、細やかなところに手がかけられている。
心地よい時間を過ごしてもらいたいと、素材選びから余念がない。
柔軟性をもつお洋服たちは、お洒落をして出かけたい日にも、ゆったりとくつろぎたい時間にも、ちょうどよく寄り添ってくれる。
そして女性としての「わたし」を、引き上げてくれるような魔法があるのだ。
カシミヤで細く柔らかく優しく編まれたこのワンピースには、極上の時間が流れている。
柔らかく華奢でありながら、袖を通してみると繊細すぎず、言葉に形容しがたいしなやかさがあってハッとする。
カシミヤの美しさに思わず唸ってしまう瞬間だ。
色鮮やかな風合いのあるコットンで仕立てられたブラウスは春のヨーガンレールから。
露草の青。
懐かしく、優しく肌に馴染み、表情も明るく映し出してくれる。
一足先に届いた清々しい春。
シャツ地は、シャリっとしていて、肌にはサラッとしている。暖かい日差しが待ち遠しくなるような美しい肌触り。
着ていると どんな時にも肩の力がほどよく抜ける心地よさに、ヨーガンレールらしさを感じるのです。
シルクが運んでくる触り心地は、肌の上でソーダ水がしゅわしゅわと弾けるような感覚。
するすると肌をすべり、ここにも優雅な時間が流れている。
合わせたニットパンツはカシミヤで仕立てられていて、最高の肌触りに天国と極楽が隣同士であるようなような感覚だ。
日常には、いろんな形、いろんな色や香りの豊かさがある。
ゆったりと過ごす時間の中で肌触りを楽しむ。
そんな豊かさは、大人になったからこそしみじみと味わえるように思う。
子供の頃もとっても楽しかったけれど、大人になるのもとっても楽しい!
心の豊かさについて考えるたびに、感じるのです。
Shoka:には、たくさんの日常の楽しみや豊かさを支えてくれるものがあります。
それと同時に、来てくださる方が楽しく穏やかにゆっくりと過ごしていただく場所であってほしいと思っています。
なので、お時間のあるかたはお茶や美味しいおやつに舌鼓をポン!と一緒にうちながら、おしゃべりに花を咲かせましょう。
みなさんの日常にそっと火を灯してくれるような時間を、Shoka:で過ごしていただけたらと願っています。
ぜひぜひ、遊びにいらしてくださいね。
写真・文 桑田さやか
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