「LONDON meets OKINAWA.」4月25日からロンドンで行なわれるLOOCHOO(ルーチュー)展。 ロンドンとオキナワ、過去・現在・未来。 琉球クリエイションが時空を超えて交差する。

 

文:幸喜 朝子 写真:大湾 朝太郎

 
 
 
「ブエコちゃん、LOOCHOOの記事を書くように」
 
ある日、ロンドンから送られてきた指令。
4月に行なわれるウチナーンチュ作家の展示会
LOOCHOOに参加する作家さんを取材して紹介せよ、とのこと。
 
そんなわけで実行委員会メンバーであるブエコこと幸喜朝子が
13組の個性ありすぎる作家さんたちを訪ねました!
 
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 LOOCHOO展
 日時:2012年4月25日〜30日
 場所:ロンドン クリプトギャラリー
 HP:http://loochoo.ti-da.net/
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LONDON meets こちんだアトリエ
 
首は上の穴から出して、手は横の穴から、出す。
ふつう洋服ってそういうものだ。
でも、プロダクトデザイナー・こちんだアトリエさんが手がけるブランド
「LEQUIOSIAN(レキオシアン)」のパズルシリーズには、
そういった「服とはこうあるべき」という概念が一切ない。
 
だって、一枚の布なんだから!!
 

 
「パズルシリーズは広げると単なる1枚の布で、何通りも着方がある。
この上着はフランシスコ・ザビエルっぽいからザビエルって名前(笑)。
着方は11通りって書いてるけど、着るたびに
新しい着方が見つかるから本当は何通りあるから分からん」
 
そう言って笑うのはデザインした張本人であり
私ブエコが沖縄でいちばん好きなデザイナー、
こちんだアトリエの名嘉太一さんと恵利子さん。
 

 
2人は北谷のデポアイランドにある複合施設AKARAの
トータルプロデュースからファッションブランドHabuBoxの商品企画、
レストランのメニュー開発、さらには
奇想天外なアイドルグループ「ストロベリーナプキン。」で
コスプレばりばりのライブをしていたり…
プロダクトデザイナーという
肩書きではくくれない幅広い活動をしています。
 
だから取材も「で、肩書きは?」の質問から(笑)
そこは真面目に「プロダクトデザイナー」とのこと。失礼しました。
 
そんな2人が今回LOOCHOO展に持っていく作品が
一枚の布からできた服「パズルシリーズ」。
これは残布が出ないことをテーマにしていて、例えばパンツの
股の部分の布をポケットにするなど、一切ムダをなくしています。
 

 
太一さん
「ある時、中国の職人さんが余った布を
何かに使えないか、って送ってきた。
それで残布を捨てないデザインってのも
考えられるんじゃないかな、って
頭の中でパズルみたいに考えたのが始まり」
 

 
恵利子さん
「この服は慣れるまでに時間がかかるんですよ。
でも着慣れると自分なりの着方ができるようになる。
そこがウチナーンチュに似てるかも、って。
最初はシャイだけど仲良くなったら
めっちゃずうずうしい、みたいな(笑)」
 

 
楽しそうに話す2人を見ていると
自分だったらどう着こなすか試したくなるから不思議。
それにしても、この自由な発想はどうやって生まれるんだろう?
太一さんの極太メガネの奧の瞳はどんな世界を見てるんだろう?
 

 
「心がけてることは、自分たちが
自分たちのお客さんであれるか。
やっぱり自分が良しとしない限り
人に勧めることはできないさ」
 
そう太一さんが言うと
 
「基本私は楽しみたいから
着ても楽しい、デザインしてても楽しい方がいい。
まずは自分たちが面白いと思えるかどうか」
 
と恵利子さん。
 
 
価値観の根っこが同じ2人のクリエイターがつくる、ひとつのブランド。
夫婦でありながらパートナーとして
面白いものを常に世の中に投げかけていく。
うらやましい夫婦のカタチに、取材しながらついうっとり(笑)
やっぱり好きだなぁ、こちんだアトリエさん。
 
LOOCHOO展ではパズルシリーズにさらに
“沖縄”という要素を加える。
 
太一さん
「ロンドンには沖縄の風景を切り取って持っていきたくて。
このパズルシリーズに沖縄の風景写真をプリントするわけさ。
全然沖縄にゆかりもないロンドンの人たちが
沖縄の風景を着たら一体どうなるんだろう。
まず着てくれるかどうかも楽しみだし、遊んでもらいたい」
 
恵利子さん
「この服の意図を感じ取れるのは
もしかすると少数かもしれないんですけど…挑戦だね」
 

 
 
沖縄の風景をロンドンっ子が
身にまとって初めて完成する作品。
2人の遊び心が海を超えてどう完結するか、楽しみすぎる!!!
 

 
「 LONDON meets OKINAWA.」
LOOCHOO展公式ブログ
http://loochoo.ti-da.net/
 
【こちんだアトリエ】プロフィール
名嘉太一、名嘉恵利子:服飾デザイン
空想の民、琉球民族をデザインで表現。沖縄ならではの手法と素材を使用し、残布の少ないパターンで何通りもの着こなしが出来る服は「考えるデザイン」といえる。版画家の名嘉睦稔氏による版画でのテキスタイルデザインも魅力。デザイナーの名嘉太一、恵利子は03年に、こちんだatelierとして活動をはじめる。同年には工芸専門店キーストンのオリジナル製品の企画。05年からはTシャツ、印花布(藍染)を使った衣類、雑貨、ガラス製品等、オリジナル製品企画、プロダクトデザインを主にブランドロゴデザインやパッケージデザインを手がけ、08年(株)プロジェクト・コア:HabuBoxの新店舗AKARAのディレクション。10年からAKARAアートディレクター就任。アロハシャツの要素とポロシャツを組み合わせた、ユニホームに適した沖縄総柄ポロ“ぽろゆし”などヒット商品多数。
http://ameblo.jp/cochinda/ こちんだアトリエブログ
http://www.akara.asia/ AKARA HP