イタリアンレストランCORRENTE(コレンテ)カラフルなお魚も、普段食べない月桃も。イタリアンの技法で、沖縄の味を再発見。

 

「月桃って食べてもいいんだ」
「セイイカとか、シチューマチ(アオダイ)とか、初めて食べたかも…」
「まずいまずいと言われてる沖縄の近海魚、本当はこんなに旨味があるのか」

 

沖縄の食材は思う以上に美味しいと、地元民に再発見させる。観光客にだって勧めたくなるほど、沖縄色は強い。それが、ヒルトン沖縄北谷リゾートのメインダイニングCORRENTE(コレンテ)の料理だ。ジャンルはイタリアンだが、CORRENTEのイタリアンは、県産の食材をふんだんに使う、いわば沖縄だけのイタリアン。

 

もくじ
— 食材は主に地のもの。沖縄の食材をふんだんに使ったイタリアン
— イタリア料理の技法で、素材の味を引き出す
— 地産地消で新しいイタリア料理を創る
— クッキングクラスを通して、沖縄での料理をもっと楽しみたい

 

hilton okinawa

イラブチャーとアーサのクリームパスタ。月桃練り込みの手打ち麺

 

hilton okinawa

前菜/紅芋のスープ・セイイカのフリット・県産若鶏のサラダ

 

———食材は主に地のもの。沖縄の食材をふんだんに使ったイタリアン

 

パスタ一皿とっても、沖縄ならではの食材がいつもと違う形で、しかも色々と使われていることに驚きます。ふわふわのイラブチャーと、やさしい舌触りアーサ、鮮やかな緑の月桃の手打ち麺。沖縄の食材をここまで使うのはどうしてですか?

 

他所のもの使わなくても良いメニューができるのと、イタリア料理は基本的に地産池消の料理なので、わざわざ取り寄せるということは少ないですよ。ファーマーズとかに僕が行って買ってくることもよくあります。

 

 

沖縄は、肉に比べて魚を食べられるお店は少ないので、特にお魚の美味しさが印象的です。一般的に、沖縄の魚は脂が乗ってなくて美味しくないと言われているのに、わざわざそれを使っているのはどうして?

 

それは逆で、脂が少ないからこそ臭みがなくて色んな食材と合うってのがあると思うんですよ。以前にお客さんに喜ばれたのが、玉子と合わせた料理でした。夏の枝豆とスクランブルエッグを魚の下に敷いて、本部のワタリガニのビスクソースで仕上げたんです。普通、玉子と魚って合わせないじゃないですか。すごいトロトロの玉子と一緒に食べられるのは、県産の脂の少ない魚ならではかと思います。

 

 

沖縄の魚も本土の魚と変わらず美味しいと。

 

釣りに行って、釣った魚の刺し身を食べたときに、驚きましたね。こんなに美味しいのか!って(笑)。そこからミーバイにもアカジンやらガラサーやらいくつも種類があって、グルクンにもいっぱいあるって知りました。面白いですよ。釣れたての平ぐるくんの刺身は、めちゃくちゃ美味しかったですね。ファーマーズでも釣りでも、色んなところで出会った食材をメニューに取り入れてます。

 

 

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———イタリア料理の技法で、素材の個性をストレートに引き出す

 

沖縄の食材を多く使うことで、イタリア料理でなくなるということはないのですか?

 

土地によって食材の味は全然違いますが、根っこがイタリア料理であれば、それはお客さんにとってもイタリア料理だろうと考えています。沖縄の人参、金美人参とか島人参は、ちょっと薬草っぽい香りが鼻に抜けますよね。本土の野菜は上品です、逆にイタリアはどちらかというと沖縄よりで、力強いというか野性味があるというか。そういう素材の個性をストレートに引き出すのが、イタリア料理だと思っています。食材は沖縄のものでもイタリア料理の技法で作っていますよ。料理のベースを泡盛にしちゃうとかそういうことはないです。

 

 

お魚のやわらかさに驚きましたが、そのやわらかさもイタリア料理の技法で?

 

そうですね。今回は、魚の下にちょっとブイヨンを入れて、オーブンで焼いてます。オーブンだけだとカサカサになっちゃうんで、。上からカナポータもかぶせてブイヨンの蒸気で蒸すような感じで作ってます。上のパン粉はカリカリになって下の魚はふわふわして仕上がります。大事なのは火入れかなと思っています。優しく火を通すのがいい。魚って煮過ぎてもいけないし、焼き過ぎてもいけない。70度ぐらいの芯温で15分ぐらいがいい。100度ぐらいで焼いちゃうとタンパク質が全部固まっちゃうんですよね。

 

 

hilton okinawa

大東島のラム酒COR CORを使ったデザート

 

hilton okinawa

 

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————地産地消で新しいイタリア料理を創る

 

地のものをふんだんに使う、今の料理のスタイルはいつから?

 

一度、イタリアに働きに行っていた時の経験からですね。働いた店が、そこある食材で工夫して新しいイタリア料理を作るっていうスタイルのシェフだったんです。わざわざ別の地方から野菜を取り寄せてということはしなかった。それが自然に身についたんですかね。

 

 

イタリアに行くことで、手塚シェフの料理に変化がでた?

 

イタリアに行く前は、東京で教わったことをそのままやるだけ。店にシェフがいて、シェフのレシピがあって、そのまま作って味を見てもらうだけでしたね。イタリアが好きだしイタリア料理が好きだけど、行ったことがないから風がわからなかった。ですけど、イタリア行って1年間過ごして、自分でイタリア料理ってなんだろうって考えて料理を作るようになりました。自分で考えて消化するってのが1番大きな変化でしたね。

 

あと、作る料理も変わりました。イタリアへ行く前は、イカスミのスパゲッティとか、ペンネアラビアータとか、そういうナポリ料理をずっと作ってました。日本人がイタリアンと聞いて思い描く王道の料理。東京の流行に流されるままに作ったり試してみたりしてましたね。イタリアに行って後は、新しさのある料理を作るようになりました。レシピの本も比較的読む方なんですが、そういうのにも載ってないような料理ですね。イタリアで僕がいたのが、地産池消はもちろんで、新しいイタリアを創ろうみたいな店だったんです。クッチーナモデルナって言うんですけど、フランスで盛り上がったヌーベルキュイジーヌみたいなものです。フォアグラに飴を置いてオーブンで表面だけ焼いた、甘いカリカリとしたフォアグラを出したり。そういうイタリア料理の伝統という枠からは外れたものも作るんです。

 

 

イタリアで受けた影響は地産地消だけでなく、新しい料理を創ろうというクッチーナモデルナもあった。

 

そうですね。イタリアの店だけでなく、東京に戻ってから6,7年いた店も基本は守りながらも新しい料理を、モダンな料理を創っていこうという店でした。ミシュラン星付きの東京店で、双方での経験が今に大きく影響しています。今でもそこの人たちの言葉を思い出しながら作っています。よく思いだすのが、「新しい物を作るときは、その料理の地盤を考えなさい」という言葉です。その土地にある料理を改造するんでも、一回バラバラにして再構築していく中で、ちゃんと辞書で調べて自分なりに解釈した上でやりなさいっていう。 そういう料理への姿勢も影響を受けてます。

 

hilton okinawa

 

料理の解釈というと難しいのですが、どういうことを指しているのですか?

 

今日のお肉の料理でいうと、「白ワインとブラックペッパーの豚バラ煮込み」というイタリアでは普通の料理を再構築しています。白ワインと胡椒、野菜と煮込んでポトフみたいに出す料理なんですけど、それをまず1回崩します。そしてそれを再度組み立てる。胡椒は絶対外せない、野菜のソフリットっていうのが入っているんですけどそれも外せない、という風に。そうやって作っていて、豚を真ん中に、ザワークラウトというキャベツの漬物やきのこなんかを付け合せにしたのが「◎料理名◎」です。皿に乗ってる全部を食べれば煮込みの味になるんです。

 

 

伝統的な料理と、クッチーナモデルナの料理と、双方に共通するイタリア料理の真髄ってどこにあると思いますか?

 

地のものを使ってシンプルに調理する、素材をストレートに出すというところだと思います。野菜や肉に、鶏の出し汁とにんにくソースだけをつけて食べるみたいなもの。あと、アスパラの美味しい季節だったら、アスパラと目玉焼き、それにトリュフをかけるとか、本当にシンプルな食べ方をする。こういうイタリアの歴史の凝縮したもの、食材そのままをだすのが食堂です。クッチーナモデルナの場合は、そこに何か技術を盛り込む。違いはそこで、根本は同じという印象です。

 

 

 

手塚シェフ

 

———クッキングクラスでお客様とのやり取りを通して、沖縄での料理をもっと楽しみたい

 

CORRENTEでは、実際に食べたメニューを手塚シェフから習える料理教室ががあるそうですね。しかも無料で。

 

ええ。ランチの特定のメニューをご注文いただいた方に限定ですが、クッキングクラスが無料で付いてきます。店の料理のレシピや技法を皆さんに伝えたいというのはもちろんですが、僕自身の楽しみもあります。皆さんからの料理についての疑問や、家庭での料理の話を聞いていると、一緒にセッションしているような感覚を味わえるんです。仕事でも一番楽しさを感じるのは、他のスタッフとセッションしていると感じるときです。しかもCORRENTEはホテルですから、レストランの外のスタッフと一緒になってメニューを考えたりすることもあります。そういう楽しさをお客様とも持てるなんて幸せですよね。

 

 


イタリアンレストランCORRENTE(コレンテ)
住所:沖縄県中頭郡北谷町美浜40-1(ヒルトン沖縄北谷リゾート内)
ランチ:11:30 ~ 15:00(14:30 L.O.)
ディナー:17:30 ~ 22:00(21:30 L.O.)
バー:17:30 ~ 23:30 (Bar Food L.O 22:30, Bar Drink L.O 23:00)
定休日:無休
TEL:098-901-1130(直通)
http://hiltonchatan.jp/restaurants/corrente

 

 

<クッキングクラス付ランチセット>
販売期間:10月15日(木)〜
料金:2,250円(税サ別)※クッキングクラス付き
コース内容:前菜盛り合せ・メイン(パスタ or お肉 or お魚)・デザート・ドリンク
http://hiltonchatan.jp/plans/restaurants/corrente/1812

 

 

<クッキングクラス>
開催日:毎月第3木曜日(11月19日10:30~、12月17日10:30~)
※参加申し込み数が定員より多くなる場合、追加開催を予定しております。
受講料金:無料
イタリアンレストランCORRENTEにて10月15日(木)以降に【ランチセット】をご注文いただくと、クッキングクラスへの参加申し込みが可能です。 レストラン受付にて申込用紙へ記載し、希望日にて予約を行います。その他の詳細に関しては、下記連絡先へお問い合わせください。