oHacorté Bakery(オハコルテベーカリー)暮らし全部をDIY! 食と住のコンセプトカフェ

オハコルテベーカリー

 

オハコルテベーカリー

 

オハコルテベーカリー

 

オハコルテベーカリー

 

幾種ものパンに色とりどりのお惣菜、ワインや調味料、生き生きとした野菜があるかと思えば、インテリアグッズまで。ベーカリーだと聞いていたのだけど、一体ここは何屋さん?

 

「食と住のコンセプトショップなんです。DIYを通して、自分の生活を豊かで楽しいものにしてほしい。そんな提案ができるお店を目指しています」

 

そう話すのは、キュートな笑顔が印象的なオハコルテアートディレクターの豊田里絵子さんだ。

 

DIY =Do it yourself.

 

本来の意味は、”自分で作ろう”。ただ、オハコルテベーカリーにかかると、この言葉が広がりを持つように感じられる。”自分で生活を楽しく彩ろう”。そんな風に聞こえるのだ。

 

オハコルテベーカリー

 

オハコルテベーカリー

 

オハコルテベーカリー

 

DIYって日曜大工のことと思いがち。だけど暮らしをより楽しく工夫することもDIYなんだよと、気づかせてくれる。

 

例えば毎日の食事。適当にすますのではなく、自分で丁寧に作れば、それもDIYだ。オハコルテベーカリーでは、お店のメニューを家でも作ってほしいとレシピを公開している。人気メニューの”たっぷり野菜のもちもち生パスタ”は、野菜を炒めてペペロンアンチョビオイルを加え、茹でたパスタと絡めて味を整えるというシンプルな作り方。本格的な味なのに、自分にも作れそうと思わせてくれる手軽さが、このレシピのいいところ。レシピが掲載されている小さなブックは自由に持ち帰ることができるし、主な材料をお店で買うこともできる。

 

また、早起きして出社前にここでおいしいコーヒーとサンドイッチをのんびり味わう。そんな風に1日を気持ちよくスタートさせるのも、DIYと言えるかもしれない。

 

お店には、食事をしている人だけでなく、ワインとオリーブマリネをテイクアウトする人、植木鉢のサイズを比べている人、ランプシェードについて質問している人も。

 

こんな風に、暮らしにちょっとした楽しさを持って帰りたくなるのが、オハコルテベーカリーだ。

 

オハコルテベーカリー

 

オハコルテベーカリー

 

オハコルテベーカリー

 

「ほんのちょっとしたことで、生活が豊かになると思うんです。そのヒントをここで見つけてほしい」そう言うのは、里絵子さんの旦那様の規秀(のりひで)さんだ。

 

2人は、2008年にフルーツタルト専門店オハコルテをオープンさせ、沖縄の洋菓子界に新風を吹き込んだ。今回はなぜ、専門店とは反対の店にしたのだろう?

 

「僕、街を変えたかったんです。街って色々な選択肢があるべきだと思うんです。このあたりは、オフィス街であり、住宅街でもあるのに、居酒屋とか夜の店ばかりで、選択肢が少ないでしょう。みんなもっと毎日の暮らしを楽しみたいと思ってるんじゃないかって。だから暮らしを楽しむヒントを提供できる店にしたんです」

 

規秀さんの言う暮らしの楽しみとは、例えば、朝の時間を充実させるというのがある。

 

「僕の実家がある名古屋は朝からやってる喫茶店が沢山あって、みんなそこで朝ごはんを食べて、朝から元気いっぱいだった。この辺は朝から人がたくさん動いている地域なのに、朝ごはんが食べられるお店がないでしょう。だから店名にベーカリーをつけて、朝ごはんを食べられるお店にして、この店を皮切りに朝から活気のある街にしたかったんです」

 

お店を出すとき、先に業種を決め、それから場所を探すのが一般的だろう。しかし規秀さんの場合は、先に場所ありきで、”そこにあったらもっといい街になるのに”と思う店を出す。普通と順番が逆で、面白い。

 

「潜在的なニーズがなければ街は変わらないと思います。僕は、朝の時間をもっと充実させたいと思っている人が沢山いて、街が変わりたがっていると感じたんです。でも絶対的な確信があったわけではなかったですよ。実際やってみないとわからないですし。どっちだろどっちだろって、51パーセントと49パーセントのものがあって、自分の考えが正しいという自信が51パーセントの方だったら、やる。結構ギャンブルなんです(笑)」

 

規秀さんの”ギャンブル”は、大当たり。まだ開店して1ヶ月程だというのに、朝から客はひっきりなしに訪れ、途切れる気配はまるでない。

 

オハコルテベーカリー

 

オハコルテベーカリー

 

オハコルテベーカリー

 

オハコルテベーカリー

 

2人は、この新しいお店を街の人に楽しんでほしいと思っているが、自分達の“楽しい”を押し付けるようなことはしない。里絵子さんは言葉を続ける。

 

「自分たちがいいと思っていても、それをお客様が欲しがっていなかったら、それはただの自己満足だと思うんです。そこはお客様の顔を見ながら、お客様が求めていること、潜在的なニーズを汲み取って、それをお店作りに反映させなくちゃね」

 

里絵子さんがこう考えるのは、手痛い経験をしていたからだ。

 

「僕達、一度店を潰してるんです。自分たちが思う“新しくてかっこいい”カフェを、みんなに求められているかを考えずに、自分たちのやりたいようにやっていたから。そしたら周りに受け入れられなくて、お客さんが全然来なかった。色々試行錯誤して店を変えていってはいたんだけど、どうしたって数字がついてこなくて。しまいには従業員のお給料の支払いが半月くらい遅れてしまって。『自分たちのエゴのために、この子達の生活を脅かしちゃいけない』と、店を畳む決意をしました」

 

最初に出したカフェは、2年しか続かなかったのだ。フルーツタルト専門店オハコルテは、今や本土や海外からも多くの客が訪れる沖縄を代表する店に成長した。そして立て続けにこのベーカリーカフェもオープン。2人は順風満帆な人生を歩んでいると思っていたけれど…。

 

店を潰した後は住む家も失い友人宅に居候をし、多額の借金を抱えて自販機のジュースを買うことすらためらったという。そんな苦労話を、今では笑い話であるかのように明るく豪快に話してくれた。辛酸を舐めた経験をしていることを意外に思う反面、だから2人の発する言葉一つ一つに揺るぎがないのかと、納得もする。

 

規秀さんは、この苦い経験を今のお店作りに活かしている。

 

「最初の店をしていた時、僕の120パーセントの力を出して、すごい一生懸命頑張ってたんです。でも潰れたことで、人1人の力ってなんて小さいんだろうって。それがわかったから、今は周りの人の力を借りて、みんなで一緒にやってるんです」

 

そういえば、規秀さんも里絵子さんも、経営者でありながら、経営者然としていない。上に立つものの権威的なオーラが全くないのだ。肩の力が程よく抜けていて、堅苦しくなくて、なんだか自由。机を並べて仕事をしている従業員とは楽しそうに笑いあい、まるで同士のようなのである。

 

オハコルテベーカリー

 

規秀さんは、生活でも仕事でもなんでも楽しまなくちゃと考えている。

 

「だって、そうじゃないと勿体無いって思うんです。沖縄に来て初めて、仕事って楽しめるんだと知ってしまったから、というのもあります。僕の両親はいつもひたむきに仕事をしていて、そんな2人を見て育ったから、昔は僕も仕事は辛くて当たり前だと思っていたんです。まわりの友人たちも、皆歯を食いしばりながら仕事をしてた。でもね、沖縄に来てカフェに勤めていたとき、オーナーの友人はいっぱい遊びにくるし、お客さんたちとカウンター越しにおしゃべりしながら仕事をして、すごく楽しかった。こんなに楽しいのにお金もらっていいんだって、ちょっと衝撃的で。そしたら上司のイジメに耐えながら仕事をしてたのが、バカバカしくなって。みんなに『何でも楽しくやっていいんだよ』って教えたくなっちゃったんです(笑)」

 

里絵子さんが言葉を継ぐ。

 

「だから、うちのスタッフの仕事は、パンを焼くこと、料理を作ること、接客をすることじゃなく、ズバリ“お客様を楽しませること”。楽しい気って伝わるから、スタッフ自体も仕事を楽しんで、お客様にもその楽しさが伝わればいいなと思っています」

 

楽しむ秘訣として、規秀さんは、嫌なことはやめ好きなことだけをすることだ、ときっぱり言い切る。

 

「例えば、横柄なお客様がいらしたとしても、無理にへりくだる必要はない。僕達は僕達ができることを提供するし、お客さんはそれを気に入ってくれたら求めてくれればいい。対等な関係だと思うんです。だから無理に接客して、嫌なことをする必要はない。仕事に限らず、みんなもっと心に正直に生きたらいいし、やりたくないことはやりたくないっておっきな声で言ったらいい。みんな色々と我慢しすぎだなって思うんです」

 

一方、里絵子さんの楽しむ秘訣は、何でも1人で抱え込まないことという。

 

「1人で作り上げるより、チームで作りあげる! 例えば、単純作業を1人で10時間続けるより、2人でおしゃべりしながら5時間でやるほうが、絶対楽しい! 私は器用だけど、頭で考えるのは苦手とか、頭で想像するのはすごい楽しいんだけど、それをどう形にすればいいかわからないとか、苦手なことは、みんなで知恵を出して補え合えばいい。1人で全て抱え込まないで、みんなでワイワイやるの。みんなと一緒だったらできないことなんてないように思うの」

 

2人とも、仕事もとことん楽しんでいるのが伝わってくる。そんな中、最後の言葉は、確固たる自信が満ち溢れているように聞こえた。

 

オハコルテベーカリー

 

オハコルテベーカリー

 

オハコルテベーカリー

 

オハコルテベーカリー

 

「僕ね、街並みを作りたいんです。色んな国の街作りを見てきて、みんなが好きな街というのは、日本であれば、京都だったり、鎌倉だったり。そういうところに共通しているのは、街並みが統一されているということだと思うんです。でも沖縄には揃った街並みがないでしょう。だから沖縄に、統一された街並みを作りたいんです。その街には、リアルに人が生活していて、自分の理想とするお店が並んでいて。お店っていうのは三次産業だけど、その店の背後に、二次産業や一次産業もある、地場産業を持っている街作り。今僕がやっているタルトショップやベーカリーは、その街の中に作りたい店の1つで、実はそこへ向けてのステップなんです」

 

なんと、オハコルテも、このオハコルテベーカリーも、2人にとって夢の入り口の店にすぎなかったとは。夢のあまりの大きさに驚いていると、里絵子さんがそっと教えてくれた。

 

「この人、食と住は得意なんだけど、衣はあんまり得意じゃなくて。でも、その街では食と住だけでなく衣もやりたいって。それは、自分が着る洋服を選ぶの面倒臭いから、誰かに自分の好きなテイストの服屋をやってもらって、自分はそこで買うからって(笑)」

 

規秀さんの頭の中には、沖縄の新しい街並みの具体的な青写真がすでにできているようだった。彼の頭の中は、こんなのがあったらいいな、あんなのがあったら楽しいな、と”楽しい”がいっぱい詰まっている。なんだか聞いているこちらもつられて楽しくなってしまう。

 

そんな新しい街を想像していたら、ふと、オハコルテベーカリーのコンセプトである、”DIY”の本当の意味がわかった気がした。

 

”DIY” 本来の意味は、”自分で作ろう”

 

でもオハコルテベーカリーの”DIY”は、”自分の思うがままに、自由に、人生を楽しんで”。そんな意味に感じた。

 

文 田中えり

 

オハコルテベーカリー
oHacorté bakery(オハコルテベーカリー)
那覇市泉崎1-4-10
098−869−1830
open 7:30〜22:00
close 水
http://ohacorte-bakery.com

 

お知らせ
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