trip! trippen! 靴とバッグの展示会「毎日を旅するように歩きたい」前編

写真 文 田原あゆみ

 


 

私の足は大地にどっしりと根付くような幅広の足だ。親指と中指までの3本はほぼ同じ長さ。薬指と小指が少し短くなっていて、四角に近い。もちろんかかとは少し幅が細めではあるから、銀杏の葉っぱをスリムにした感じだろうか。
農耕民族として恥じない土の上にしっかりと立っているのが似合う形。今はそう言えるが、昔は少しでも足の形がほっそりと見えるよう努力もした。それは大体ちょっと細めの靴を無理して履くという努力。もしくは、足の爪を長めにしてピンと指を伸ばして、キュッと揃えると少し面長の足に見えることを発見して、夏場のサンダルの時には意識してその姿勢を保つようにしたこともある。
その結果、よく夏場の靴下の親指の部分に穴が開くようになった。そして無理をしてはいた細い靴は足に痛みを後々残す。結果、旅好きな私は様々なトラウマの元、自然体の自分の足を受け入れることにした。この足に合う靴を探そう、と。

 

そうして出会ったのがtrippenの靴だ。嬉しいのは、履いていて楽な上になんとデザインもなかなかいい、ということ。足にいいと謳われている靴は、なんだかコロンとした印象で、私の好きな服のテイストとは合わないことが多いような気がする。ということはやはりデザインを好きになれないと、買わないというかっこつけの私は、足に良さそうな靴をなかなか買えずに人生の半分強を過ごしてしまっていた。
なぜやり過ごせたのか?それは沖縄という土地が車社会で、日常的にあまり歩かないということが幸い、いや、災いしていたのだろう。足が痛い思い出は全て旅の途中のことだから。
出張中の東京の街中で、足を引きずりながら探したソックス屋さんや、バンドエイドが欲しくて探したドラッグストア。ショートブーツで歩き回った西オーストラリアでは、歩けなくなるほど足が痛くてとうとうスニーカーを買った。着ている服とは全く合わないスニーカーを履いてcafeの多い街やアウトバックを歩き回った。が、やはりそのスニーカーも合わなくて、その旅の間私はずっと足を引きずっては休み休み、自分を励ましながら旅を続けたことを思い出す。

 

trippenの靴を初めて履いたのが2012年。panという人気のある定番の茶色い靴が第1号。私はその靴を履いて東京へ行った時のことが忘れられない。足が一度も痛くならず、ムクまず、2日間も歩くことができたのだ。
これは初めての体験だった。

 

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これがその靴。
春夏秋冬と、履いて履いてなんだかいい風合いになっていますが、一つ後悔が。それはサイズを間違ってしまったこと。trippenのサイズは、35/36/37/38/39/40というようにヨーロッパのサイズ表示。私の足のサイズは24cmなので38でちょうどぴったり。けれどぴったりの靴を買って何度か足が痛くなったことのある私は、用心深くなっていて1サイズ大きな靴を買うようにしていたのだ。
trippenの靴に使用されている革は、肌になじむように一枚革を使用していることが多い。そしてこのpanのシリーズは。縁も縫って叩いたりせずにカットしたままの状態で仕上げられているので、履くうちに馴染んで伸びてくるのだ。なので履いているうちに、この靴はぶかぶかになってしまった。
それでも気持ちよく履けるのは、ストラップが付いているので抜けることがなく、足の甲と足首の両方で靴を固定しているため、足に変な力を入れずに済むからだ。今はソックスを重ね履きした時に履く靴になっている。そう冷え取り用の靴。

 

このことで一つ学んだことは、
⚫︎trippenの靴はぴったりなサイズを選ぶ。
ただ、幅がぴったりでも指が当たる場合はまた別。

 

失敗はいつかの成功の元。そして私のような仕事をしている人にとっては、誰かに分かち合える情報や知恵になるのだから、これも投資だ。この靴を履いて行ったのは松本への春の旅。その時の思い出は軽やかで、どこにも痛い思い出はない。

 

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trippenを気に入った私は、2013年冬の台湾へ旅行へ行く時にそれを理由に closed というシリーズのsteamと名付けられたロングブーツを買った。
ぐんぐん歩きたい!旅する時にはいつだってそう思う。その欲求を充たすのと同時に、見た目も気に入ったその靴を私は手に入れた。

 

 

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それがこの形。買った当初はそれは綺麗なエスプレッソの色で、シルキーなヌバック仕上げ。ナチュラルなやわらかいラインも大好きで台湾って暖かそうなイメージだけれど、沖縄の冬だってロングブーツが履けるくらい寒いからきっと大丈夫だろう、そうシミュレーションした私は多少こじつけ感はあったけれどこのブーツを嬉しく買ったのだった。
そして旅へ。trippenを履いての海外旅行はこれが初めてだった。

 

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台北は沖縄より南にあり、沖縄よりも冬は暖かい。なのでロングブーツはさすがに暑かったけれど、それでも歩きやすくてどんどん歩けた。私は4日間、朝から晩まで歩いて歩いた。
娘が履いていたのは有名なスポーツ用品ブランドのスニーカー。けれど、最後には「足の裏が痛い」と言っていた。私は全く平気だった。いつも足が痛くなる私は、この時なんだか嬉しくなった。自分が選んだもの性能がいいとわかった時のあの勝利感。すました顔の向こうで私は小躍りした。だって、こんなことは初めてだったから。

 

そして、このブーツを通して私は学んだことがある。食べ物が美味しい台北で、私は何度か小さな油染みをこのブーツの柔らかな革の上に作ったので、気になっていたヌバックやバックスキンの革せん用のクリーナーを使ったらどうなるのか?という好奇心に従ってお手入れをしてみたのだ。その実況中継的な記事は下記のリンクに記されているのでぜひ読んでみてほしい。

 

そう私が学んだこと、それは
⚫︎ヌバックのお手入れは専用ブラシが一番。たとえそれがヌバック専用のクリーナーだとしても決して洗ってみてはいけない。
これも失敗は成功のもとということで、私は涙で濡れた頬を両手で包んで慰めた。そしてその時に書いたのがこの記事だ。
暮らしの中の旅日記 「いいお天気ですね お靴のお手入れいたしましょう」
今でも涙無くしては読めない。この思い切ったお手入れの後、私のおニューのsteamは古道具のようになってしまった。

 

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シルキーだったエスプレッソ色のブーツはこんな風になったのだ。しかし、このブーツはその後も気をとりなおしてかなり履いているし、経年変化風の仕上げだと思えば、少しは気が楽になる・・・・・ような気もする。
このブーツを履いて、いろんなところへ行った。東京・大阪・岐阜・松本・台北。

 

お手入れのことだって、いろいろわかった。そして何よりもいいのは、このclosedというシリーズは、どっしりとした安定感と、底に厚みがあり程良いクッションが感じられて、旅先で歩き回るのには最適な仕上がりだということ。panが普段の街履きの靴だとしたら、こちらはとにかく歩くという時には最適だ。今では旅に出るならこのシリーズの靴を、というくらい。

 

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これがその靴底。trippenという文字が彫られていて、その文字の減り具合で交換時期がわかりやすい。程良い厚みと、使用されているゴムの弾力が心地いい。私が持っているのはロングブーツとBOMというシリーズのショートブーツ。他にもいろいろなデザインの靴が作られている。
文字の間に挟まっている小石はきっと台北からついてきたものにちがいない。奥に見える黒い同型のブーツは、後編でお知らせしたいと思っているが、今年の2月にストックホルムに行くという理由で、かねてより欲しかった黒いロングブーツが欲しい!という欲望を満たしたものだ。
たくさんある中からやはりこのブーツを選んだのは、ヌバックは革の仕上がりがマットで光らず、優しい雰囲気で様々な素材のお洋服とコーディネートできるということと、このはき心地の良さが理由だ。

 

さあ、旅の話は後編へと続きます。

 

2015年4月17日から始まる「trip! trippen! 毎日を旅するように歩きたい」の時には、様々な形のtrippenのシューズがShoka:にやってきます。

 

街履きにいいcupのシリーズ
歩くぞ!という人のためのclosedのシリーズ。
可愛いデザインが人気のpenaのシリーズ。
普段は扱っていないメンズの靴もやってきます。

 

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そして!夏のサンダルたちも入荷します。

 

人間工学に基づいてデザインされたtrippenの靴を、いろいろと試して長く付き合えるお気に入りを探してみるのをお勧めします。ただし、私が失敗したように、人間工学に基づいているからといって、trippenとて全てが自分の足に合うわけではありません。靴は大切な船。快適に履けるよう私やスタッフの経験の元に皆様をサポートいたします。自分の感覚に耳をすましてその形が自分の足に合っているかどうかをちゃんと確かめながら、一緒に見極めましょう。

 

日常の旅を快適に。そんなtrippenの靴たちは私のいいお友達のような存在です。大きな体をたった二つの足の裏が支えていて、その足を守り体を運んでくれる船のような存在の靴。大事に長く履く靴を探したい、という人も。なん足目かのtrippenを用途に合わせて選びたいという人も、この機会に沖縄市比屋根のShoka:までドライブの旅をどうぞ。

 

 

後編はまた来週、波がやってきたら書きたいと思います。

 

 

 

 

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shoka

 

 

trippen!毎日を旅するように歩きたい

 

2015年4/17(fri)~5/6(thu)
12:30~19:00会期中火曜定休 ただし5月5日はGWのためオープンしています

 

trippen は靴作りの全行程まで目が行き渡るような生産体制を崩さず、一つ一つを手作業で丁寧に作り上げる職人たちの魂が生きている会社だ。人間工学に基づいてデザインされているので、履き心地が抜群にいい。修理体制も素晴らしく、靴が修理から帰ってくる度に、まるで生まれ変わったように整えられるのをみては感心している。
街歩きには軽く履き心地のいい cup のシリーズを。歩くことがメインの旅に出るなら、靴底がしっかりしている closed のシリーズをお勧めしたい。ヒールの靴も他のものとは全く履き心地が違う。今回のイベントでその感覚をお試しの上、自分の足に合った靴と出会うことを願っています。

 

今回はメンズも含め、たくさんの種類のtrippenのシューズを揃えました。他にもARTS&SCIENCEさのバッグや小物たちも揃えています。

 

 

 

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shoka

 

くらしを楽しむものとこと

 

Shoka:
http://shoka-wind.com

 

12:30~19:00
沖縄市比屋根6-13-6
098-932-0791