2010 12月

沖縄県立博物館・美術館 県民ギャラリー1
入場無料

2010 12月





カップケーキが入っているカップのような
繊細でデコラティブなカップと器。
蝶が羽を休めているような持ち手やお花のようなポイントもきいている。


何を入れて飲もう?
コーヒーや紅茶も良いけれど、
ローズヒップ、ジャスミン・・・ハーブティーも良いな。
波打つ内側の側面で、注いだ飲み物の表情がどう変わるのかも楽しみ。


器には、その小さな一粒で幸せになれるこぶりなスイーツを入れるも良し。
はたまたお気に入りのアクセの特等席にするも良し。





decco(デコ)にあるのは、白い器のみ。


「元は淡いオリーブ色が入ってたんですが・・
最近、白にはまっちゃって」


器をつくるのはご主人、お店をまもっているのは奥様。


以前は会社にお勤めだったご主人だが、


「焼き物を作りたいというのは、ずっと言ってましたね。」


会社勤めを辞め、器を作り始めた。





持ち手が大きく横に張り出したカップ。
大中小と三種類あるが


「元は大人用に大、赤ちゃん用に小しか作ってなかったんですが
『小学生用がない』とお客様に言われて(笑)
中も作りました。」


見た目はいかにもどっしりと、安定感があるが、
持ってみると驚くほど軽く、
珍しいデザインの持ち手もしっかりと手に収まる。
これからの季節、
しんと冷える部屋で、
温かいミルクティーをなみなみに注いで
夜を過ごすお供にしたい。






ワンポイントのボタンは、デザインとして可愛いだけではなく、
持つときのストッパーにもなる。
ここに親指を置くようにして持てば
つるっと滑り落ちることもない。





deccoの提案するクリスマスは、シンプルだけれど温もりとわくわくが。
オーナメントとして飾られているのは糸巻き!
焼き物でできたボディに、お気に入りの毛糸やリボンを巻いて。
デザインに飽きたら他の色の毛糸を巻くだけで雰囲気一新!
去年は赤やピンクだったから・・・今年はパープル!なんて
考えるだけで楽しい。
焼き物なのでボディも長持ち、
我が家の定番アイテムになりそう。
華やかで色とりどりのツリーはもちろん可愛い!
けれど、
しっとり大人、でも遊び心は忘れたくない。
そんなあなたにおすすめ。






白い店内に白い陶器、
ポイントポイントに赤が配置され、
ミニマムでスタイリッシュな空間。
首里の住宅街にありながら
違和感なく街に溶け込んで


「隣のお店で買ったカレーを持って
『だあ、カレー食べよう』
って入って来る人もいて(笑)」


奥様の穏やかなムードに気をゆるし、迷いこんで(笑)来る人も。


沖縄では味わえない一面の銀世界のような
その白の空間に身をおくだけで
せわしない日々でわさわさした心の
けがれや焦りが「さっ」とひとはらいされ
しんと静かなぬくもりに包まれる不思議。


deccoのあたたかい白、
見て、触れてみて。

写真・文 中井 雅代

 

decco(デコ)
那覇市首里鳥堀町4-89-5久場アパート中(赤嶺ミート隣り)
tel&fax 098-884-8587
open:14:00〜19:30
close:日・月・火
HP:http://www.decco.jp
blog:http://decco.ti-da.net/

 

2010 12月




オーガニックヘアサロンという、沖縄ではあまり聞き慣れない名前、
そして、店に入ると最初に私たちを迎えてくれるのは石けんや化粧品、
さらにはアンティーク雑貨やアクセサリー。
私たちが抱いている一般的な美容室のイメージとは、
少しかけ離れたヘアサロン。


オーナーの菅野さんは、
東京のヘアサロンに勤め、
ショーなどの仕事にも携わり、
海外でも経験を積んだという経歴の持ち主。


美容師として活動を続けて行くなかで、
「やはり、使うからには良いものを使いたい」
と思い始め、
たどりついたのが石けんシャンプーだった。



石垣発のBotanica(ボタニカ)の石けんは全国的な人気。オンラインショップではすぐ売り切れる。


「シャンプーが切れちゃって、しょうがなく
『じゃあ今日は石けんで頭も洗っちゃうか』
ってこと、あるでしょう?
その逆で、
『石けんが切れちゃってるから、
棚の奥で眠ってる、昔使ってたシャンプーで洗うか』
っていうくらい、
石けんの地位が上がると良いな〜、なんて。」





石けんでシャンプー?
・・・潤いとか、サラサラ感とか、大丈夫なの?


ROOmでは、カットの際のシャンプーにも
もちろん石けんシャンプーを使っている。
初めての石けんシャンプー、どうなることやらドキドキしていたが
思いのほか気持ちが良く、うっとり。
シャンプーとは違い、髪や頭皮にねっとり絡みつく感じがなく、
洗っている間も爽快。


「一般的なシャンプーには
自然界には存在しないさまざまな化学物質が含まれています。
でも、うちで使っている石けんはすべて天然成分でできている。
シャンプーしてるのに頭がかゆくなったりするでしょう?
あれは、シャンプーに含まれる化学物質が頭皮に残ってしまことが原因。
石けんシャンプーで洗うと、
1〜2日洗わなくてもかゆくなることはありません。」


なるほど、知らずしらずのうちに、
からだによろしくない物質が、頭皮に蓄積されているのだ。


「でも、シャンプーにも色々あるし、
化学物質が含まれていてもそれで気持ちよく使える方もいる。
それはそれで良いんです。
自分に良いものを選ぶことが大事ですから。」


オーガニックというと
厳戒な、ストイックな感じがするが、
菅野さんのスタイルはあくまでフレキシブルだ。





シャンプーが終わり、温かいお湯に髪を浸したまま
ちゃぷちゃぷと音がする。
柑橘系の爽やかな香りがたちこめる。


「これはリンスです。
石けんシャンプーを長く続けている人は必要ないんですが、
初めての方はどうしても髪にきしみがでます。
それはpH(ペーハー)の問題。
なんにでも理由があるんです。
だから、そのpHを変えてあげればサラサラになります。」


髪の毛をさらさらにするために
pHと整えようだなんて考えたこともなかったし
よもや、美容室で化学用語を耳にしようとは。


「次はトリートメント。
これは黒糖からできているんですよ。」


髪に黒糖?!


「お菓子を作るときに卵を塗って焼くとつやっとするように
黒糖にも同じようなコーティング効果があるので
髪につやが出るんですよ。」


調べて見ると、黒糖は昔から洗顔や洗髪に用いられていたそう。
先人の知恵は化学的側面から検証しても、正しいのだ。



石けんシャンプー初心者のきしみをとり、サラサラにしてくれるクロミツヘアパック


東京で活動なさっていた菅野さんだが、
どうして沖縄に移っていらしたのか。


「今とは違い、僕らが始めた当時は自然派志向は主流ではなかったし
果たしてそれが東京で受けいれられるのか、というのは不安はあった。
沖縄だからできたんだと思います。
髪の毛に対する風土的、感覚的な観点が違うんです。
フラをやっているハワイの女性の髪が長いように、
沖縄でも舞踊をされる方は髪が長い。
それだけでなく、沖縄では
『女性は髪が長いものだ』というイメージが強い気がします。
単純に男性の好みかもしれませんが。
染めたりせずに美しい髪を保つ、
沖縄は自然体を受けいれやすい土地柄だと思います。」


沖縄は素朴な美しさが存在しうる場所だという。



天然成分100%、「肌自身がもつ機能の活性化」がコンセプトのドクターハウシュカ


「菅野さんに切ってもらうとヘアスタイルが長持ちする」
という声が多いようですが?


「長持ち?(笑)
確かによく言われます。
それなりに考えては切っています。」


必ず骨格を意識して切る。
切り口を滑らかにするのがポイント。
一本一本が先ぼそりの形になるので、
頭の形にきれいに馴染む。


「基本的にはその一本一本が均等に伸びていくので
伸びてもどこかが重くなるということは殆どないです。」


長持ちするヘアスタイルということは、
それだけお客さんがカットに来る頻度も減るということ。
また、ROOmでは、カラーリングもパーマもしない。


「カラーリングやパーマをすれば、
染め直し、かけ直しで来店頻度もあがる。
わかってるんですけどね(笑)
うちはやらないんです。」


第一に髪のこと、そしてお客様のこと。
そこには、一貫して「誠実さ、真摯さ」がうかがえる。





自分を「表現」することに、最近は興味があるという。


「ヘアサロンでは、お客様はもちろん自分の『作品』ではありません。
カットする時にはお客様の好み、要望を取り入れて考えますから。
なので、ヘアカットではなく、
他の分野で自分を表現をしたいと考えています。」


昔から、作り出すことが好き、図工の時間がとても楽しかった。


「絵は好きじゃなくて、立体的な物を作ることが好きでした。
だから、美容師の仕事はまさにうってつけ(笑)」


すでに始めているアーティストとしての「表現」、
しかし、美容師としての仕事が忙しく、
なかなか作品作りに時間を割けないという。


「でも、やっぱり美容師の仕事は好きなんですよ。
天職だと思っています。」


髪に優しい、頼れる美容師さんとしてだけでなく、
アーティストとしての菅野さんの活動も、今後は楽しみだ。


<後日談>
石けんシャンプーを体験したあと、試しに1日髪を洗わずにおいてみたところ
本当に全くかゆくならない!
それどころか、天然成分の香りが持続、二日目もまるで洗い立てのよう。
そして、指通りが滑らかなだけでなく、全体的にしっとりと水分を含んだ感じを維持。
買って帰ったBotanicaは、洗顔にもばっちり。
洗顔後は適度な油分が顔にのこり、化粧水をつけずともつっぱり知らず。
もちもちの洗い上がりに、石けんの威力のほどを実感。
石けんって、すごい!

写真・文 中井 雅代

 
 

ROOm hair & organic works
沖縄県那覇市牧志 2-13-12 TKビル1F
tel / fax : 098 866 8860
e-mail : info@room-organic.com
Open :11:00~20:00
Close :火曜日・第3月曜日 定休

HP:http://www.room-organic.com  
blog:http://room-organic.seesaa.net
 

2010 12月

 

スープが入っていないので、その名も「乾麺」。豪快にかき混ぜて、底にたまったタレをまんべんなく麺にからめて口に入れるとしっかりだしのきいたコクのある味に、ほのかな甘み、もっちりした麺が、のどごしも軽くするすると入っていく。

 

「こっちがメインだよ」とオーナーおすすめのスープ、だしは豚骨でとっているというが透きとおった色のあっさり味。これが、高級割烹についてきてもおかしくないほど上品で、落ち着いていて、味わい深い、お吸い物のようなスープ。

 

それにしても・・・

 

何だろう?最初の一口で「絶対、リピーターになる!」と確信するほど、麺もスープも美味しいことは違いないのだが、

 

日本料理にあっても違和感がないようなとても親近感のわく味ながら、食べればたべるほど「・・・やっぱり日本料理に、この味はないよな。」

 

この不思議な味わいを作り出しているのは・・・調味料?

 

「特に珍しい調味料は使ってないんだけどね〜。」八角とか・・・「使ってない、使ってない。」不思議なのである。

 

 

気さくに話しかけてくれるオーナーは、沖縄在住四十年以上の台湾人。

 

「あなた達より沖縄歴は長いからね、なんでも知ってるよ」

 

なるほど、間違いなく台湾料理なのに、異国情緒あふれるどころか、どこか懐かしささえ感じるような、日本人の私がすんなり受けいれられるこの味は、沖縄で過ごしたオーナー夫妻の長い年月から生まれるものなのかもしれない。

 

 

人気の「うめ〜そば」。かつおは一切使わない、豚骨スープ。台湾料理と沖縄そばの融合だ。

 

豚骨スープなのに臭みがなく、むしろ、うまみだけが抽出されたようなおいしさ。油の加減もちょうどいい。

 

しゃきしゃきもやしも台湾風ならでは。

 

うめ〜屋で困るのは、一口食べたその料理をお友達とシェアするのが惜しくなってしまうところ。全部一人で食べたくなってしまう。・・・が、シェアしてみると、今度は相手が注文したものも、やはり全部食べたくなってしまうのだ。


悩ましいまでのおいしさ。


 

セットにするとついてくる餃子。もちもちの皮の弾力にまず驚く。具はシンプルで、いかにも台湾の家庭料理といった素朴さ。それが、しみじみおいしい。

 

「もう、お腹いっぱい?まだ食べられる?うちで評判の卵焼きがあるんだけど、作ろうか?」

 

この段階ですでに、絶品の数々にことごとくハートを打ち抜かれているのだ、断るわけがない。

 

 

料理担当のお母さんも台湾人。

 

「9人兄弟の長女だからね、料理は小学校5年生の頃からやってるよ。」

 

この日、急に予約が入ったという夜の宴会のために、ミーバイも仕込んでいた。

 

仕込みが終わると、手際よく卵を割りながら、

 

「卵焼きっていうと沖縄だと塩味でしょう。うちは醤油味。」

 

たまご、醤油、ネギと、材料はやはりシンプル。油をたっぷり敷いた、もちろんこれまた普通のフライパンでものの1〜2分で焼き上がる卵焼き。

 

これが、驚くほどおいしい。材料か調理器具になにかしかけがあるのではと疑うほどおいしいのだ。味に奥行きがあって、なおかつ素朴。これぞ、台湾のお母さんの味なのだろう。アチコーコーをはふはふ言いながらほおばる幸せ。

 

うめ〜家は、隠れメニューがとにかく多い。今や一番人気の乾麺も、元は隠れメニューだったというから驚き。隠れていようがなかろうが、どれもこれも美味しいので、お客さんからの要望で隠れメニューから格上げになることが少なくないらしい。

 

 

台湾人観光客のツアーコンダクターをしていたオーナー。9・11テロで観光客が激減したことをきっかけに開店。

 

「奥さんの料理はすごいよ、本当に何を食べてもおいしいんだから。」

 

夫婦で仲良くきりもりする姿につい微笑んでしまう。

 

台湾ベースに沖縄風味が絶妙に配合されたうめ〜屋の味は「中華料理はちょっと・・・」といううちなんちゅや「沖縄料理は苦手で・・・」という観光客にもきっと受けいれられる、国境を越えたおいしさ。

 

「台湾人のお客さんたちに人気なのはビーフン。みんな必ず注文するよ。」

 

これは、明日も行くしかないか。

 


うめ〜家(うめーや)
豊見城市高安927-11
098-850-2519
open:11:00~19:00頃まで
close:火曜日午後より
・夜の宴会も承っています