文/写真 関根麻子
今日もいい天気。
優しく洗って、
じゃぶじゃぶとすすぐ。
ばさっとしわをのばしたら
お気に入りのARTS&SCIENCEのワンピースをお日様のもとへ。
私の一番の日常着。
Shoka:の常設スペースが8月に産声を上げたとき、
私はこのワンピースを初めて着た。
それからは毎日と言っても大げさでないくらい、制服のように着ている。
この素材は綿麻で、洗いざらしが気持ちのよい素材だ。
洗濯好きということもあって、着たらすぐ洗濯。
何より丈夫。
すぐに乾くのも嬉しい。
ARTS&SCIENCEの服はファッションとしてももちろんのこと、日常道具としての視点からも「衣」をとらえ、
何十年と長く着られることを考えて作られている。
動きに対して負担がかかるところは、当て布で補強され、
裏地の縫い目はすべてロックミシンではなく袋縫い。
それがデザインの一部かのようにとても美しく仕立てられているのが特徴だ。
だからなのか。
仕事や遊びで動き回っても、丈夫、丈夫。
ちょっとやそっとじゃくたびれない、そんな強くしなやかな服。
何十回と水にさらされ、太陽と交じり合ったこのワンピース。
最初は張りがあるしゃきっとした生地だったが、
少しずつやわらかくなり、気づけば自分の一部のような着心地に。
いつもの仕事でも、いざという時も、頼りがいのあるパートナーのような服。
何だかありがとうと声をかけたくなる。
日常着と聞いて多くの人が想像するのが、デニムではないだろうか?
100年以上前のゴールドラッシュで沸くアメリカで
働く人の道具、すなわち作業着として作られた衣服。
ハードな力仕事でもへっちゃらな頑丈さは、多くの人に愛され、着続けられてきた。
近年は、その丈夫さは継続しながらも、素材やデザインも多様で、常に変化し続けている。
着ると楽しくなるデザイン、体型が美しく見えるもの、藍だけでなくカラーデニムもたくさんでている。
細身、ストレート、太め、ベルボトム、挙げたらきりがないくらい。
写真はミナ ペルホネンのデニム。
「always」という名前がついている。
そう、日常着は「いつもの服」なのだ。
気がつくと、なぜかそれを着ている。
いつもの、服。
着るとヒップのところがウサギに見えるデニムなど、数種の色や形があり、
ミナ ペルホネンらしい心憎いチャーミングなデザインが幅広い世代に愛されている。
そして、上の写真。
よーく目をこらしてみてください。
うろこのような模様が見えるだろうか。
ウエスト部分の裏地「マーメード」のテキスタイルの刺繍のあたりが出て、
まるで鱗のような模様が浮かび上がっているのだ。
なんだかロマンティックな物語を見ているよう。
他にもShoka:にはARTS&SCIENCEの生デニム(洗いをかけてない、ばりりとしたデニム)や、
ペインターデニムがある。
スタンダードで美しい形のデニム。
着るとあまりにもきれいな形なので、着た人が驚くことの多いデニムです。
ばりりと最初は固めな生デニムを、がしがし洗いながら着る事によって、
くったりと自分に馴染んでいく変化を実感するのはとても楽しそうだな、と想像する。
この世界にたくさんある多種多様なおしゃれなデニムの中から、
自分にぴたりとくる一本を探す。
いつも、私と寄り添う、
そんな頼もしい親友、デニム。
朝夕と肌寒く感じてきた今日このごろ。
気づけば、今年もあと一ヶ月半。
Shoka:にこれからの季節が楽しく過ごせる秋冬ものが出揃いました。
まさしく日常着と言えるものばかり。
そんなある日、「木漆工とけし」のお二人がShoka:に納品にきました。
木地師の弘幸さん、塗師の愛ちゃんです。
やんばるで二人三脚、日々想いのこもった漆器を制作しているご夫婦です。
(詳しくは以前田原の記事がありますので、ぜひご覧になってください。すばらしい仕事を生み出すお二人です)
→http://calend-okinawa.com/interior/shoka/ayu48.html
そうだ、モデルになってもらおう!と田原と私で盛り上がり、
ゆんたく後はシンプルでかっこいい秋の「日常着」をコーディネート。
少し肌寒くなってきた夕方に撮影開始!
アーツ&サイエンスの上下に身を包んだ弘幸さん。
うーん、かっこいいです。
こっくりとした焦茶に近い黒のネルシャツは、シャーペーシャツと名付けられたもの。
中国のしわだらけのわんちゃん「シャーペー」から付いたネーミング。
ボタンのところや衿の部分にさりげないギャザーがほどこされている。
下はジョッパーズパンツ。
綿麻で織られたカーキのミックスツイード。
足下のボタンがポイント。
そうなのです。
あまり知られてはいませんがShoka:はユニセックスのものがあるので
男性も着られるものが結構あるのですよ。
サイズがあえばですが、ご夫婦で一緒に着ようかなんて嬉しいお客様もいます。
特にARTS&SCIENCEは、メンズとレディスの区別無く、ユニセックスで着れる服なのです。
細身の弘幸さんに、ほどよいゆとりがいい具合で抜け感を出しています。
実のところ撮影はがちがちに緊張していた様子でしたが、たまにはこんな感じもいいよね。
撮影中、可愛い子猫も参加。
白シャツに笑顔の愛ちゃん。
こちらは弘幸さんと織り違いのジョッパーズを着てもらいました。
同じ綿麻でも織りはヘリーンボーン。
サイズは一つ違いです。
かっちりとした表情ですが、上下ともに洗いざらしの風合いがあるのでかしこまらない。
やわらかな笑顔にきりりとしたコーディネートがいいな。
シャツでも、ニットでもカットソーでも、何でも合うのがこのパンツの良いところ。
Shoka:の田原はこのパンツと同形のものを愛用しています。
テーラーメイドのように立体的に作られていて本当に動きやすく、
カッティングの細かな配慮がデザインとしても美しい。
もちろん自宅で洗濯できます。
日常着は、やっぱりおうちで洗濯できるものがいい。
何度もこの連載に登場していますが、
足下はShoka:で一番人気の、日常着ならぬ日常靴「トリッペン」
人間工学に基づき作られた身体の軸が整う靴。
子猫ちゃんと日が暮れるまで追いかけっこしても、疲れ知らずの靴かもしれません。
メンテナンスもすばらしく、ステッチの縫い直しから中敷きのインソールの総張り替えまで、真摯に対応してくれます。
何十年と寄り添いながら、おばあちゃん、おじいちゃんになっても永く愛せる靴なのです。
弘幸さんお気に入りのアーツ&サイエンスのネルのプルオーバーにからしの色のストール。愛ちゃんは、トゥジューのウールのセーラーカラーを。
撮影会も日が暮れ出すころに終了。
ご夫婦一緒に写真を撮ろうとすると、とても照れ屋さんになる2人が初々しかった。
忙しい中時間をいただきどうもありがとうございました!
私もとても楽しかったです。
すばらしい仕事を日々紡ぎ二人三脚で頑張っている渡慶次ご夫婦と
今回書いている「日常着」という言葉の意味とが
何だか共通点があるように感じました。
気づけば寄り添い、毎日毎日を支えてくれる頼もしいパートナー。
互いの個性を知り、一緒に歳を重ね、日々の暮らしに馴染み交じり合う。
ふとありがとうと声をかけたくなる。感謝する。
そんなパートナーのような服たち。
たくさんでなくていい。
永く共に過ごす日々の服。
着るごとに愛着が育まれる服。
私だけのそんな日常着を探しに、初冬のShoka:にいらしてください。
Shoka:常設展 「私の日常着」
11月17日(土)~12月2日(日)
会期中定休日(月・火)
12:30~19:00
取り扱いブランド
ヨーガンレール ・ ミナ ペルホネン ・ ARTS & SCIENCE ・ TOUJOURS
木漆工とけしの漆器
Shoka:
沖縄市比屋根1-13-6
098-932-0791
12:30~19:00
月火定休日
http://shoka-wind.com