文/写真 関根麻子
いただきます。
出勤前の朝ご飯。
いつもの漆器に、いつもの料理をさっと盛りつけ。
もちろん、朝ご飯抜きの慌ただしい日もあるけれど、
たった15分でいい。
頭をからっぽにしてゆったりとご飯と向きあおう。
さぁ、今日が始まります。
昨日の晩ご飯の余りでも、パン1枚とサラダ、そして珈琲1杯だけの朝食でも。
簡単な料理でも、より気持ち良く朝を迎えることの出来る、いつものうつわ。
気づくと手に取っている。
自分とその暮らしに寄り添う、そんなうつわ。
写真は木漆工とけしの漆器。
やんばるの本部、夫婦で漆器作りをしている木地職人の渡慶次弘幸さんと、漆職人の渡慶次愛さんの作品だ。
センダンなど、そのほとんどを沖縄の木で作っている。
軽くて丈夫で、優しい。
初々しいのに、懐の深さも感じる。
いろいろ書き並べたくなるが、何より親しみやすい、暮らしに馴染む漆器なのだ。
二人のお人柄が映し出されてるなと、日々使っていて感じます。
そして盛りつける時に自分自身が楽しめる、わくわくする、うつわ
これはとても大事なこと。
そう、その後に続く食事の時間をより豊かにするから。
写真の拭き漆の匙は、わたしの初めて使った木漆工とけしの作品。
程よい削りの跡が、陰影の美しさと、温もりを感じさせる。
使い勝手も、幅広く料理をサポート。
ポテトサラダに、豆煮に、ディップ、デザートやスープまで。
何とも頼もしい友人なのです、はい。
去年掲載した木漆工とけしの詳しい取材記事はこちらをご覧くださいね。
お二人の姿勢、仕事ぶりが見えるような記事です。
「木漆工とけし 意図を越えたうつくしさに向かって」
http://calend-okinawa.com/interior/shoka/ayu48.html
去年二人に縁のある 赤木明登さんの漆器の展示会をShoka:で開催した。
上の写真は、その時のもの。
ここで今まで持っていた私の中の漆器への概念が、がらがらがらと崩れていった。
初めて漆にときめきを覚えたのも、この時である。
「お手入れが難しいのでは?」
「普段の料理とあわせにくいのかな?」
そんなイメージは、みるみるうちに吹き飛んだ。
お正月やはれの日に用いられることの多かった漆器。
普段使いなど、あまり想像できなかった。
それが、どうだろう。
使い始めは、直前に軽く洗い、さっと拭いてから盛りつける。
そうすることで、漆器の肌が適度な水分を含み、匂いや染みがつくのを防いでくれる。
ごちそうさまと、ご飯の時間が終われば、さっと洗い、きりっと拭き上げる。
そのあと、風通しのよいところで少し休憩してもらう。
乾いたら、棚に戻しておやすみなさい。
また明日もよろしくね、と。
中が木製なので水に浸けっぱなしや、煮えたぎった油などのあつあつすぎるものには注意するくらい。
チャンプルーやパスタ、お茶、スープなどの温度のものは、私は気にせず盛っています。
それから、金属製のナイフやフォークを直接使うことは控えたほうがいいと思います。
何より毎日のように使い、可愛がってあげる事が大事だ。
そうすることにより、いい艶が出て、表情も良くなってくる。
漆は使い続ける事により、艶が増す。
真珠のようなやわらかで美しい表情が育ってゆくのだ。
そして、ものを大事にする心も一緒に育ってゆく。
そうそう、お手入れ法で何かわからないことがありましたら、どうぞお気軽にShoka:にご相談くださいね。
さてさて、木漆工とけしのうつわに戻りましょう。
漆器は料理だけではございません。
これはお茶の時間。
和菓子はもちろんのこと、ケーキや、おせんべい、フルーツにもぴったり。
うつわの立ち上がりの深いものには、汁気のあるぜんざいなども。
ゆったりとしたお茶の時間が流れます。
母が去年庭で収穫して作った干し柿を乗せて。
漆にすずを混ぜた、小さい宇宙のような漆の鉢。
煮物にカレーに、などなどなどと、幅広く使ってます。
ただいま我が家の活躍率NO,1!
同じく、すずの漆器。
ぐいのみですが、夜のつまみを入れて一杯を楽しみます。
渋く放つ光は、大人の時間をさらに盛り上げてくれることうけあいなのでした。
さて、作りすぎた料理たちは、次の日のShoka:のオープン前の昼ごはんへと。
漆器だけではなく、安藤雅信さん、ヨーガンレールの陶器も織り交ぜて。
さまざまな材質の器と組み合わせて発見が多いのも漆の魅力。
やはり、みんなで食べるご飯はおいしいな楽しいな、と感じながらのしばしの休憩タイム。
皆でごちそうさまをした後は、満腹ぷくぷくとひとりごち。
スキップしながらシャッターを開けた。
その日一日の楽しさの元になる、そんな料理を盛りたくなる
わたしのいつものうつわたち。
いつもの暮らしに寄り添うぬくもりを感じる「木漆工とけし」の漆器。
すぐ隣に来ている春の食材を盛り、少し冷える日には温かなスープをそそぐ。
季節を感じながら、ずっとともにいたいうつわです。
自分だけのひとつを探しに、Shoka:へとどうぞ。
暮らしを楽しむものとこと
Shoka:
http://shoka-wind.com
沖縄市比屋根6-13-6
098-932-0791