『 クリスマス・イブ 』聖なる夜のクリスマス・イブ。暖かな橙色と飾らない、正直な言葉たち。


マーガレット・ワイズ・ブラウン ぶん ベニ・モントレソール え やがわすみこ やく
ほるぷ出版 ¥1,470 /OMAR BOOKS

 

真夜中の静かなクリスマス・イブ。雪がしんしんと降っている。
大きなお屋敷の二階で4人の子どもたちはベッドの中で眠れずにいる。
それはもちろんクリスマスの前の晩だから。みんなわくわくとして、となかいなどを目に浮かべて耳をすませている。
そしてとうとう起き出してツリーのある階下に降りていくと・・・・・。
という場面から、この絵本の物語が始まる。

 

明るい橙色が目に鮮やかなこの絵本は、言葉少なく聖なる夜の美しさを伝える。初めから終わりまで続くこのオレンジ色のトーンのおかげで、雪の降る寒い真夜中の話でも暖かく感じられる。まるで赤々と燃える暖炉の灯りのように。
特別な夜の美しさを感じ取った子どもたちが、大きなツリーを前に身動きもせず、立ち尽くす場面が特に好きだ。

 

この絵本のお話を書いたマーガレット・ワイズ・ブラウンについて少し。
彼女は本名のほかに3つもの男性名を使い分けて作家活動をしていたそうだ。
優れた作家(画家)たちと組んで多くの作品を生み出した。その数100冊以上。
アメリカの絵本作家()としての地位を確立しているワイズ・ブラウン。
個人的には彼女の波乱万丈な人生に興味がある(それにふれると長くなるので関心のある方はぜひ調べてみて下さい)。

 

「おやすみなさい おつきさま」という代表作もそうだけれど、彼女の書く文にはほんとうに必要な言葉だけが選ばれてそこにある、という印象がある。
シンプルで静謐。そのお話は子どものために書かれたというより、誰が読んでもその人の心にまっすぐ届く。飾らない、正直な言葉たち。

 

わずか42歳で亡くなった彼女の遺作にイタリアのベニ・モントレソールが絵をつけて出来上がったのがこの絵本。
聖なる夜の美しさと、静かに響く歌声に包まれて再び子どもたちが眠りにつくところでお話が終わる。読み終わると賑やかで煌びやかなイブもいいけれど、この絵本のようなクリスマスの夜も、またあっていいものだなあと思わせてくれる一冊です。

 

 

OMAR’S STUDY -Cultiveting Delight
短編教室 第4回 

古今東西の短編小説を読み、その作品の持つ魅力や背景、歴史などに
触れながら語り合う時間です。普段あまり小説を読まない人、短編作品を
読んだことのない方なども、気張らずにぜひご参加下さい☆

 

日時:
●12/11(午後18:00~20:00)定員6名
●12/15(午前11:00~13:00)定員6名 
二日間とも同じ作品を取り上げます。      

 

作品:『 賢者の贈り物 』オー・ヘンリー著

 

参加費500円(資料代別 ドリンク込み)女性のみ
作品が手に入らない場合はご相談下さい。
※前もって作品を読んでくることが条件となります。
参加ご希望の方はこちらまで→098-933-2585

OMAR BOOKS 川端明美




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