『 フクロウ その歴史・文化・生態 』見たことなくてもみんな描ける、遠いようで身近、ピカソも飼っていたあの鳥について。

フクロウ
デズモンド・モリス 著 白水社  ¥2,600 (税別)/OMAR BOOKS
 
― 夜の生きものフクロウ どれだけ知ってる?  ―
  
  冬に向けてどんどん日暮れが早くなっている。
日が落ちる時間は、つい最近聞いたところだと午後5時半ごろ。
でもそれも12月に入ればまた冬至を境に日の入りは遅くなっていく。
だから今は一年を通して夜の時間が一番長い時期。
こういうときに、たまにはこういう本はどうでしょう?
 
今回ご紹介するのはイギリスの著名な動物行動学者・デズモンド・モリスの『フクロウ その歴史・文化・生態』。
 
こちらを見つめるつぶらな黒い瞳のフクロウが表紙を飾る。
 
フクロウと聞いてまず何を思い浮かべるだろう?
夜に活動する鳥。賢者の象徴。ホーホーというあの鳴き声。
あるいは人に似た顔を持っているとか。
大体皆似たようなイメージを持っているように思う。
 
著者が子供たちに絵を描かせてみたら難なくフクロウの姿形をとらえた絵が描けたそうだ。でもだからと言って実のフクロウを自分の目で見たことのある人は少ないと言う。
それなのにこの鳥に何故か親近感をもってしまうのは私だけだろうか。
 
動物行動学者としてベストセラーの著作を持ち、動物園館長を務めた経歴もある著者が、ある子どもの頃の体験がきっかけで「フクロウ」について、また彼らと人の関係について興味を持ち、その謎と魅力を余すところなく解き明かした本書。
 
東西南北のフクロウが象徴してきたもの、まつわる神話など、よくこれだけ調べたなあと感心するほど、カラー・モノクロ図版多数収録されていてそれだけでも貴重な資料となるこの本。図版だけ見ているのも楽しい。
 
目次にはこんなタイトルが並ぶ。
 
「フクロウの薬効」「文学におけるフクロウ」「フクロウと芸術学」・・・。
 
古い洞窟に描かれた最古のフクロウの絵や象形文字で表されたフクロウ、シェイクスピアでは不吉な存在とされ、「くまのプーさん」では木のむろに住む頼れる博識な賢者。また、ピカソはペットとしてフクロウを飼っていた、なんてのも。
読みやすい文章なのでこれ一冊でフクロウ博士になれそうだ。
 
これはぜひ見てみたい!と思ったのは「サボテンフクロウ」。なんてかわいい響き。メキシコ・南米などのサボテンの内部に生息する世界最小(身長14センチ程度)の種。
この写真(大きく縦に伸びたサボテンの穴から小さな顔をのぞかせる)がまた胸をくすぐる~。
 
フクロウと人間の関係はとても古く、そして深い、ということがよく分かる。
 
知的好奇心を満たしてくれるこの本。
眠れない夜にどうぞ。


OMAR BOOKS 川端明美




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