『 暮らしと器 日々の暮らしに大切なこと 』男性用、女性用のお椀のサイズ差が生む効果、湯呑みに取っ手がない理由・・・これが家庭科の教科書だったらな。


山口泰子・著  六耀社  ¥1,680/OMAR BOOKS
 
― 湯呑みに取っ手がないのは? ―
 
今使っているめし碗は、OMARによく来てくれるお客さんから去年の誕生日に頂いたもの。
読谷の北窯でわざわざ選んでくれて、色もフォルムも手触りも私好みで気に入って使わせてもらっている。
この器でご飯を食べると、他の器で食べるより美味しく感じるのが不思議。
器で味覚も変わる。やっぱりそこには気持ちが入るから。
毎日必ずといっていいほど手に触れる器。
私たちの生活には欠かせないもののひとつだ。
 
そんな私たちの暮らしと器の関係がよく分かる本が今回お薦めする『暮らしと器』。
 
「食器ってほんとうに必要か?」という投げかけで始まる本書。
この本を読むと、器に関する当たり前だと思っていたことが
「あれ? 考えてみればそれはどうしてああなっているんだろう? 」
という素朴な疑問に答える「なるほど!」と膝を叩いてしまう(という表現、今では古いかな・・・)豆知識が満載で面白い。
  
例えば、私の好きな「なるほど!」は、
 
― お椀の大きさはちょうど両の手の平で包んでいい大きさになっているけれど、男物と女物には直径5ミリの差があって(ある人が言う)その理由は女性の手が器を持つとき、手の表情が自然に優しくあってほしい、という日本の美学ともとれる ―
 
というもの。
ついつい見とれてしまう器の持ち方がきれいな人っているものね。
 
また、
 
― コーヒーカップやティーカップには取っ手があるけれど、湯呑みに取っ手がないのは、手に温かさが伝わらないから。つまり日本人は手でもお茶を味わっているということ ―
 
など。
そうか、そういことを考えたこともなかった。
冬の寒い日にお茶を熱く入れて掌に温度を感じながら飲むのはほっとする。
  
こういう本が学校の家庭科の教科書だったらいいかも、と思う。
基本がほぼこれ一冊で押さえられるし文章は優しく、写真も豊富。
 
あと私だったら例えば若いお母さんなんかに薦めるなきっと。
子どもにお箸について説明するときなど、この一冊があればけっこう生活のいろんな場面で重宝するかも。
 
この本を読めば、普段何気なく使っているお弁当箱やマグカップの扱いもきっと変わってくる。
使えば使うほど味わいが出てくる器。
毎日使うものだからこそ大事にしよう。

OMAR BOOKS 川端明美




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