四月社 ¥1,890/OMAR BOOKS
―「ひらめき」の種明かし―
この人の頭の中は一体どうなっているんだろう?
とんでもない作品を見たり、聞いたりしたときそんな疑問が湧く。
小説然り、音楽然り。そして映画でもまたそんな出会いがある。
映画ファンなら知らない人はいない、デヴィッド・リンチ。
代表作は『エレファントマン』『ブルーベルベット』『ツインピークス』(こちらはテレビドラマ)『マルホランド・ドライブ』他多数、とあまり映画は見ないという人でもどれか一つは聞いたことがあるはず。
これらの作品が世に衝撃を与え、特にその後のアート全般に及ぼした影響は大きい。
とにかく不可思議な、独特な世界に見る人を引きずり込むのがリンチ作品の魅力。
見るたびにほんと驚かされる。映画監督としては敬意を表するけれど、個人的にはあまり近づきたくないタイプかもしれない。
そう思っていたら、この本を読んでがらりと彼に対する印象が変わってしまった。
今回ご紹介する『大きな魚をつかまえよう』ではこれまで彼がどうやって作品を作ってきたか、が種明かしのように語られる。
生みの苦しみがあるのは当然で、その手助けになったのが、TM(トランセンデンタル・メディテーション)という瞑想方法だという。
瞑想、というとつい敬遠しがちな人も多いけれど、宗教ではなく、技術として広く知られているTM(トランセンデンタル・メディテーション)という瞑想を生活に取り入れることが、彼自身に良い作用を与えたのは事実。
そこで彼がその経験で得たのは、アイディア(ひらめき)は魚のようなもの。以下、引用。
―小さな魚をつかまえるなら、浅瀬にいればいい。でも大きな魚をつかまえるには、深く潜らなければならない。
アイディアは実は自分の中にあってそれをうまくつかまえるコツみたいなものがいる。
それをシンプルな文章で、自身の映画の裏側を例に出しながら説明してくれる。
アクシデントの効用(トラブルの回避方法など)についてでは、考え方次第でそれが最大の結果を生むということを教えてくれる。
またストレスフルなことの多い日々の生活。セルフ・ケアにも役立つとリンチさんは太鼓判を押す。子どもの教育にもいいとして財団を設立するほど。
それはそれとして、カラフルな付箋紙(ポストイット)が並んでいるような本の装丁にも惹かれたのもこの本を手にした理由の一つ。表紙カバーをめくるとまたかっこいいのです。
「明かりを点ければ闇も消える。」
今何かに煮詰まっている人、この本を読んでみることをお勧めします。
OMAR BOOKS 川端明美
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