エンディングノート愛する家族に愛され、 見守られながら死んでいくという幸せな「生き方」


 
ドキュメンタリー映画。
しかも実際にもう亡くなった人の死ぬまでを描くテーマの映画なんて、ちょっとつらすぎて観れないのでは?と、ちょっと観ることを恐れていた作品。
私は、母を亡くしているので、
家族の死が、また闘病生活がどれほどつらいか、よくわかる。
 
この映画の主人公は、監督の父親。砂田知昭さん。
 

 
人生最期のプロジェクト、エンディングノートまで、実に見事だ。
 
人の一生に正しいとか間違ってるとか、
他人が判断できるものではない。
 
しかし、なんともまあ、素晴らしい。
この人のユーモアのセンス、またキレの良さ、
仕事もできるし人生の楽しみ方を知っていて、素晴らしい家族を築いた。
 
愛する家族を遺して死ぬのは実に忍びないと思う。
 
愛する家族にこんなにも愛され、
見守られながら死んでいくということは
こんなに幸せな「生き方」なんだと驚いた。
 
最近は、孤独死、のこととかも気になるようになってきた。
 
私の父は、砂田知昭さんの享年と同じ年。
他人事ではない。
幸い元気でいてくれるが、この砂田知昭さんも、
癌がステージ4で発見されるまで、あんなに元気だったではないか。
 
おそらくかなりのエリートであり、家族もみんな美しい。
 
いわゆる一般家庭といえども、
上流のクラスに入るのではないかと思われる暮らしぶり。
そうでないとこの映画はそもそも成立しない。
こういう美しい家族たちでないと、こういう映画にはならず、ただただ悲しいものになる。
 
この人の人間力が、おそらくここまでの家族を作り上げたのだと思う。
 
映画にもあるが、夫婦にもやはりいいとき、悪い時があり、
それを乗り越え、やっと今から、という時期。
 
妻は本当にどんなに悔しいか。
 

 

 
とにかく、本当に、見事な生きざまなのだ。
 
次女の砂田麻美監督。
自らがカメラを回し、主人公の気持ちをナレーションする。
 
この声が、優しさに満ち溢れ、
愛情いっぱいで、なおかつユーモアもある。
 
よくもここまで撮りきれたし、家族も理解した、と思う。
誰の意向だったのだろうか。このプロジェクトは。
 
オープニングで、洗礼をうけるために教会を訪れる主人公が映る。
 
そのあと、癌発覚直後ぐらいのお話に切り替わる。
 
1年ぐらいで、こんなに癌は人間の体をむしばむのか、または薬の影響か?と愕然とする。
 
元気だったころはわりとふっくらタイプの主人公が、だんだんやせていく。
 
アメリカに住む長男夫婦と孫たち。
彼らを訪ねていったり、彼らが帰国したり。
 

 
家族が何より大事、という選択を出来る人たちだし、
それを行動できるというところもスゴイ。
 
見事な「生き方」をみせていただきました。
観終わったときに悲しいんだけど、なぜかすがすがしい、
爽やかな気持ちになるという不思議な作品です。
 
ちなみに次女は作品には全く登場しませんが、声の通りかわいらしい監督です。
 


 

KEE



<ストーリー>
熱血営業マンとして高度経済成長期に会社を支え駆け抜けた「段取り命!」のサラリーマン・砂田知昭。
67歳の時会社を引退し、第二の人生を歩み始めた矢先に、毎年欠かさず受けていた健康診断で胃ガンが見つかる。
発見時にはすでに手術が不可能な状態だった。ガン告知後、彼がまず取り組んだのは“エンディングノート”と呼ばれるマニュアル作り。
それは遺書よりもフランクな、家族への覚え書きのようなもの。
人生最後のプロジェクトとして、明るく前向きに自らの死の段取りを成し遂げようとする父の姿を、娘は記録していた。
 
<キャスト>
砂田知昭
 
<沖縄での上映劇場>
桜坂劇場(12/10~)
那覇市牧志3-6-10(旧桜坂シネコン琉映)
098-860-9555(劇場窓口)
HP:http://www.sakura-zaka.com/movie/1201/1201_ending.html
 
『エンディングノート』公開記念「終活ワークショップ」開催
『エンディングノート』の公開に合わせて、
NPO沖縄シニアの会との共催で「終活ワークショップ」を開催します。
専門家を講師に迎えて「終活」についてより具体的に踏み込んでいきます。
それぞれの「エンディング」に向けて、よりポジティブに考えてみませんか。
※日時
1/16(月)〜2/20(月)
上記期間の毎週月曜日 19:00〜21:00
※参加費
全6回 10,000円
1回のみの受講 2,000円
※会場
桜坂劇場2階『ふくら舎』
※定員 12名
●お問い合わせ:098-860-9555(桜坂劇場)