工芸縫製・金細工技術研修成果展 沖縄の伝統工芸に新風を吹き込め! 若き研修生 巣立ちの展示会

沖縄伝統工芸研修

 

何色と言ったらいいんだろう? 

 

鉛色、鈍色(にびいろ)とでもいうのだろうか。鈍くて深いその色の中に様々な色が見え隠れする。少しいびつなカタチ、ポコポコと凹凸のある表面は、温かみとなって心に届く。そんな不思議な存在感を放つブローチ。

 

沖縄伝統工芸研修

 

これが伝統工芸の織物?

 

そう思うほど、鞄に仕立てられていることに違和感がない。革の少し光沢のある質感、その色味ともこんなに相性がいいなんて。気軽に持ち歩きたくなるカジュアルさだけど、しっかりとした上質感も漂う、そんな小ぶりのトートバッグ。

 

実は沖縄工芸振興センターが主催する、工芸縫製・金細工技術者養成制度の研修生の手によるもの。どの作品も、伝統を踏まえながら、今の生活にピタリと寄り添うものに仕上がっている。毎年開かれる研修の成果展は、沖縄の新しい才能に出会える場だ。今年は、県立博物館とセレクトショップMIX life-styleが、その会場となる。

 

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沖縄県工芸振興センター
沖縄県工芸振興センター主催 工芸縫製・金細工成果展

 

<第1回>
期間:2月26日(木)〜3月1日(日)
場所:県立博物館
時間:10:00〜18:00 (最終日は17:00まで)

 

<第2回>
期間:3月5日(木)〜3月8日(日)
場所:MIX life-style 宜野湾市新城2-39-8
時間:11:00〜19:30

 

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紫綬褒章を受賞した鍛金の大家や、海外の有名作家と展示会をする世界的ジュエリーアーティストなど、第一線で活躍する講師陣。もの作りが大好きで、自身の技術を広げたい、高めたいと真摯に門を叩いた生徒たち。新たな息吹を感じさせる作品は、熟練の技術と若い感性が出会うことで生まれています。

 

 

ー沖縄県工芸振興センター職員

 

沖縄伝統工芸研修
沖縄県工芸振興センター 主任技師 冝保秀一(ひでかず)さん
研修生の良き相談相手。長年、デザイン技術を軸として、工芸から工業分野にまで携わっていたので、もの作りのイロハもわかる頼もしい存在です。

 

▶工芸布を二次加工して盛り上げたい、金細工を復興させたい
「沖縄の伝統工芸である染め物や織物を、鞄に仕立てて広く使ってもらいたい。金細工を復興、発展させさせたい。そのための人材を養成しようと作られたのが、縫製と金細工の技術研修制度なんです。

 

紅型だったり織物だったり、沖縄の伝統工芸の布がありますよね。この工芸布を鞄などに二次加工して、付加価値をつけていこうというのが工芸縫製です。なぜこの研修制度が必要かというと、沖縄にはそういう二次加工の技術があまりなかったんですね。10数年前までは、布を県外に出して加工してもらってたんです。するとどこの織物、染め物の組合も全部おんなじ形の財布で作ってしまってた。質もあまりよくないし、せっかくの工芸布とも全然合ってない…。そんな悶々とした状況を打破するため、縫製ができる人を県内で育成しようということになりました。

 

くがにぜーく(金細工)については、そもそも沖縄の伝統工芸だって知らない人も多いですよね。“金細工またよし”の又吉先生はご存知ですか? 沖縄の伝統的な金細工をされている先生で、もうだいぶ高齢なんです。又吉家は昔から代々金細工を作ってきた家なんですね。後継者がなかなか育たず、今県内で先生の技術を踏襲してる人は、片手で収まってしまうくらいじゃないでしょうか。これはなんとかしないと、沖縄の金細工の技術をもう一度振興させようというのが目的です」

 

▶研修は、伝統工芸ならではの高度な技術を学べる場
「工芸布と合わせるということは、技術的に非常に繊細なものになってくるんです。通常革小物は、革を見せるためにガッチリしたものが多いと思うんですけど、工芸品と合わせるとなるとちょっと違ってきますよね。金具の取り合わせ方とか、革をすく技術、組み立てる技術、縫う技術は、一流ブランドがやってるような、かなり高度な技術を学ぶんです。研修期間は1年なんですけど、日数は60日間です。主要な技術を圧縮して、ものすごく密度の濃い60日です。1年の研修を終えた後も、材料調達や工房を訪ねる本土への視察旅行や、新たな技術の講習会があるんです。研修中だけでなく修了後も、かなり手厚い内容になっているんですよ」

 

▶趣味でなく、生業(なりわい)にする研修生を求む!
「高度な技術を学ぶ場ですので、基本的に手に覚えがある方が研修の対象ですね。全くの初心者は受け付けてないんです。また趣味としてとか、ちょっと興味がある程度で来られても、プロとしてやっていきたい研修生との温度差も出てしまいますから。真面目に、自分の生業としてやっていきたいっていう思いがある人だけに、研修生を絞っています」

 

▶特に、沖縄でもの作りをしてる人に見て欲しい
「ポスターにも書かれてるんですけど、「新風をもたらす」というのがこの成果展のテーマです。特に沖縄でもの作りをしている人たちに、こういう人材が育ってるんだってことを知って欲しいですね。こういう技術を持ってる人がいるんだったら、うちと一緒に何かできるんじゃないかと思ってもらえたら嬉しいです。そこで交流が生まれて、広がったらなあと。沖縄は色んなもの作りができる人が揃ってる。その中でコラボが生まれたら、更に新しいものがどんどん生まれていきますよね。他の土地にはない沖縄ならではの面白いもの作りの魅力を、作っていってほしいっていう期待があります。成果展期間中は研修生数人が常駐してますので、どんどん研修生に質問してやって下さい!」

 

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ー研修生

 

自身のブランドのオリジナルバッグを作って販売したい、漆細工と革を合わせて新しい価値を生み出したい、沖縄伝統の房指輪の制作を障害者に教えたい…。それぞれが高い志を持って、取り組んで来ました。

 

 

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工芸縫製科第5期研修生 當山勝さん 

 

▶自分の店でオリジナルバッグを売る夢を叶えたい
「僕はアパレルで商品企画をやってます。自分のお店(勝寿しデザイン)でオリジナルの帆布のバッグを出したいと思って、バッグ作りを学びに来ました」

 

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帆布トートバッグ 當山勝

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▶カッコイイ鞄にするため、工芸布をどう使おう?
「工芸布をどう使うかに一番頭を悩ませました。工芸布の作家さんの意向もあると思うので、失礼のないように、その布自体の良さを生かさないとって。作品は、よくあるお土産やさんに置いてあるようなものじゃなくて、いかにかっこよく作れるかこだわりましたね。最初はミシンが全く使えなかったのに(笑)、6ヶ月でよくここまでできたと思います」

 

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ガジェットクラッチ 當山勝

 

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工芸縫製科第5期研修生 又吉基哲(もとあき)さん 

 

▶ミシン縫製を学びたい
「革製品を作ってるんですけど、ミシンの縫製を学びたかったんです。制作を始めてから、まだ日が浅いんです。研修に来る前は全て手縫いでやっていました」

 

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ボストンバッグ 又吉基哲

 

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▶首里織をポールスミスのように表現したい
「ポールスミスみたいな柄が好きなので、そういう感じで工芸布を表現したいなって思います。首里織の道屯(どうとん)織が好きなんですよ。色のグラデーションがきれいで、目が荒くてちょっとデニムのような触り心地なんです。工芸布を新しい形にして広めていくには、これまでにないようなオリジナリティを追求していきたいですね。研修を受けてそういう気持ちになりました」

 

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ショルダーバッグ 又吉基哲

 

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工芸縫製科第5期研修生 玉城昌代さん 

 

▶今やってる漆と、学んだ革。いつかコラボをしてみたい」
「私は漆作家なんですけど、漆とは別で、革もやってみたいなと。革も広げていきたいですけど、いずれは漆と革とのコラボ、例えば革製品に漆の飾りをつけたり、革に漆を塗ったりしたいですね。今後研究しようと思っています」

 

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バタフライ手縫い 玉城昌代

 

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▶最初から苦労の連続…
「制作の作業は、まず型紙を作ることから大変でした。最初、どういう鞄を作りたいかイメージして、それを型紙に起こす作業が難しかったですね。先生に手伝ってもらいながら四苦八苦しました。ミシンも難しかったです。革を縫うミシンは、革に穴が開いてしまうからやり直しがきかないんですよ。厚いところは、針が逃げてしまって歪んだりするんです。研修に入った頃は、1枚の革が鞄という形になるって、どんなして作るんだろうって想像もできなかったのに。研修のおかげで、鞄を見る目が変わりました。販売されてる鞄を見たら、こうやって作ってるんだなってわかるようになりましたね」

 

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横長バッグ 玉城昌代

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金細工第5期研修生 上地栄太郎さん 

 

▶サンゴを使ったジュエリー作りに活かすため
「国際サンゴ加工所に勤めていて、ジュエリーになるサンゴを扱っています。それまではサンゴとは全く関係ない観光施設にいたんですが、転勤して、全く知識のないサンゴを急に扱うことになりまして。それで一度金属を勉強してこいって言われたんです」

 

▶鍛金は自分に合ってました(笑)
「鍛金はなんか楽しかったです。1枚の板をひたすら叩くんですよ。細かい作業はあんまり好きじゃないので、不器用な自分には合ってました(笑)。でも結構力を入れて何回も叩くので、腱鞘炎になってしまいそうなくらい腕が痛くなりましたね。特に真鍮はとっても固くて、20回くらい叩くと、すぐにまたカッチカチになってしまうんです。それを火で炙って柔らかくして。叩いては炙るの繰り返しでした」

 

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鍛金 タンブラー(左) 純銀 銀杯 上地栄太郎

 

▶完成したタンブラーで、皆で乾杯!
「完成した日に、それぞれ自分のタンブラーを持参して居酒屋へ行きました(笑)。それにビールを注いで乾杯したんです。格別でしたね。自分で苦労して作ったっていうのもあるんですけど、銅だとほんとに味が違うんですよ。泡立ちが全然違って、きめ細やかで滑らかな泡になるんです。でもせっかくの泡が黒くなってしまった研修生がいて(笑)。薬品をきれいに落としてなくて、1人黒くなってて爆笑でした。でもそれが美味しいんだって、本人は満足気でしたよ(笑)」

 

▶真剣に学んだことは、一生の宝
「研修では全然知らなかった知識を身につけることができました。金属の製品を見ると、これは何の素材でどうやってできるかわかるっていうのは、一生の宝ですよね。この年になってこんなに学べるって、なかなかないんじゃないですかね」

 

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沖縄伝統工芸研修
金細工第5期研修生 上原香さん

 

▶障害のある人に金細工を教える
「私は、福祉施設で障害者の支援員をしています。施設長が、今度障害者に金細工を教える事業を始めるから、教える人になってくれってスカウトされて(笑)。それまでは美容師だったんですけどね。その施設に、この研修の修了生がいて、私も研修を受けることにしたんです」

 

▶やってはやり直すのくり返し
「房指輪をつくるのに、やり直しがきかない一発勝負の工程もあって、何回も作り直しました。タイミングというか、その時のノリというか、根気が続くかどうかも、1回でバシッとキマるかに影響しますね。今でもこれ1つ作るのに最低でも2週間はかかります」

 

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彫金 房指輪 上原香

 

▶すごい先生から直に教えてもらう喜び
「研修ではすごい先生から習うんですよ。世界中で展示会してる先生やら、紫綬褒章を受けた先生やらですよ。普通に生きてたら会うこともない先生に、直に教えてもらえるってすごく幸せですよね」

 

▶それぞれの個性を見て欲しい」
「この房指輪とタンブラーは、基本の課題で研修生全員が作ったんです。同じものを作ったはずなのに、全然違うんですよ。それぞれの個性やオリジナリティが出てますね。そういうところも見てもらえると面白いと思います!」

 

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ー既修生

 

研修を修了したのち、学んだ技術をすぐに自分の仕事に活かしている修了生たち。オリジナリティを加えて個性豊かに表現をしています。他の伝統工芸の作家とコラボしたり、修了生同士で展示会を開催することも。中には、この研修の講師ができるほど技術が向上している人もいるのだそう。修了生の活躍ぶりを見れば、この研修の効果を実感できます。

 

 

沖縄伝統工芸研修
工芸縫製科第4期修了生 革細工専門店JEYLLY COKE 東 倖田(ひがし こうた)さん
1年前に研修を修了したあと、自身のお店を開きました。オリジナルの革小物を制作するだけでなく、革の材料販売も手がけています。材料を買いにくるお客さんからアドバイスを求められることも多いのだとか。

 

▶人脈を広げるため、開店予定を遅らせ研修へ
「元々革細工の制作をしていて、この研修を受ける前からそろそろ独立してお店を開こうかなって考えてたんです。でもちょうどその時、1期生の先輩から、研修制度のことを教えてもらって。じゃ独立は少し先延ばしにして、横の繋がりを広げてからにしようって」

 

▶紅型作家さんとコラボしてます!
「今、自分のオリジナルの作品を作るだけでなく、紅型作家のten天(てんてん)さんとコラボして、彼女の紅型を財布などに加工することもしています。元々、伝統工芸とコラボしたいなっていう気持ちはありました。もの作りをする者同士だし、20代は県外に出てたので、改めて地元のものが好きになったというか。ten天さんとだけコラボしてるんですけど、取引先を絞ることで、お互いが成長できるって感じてます。お互いの作品を熟知してるので、相手の作品に合うものを制作できる。革と合わせやすい色だったり、素材だったり。布の表に出る面積が小さいから、柄を小さくしてもらったり。あちらから要望があれば僕も近づけて。お互いの歩み寄りでいいものができるのかなって思います」

 

▶工芸フェアーに参加します
2月の後半には、嘉手納基地の中で工芸フェアーみたいなのをするんですよ。今回が第1回なんですけど、沖縄の作り手を集めて、外人さんに販売します。今はそれに向けた商品作りを主にやってますね。

 

▶研修生同士、自分の技を包み隠さずオープンに
「研修に行って良かったことの1つに、人との出会いがあります。今でももちろん交流がありますよ。集まって、自分がどうやってるのか公開しあう(笑)。やり方を見て発見があったり、アドバイスしあったり。これは違うんじゃないかとか議論になることもあって、お互いに成長できるのかなって感じますね。もの作りしてると、どうしても家にこもりがちじゃないですか。皆と集まることで、自分はまだまだだなって思ったり、刺激をもらったりして、視野が広がりました。外に出た方が自分も伸びるって気付きましたね

 

今日も1期生の方と会ってきたところなんです。先日一緒に仕入れに行って、送料を折半して送ったので(笑)。仕入れたものを取りに行ったついでに、イベントどうですか?なんて雑談したりして」

 

▶研修中は、研修がない日も研修センターへ通って自主練してました(笑)
「機械に触れられたことも良かったですね。先生が東京の方で、沖縄に来るのは隔週だったんです。研修のない週も、工芸センターの職員の方と交渉してミシンの自主練してました(笑)。今日持ってるの、その時に作ったバッグです。革って元々立体的じゃなくて、なめされてベターって平面な状態ですよね。それを立体的に見せる技法があるんです。ミシン専門の先生に教わったことを、自分なりに解釈して形にしたものです」

 

▶コンテストに出品して、工芸センターに恩返ししたい
「得るものが多かったんで、工芸センターにはほんとに感謝してますね。東京で第一線で活躍されている先生から、今はこういうやり方が主流だとか、最先端で旬な情報を沢山いただきました。この研修を受けさせてもらったからには、自分のためだけじゃなくて、頂いた技術を使ってどんどん県外のコンテストに出品しようって考えてます。具体的な目標ができたのも良かったですね」

 

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沖縄伝統工芸研修
金細工科第4期修了生 maNika 福永真由子さん
自分の好きなことを見つけたと、ジュエリー作りに没頭する福永さん。自分はまだまだだと、貪欲に学ぶ姿勢には、頭が下がります。普通のスクールでは学べない、伝統工芸の技法を学べたことがよかったそう。

 

▶金属でこんな鉛色が出せるって驚きだった
「このてんとう虫のピンブローチ、色が違うところ、全部違う金属なんですよ。銅と赤銅と金と銀。金属で色出しをするっていうのを研修で教わって、全部違う金属を組み合わせたいなと思って作ったんです。この黒いところ、銅なんですけど、最初は普通の銅の色なんですよ。それを煮色っていう最後の工程で、薬液に入れて40分くらい煮たら、こんなに渋くて深みのある色が出るんですよ。これ、日本の伝統工芸の技法なんですよね。伝統工芸の先生だったから学べたことです。

 

今までは例えば黒を使いたかったら黒い石を使ってたと思うんですよ。そのアイディアしか自分の中にはなかったんで。これからは、黒を入れたいと思ったら、じゃ金属で出せるなってなるじゃないですか。金属だけでも、表現の幅がすごく広がりましたね」

 

沖縄伝統工芸研修

 

▶伝統工芸の数々の技法をジュエリーに
「鍛金っていう伝統技法を学べたのもよかったですね。金属をひたすら叩いて形にする技法です。それまでは普通にジュエリー作って石を留めてということをしてたので、鍛金もやりたかったんですよ〜。鍛金は金属の表面に表情が出るので、ブローチとか帯留め作りに活かせるかなって思うんですよね」

 

▶様々な方法を学んで、引き出しが増した
「え〜っ、こんなやり方あるの?ってことも学べましたよ。この研修に入る前にも、ジュエリースクールにも行ってたし、自分でも仕事としてジュエリー作りをやっていたから、基本は知ってたんです。でもほんとに基本だった。同じものを作るにしても、色々なアプローチがあって。多分先生や職人さんによっても違うんですよね。辿り着くところは一緒、例えばピカピカに仕上げるのは一緒だけど、そこまでの工程の組み方が違うというか。ジュエリースクールの先生と、伝統工芸の先生、全然違う先生に習ったことで、自分にとってはどちらがいい方法か、色んなアプローチや引き出しが増えました」

 

▶今でも先生に電話して教わってます
「今でも研修の時の先生にはお電話して、色々聞いたりしているんですよ。先生の手元を見ると、ヤスリのかけ方一つとっても全然違うんですよね。このピンブローチも仕上げは先生が一緒にやってくださったから、こんなにきれいに色が出たんです。その後、自分で色出ししたら、なんかちょっと指紋がついていたのか、こんなに色が乗らなかった(笑)。まだまだ全然足りないですね。ずっと勉強です。自分の今持ってる技術で作れるものを作って、来月は、研修の同期と、神戸で1ヶ月間の展示会をやるんです」

 

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沖縄伝統工芸研修

 

修了生や研修生に話を聞いて、皆が口を揃えたのは、平面だったものがカタチになる楽しさでした。その間に目もくらむような数々の工程を踏み、何度もやってはやり直しの根気のいる作業。途中で匙を投げたくなったと言う研修生もいました。

 

そんな苦労を経験しながらも、楽しいと口を揃える。カタチになるまでの過程が、もの作りに魅せられる理由なのかもしれません。

 

どの人の目にも、ちょっとうらやましくなるほどのキラキラした充実感が宿っていました。そんな彼らが生み出した作品は、一手間一手間から作り手の息遣いが聞こえてきそうな、なんともいえない味や温かみがあるのです。

 

今後、沖縄のもの作りを盛り上げていくであろう有望な若者たち。“新しい風”は確実に吹いていると感じます。

 

インタビュー/和氣えり(編集部)

写真/島袋常貴

 

沖縄伝統工芸研修

 

平成26年度 工芸縫製・金細工技術研修成果展 (入場無料)
第1回 沖縄県博物館・美術館県民ギャラリー1
2月26日(木)〜3月1日(日)(4日間)
10:00〜18:00 (最終日は17:00まで)
第2回 MIX life-style 宜野湾市新城2-39-8
3月5日(木)〜3月8日(日)(4日間)
11:00〜19:30

 

主催 沖縄県工芸振興センター
098-889-1186
http://c8.x316v.smilestart.ne.jp/

 

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第五期研修生の作品11点が見られます。