「ヒトがやらないこと、ヒトが想像しないことをしたいと思ってます。お客さんがびっくりして喜んでくれることが嬉しいんです」
ヒルトン沖縄北谷リゾートのペストリーシェフ千葉真奈美さんのスイーツづくりへの姿勢だ。その言葉どおり、千葉シェフのデザートは驚きにあふれるスペシャルなもの。
上下写真ともに千葉シェフのティラミス。ティラミス一つにも、いくつもの再構築の形がある。
たとえばティラミス。その聞き慣れた名に反して、出てくるのは見慣れないデザート。アイス、シャーベット、チョコレート、クランブルと色んなお菓子がのっている。まずはそれぞれ単体に舌つづみ。その後に全てを崩して混ぜ、皿の上の全てを一つに。その味は、確かにティラミス! でも、シャリッ、サク、ホロホロッと歯ごたえ舌触りは様々。
「ティラミスって簡単にいうと、コーヒーとリキュールの染みこんだスポンジのような物とマスカルポーネチーズを重ねたチーズケーキですよね。それを再構築して作っています。マスカルポーネをアイスにしたり、スポンジはクッキーにしたり。ティラミスを一つひとつバラしていって、形と温度を変えていくんです。そうすることで、食感を生み出せるんですよね」
劇的に進化したこのティラミス、メインダイニングCORRENTEでコースの最後に出している一皿。大きな驚きがあるが、あくまでも主役である料理を引き立てる脇役なのだという。
「私にとってデザートは、料理あってのデザートなんです。だからデザートが勝つなんてことはないですね。でも、料理の最後を綺麗にまとめる重要な一皿だと思って作っています。何も面白みがなければ、ただの甘いもので終わってしまいますし、遊びすぎるとコース料理から浮いちゃって、流れを崩してしまいますから」
左 マローブルーのハーブティー/中 チョコレート デザート/右 アーモンドムースとセロリのアイスクリーム
デザートは脇役だと言い切る千葉シェフが、デザートを主役にしたメニューをつくるとどこまで面白くなる? そんな疑問に答えてくれるのが、現在開催中(9月30日まで)のイベント「秘密が隠されたビューティースイーツプレート」だ。
「デザートを主役に」というお題で千葉シェフが考えたのは「仕掛けのあるデザート3種」。口の中で弾ける音、化学反応で変化するビジュアル、温度差という新たな味。様々な要素が耳を目を舌をくぎづけにする。
特筆すべきは、プチコースのメインとなる「チョコレート デザート」。食べ終わるまでに、何度も感嘆の声がもれる。
「真っ白いお皿に真っ黒いものをのせて終わり。見た目にはチョコしかのってないんですが、きっと皆さん『中に何か入ってるんでしょ』って思ってくださいますよね。その通りなんです(笑)。ふつうは、皿にソースやらフルーツやらナッツやらを散らしますよね。そういうの全てを中に入れこんでます。それらが時間を追って、いろんな形で表れるようにしています」
3品すべてに驚きが仕掛けられたこのデザートコース、予約が必要で、しかも一日たったの8名様限定。理由は、準備が一日がかりなのと、仕上げとサーブに細やかさが求められるから。
「前日から仕込むのは、なんでもないんです。それより少しでも失敗したら出せないことが大変です。当たりまえですけどね。でき上がり寸前に割れたり、溶けたり、混ざっちゃったりするんです。知識と技術が要るので、腕が未熟だともちろんできませんし、気持ちが縮こまっていたりしてもダメですね」
そんな大変なことを…とも思える手の込みようが、持ち帰りケーキとはひと味もふた味も違う五感を満たす体験をつくりだす。それが千葉シェフのデザートの醍醐味だ。常に新しいことにチャレンジする千葉シェフのこと、次にデザートを主役にするイベントがあったとしても中身はきっと全く違うもの。ヒルトン沖縄北谷リゾートコレンテだけの、今だけの、一度しかないこのデザートは、9月30日(2016年)まで。
ヒルトン沖縄北谷リゾートCORRENTE
秘密が隠されたビューティースイーツプレート
場所:イタリアンレストラン「コレンテ」(1階)
期間:2016年7月1日(金)~9月30日(金)<金・土・日曜日限定>
時間:15:00~16:30
料金:2,000円(税サ別)
定員:一日8名様限定<要事前予約>
http://hiltonchatan.jp