「沖縄には景色が素晴らしい場所が沢山ありますよね。
だから建てて終わりではなく、色んなリゾートロケーションを楽しめる建物をつくりたいと思ったんです」
2010年、塚本さんは移動型ホテル「NEL Beach hotel(ネルビーチホテル)」を屋我地島に建設、2011年5月にはその場所を名護市呉我に移した。
「屋我地島にあったときは周囲は森、その先に海があるというロケーションでした。一方、呉我は建物の真下が海。まるで海の上に寝泊まりしているかのような気分を味わえます」
基本的に大きな家具はそのままの状態で、クレーン車で建物をつり上げてトラックに積み込んで移動させた。
移動の様子
現在、名護市呉我で営業中のNEL Beach hotel
塚本さんが沖縄にやって来たのは2007年。
東京で勤務していた会社での仕事で沖縄のホテル開発に携わった。
その後、住まいを沖縄に移して2011年に独立、NEL Beach hotel を建設した。
「一日一組限定なので、完全なプライベート空間として楽しんで頂けます。
10月頃には一階の一室をトリートメントブースとしてオープンさせる予定。
美しい海の眺めを楽しんでいただきながらトリートメントが受けられる、素晴らしい空間になると思います」
1階部分はカウンターのあるカフェ
塚本さんが建築士を目指したきっかけは、高校時代の自宅の建て替えだ。
「新しくなった家は親が大金をローンしてまで建てたにも関わらず全然魅力を感じられなかったんです。まるでただの箱のようで。
その家に35年かけて住宅ローンを返済していく現実を知らされた時、こんな家のために親の人生が縛られてしまうのが納得いかず、フラストレーションを感じました。
それは何もうちに限った話ではなく、人生の中で収入の約3分の1を住まいに費やす人が殆ど。そこで安くて良い住まいをつくることができれば、その余力で人生をより豊かに過ごすことができるはずだと考えるようになりました」
もともと手先が器用で、ものづくりや絵を描くことが大好きだった塚本さんは建築士を志すようになり、高校卒業後に専門学校で二年間建築を勉強した。
しかし卒業後すぐには就職せず、学校で専任講師として勤務する道を選んだ。
「講師として学校で働く間に、建築に携わる多くの方々から勉強をさせてもらいたいという思いもあったことと、
自分が学生の時に感じたことで、いざ就職活動に取組んでみると、学校で教える授業内容は建築士という資格取得を前提とした授業で構成されていること。また担当の講師によって伝わる情報には偏りがあり、現実的に進路を判断できる情報を与えてくれるものではなかったことです。このような自分の経験から、これから社会に臨む学生たちに対して、進路を判断する上で必要な情報を伝え、効率よく進路を判断してほしいと思い、専任講師を務めることにしました」
講師として勤務を始めて3年目に、教員研修の研修先でコーポラティブハウスのことを知った。
「コーポラティブハウスとは、事前に募った入居者による組合が事業主となり、共同でつくりあげる集合住宅のことなのですが、知れば知るほど『これはすごい!』と思いました」
この研修がきっかけとなり、専任講師を6年務めたのち、コーポラティブハウスのリーディングカンパニーだった同企業に就職した。
就職後はコーポラティブハウスだけでなく、コーポラティブ方式を用いた戸建て数十世帯による街づくり、「コーポラティブヴィレッジ」のプロジェクトに携わったり、ホテルをデザインしたりするなど、活動の幅を広げた。
「住宅はそこに住まう方、個人のための空間づくりですが、街並みをつくり出すコーポラティブヴィレッジは周辺環境に影響を与える公共的な側面を持っています。またホテルのような商業施設になると不特定多数の人が利用するため公共的な役割が高まります。デザイナーズホテルの設計はそういった意味でも住居設計とは違った魅力がありました」
しかしホテルを設計する際も、住まい作りを検討している人のことを忘れなかった。
「自由設計で家を手に入れられる方の場合、『ガラス張りのお風呂をつくりたい』『螺旋階段にしたい』『リビングに吹抜けがある家に住みたい』など、その方の住まいに対する想いが強く現れます。しかし実際にそのような住まいを体験しないまま家を建てしまうと、後から『大金を掛けてここまでしなくてもよかったかな?』ということもあります。理想の住まいを体感して納得した上で、住まいづくりをしてもらいたいし、そんな場所があったらいいなと思い、デザイナーズホテル設計を担当させてもらった時には、理想の住まいを体験できる客室をホテルの設計に盛り込みました」
グッドデザイン賞の受賞経験もある塚本さんは現在、名護市「宇茂佐(うむさ)の森」に建てるコーポラティブハウスの設計を行っている。
「東京を中心に大都市圏ではいくつもの建築例がありますが、沖縄では殆どみられません。
コーポラティブハウスには多くの利点があり、ぜひそれを知って選択肢の一つとしていただけたらと思っています」
一つ目の利点はコスト面。
「一般的な分譲マンションは、売れ残りのリスクを回避するため広告や宣伝のために多くの経費が必要となり、販売価格に反映せざるを得ないことがあります。
しかし、コーポラティブハウスでは買い手を募ってから事業が始まるため売れ残りのリスクがなく、余計な経費がかかりません。その浮いた分を参加される方々の取得費に反映しています。
また、入居者自らが発注者となって事業を進め、費用の内訳を把握しながら住まいづくりを進められるため、納得のいく、透明性の高い価格で住まいを取得できます」
そのため、同等の分譲マンションと比べると販売価格が割安になる。
「また、今回の物件はオール電化となるため、金利優遇も受けられます。
住宅ローンを組んだ際の総支払額が大きく違ってきます」
居住者同士のコミュニケーションがとりやすいという利点も。
「地鎮祭や棟上げ式では食事会が行われたりミーティングの場を設けたりなど、入居前から入居者同士の接点が多く全員が顔なじみとなるため、入居後もコミュニケーションがとりやすい。
これまで設計したコーポラティブハウスでは、入居者全員で年に1回飲み会を行うなど、入居後の関係性も良好なようです。
また、大規模な修繕等の必要が発生した際も合意が得やすく対応しやすいため、将来的にも安心です」
建築予定地も魅力的だ。
宇茂佐の森は名護市の区画整理地でできた新しい街で、公園や商業施設、医療施設などの生活インフラが数多く点在するため、本土から移住されてきた方々にも生活しやすい地域。
6世帯の個々のライフスタイルがあらわれるような外観デザインで、住戸のプランは3LDK。
各部屋にはデザインウォールを設け、好みの壁紙をセレクトして個性あふれる住まいづくりを楽しめる。
また仕事で家を留守にされる方のために宅配ボックスを設けたり、電気自動車が各駐車場で利用できるようにするなど、将来を見据えた配慮も怠らない。
「変動金利で住宅を買ってから数年後の金利上昇で毎月のローンの支払いが難しくなり、持ち家を手放さざるを得ない方々が日本にも数多くいます。
人生は長く、また色々な面でお金がかかりますから、住まいにかかる費用を賢くおさえて人生を豊かに暮らすお手伝いができればと思っています。
ある意味では割り切った価値観かもしれませんが、それによってなにかをあきらめるわけではなく、自分の理想の住まいも手に入れられる。
是非、住まいの選択肢の一つとして検討していただきたいですね」
お話を伺いながら手渡されたパンフレットの最後のページを見て面食らった。
そこにはローンを組んだ際の金利や月々の支払い額だけでなく、総支払額が大きく明記されていたからだ。
分譲マンションでも建て売り住宅でも、一般的には月々の支払い額のみを前面に押し出し、「今支払っている賃貸価格と変わらない金額で家が手に入りますよ」と購買意欲を刺激する場合が多い。
しかしその実、ローンを組めばもちろんそこには金利が発生し、同等の金額なら賃貸し続けるよりも多くの金額が必要となる。
また、「貯金ゼロでも購入可能」などとうたわず、住宅ローンとして借り入れできない諸費用についても赤い文字ではっきりと記している。
入居者のメリットを追求し、明朗会計を貫く塚本さんらしいパンフレット。
いつも住むひとのことを考えているんですね、と言うとうなずいた。
「本来なら住まいや暮らしを豊かに、というのは国や公的な立場にある人間がやる仕事だと思うんです。
でも実際、僕はそういう仕事がしたいんだと思います。
みんなの生活を良くしていきたいという思いがいつもあるんです。
新しいことに変化していくのには時間がかかります。そして新しいものを目の前で見ないとなかなか一歩が踏み出せません。社会的な変化は大手企業などが取組むようになって、ようやく多くの人々が変化していくようになります。そんな大きな事業が行われるようになるまでの背景には、必ずそのニーズ開拓と前例をつくっているパイオニアがいるものです。
つくったものが人の目にふれ、徐々にみんなの価値観が変わっていくと市場も変化していくんですね。
例えば10年前の賃貸マンションで、入居者の好みで壁紙を変えられるなどといった、住み手目線の賃貸マンションがあったでしょうか?ライフスタイルが多様化する中、部屋の壁紙が選べたり、シェアハウスの要素を取り入れるなど、住み手目線のサービスを考えた賃貸物件ができ始めているよう。
そういう意味では、これまでいい前例をつくる仕事に携わってこられたと感じています。
だから仕事に対するモチベーションも保たれる。
みんなにとって良いことと、そしてその仕事が自分にとってやりたい仕事であること。この2つがマッチングする仕事をするよう心がけています」
塚本さんという誠意ある建築士の存在は心強く、コーポラティブハウスという新しい選択肢を検討する後押しとなる。
家づくりだけが人生じゃない。
おいしいものも食べたいし旅行もしたい。
でも、理想の住まいもあきらめたくない。
コーポラティブハウスなら、そのどれもが手に入る。
文 中井雅代
株式会社ケイ・プランニング
那覇市真嘉比237番地3
HP:http://k-survey.co.jp
NEL beach hotel & cafe
名護市呉我1335-1
0980-58-4200
チェックイン 14:00
チェックアウト 10:00
HP:http://nel-beach.com
宇茂佐テラスHP:http://umusaterrace.com
コーポラティブハウス
宇茂佐テラス個別説明会開催
2012年7月21日(土)・22日(日)
10時〜18時(お好きな時間にいらしてください。)
TEL 0980 – 43 – 8000
メールでもご予約を承っております。
info@umusaterrace.com
■説明会会場・お問合せ
株式会社ケイ・プランニング北部営業所
TEL 0980-43-8000
沖縄県名護市大西5丁目16番2号
(名護高校隣)
宇茂佐テラスHP:http://umusaterrace.com