「おすすめスポット、色々ありすぎるんだよな〜。
しぼりこむのが大変!」
と、南城市玉城在住の梅原龍さん。
まずは八重瀬町港川の海沿いにある食堂へ。
「南国食堂って店名、サイコーじゃない?
一度聞いたら絶対忘れないよね。」
母娘で営む食堂。
そのどちらとも顔なじみの龍さん。
「常連さんよ〜。
いつもお客さん連れて来てくれて、ありがたいさ〜。」
と、娘さん。
「ここの『イカチャンプルー』が美味しくてさ〜。
イカのチャンプルーって、あんまり聞かないよね。」
玉ねぎ、キャベツ、昆布などとともにイカをチャンプルーに。
「この料理のすごいところは、注文するたびに味が違うのに必ず美味しいところ!(笑)」
サーフィン帰りのにーにー達。
「この味噌汁、うめっ!」
景気よくご飯をかきこんでいた。
「これ、良かったらどうぞ〜。」
にーにー達からのおすそわけ。
こういうふれあいも食堂ならでは。
「ありがたいな〜、いただきまーす。
いかの刺身の歯触りが、内地のとは違うんだよね。
こりこりしてて美味しい。」
ヤクルトのお姉さんたちもやってきて、
お昼どきはとうに終わっているにも関わらず
店内はなかなかの賑わいぶり。
食堂の顔であるおばあちゃん。
お歳は最後まで教えて頂けなかったが、元気そのもの。
「食堂始めたきっかけは『なんとなく』。思いつきさ。
料理は習ったことないね、全部自己流。
もう40年やってるよ。
おばあも娘も肉はほとんど食べない、野菜ばっかり。」
道理でちゃーがんじゅーなわけだ。
南国食堂
八重瀬町字港川315
098-998-6136
「ここは、内地から友達がくる時に紹介することも多い。
何せ安いからね、長期滞在する人にもおすすめだよ。」
素泊まりなら1泊2000円、朝食込みでも2500円。
「10日間泊まっても2万5千円だもんね。」
宿泊する部屋の前の長い廊下。
丁寧に磨かれ、美しく光っていた。
「民泊(ホストファミリーとして全国から修学旅行の学生を受け入れる制度)もやってるから、学生さんが泊まったら賑やかよ〜。
部屋と部屋を仕切るふすまを取り払って一部屋にもできるしね。」
「わ〜! やっぱ良いな、ここ。
なんかポルトガルみたいなんだよね。
風景とか風の感じが。」
連なる屋根の向こうには海。
「いわゆるオーシャンビューだね(笑)。」
「ずっと眺めてられるよ。」
宿泊フロアの3階と食堂のある1階を結ぶ階段。
数年前に塗り替えたという薄緑色の壁が
非日常的な雰囲気をかもし出して。
食堂の奥にあるプライベートルームで
「こっちに移住してきた人でも、
自分の家が決まるまでここに泊まってたりするんだよね。」
と、龍さん。
「そうだね〜。何週間も泊まってくれる人もいるね。」
と、絹江さん。
「てんぷら。美味しいから食べて。
添えてある長命草で巻いてから食べたら良いよ。
消化を助けてくれるって。」
「こういう先人の知恵もよく教わったな〜。
そういえば、ムーチーの作り方も教えてもらったよね。」
県外からの旅行者だけでなく、
県内からの泊まり客も多い。
この日は、宜野湾から来たという女性グループで賑わっていた。
「長くやってるけど民宿はやっぱり楽しいですよ。
色んな人が来てくれて出逢いもあるし。
賑やかなのは嬉しいしね。」
夕方になると近所の子ども達が集まってきて、
食堂で宿題を始める光景も見られる。
小さな島のにぎやかな宿。
民宿おおじま
南城市玉城字奥武16
098-948-2232
民宿おおじまから徒歩1〜2分で観音堂に到着。
「大きくはないんだけどさ、
結構本格的なんだよ。由緒も正しくて。」
奥武島の観音堂は「琉球7観音」の1つ。
約400年前、奥武島付近で遭難した中国の船を島民が救助、
漂流者を看護した礼に贈られた観音像を奉ったと言われている。
「時々こうして手を合わせに来るの。
良いよね、気持ちがすーっと落ち着く。」
「こうして小さい鐘もあってさぁ~。
初詣にはここに来て、鐘をつくの。
そしたら近所の友達も集まって来てみんなで詣でたりして。」
観音堂の裏手には、いくつかの拝所が集まっている。
うっそうと樹々が生い茂り、
静けさに包まれている拝所の森。
「きっと島民の方たちも、ことあるごとにこうして拝みにくるんだろうね。」
拝所の周辺はきちんと草も取られている。
奥武橋を渡ってすぐ、海沿いのパーラーへ。
「このパーラー、『まいむ』って名前がついてるけど誰もそう呼ばない(笑)。
ここは島の店の中では遅くまでやってる方だから、
夜はみんな酒呑みに集まってくるんだよ。」
「ここのハンバーガーが結構うまい。
いかにもパーラーのハンバーガーって感じで、
ラップに包まれたままチンされて出てくるんだけど。
渡してくれる時もラップがついたままってのが良いよね(笑)。」
なまぬるい潮風に当たりながら
店の前に広がる海をぼんやりと眺めていると、
いつの間にか身体中の力が抜けているのに気づく。
このままぼーっと夕暮れまで過ごしたくなるような、心地良い気だるさに包まれる。
なるほど、店内で食事をしているお客さんが、
食後も席を立たない気持ちがわかる。
パーラー内にある雑貨店には
駄菓子を求めて子どもたちが入れ替わりやって来て、
入り口では猫たちがうたた寝をしている。
島のくらしを象徴するような、平和な風景。
まいむ
南城市玉城字奥武21-1
098-949-7642
「ここの野菜や果物が新鮮なのに安くてさ。
近所にこういう店があると助かるよね。」
「野菜市場に展望台があるってすごくない?(笑)」
展望台を作りたくなるのもわかる、なかなかの眺望。
「店内で売ってるパパイヤ牛乳を買って、
ここに座って海を眺めながらゆっくりすると気持ち良いんだよ。」
「野菜買って帰ろうかな。」
「この『金』の文字がついている野菜は
無農薬栽培で作られてるんだよ。」
購入した商品は全国への発送も可能。
うちなんちゅは毎日の買物に訪れ、
観光客はお土産を物色に。
一般的な土産物とは違う、沖縄のくらしに密着した品を持ち帰ることができる。
花野果村(はなやかむら)
玉城字富里690-1
098-948-4187
ザ・サザンリンクス・リゾートの敷地を下っていくと、
プライベートビーチのように静かな海にたどりつく。
「ここは本当に隠れスポット。」
「奥の岩場も歩けるんだよ。」
「内地から友達がくると必ず案内するんだ。
今日は雨模様だからちょっと薄暗いけど、
天気が良い日は本当に海が青くてすごくきれい。
みんな大喜びするよ。」
青い小さな熱帯魚たちが、岩場の水たまりに集まっている。
人が近寄っても逃げず、まるで自然の水族館。
「これ見てるとさ、アースカラーって何だろう?って思うよね。
ベージュとかカーキとか地味な色ばかりじゃないんだよなって。
こんなにビビッドな青も、自然の色だからアースカラーでしょ。」
岩場を歩きながら龍さんが語る、海にまつわる話は尽きない。
・・・タコも捕ったよ。これくらいの小さいやつ。
それをさ、生ききたまま足から食べると塩味がきいててイケるの。
あとは持ち帰ってチゲ鍋にしたりね・・・
龍さんは初めて沖縄を訪れたとき、
ビーチでバイトをしている男の子からビールを買った。
「自分は金を出してビールを買って自由を楽しんでいるつもりだったんだけど、
金を稼ぐためにバイトをしているその男の子の方が自由に見えたんだよね。」
それをきっかけに、借りていたレンタカーを翌日返却、
滞在中の移動はバスを利用した。
沖縄を旅するのではなく、生活を楽しんだ。
今回龍さんが案内してくれた場所はいずれも、
沖縄の生活に密着した場所ばかり。
観光本には載っていないかもしれないが、
地元の人は皆知っているスポット。
長期滞在でなくとも、2泊3日で体験できる沖縄のくらし。
沖縄でくらしてみませんか?