地元自慢・首里編くんぺん、まんじゅう、秘密のスージ道に絶品ムジ汁!住民に愛される町、首里の魅力


 
「いちばんのお勧めメニューは『むじ汁定食』。
お汁が本当においしい!
定食についてる他の小鉢ももちろん全部好き。
こっちの小鉢は『びらがらまち』、首里のお料理だよ。
『ドゥルテン』は甘くてデザート感覚で食べられるから
息子といっつも取り合いになるんだ(笑)」
 
木造りの内装が落ち着く店内。
 
「観光客だけじゃなくて、地元のおばあちゃん達もよく来るみたい。
座敷もあるからもあいもできるしね」
 
地元の食通、「おばあ」達にも、
その味を認められている店なのだ。
 

 
「ムジ汁ってさ、自分で作ろうとすると結構大変だよね。
手も黒くなるし。
だからお店の方たち、毎日すごく難儀して作ってくれてると思うんだ。
それをこんなして私たちは気軽に食べることができてありがたいよね。」
 

 
首里の人は「首里の料理が一番!」と、誇りを持っているひとが多い気がする。
 
「うんうん、私もそう(笑)。
首里のお料理はどれもおいしいって思ってる。
だから首里んちゅだけど首里料理食べに家族で通っちゃうんだよね(笑)」
 
富久屋 (ふくや)
那覇市首里当蔵町1-14
098-884-4201
 

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「このすーじぐゎー、息子と二人で『秘密の小径』って呼んでるってば」
 
車も通れないほど狭い小径をはさみ、
住宅が密集する一角。 
 
「おうちの雰囲気も木々もすべてが素敵。
ほら、『那覇市景観賞受賞』って書いてある」
 

 
「壁の色合いとかも味があっていいんだよね」
 
道の途中にはマンホールもあり、
水道がしっかり通っていることがわかる。
 

 
途中T字路もあり、まるで迷路のよう。
 

 
「グレーの窓枠とかもかわいい。
今作ろうと思っても、同じ雰囲気を出すのってきっと難しいよね」
 
赤煉瓦のオーソドックスな沖縄風家屋のとなりに
洋館スタイルの家があったりする。
 
「テイストが統一されてないところも面白い!」
 

 
白壁に赤い花が映える家。
 
「蔦の下をトンネルみたいにくぐるの。素敵だよね」
 

 
こちらは沖縄県立芸術大学近くの一角。
民家密集地域のため、詳しい住所は控えます。
是非、付近を散策して「秘密の小径」を発見してください。
 

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「山城(やまぐすく)まんじゅう、
首里の人はきっとみんなわかるよ〜。
120年の歴史がある首里名物だからね。
すごい人気でね、
午後に行くと売り切れてるときもあるよ。」
 

 
「薄皮がモチモチした食感で、
あんこがぎっしり詰まってるのが特長。
カーサに包まれてるから香りもいいんだよね」
 

 
「ほら!おいしそうでしょう?
あんこはこてこてじゃなくて甘さ控えめ。
そこがまたいいんだよね、何個でも食べられる」
 
お店を切り盛りするシャイなお姉様方は
みなさんお肌がつやつや、ぴかぴか!
 
「ありがとうございます。
カーサで包んだまんじゅうを蒸す蒸気に当たるので、
美肌効果があるのかもしれないですね〜」
 
と、なんともうらやましいお話。
 

  
「首里の人だけじゃなく、色んな人に食べてみてほしいな。
この看板見えたらぜひ寄っていって!
子供も大人もみんな大好きだから、
お呼ばれの時の手みやげとしても喜ばれると思うよ〜」
 
山城(やまぐすく)まんじゅう
首里真和志町1-58
(売れきれ次第終了)
 

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聡子さんの自宅から徒歩数分のスージ道。
 
「首里ってやっぱりスージが多いね(笑)
ここをずっと上までのぼっていくと、すごく景色がいい公園があるんだ」
 

 
「この公園を奥まで進むと、首里城にたどりつくんだよ」
 

 
「前来たときは息子もまだ木登りできるような歳じゃなかったけど、
今度また連れて来てみようかな。」
 

 
「首里を見下ろせるの。
晴れてると奥のほうに海も見えるんだよ」
 

 
「これってフキだよね、食べられるんだよね〜。
こんなに可愛いお花が咲くんだ、知らなかった」
 

 
「沖縄ではよく見かける看板だけど、
観光で来た人が見たらちょっと怖いかもね(笑)」
 

 
赤瓦が立ち並ぶ光景を見下ろしながら階段を下りると
琉球王朝時代にタイムスリップした感覚に。
 
「こういう風景がすぐ近所で味わえるって実はすごく贅沢かも」
 
上の毛(うえのもう)公園
JAおきなわ首里城下町支店前の入り口から
那覇市首里汀良町1-29-2
 

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「小さい頃から行きつけのお菓子屋さん!
ここの『くんぺん』がおいしいんだよ〜」
 

 
「これこれ!ピーナッツの風味がいいんだよね」
 

 
「主人も息子も大好きだから、お土産に買っていこう」
 

 
「お菓子だけじゃなくて、酒まんじゅうも有名だし、
お盆時期になるとお餅もこちらにお願いしてる。
行事の時期は特にいそがしそうだよ」
 

 
「このプリンもすごくおいしくておすすめ!」
 

 
「私も同じ中村。実は主人がこちらとは親族関係なんです」
 
「え?!…ああ、陶芸なさってる中村さん?!」
(関連記事:decco(デコ)あたたかい白の器
 
狭い沖縄、狭い首里。
名字が同じだと血縁の可能性も高い。
 
「以前はここ、喫茶スペースもありましたよね?
そこでパフェを食べるのが楽しみだったんです、子供のとき」
 
「そうなんですか〜!じゃあ昔からのお得意さんですね。
ありがとうございます」
 
と会話も弾む。
 
これからもきっと、今までのように聡子さんがずっと通い続ける菓子店。
 
「また来ますね!」
 
中村製菓
沖縄県那覇市首里鳥堀町1-24-1
098-884-5901
 

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小さい頃から育った街というだけあって、
首里には聡子さんの「小さい頃のおもいで」も詰まっている。
 
「この公園は昔はキリ短(沖縄キリスト教短期大学)があったんだよ。
首里キャンパス。
今では想像つかないよね。」
 
「小学生のとき、帰りによくここの銀行に寄ってさ。
暑いから冷水もらうわけ(笑)
そしたらお母さんにある日バレてから
『あんたあっちの銀行でお水もらってるって?』
『えー行ってないよ』
ってしらを切ったら、
その銀行にかばんか何か置き忘れちゃって、
銀行の人からおうちに
『かばん忘れてますよ』って電話が来てバレた(笑)
懐かしいな〜。」
 
 
首里で生まれ育った人はみな
「住むなら首里!」
と口をそろそえる。
 
「私もそう(笑)。私にとっては首里が一番」
 
住む人の誇りと愛情が街並にも表れている気がする。
もちろん、それは今に始まったことではない。
沖縄が琉球と呼ばれていた頃にまでさかのぼる。

数百年もの間愛されてきたこのまちは
これからもきっとずっと愛され続ける。
「首里が一番!」
と胸を張る住民たちに。
 

写真・文 中井 雅代