「ちんすこうを手づくりしてるところが見られるって貴重だよね!
ほとんどがもう機械化されてるでしょ?
ここはずっと手づくりにこだわってるわけ。
しかも超〜〜美味しいんだよ!
だから地元の人もよく買いに来るし、
いつもお客さんでいっぱいしてる。」
「良かったらコーヒーもどうぞ、
ちんすこうの試食もできますよ。」
と従業員の方に促され、コーヒーを注ぐ。
「ちんすこうとコーヒー、良いね〜。」
「ここのちんすこうさ、
他のところのと比べると生地が細かくてほろほろしてるわけ。」
「ん〜!やっぱり美味しい!
甘さも丁度良いし。
なんだろうね、この食感。
さくっとかじゃなくて、しっとりしてる。」
一代でながはま製菓を築き上げた、代表の長濱眞昭さん。
「店を始めるまでは色んな仕事を経験したよ。
最初は軍雇用で働いてたんだけどね、
そのあと自分で貿易を始めた。
ある時ちんすこう屋で働いていた友人から
『一緒にちんすこうを作らんか』
と誘われたもんだから、
これから沖縄は観光立県になる、
ちんすこうと言っても一つの味だけではだめだ、
色んな味の商品を作るのであれば良いよ、という条件付きで始めたんだよ。」
今から35年前の話。
つまり、味つきちんすこうの先駆けである。
ちんすこうの粉を型に入れ、
ローラーに体重をかけて何往復もさせ、しっかりと固める。
「この作業も今は殆ど機械化されてるけどね、
手でやるもんだから、しっかり固められるし、
噛んだらほろっと崩れる繊細な歯触りに仕上げられるわけよ。」
まるで板チョコのように固められた生地。
京都の職人に特注で作らせたという型で型をとる。
「この型だけで数十万するんだよ。
作ってくださった職人さんはもう亡くなられてね。
作れる人がもういないから、大事に使ってるさ。」
生地に押し付け、鉄板に落とす、また生地に押し付け・・・
という作業がリズミカルに繰り返され、
鉄板の枠ぎりぎりに、美しくちんすこうが並ぶ。
「こんなしてちんすこう同士が触れないように並べるのだけでも難しいんだよ。
ちょっと間を取り過ぎると規定の数が入り切らなくなるからね。」
色よく焼き上がったちんすこうを、
一つ一つ袋詰めしていく。
箱売りだけでなく、単品でも購入可能。
その値段、なんと1個12円。
これだけ買っても96円という安さ。
「だからさ、子どもたちがよく買いに来てくれるんだよ。
『ちんすこう3個ちょうだ〜い』
なんて言ってね。
好きな味を選んでさ。
50円あれば4袋、つまり8本のちんすこうが買えるさーね。
こちらとしてもこうして買いに来てくれるのは非常にありがたいこと。
子供といっても素晴らしいお客さんだよ。」
わざわざここまで買いに来てくれる人のためにと、
事務所内で販売している箱詰めのちんすこうは、
市販価格より20%割り引きしている。
店にはひっきりなしにお客さんが訪れる。
甘いちんすこう、お客さん用のお茶請けであれば
わざわざ一箱買わずとも、数個で事足りることも多い。
単品販売は、こうして地元の人々にも重宝がられている。
「工程を見学できるようにしたのは、
お客様にもしっかり見張ってもらえるから、という理由もある(笑)。
私もそう若くないからね、
自分がしっかり見られなくなっても、
お客様が見てくださっていたら安心さーね。」
そういう長濱さんは元気そのもの。
「沖縄に伝わる伝統を、できるだけ守っていきたいからね。」
と頼もしい言葉。
見学だけではなく、制作の体験もできる。
甘い香りの立ちこめる工場で、
いつもは買って食べるだけのちんすこうを手づくりできる、
大人も子供も楽しめるスポットだ。
ながはま製菓
恩納村真栄田3390
098-964-5904
「読谷一押し、『セーラの森公園』。
私ここが大好きでさ〜、ほんとひっちー来てるよ。
子供と一緒にだけじゃなくて、
一人でも来るし、旦那さんと二人でも。
つらいことがあった時とか。」
「今日はくもりだから暗いけど、
天気がいい日はもっと気持ち良いよー。」
左から右へ、延々続く水平線を見渡せるロケーション。
場所によって海の表情も違う。
悩みがあるとき、つらいとき、
ここに来ると気持ちが晴れるという心情も納得。
「ほら、あっち見て!
雲の間から光が見えるさ?」
「『レンブラント光線』。
あれも好きってば。なんかジーンとしない? 」
「一応大型遊具もあるんだけどさ、
こっから海眺めてるだけでも相当楽しいし、元気になる。
イヤなこと? そりゃあるよ〜、大人になったら色々。
そういう時にここに来て元気もらうわけ。」
可愛い形の街灯が立ち並ぶ。
夜に訪れてもきっと楽しい。
高台からは読谷の街の灯が見晴るかせるだろう。
セーラの森公園
中頭郡読谷村座喜味1975
「買いたい魚があるんだよね〜。」
一路、都屋(とや)漁港へ。
「この独特な海水の色が良いよね。
うちの旦那さん、小ちゃい時は向こう岸まで泳いで渡ってたんだって。」
「ここで毎朝セリやってるんだよね〜。
私も参加してみたい〜。
一般人はやっぱだめなのかな?」
セリ市場に隣接した食堂「いゆの店」。
漁港の様子を眺めながら、
新鮮な魚介類を堪能できる。
「ここのてんぷらでーじ美味しいってば。
しかも1個60円!
何個でも食べられる〜」
食堂の裏手では鮮魚も販売。
「さんみんどぅくる」とは「計算する所」、
つまり支払い場。
「この細長い魚、なんですか〜?」
「これは『ダツ』。うちなーぐちで言うと『しじゃー』だね。
他のちっちゃい魚はアジよ。」
「グルクンも美味しそ〜!
唐揚げにしたら最高だよね。
でもさ、今日はいわしが欲しいんだ〜。
アンチョビにしたくて。保存食用。」
「いわし、1尾いくらです?」
「40円。」
「安っ!じゃあ・・・10尾下さい。」
10尾買っても400円という驚きの値段。
「でも、『◯◯大安売り!』の旗が出てる時はもっと安いんですよね?」
「そう。大量にあがってきた時に大安売りするわけさ。
その時の値段はこれとは比べ物にならないくらいもっと安いね。」
「でも、今日の値段でも相当満足。
おうちに帰ったらすぐさばこう、楽しみ〜!」
「いゆの店」
読谷村字都屋33
098-956-3774
10:00~19:00(月~土)
10:00~18:00(日・祝)
正月・旧盆休
「私、ファーマーズが大好きだわけ〜。
県内各地のファーマーズ巡ったり。
でも、やっぱりここが一番近いからさ、
毎日のように買物に来てるよ。」
「子供が生まれてから特に、食には気をつけるようになった。
ちょっとマクロビも勉強したりして。
良いものを食べさせてあげたいさーね。」
「これ下さい、玄米で。」
玄米は3kgから、白米は1kgから購入可能。
「ここで精米もしてくれるし、
欲しいぶんだけ買えるから良いよね。
どのお米がおいしいとか、保育園のママ友さんと情報交換したりもしてるよ。」
「玄米が好きってば〜。
そしてここのは本当に美味しい。」
「パッケージも可愛いんじゃない?」
「かぼちゃも色んな形のがあって
見てるだけでも楽しい〜!」
「そうそう、このひじきでーじお勧め。
味がついてるから、ちょっと塩抜きしてサラダに使ったり、
ご飯と一緒に炊いても美味しい。
初めて食べたとき
『何これ〜!』
ってびっくりしたくらい。
それからハマってる。」
「ターンムパイも是非。
色んなお店で売ってるけど、
ここの一押しだよ〜。」
「やさい天ぷらは是非トースターでチンしてから食べて欲しい。
カリカリになるわけさ。
しかも120円て。安くない?」
「ご当地バーガー、ずっと気になってたけど食べたことなくて。
結構有名みたいよ。
『紅豚バーガー』と『もずくバーガー』って。
今日はもずくバーガーにしてみようね。」
注文してからコロッケを揚げるため、
5分ほどかかる。
「できたて食べられるって嬉しいね。」
「バンズにもずくが入ってるんだって。
あいっ、本当にアチコーコー。
美味しそう、いただきま〜す!」
「ん〜〜!すごい、想像以上に美味しい!
コロッケさくさくだよ〜。
バンズだけじゃなくてコロッケにももずく入ってるんだね。
後味がほんのりもずく風味。
これ、子供も絶対好きだよ。
しかも150円て! めっちゃ安い。
キャペツもいっぱい入ってるし上等〜〜。
今度からこっち来たら絶対買って帰る!
紅豚バーガーも気になるし。
食べたらどんなだったか教えるよね。」
読谷ゆんた市場
読谷村喜名2346-11
098-958-1124
open 9:00~19:00
読谷といえばやちむん(焼物)。
窯所や城址など観光スポットには事欠かないが、
読谷在住の洋子さんが勧めてくれた場所は
まさに生活に密着したところばかり。
洋子さんがご主人と営む手づくりの家具屋「Indigo(インディゴ)」や、パン屋「水円(スイエン)」を始めとして、
読谷には今、通い詰めたくなる素敵な店も続々とオープンしている。
沖縄を何度も訪れているツウな方、
移住を検討している方、
忙しさから解放されてのんびりしたい方にもお勧めの読谷。
「こんなところがあったのか!」
と、沖縄の新たな魅力をきっと再発見できる。
写真・文 中井 雅代