高良さんは以前から、外人住宅の雰囲気に憧れていた。
しかし、通気性が低く湿気がこもりやすい、夏は暑く冬は寒いといった難点が気になり、外人住宅風の家の建築に踏み切れなかったと言う。
色々と調べて出会ったのが、アイエムアイコーポレーション(HP http://www.imi-cp.com)が提唱する沖縄型サスティナブルハウス「IMI Loco’s(ロコス)」 というプランの住宅だった。
「外人住宅の雰囲気はそのままに機能面はしっかり改善されているという、私にとって理想的な家だったんです。これだと思ったら迷わないタイプなのですぐに決めました。
実際、風がよく通るので本当に住み心地が良い。あまりに気持ちいいので、リビングのソファーで寛いだまま眠りこんでしまうこともあるんです」
家の中心となっているのはダイニングテーブル。
家族はみな、ここに自然と集まってくるという。
シンプルながら洗練されたフォルムのテーブルは Indigo(関連記事:「那覇にも宜野湾にもない家具を、読谷から」)にオーダーして作ってもらったもの。
「大きな紙を広げてみんなで絵を描いたり、リビングではのびのび過ごしたいなーと思っていたのですが、このテーブルだとそれが実現できるんです。ご飯を食べるのも子どもたちが宿題をするのも何をするにもここなので、ご飯をこぼしたものがしみになっていたり、画用紙からはみ出したペンの線がついていたり。でも、それがいいなーって。
Indigo のお二人にも『家族の歴史が刻まれることで生まれる家具の変化を楽しんでください』と言っていただきました」
上質な木材を使用してつくられたテーブルは精緻な木目が美しく、ちょっとしたペンの線やしみも気にならない。
また、機能面が充実しているのも嬉しい。
「テーブルの下に棚がついているので、ちょっとしたプリント類とかをさっと入れられるので便利なんです。
ダイニングテーブルがきれいに片付いていると気持ちがいいですから」
間取りで気をつけたのは抜け感。なるべく仕切りを減らし、開放感のある空間を目指した。
玄関とリビングの間の仕切りは、壁ではなく木枠のガラス窓に。各部屋のドアは天井まで届くサイズで赤、緑、青と色鮮やかに。
「玄関のドアも含め、すべてチューイチョーク(HP http://www.chewi-choak.com)さんにお願いしました。どれも木の質感が素敵で、すごく気に入ってます」
また、味のある住宅や家具が好きな高良さん。新築でも落ち着ける雰囲気になるよう気をつけているという。
「遊びに来てくれた友人が『新築なのになんか落ち着くねー。ちょっと年月が経った感じがある』って言ってくれて。すごく嬉しかったですね。
個人的に気に入っているスペースは洗面所。すごく小さいスペースですけど、毎日使うところだからこだわりました。好みの空間に仕上がったので、使う度に嬉しい気持ちになれるんです」
リビングから見える庭には、あえて芝生を植えなかった。
少しずつ家をつくっていく過程を楽しみたいから。
子ども部屋や寝室にも大きな家具はまだ入れていない。
必要になったとき、本当に気に入った家具を入れられるように。
こだわりの家具同様、家族が刻む歴史によって生まれる変化を楽しめる家。
家の完成は、終わりではなく始まりだから。
写真・文 中井 雅代