» Indigo(インディゴ)那覇にも宜野湾にもない家具を、読谷から




手入れの手間を惜しまず丁寧に使い込まれたような風合いの家具。
Indigo(インディゴ)のオーナー、比嘉さんによる手づくりの、新品の家具だ。
どうみても年代物ですねと言うと、ぱっと顔をほころばせ、
「ありがとうございます、一番の褒め言葉ですよ。」



落ち着いた、シックな色合いのテーブルとスツール。
部屋に置けばきっと、ずっと前からそこにあったかのように部屋に馴染む。




老先生がひっそりとやっている町の病院に置いてありそうな、優しく時を刻んできたような椅子。


大阪の大学で経済を学んだあと、もともと好きだったインテリア関係の会社に就職した。
「でも、なんだか面白みを感じられなくて、この仕事をずっとは続けられないな、と。当時23〜24歳でしたから、進むべき道をそろそろしっかり決めないといけないなと思っていました。」
会社を1年で辞め、大阪のとある木工所に頼み込んで入社した。


当初は掃除と配達しかさせてもらえず、「こんなんで大丈夫かな?」と不安な日々が1年半続いたという。


「そりゃ不安になりますよね、毎日毎日、何も教えてくれないわけだから。」
と、当時から比嘉さんを支えていた奥様も昔を振り返る。


「木工所の先輩方はみな職人肌、『早く作りたいなら見て覚えろ』という感じでいわば放ったらかし。手取り足取り教えてくれるわけじゃないんです。
1年半経った頃、徐々に雑用などから仕事をさせてもらえるようになって。」


土日の休みも返上し、他の人にも家具づくりを習いに行くという日々が続いた。



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右上と右下は古材を利用して作ったもの




そのたたずまいが美しいだけでなく、使い勝手と強度を両立した手づくり家具は、好みのサイズや色もオーダー可能


大阪で家具づくりの修業を始めて5年が経ったころ、沖縄に戻ることを決意した。


「いずれは戻って自分の店を持とうと思っていました。
親戚が店をやっていた物件がたまたま空いて、地元の読谷で店をオープンさせることになったけれど、最初は『読谷で?大丈夫かな・・・』とすごく心配でした。」


今でこそおしゃれで個性的な店がいくつもある読谷だが、当時はひっそりしていた。



右は古材を用いて最初に作った作品の鏡


Indigoには、古材を利用して作った家具や雑貨も並んでいる。


「最初から古材にこだわっていたわけではないんです。やはり、家具を作るときは新材を使うのが一般的ですから。
たまたま鏡を作ろうとした時に新材が足りずに古材を使ってみたところ、すごくかっこよくて。店に出してみたら結構評判が良かったんですよ。それがきっかけです。」


それまでも、古い感じの質感やデザインが好きだった。


「新しくない、ぴかぴかしてないものが好きなんです。
さびちゃってるモノとか、大好きですね。誰かが使っていたという雰囲気も好き。
そういう使い込んだ感じって新品ではなかなか出せないんですよ、出そうと思っても。」


新品には無い、ある程度の時間を経たという質感が、しかし比嘉さんの作品にはよく出ている気がする。


「そう思ってもらえるために、できるだけ自然のものを使って作りたいと思っています。合板も使用しますが質感を損なわないように気を遣っています。」


「自宅でも主人が作った無垢材の天板のテーブルを使ってるんですが、生活の中で
できるシミや汚れも独特な味になって…。すごく愛しいですね。」
奥様も目を細める。



仲良し夫婦のやりとりは笑いが絶えない。ほのぼのとした空気がそっくりな2人


「家具を作るときは、基本的には自分が好きなものを作っています。自分が使う立場になって考えて、良いと思えるものを。オーダーを頂いたらもちろんお客様の意見もとり入れますが、殆どのお客様がうちの家具の雰囲気を気に入ってオーダーしてくださるので、家具の雰囲気がガラッと変わることはありませんね。」


「家族のように、生活に寄り添う家具」がコンセプトだというIndigo。
パッと目をひく派手な家具ではない。
フォルムもとてもシンプルだ。


がしかし、派手ではないからこそ、すっと生活に入り込み、自然にその家の風景に溶け込むだろう。
シンプルなフォルムはよく見ると、随所に作り手のこだわりが見てとれ、ミニマムな美しさと洗練された品を感じる。


今では、カフェなどのお店からオーダーしてもらうことも多いという。


「そのお店に行けば自分が作った家具に会えるわけです。使ってもらっているところを実際に自分の目で見られるのはやっぱり嬉しいですね。」









県内外から買い付けた古モノ雑貨は、お部屋の楽しいアクセントに


Indigoが目指している未来は?ときくと、
笑顔を絶やさないほんわかムードの比嘉さんの顔が、きゅっと引き締まった。


「宜野湾や那覇には無い店にしたい、それは最初から決めていました。
ここにしかないモノ、雰囲気、ただそれだけを意識してここまできました。これからも自分たちのオリジナリティを追求しようと思っています。」


オリジナル家具、古材を使った家具・雑貨、自分たちの価値観を基準に仕入れる古モノ雑貨。
この三本柱が、IndigoをIndigoたらしめている。


「読谷で大丈夫かな?と、最初こそ不安な気持ちで始めましたが、今はここに根ざしてやって行こうと思っています。読谷を元気にしよう、読谷から発信しよう、と。」


実際、Indigoの家具は中部だけでなく那覇近郊など南部のお店でも活躍し、
遠くから足を運んでくれるお客さんも多い。
 
 
実家の居間を思い浮かべる時、私は必ず朱色の天板のこたつを思い出す。
その天板は花柄で、私の鉛筆による落書きがかすかに残っていたこと、
天板の裏側は、深い緑のラシャ貼りだったこと、
つるつるとなめらかな、ミルクキャラメルのような色合いの脚だったこと。
そういう細かいことを、まるで今まさに目にしているかのようにありありと思い浮かべることができる。
家具とはつまり、そういう存在なのだ。
よっぽどのことがない限り、使用不可能なほどにまで壊れることはなく、
一生を共にすることもできる存在。
そして、幼い頃から一緒に生活してきた家具の存在は、記憶の中にしっかりと刻み込まれ、さまざまな想い出の一部となる。


自分がこれから出逢う家具、選ぶ家具のことを思うと、自然と我が子のことを思う。
子どもが成長した時に思い出す家具が、できることならば上質で、温かな肌触りのものであれば良いと。
そんな家具が、読谷に、Indigoにある。

写真・文 中井 雅代

 

Indigo
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