細部から始まる、楽しい物語

写真/文 関根麻子

 
 
ヨーガン レール
 
 
 
細かなところに発見の喜びをもたらしてくれるものたち。
 
 
やられました。
ヨーガン レール のストールの端っこ。
草木や人の絵柄に添ってフリンジされている。
さっとまとえば、フリンジがくるっと束でねじれる。
絵柄だけでも充分可愛いのに、ちょっとした遊びが、心にくいな。
 
端っこ、されど端っこなのだ。
 
 
 
小さな部分をも、いとおしい思える服やストール。
 
 
 
 
 
 
 
ヨーガン レール
ヨーガン レール
 
 
光に透けた、ぽこぽこと穴の空いた、ニット地のストール。
こちらもヨーガン レール のもの。
穴が空いてるのがいいのだ。
とてもチャーミングな印象。
 
 
昔こんな感じの風景を見た事があるなと思った。
幼稚園の頃、季節は七夕。
折り紙をランダムに切ってつなげて、園の庭の木にかける。
それはそれは、鮮やかな色と光が織りなす、カーテンのようだった。
 
もう一生思い出す事のないような記憶の中の
美しく楽しい風景を、
ぱっと魔法のように映し出してくれた。
 
記憶を辿る、そんなテキスタイル。
 
 
 
ヨーガン レール
 
 
夕方の太陽に照らされたチェックのストール。
織りの途中途中にぴょんぴょん飛び出した、毛糸たち。
 
冬の気配を感じてきた沖縄のこれからを、楽しく元気に過ごせるような色合いだ。
 
北風が吹く頃これをまとい、ブーツで闊歩したいな、そんなことを思う。
 
 
 
 
 
 
アーツ&サイエンス:
 
 
手刺繍が施されたシルクの ARTS&SCIENCE のワンピース。
細かに、丁寧に、糸をきつめに刺してゆくことによって出来るギャザー。
刺繍で作ったギャザープリーツには伸縮性がある。
なんという職人技。
ほぅっと、ため息。
芸術的なその美しさへ向かう作業には、ただただ畏敬のおもい。
 
 
 
 
 
 
ぱっと一目惚れする服もあるけれど、細部に発見という喜びをもたらしてくれる服。
そんなところを持った服が、私は大好きだ。
 
例えば、こんなプリント柄に目を凝らしてみると。。。
 
 
アーツ&サイエンス:
 
これはART&SCIENCE の前身頃がシルクのニット。
光に透けて浮かび上がる、熊だか猿だか人なんだか。
 
この生地には架空の虫や鳥、動物たちのスタンプが
ユーモラスな表情でところ狭しと並んでいる。
ふふっと、思わず微笑まずにはいられない。

まるで宝探しをしているような気分になる。
ひとつひとつ見てゆけば、あっという間に時間が過ぎてゆくことだろう。
お客様とも、この服の柄で盛り上がり
「とっておきのキャラクター探し」をすることがある。
 
 
発見できた時、みんな笑顔になってしまう。
そんな楽しい服。
 
 
 
 
ミナ ペルホネン
 
 
ミナ ペルホネンの「forest tile」
デザイナー皆川明さんのスケッチの線を忠実に再現した美しく 、楽しい刺繍。
 
ミナ ペルホネンの刺繍を初めて見た方は、皆口を揃えて言う。
「手刺繍ですよね」
 
皆さんびっくりするのだが、実は機械刺繍。
私も初めて聞いた時はとても驚いた。
この浮かび上がるような豊かな表情を、どう見ても機械から生み出せるように思えなかったからだ。
 
実際に刺繍をしている映像を見たことがある。
まるで人の手のようにゆっくりじっくり、丁寧にひと刺しひと刺ししていた。
時には複雑すぎて機械がストップしてしまうこともあるそうだ。
機械を使うとき、より早く、いっぺんにたくさんの量を、というニーズを人は求める。
コストダウンのためだ。
けれど、皆川さんは機械と「一緒に仕事をする」という感覚で向き合うそうだ。
皆川さんの絵の線を職人さんが機械で一本一本スキャンし、それをコンピューターでプログラミングする。
そしてゆっくりと機械を動かすことで、糸に空気を含ませる。
そうやってこのような、甘くて懐かしいタッチの刺繍が生まれるのだ。
 
平面的で無機質にとどまりがちなイメージだった機械刺繍を、ここまでいきいきとさせるとは。。
まるで特別な魔法がかかっているみたいだ。
 
機械と向き合うものづくり。
すばらしい知恵、創意工夫の賜物だと感じた。
 
 
 
 
 
さてさて。
見て触って感じることもさることながら、
毎日着る事によってその服の持つすばらしさを発見、実感できるものもあります。
 
アーツ&サイエンス:
 
これ何の部分だかわかりますか?
 
ダイヤ型に、きっちりかっちり袋縫い。
 
そう、脇の部分なのです。
 
実はこれ私が毎日のようにShoka:で着ている、お気に入りのワンピース。
腕をぎゅんぎゅん伸ばしても、へっちゃらです。
 
 
服って脇からほつれてくることってありませんか?
腕は普段生活する中で一番と言っていいほど、動きがあるところ。
動きがあるということはイコール負担がかかるということでもあるのです。
ダイヤ型の当て布はその軸になるところに、より強度を持たせるため。
 
ARTS&SCIENCEの服は身を飾るだけでなく、道具としての配慮が存分に備わっている服。
これこそ日常着の代名詞と言えるほど。
毎日着れば着るほど、道具としての役割ってとても大事なんだなと実感しています。
 
何十年も暮らしの中で、一緒に掃除したり、仕事したり、遊んだり。
そんな永く付き合ってゆきたい服です。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
アーツ&サイエンス:
 
 
 
こんなところまで?と思うような細かなところまで、遊び心をプラスしたり、
着る人の立場を考えた知恵が、めいっぱいちりばめられた服達。
そのひとつひとつに意味があり、それを発見する喜び。
そこから広がる楽しい風景や新しい物語。
 
 
Shoka:という場所で
 
物語が紡ぎ出されるような、
 
そんなきっかけが
たくさん生まれてゆけばとても嬉しいなと思います。
 
 
 
11月はそんな日常着にスポットを当ててみなさんにご紹介してゆきます。
 
 
 
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暮らしを楽しをものとこと
 
Shoka:
12:30~19:00
定休日 月火
 
http://shoka-wind.com