2012 4月


 
「アイスの甘みって塩せんにすごく合う!
ちょっとじゃなくて、これくらいたっぷり乗せたほうがおいしい。
子どもたちはディップする感じで食べるのも楽しいはずね」
 

 
「この薄いタイプの塩せんは最近見るようになった。
ほら、オーソドックな塩せんは厚みがあるでしょ?
あれの薄いバージョンなんだけど、
手軽に食べられるし何よりおいしい!
 
内地の友達が沖縄に遊びに来たら、
帰るときに県産品をお土産にあげるんだけど、
これもよくあげてる。
好評だよ、きっとみんな好きな味だと思う。
しかもいっぱい入ってるから、自宅用にもよく買うよ〜。
おいしいからすぐなくなるんだけどね」
 

 
「チョコもいいけど、バニラの方が合う気がする〜。
シンプルな味同士、合うのかも。
こうやって食べると本当に止まらなくなるよ、おいしくて」
 

 
「塩せんといったら、
うちなんちゅはチョコと合わせることが多いよね」
 

 
「このチョコ、『いっせんまちやー』で昔は10円で売ってたな〜。
今は20円なってる。
塩せんも1枚10円とかでバラ売りしててさ〜。
小学生とかってお金ないから、
いかに低価格でおいしいの食べられるかって考えて、
みんな塩せんとチョコをセット買いしてたよね。
なつかしいな〜」
 


 
「昔ながらの厚みのある塩せんは
上にチョコをのせてそのまま食べてたけど、
薄焼きバージョンは挟んでみようかな」
 

 
「う〜ん、おいしい!
でも・・・昔たべたあの味とはちょっと違うね。
うす焼きの方が少しだけ塩っけが強いかな?」
 

 
「うん、そうそうこの味。思い出す〜!
私たち世代が小学生の頃にはみんなやってたよね〜。
今食べてもおいしいね。そして懐かしい。
うす焼きでも普通の塩せんでも、
お土産に買うならぜひこのチョコとセット買いしてほしい!
塩せんはチョコがセットでついてるのもあるけどね。
 
あとさ、これは中部のひとしか知らないかもしれないけど・・・」
 

 
「乾燥梅干しと一緒に食べるとおいしいわけ〜。
梅干しを塩せんにこすりつけて味をうつす。
・・・いかにも子どもが考えそうなことでしょ?(笑)
スッパイマンはちょっと堅いから、
白っぽい乾燥梅干しの方が良いかも。
こんなの、最初に考えたの誰なんだろうね?
わからんけど、私が小学・中学生のころはみんなやってたよ(笑)」
 


 
「どんな?」
「・・・ほんとだ! おいしい!」
「でしょ〜? 梅干し味の塩せん、世代を超えたね(笑)
これ、本当においしいってば。
子どもながらよく考えたな〜と思うよ」
 

 
「チョコと言えば、沖縄はハーシーズのチョコもよく見るよね。
それでもおいしいはずね」
 

 
「ん〜・・・
ちょっと味が高級チックかな?
やっぱり20円チョコの方がいいかも(笑)
 
そういえばこの塩せんさ、
職場に差し入れで持って行ってもすぐなくなるよ。
どの世代にも人気なんだね。
 
何もつけないでそのまま食べてもおいしいけど、
こうやっていろんなのつけて食べると面白いよね。
しかも昔のこと思い出して、大人のうちなんちゅは懐かしいでもあるはず。
そういえば、ぜんざいのトッピングとしても出てくるよね。
 
・・・ん?あんたたち二人何やってるの?
塩せんのトッピング研究?(笑)」
 

 
「マーマーが梅干しこすりつけてたみたいに、
チーズをつけてるの。
ピザみたいな味になるんじゃないかと思って」
 
「それならスライスチーズ乗っけて食べた方がはやいと思うんだけど(笑)」
 
「違う〜、こするのが楽しいわけ!」
 

 
「ほら〜、やっぱりおいしいさ〜。
マーマーも食べてみる?」
 

* * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * *

 
がっしりと厚みがあり、食べごたえ十分の塩せんもおいしいけれど、
パリパリと手軽に食べられるうす焼きバージョンもいい。
 
特別変わった味や形状ではないのに、
県外でその姿を見ることはほとんどなく、
オーソドックスなおいしさでありながらご当地ものという、
お土産には最適のお菓子。
県内どこのスーパーでも販売しているのは、
県民にも人気で値段も手頃である証拠。
 
お求めの際は是非、チョコや乾燥梅干しとご一緒に。
「沖縄の子ども達はこうして食べるんだって!」
と、沖縄フリークでもなかなか知らない情報も添えて。

 

写真・文 中井 雅代

 

2012 4月

rawfood
 
最近耳にする事も増えてきたローフードですが、
口にする機会はまだまだなようです。
ローフードって?菜食で生食って?
な疑問にローフード・ランチでお答えします♪
 
加熱しないため、
酵素やミネラル・ビタミンを効率よく摂取する事が出来るローフードを、
見た目にも味や食 感でも楽しんで下さい。
 
島野菜料理とオーガニックワインの浮島ガーデンさんとのコラボです!
20食限定(残りわずかです)要予約です→浮島ガーデ ン TEL:098-943-2100
 
開催日:4月14日(土)
時間:14:00~18:00
場所:浮島ガーデン 那覇市松尾2丁目12-3
URL:http://ukishima.ti-da.net/e3883265.html
http://frogking.petit.cc/banana/20120411001524.html
 

2012 4月

はじめての「終活」応援講座~ノート一冊ではじめる人生再設計の知恵とコツ~

 
自分のこれからを上手に生き抜くための知恵とコツを探します。第一部(10~12時)「書くことから始める人生再設計からToDoリストを作ってみよう」。第二部(13~15時)「ぼちぼち考えよう、人生最後の設計~自分らしい送り方送られ方」。第三部(15時30分~17時30分)「今のうちに家族や子どもと話しておきたい法律のこと」。
講師は第一部を今木ともこ(沖縄シニアの会事務局長)、第二部に榮朱里(湯灌士・ライフプランナー)、第三部は與那嶺新(與那嶺茂一法律事務所相続アドバイザー)。

 
開催日時:4月22日(日) 
時間:10時~17時30分(1講座2時間)
場所:沖縄市民小劇場あしびなー
URL : http://okinawa-senior.org
名前:沖縄シニアの会 ☎098-862-8122
 

2012 4月


 
沖縄の写真家10人による復帰40年写真展「眼の記憶」が那覇市民ギャラリーにて開催。
 
会期  2012年5月8日(火)~20日(日)10:00~19;00(無休、最終日のみ18:00まで) 
会場  那覇市民ギャラリー(パレットくもじ6F) 入場無料
出展写真家  比嘉康雄 平良孝七 平敷兼七 石川真生 比嘉豊光 宮良信男 比嘉清眞 伊波一志 伊禮若奈 伊波リンダ
 
主催  那覇市歴史博物館/「眼の記憶」実行委員会
 
いま沖縄の写真表現が注目を集めています。それは「眼の狩人」と評される沖縄の写真家たちが、戦後―復帰―現在に至るもなお激しく揺れ動く社会状況のなかで、強い意思をもって継続的に活動してきた結果といえるのではないでしょうか。私たちは沖縄人が撮った沖縄の写真をもっと広く世間に見てほしいと強く願っています。復帰40周年の節目に、世代をつなぐ形で「戦後沖縄の写真」の脈絡をたどってみたいと本展を企画しました。物故・ベテラン・若手写真家の作品を一堂に展覧することによってそれが可能になるものと考えております。今回参加の10人は沖縄に生まれ育ち、大方が1972年の祖国復帰前後から写真を撮り始め、一貫して沖縄を見つづけてきた写真家たちです。写真内容も多岐にわたり、それぞれ個性的に沖縄を映し出しています。写真家の眼差しの向こうにあるのは何か。それらの写真から何が見えてくるのか――きっと見る人に深い感銘を与えてくれるものと自負しております。多くの方々が写真を通して「おきなわ」を考える機会にしていただければ幸いです。
 
実行委員
島袋正敏 比嘉豊光 石川真生 比嘉清眞 宮良信男
伊波一志 伊禮若奈 伊波リンダ
仲宗根はづき 當間七海 平敷真基 宮良彩子 島袋捷子
 
 
復帰40年写真展[眼の記憶]出展作タイトル
1.比嘉康雄  生まれ島沖縄
2.平良孝七  パイヌカジ
3.平敷兼七  山羊の肺
4.石川真生  港町エレジー
5.比嘉豊光  光るナナムイの神々
6.宮良信男  ジャパン世
7.比嘉清眞  年輪
8.伊波一志  母の奄美 その2
9.伊禮若奈  母になった記憶~2012~
10.伊波リンダ オキナワ センソリー
 
出展者プロフィール
比嘉康雄 1938−2000
1971.東京写真専門学校卒業。1976.第13回太陽賞。1981.沖縄県写真協会会長。1991.明治学院大学非常勤講師。1933.第12回風土研究賞 1994.第5回小泉八雲賞 沖縄タイムス芸術選賞写真部門大賞受賞。 主著『生まれ島沖縄』『神々の古層』『神々の原郷 沖縄久高島』『日本人の魂の原郷――沖縄久高島』
 
平良孝七 1939−1994
1962.琉球新報写真部、琉球放送テレビ報道部 1970.琉球政府広報課。1977.第2回木村伊兵衞賞受賞。1993.名護市に20万点の写真資料寄贈。 主著『沖縄・百万県民の苦悩と抵抗』『パイヌカジ』『カンカラ三線』『塩屋・ウンガミ』
 
平敷兼七 1948−2009
1969.東京写真大学工学部中退。1970.東京総合写真専門学校入学の頃から写真雑誌、週刊誌などに作品発表。個展・合同展多数。1985~88.同人写真誌『美風』発刊に関わる。2008.第33回伊奈信男賞。 主著『金城美智子・光と影の世界』『島武己』『山羊の肺――1968−2005年』
 
石川真生 1953年生
1974.ワークショップ写真学校「東松教室」で学ぶ。個展多数。1995.沖縄タイムス芸術選賞奨励賞/平和・協同ジャーナリスト基金賞奨励賞 2011年さがみはら写真賞受賞。
主著『熱き日々inキャンプハンセン!!』『フィリピン』『沖縄と自衛隊』『沖縄海上ヘリ基地』『FENCES,OKINAWA』『日の丸を視る目』
 
比嘉豊光 1950年生
1970.琉球大学写真部で写真を始める。1976.あーまん自主ギャラリー設立に参加。1979.「沖縄大和・ぬじゅん展」ほか個展・合同展多数。1997.「琉球弧を記録する会」立上げ。主著『95夏・50年目のレクイエム』『光るナナムイの神々』『赤いゴーヤー』『島クトゥバで語るイクサ世』
 
宮良信男 1943年生
1974-75.ワークショップ沖縄/静岡で東松照明氏に写真を学ぶ。1976-83.「毎日写真展を」合言葉に自主写真ギャラリー「あーまん」設立に参加。1976-95.写真展「アルバムシリーズⅠ-Ⅴ」ほか個展・合同展多数。2010.「琉球チャンプルー三人展」東松照明・宮里千里・宮良信男(那覇市民ギャラリー)
 
比嘉清眞 1944年生
写歴約25年。主に年配の方を被写体に撮影。個展数回。
 
伊波一志 1969年生
東京ビジュアルアーツ写真科Ⅱ部ドキュメンタリー学科中退。2002.「picture promo party」(那覇市民ギャラリー) 2003.photo exhibition「black & white」(lounge) 2009.合同写真展「写真する人vol.1」 2009.個展「majimun lens 1996~2009」(Roguii) 2010.合同写真展「写真する人vol.2」(県民ギャラリー) 2011.「写真する人 番外編」(コザゲートアパートメントギャラリー)参加。 2011.個展「母の奄美」(gallery M&A)
 
伊禮若奈 1973生
東京総合写真専門学校卒業。婚礼ブライダルカメラマンを経て2児の母。
2010.個展「母になった記憶」(南風原文化センター)
 
伊波リンダ 1979年生
2006.宜野湾市で写真展「Memory kit」。2009.第1回東松照明デジタル写真ワークショップ参加。写真展「 5+2人」(沖縄タイムス社)参加。2010.ワークショップ1期メンバーとMIO(made in okinawa)結成。同年「沖縄から始まる新しい日常 MIO 5人展」(沖縄県立博物館・美術館県民ギャラリー1)。2011.個展「I am」(同ギャラリー3)
 

2012 4月


 
イギリスのテートモダン、大英博物館などから高い評価を得、
2013年2月には、荒木経惟さんや東松照明さんから絶賛された作品が、
30年振りに公開となります。
 
パリ、ロンドン、ニューヨークなどから絶え間なく問い合わせがあり、
今後、アメリカやヨーロッパの美術館に収蔵されていく作品です。
 

2012 4月

 
武田百合子・著   中央公論新社 ¥760/OMAR BOOKS
  
― 人生の交差する瞬間  ―
  
今手元には2冊の本がある。
古びた単行本と真新しい文庫本。
どちらも『犬が星見た ロシア旅行』武田百合子・著。
 
セピアがかった古い方の下部には
「♡ 図書館 ♡ 犬が空見た。」という落書きがある。
以前勤めていた図書館で、処分扱いになっていたこの本を
何となく捨てるに忍びなくて持ち帰った。
だからラベルも貼られたまま。決してきれいとは言い難い。
存在すら忘れていたある時、読む手持ちの本がなくなりしょうがなくこの本を手に取って読み始めたら止まらなくなった。
結局捨てるどころか、何度も読み返す一冊になった。
  
今回紹介するのは、著名な作家・武田泰淳の妻・百合子さんが
夫やその友人とロシアの旅に同行した際の紀行日記。
横浜の港から船で出発するところから始まっている。
 
この本の素晴らしさを少ない言葉で伝えるのはとても難しい。
日記はこんな風に書かれている。
 
―朝食。
○パン○大きなソーセージとじゃがいもの裏ごし○グルジアチーズ(硬い)
~省略~
女給仕は早口でしゃべる。
「この海老は腐っている。食べない方がいいと思う」
~省略~
「もう武田は5匹、なまのまま食べています」
皆、気の毒そうに主人を見た。―
 
―売店でウォッカやぶどう酒を買う。絵葉書き7枚、13カペイク(ロシアの通貨)。―
 
こういう細かい出費を綴っているのも何だかいい。
また個性豊かな参加者たちが(こう言ったら失礼だけど、みんないい年をした大人たち)旅行会社のガイドを困らせたり、地元の人とのやりとりが微笑ましい。
 
一見、他愛のないこと。
それが彼女の手にかかると人も出来事も、ロシアの街の風景も、
そこに住む人々の営みも皆、活き活きとして新鮮で、どことなく可笑しい。
 
長い旅程を一日一日丁寧に記録した本書を読んでいると、
次第にこの本に流れる豊かな時間に愛しさを抱くようになっていく。
旅も終盤に近づきページが残り少なくなっていくのに哀しくなっている自分に気付いた。
 
旅はいつも終わることが前提にある。
旅が終わればもう二度と会うこともない人たち。
 
例えば、一度死んだ人が息を吹き返すとき、
私たちはそれを「奇跡」だというけれど、
本当はこういうたまたま出会った人たちの人生の交差する瞬間を「奇跡」だと言うのではないだろうか。
 
そして著者を始めこの本に登場する人たちはほとんどもうこの世にいない。
でもこの本の中では彼らは今でも生きて輝いている。
 
タイトルがなぜ『犬が星見た』なのか。
あとがきを読むとそれが分かる。
このあとがきがまた、ほのかに明るい切なさに満ちた、
滅多にない名文です。

OMAR BOOKS 川端明美




OMAR BOOKS(オマーブックス)
北中城村島袋309 1F tel.098-933-2585
open:14:00~20:00/close:月
駐車場有り
blog:http://omar.exblog.jp
 

2012 4月


 
本選大会
日時:2012年8月21日
会場:ホテルグランパシフィック LE DAIBA(パレロワイヤル)
 
応募期間
2012年3月1日~ 2012年5月25日

応募資格
12~20才までの21世紀のスターを目指す美少女
 
応募方法
http://beamie.jp/contest2012.html
こちらのサイトよりご覧ください。
 

2012 4月


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坪数を尋ねることを思いつかないほど広いLDK、
これは家?
まるでギャラリーかインテリアショップのよう。
 
この家がJAの支店だったなんて、誰が想像できるだろう?
葛原さんは売りに出ていたJAをそのまま購入し、自ら改築している。
 
「今はまだ改築中。特に急ぐ必要もないのでゆっくり進めています」
 
道路に面した壁には自動ドアが残り、
奥の部屋には金庫もある。
 
「つくりがすごくしっかりしている建物なんです。
建築関係の仕事に携わる友人が来るといつも
『今から2階でも3階でも増築できるよ。
これくらいの建物を今建てようとすると、相当な費用がかかるよ』
と言うんですよ」
 

 

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「リノベーションというと、
ほとんどの人が中古住宅を探すんですが、
住居だった物件はすでに間仕切りがなされているので、
改築するにも限界があります。
 
こういった元店舗や倉庫だと間仕切りがほとんどない。
自分で仕切るぶんには簡単ですからね。
壁を作ればいいだけですから」
 
葛原さんはいとも簡単という口調でおっしゃるが
自分で壁をつくり、仕切るのが簡単?
そんな、まさか。
 
「だって、本当に誰でもできることですから」
 
謙遜とは思えない本気の口ぶりだが、
なかなか同意することができない。
 
しかし、中古住宅ならぬ中古店舗のリノベーション。
きけばきくほど魅力的に思えてくる。 
 

 
奥に設けた事務所スペースで仮住まいしながら、
ゆっくりと手をいれてここまでできあがった。
 
家具はすべて、家具職人である葛原さんによる手づくり。
 
手製の家具はいわずもがな、
飾られているインテリアの美しさやセンスの良さにも目を見張るばかりだが、
 
「わざわざ用意したというものはありません。
こだわり? そういうものも特にない気がしますね」
 
息をのむほど見事な調度を前にして、その言葉もやはり信じがたいが、
こぢんまりとしたキッチンを見て、少し納得がいく気がした。 
 

 

 

 
技術が高く、つくりが繊細でつい忘れそうになるが、
手づくりであることには違いない。
 
毛沢東のレリーフは
 
「文化大革命時期のアジテーション的な看板です。
シンガポールで手に入れ、木工職人である藤本さんと額装しました」
 
これも手製なのだ。
 

 

 

 

 
玄関口ではインコが高い声でさえずり、
見事な音響システムから流れる豊かな音楽が広々とした空間に響きわたる、
ここはまさに別世界。
 
緑に囲まれた玉城の中でも一段とのどかな土地に、
こんな空間が広がっているとは。
なんだかキツネにつままれたようだ。
しかしご本人含め、葛原さん一家にそんな意識は微塵もないよう。
 
「私にとってはこれが普通なので、なんとも思わないんです(笑)。
私よりさらに麻痺しているのはあの子ですが」
 
と、6歳のお嬢さんを指して葛原さんの娘さんは言う。
 
 
葛原家には、広大なLDKの他に個室も3部屋ある。
 

 

 
一般的な家のLDKほどはあろうかという広さの客間。
 
「よく人が泊まりに来るんですよ。
でも、特別に用意したものは置いていません。
余り物だったり、昔から持っているものだったり」
 
この空間がアフターだとすると、
長男一家との同居に際して現在手を入れようとしている隣の部屋がビフォー。
 

 
まさにこれと同じ状態から、ご自分の手であそこまでつくりあげたのだ。
 
「時間さえあれば誰でもできることです」
 
時間。
そしてセンス、実行力、イマジネーション、さらに器用さも必要なのでは・・・
 
部屋を見回して100回くらい感心しながら、
葛原さんの言葉に心の中で突っ込む一方で、
葛原邸と同じ完成度とはいかずとも、
自分たちが住むには十分な等身大のおうちなら
もしかしたら自力でリノベーションできるかも?
と、どこかで希望を抱く自分がいた。
 
葛原さんの口ぐせ、
「誰にでもできます」
は、そう思わせてくれる魔法の言葉だ。
 

 
一歳に満たないかわいらしいお孫さんが寝ているベビーベッドの
つくりの美しさに目を奪われた。
もしかしてこれも手づくり?
 
「もちろんです(笑)」
 
広いLDKの各所に、お孫さんやご家族の写真が飾られていて、
葛原さんは目を細めて写真を見つめながら、家族のことを教えてくれる。
広い部屋一室まるまる客間にするのは、来客を歓迎している証拠。
流れている音楽のことに話を向けると、お勧めのアルバムを新たに選び直して聴かせてくれる。
玉城に住む友人たちとのもあいの話も素敵だった。
 
葛原さんのさりげない、でも心からのもてなしや愛がつまった家。
 
リノベーションについては
「たいしたことじゃない」「誰でもできる」
さらり言い放つ葛原さんだが、
 
「僕、料理は結構する方なんですよ。
地域の祭りのあとにうちにみんなで集まったりしてね」
 
と、少しだけ得意げな顔をのぞかせた。
 
こんなおうちを建て、家具をつくる手がこしらえる料理、
絶対おいしいに決まってる!
葛原さんの料理に舌鼓をうちながら、
店舗リノベーションの話、もっとききたいな。
 
そう思って気づいた、
だからみんな集うんだろう、この家に。
魅力的な家だけが理由ではない、
家主のさりげない愛に触れて。
 

写真・文 中井 雅代

 

 

2012 4月

文:幸喜 朝子 写真:大湾 朝太郎

 
4月に行なわれるウチナーンチュ作家の展示会LOOCHOOに参加する作家さんを
実行委員会メンバーであるブエコこと幸喜朝子が紹介します。
 
今回は、那覇市の首里で、オリジナルの器を制作販売しているdeccoの仲村盛隆さん、聡子さんと、YOKANGのテキスタイルデザイナーの田仲洋さんを訪問。
 
 
LONDON meets decco
 
白い壁にかけられた白い一輪挿し。
並べられたマグやお皿、スプーンなんかも、ぜんぶ白。
磁器作家のdeccoさんは白い作品しか作らない。
だからなのか、曇りの日でもショップはとても明るくて気持ちがいい。
おなじく明るく気持ちのいい笑顔で仲村さんご夫婦が迎えてくれました。
 

 
deccoは仲村盛隆さんと聡子さん夫婦2人の創作ユニット。
卵の形の一輪挿しやボタンがちょこんとあしらわれた豆皿、
フォークみたいな薬味置きなど、
どこかファンタジーで可愛い作品を作っています。
その可愛らしい世界観からてっきり
女性が作っているのかと思っていたのですが。
 

 
盛隆さん
「制作はだいたい僕で、妻がショップ店長。
僕、かわいいもの好きな“乙女オジサン”なんですよね(笑)」
 
聡子さん
「彼がショップにいるとお客さんも
『なんでいるの、このおじさん?』みたいな空気なんです(笑)」
 

 
乙女オジサン、かわいいネーミング!
思わず作品の説明を聞きながら一緒にきゃぴきゃぴ。
今でこそ白い磁器しか作っていませんが
以前は色や柄の入った陶器も制作していたというdeccoさん。
 
盛隆さん
「大学の頃は色のついた陶器も作ってたんです。
でも陶器はかけやすくて。
自分が作りたいのは壊れにくくて、かけにくい薄い器だと気付いて
それで素材を磁器にしたんです。
白という色も、ムダを省いていったら自然と行き着きました。
デザインが素敵でも使いにくいものって結局
食器棚のうしろの方に置いちゃうんだよね。
僕らが作りたいのは毎日気軽に使えるもの、
ハレの日とケの日があったら、ケの日に使ってもらえるもの。
棚の真ん中に置いてほしいからさ」
 

 
普段使いにこだわるだけあってdeccoさんの作品は本当に使いやすい。
人気のmugシリーズはちょうどいい口当たりのなめらかな薄さ、
しっくりなじむ持ち手、そしてレンジでも温められる便利さで
買ったその日から我が家の食器棚のセンターを勝ち取っています。
 
 
もちろん、deccoさん自身も暮らしの中で作品を使っているのだそう。
実感を持ってお客さんに作品を勧められるからね、と。
反対に、こんなの欲しいね、という会話から作品ができることも。
その一つが長い柄が特徴的なオリーブスプーン。
口の狭い瓶からでもオリーブが取り出しやすいように、と
オリーブ好きの聡子さんからの提案です。
 
聡子さん
「口の広い瓶だと全然意味ないんですけどね〜(笑)
でもお客さんはおもしろがって買ってくれたり。
オリーブ嫌いだけどマドラーに使うっていうおばちゃんもいたよ」
 
 
deccoさんの作品はシンプルなのに
2人の遊び心のスパイスが隠し味になっている。
だからきっとこんなに魅力的なんだろうなぁ。
お客さんにも遊び心が伝わるのか、
自由に使い方をアレンジして楽しむ人が多いそう。
 
 
聡子さん
「これにお菓子入れようね〜って豆皿を買っていった人が
今はアクセサリー入れにしてるよ、ってあとで報告してくれたり。
eggシリーズはボウルにもなるし茶碗にもなるし、取り皿にもなる。
そうやって使う人に自由にアレンジしてもらえるのが嬉しい」
 
 
中には作品自体がお客さんとの会話で
変わっていくこともあるんだとか。
使う人と一緒に作品が成長していくのを楽しむdeccoさん。
創作のテーマは「きほんのきほん」。
 

 
盛隆さん
「僕らのキャッチフレーズは『きほんのきほん』。
きほんって言うと型にはめるとか枠にはめるとか
ネガティブなイメージを持つ人もいると思うんだけど、
僕は基本に戻るとムダがなくなったり
自分の心を整えられると考えてて。
空手でも型を覚えてこそ自由なスタイルに挑戦できるさ。
deccoは単なる普段使いじゃなくて
もっと自由な暮らしへ向かうための原点になりたいんです」
 
 
こういったコンセプトを掘り下げて考えたのは
LOOCHOO展がきっかけだと言う2人。
 
 
聡子さん
「LOOCHOOに出品することになって
自分たちの作品づくりの根底を考えることが多くなったんです。
そもそも英語で「器」って何って言えばいいんだろう、
食器ともちょっとニュアンスが違うし…とか。
いろんなことを考え直しました」
 
そんなdeccoさんの気になる出品作品はまだ内緒!
 
盛隆さん
「内容はまだ明かせませんが、
一輪挿しのベースと本を使った展示をしようと思って
みんなからとにかく本を集めてます。
ロンドンでは一輪挿しの概念もないらしいから、
花を一輪で飾る美しさ自体も伝わるかどうか、楽しみだよね」
 

 
きゃぴきゃぴ、ほのぼの進んだとても楽しい取材の時間。
ロンドンで白い器たちと一緒にお客さんたちの
自由な反応を楽しむdeccoさんの姿が今から目に浮かびます。
 
 
———————————————————
 
 
LONDON meets 田仲洋
 
 
鮮やかで力強い。でも、どこか繊細。
染色家・田仲洋さんの作品を眺めていたら、
なんだか「いのち」という単語が浮かんできた。
 

 
LOOCHOOに染色家として出展する洋さんは
沖縄を代表するブランドYOKANGのテキスタイルデザインと染色を担当しています。
奥さまであるカンナさんがデザインし洋さんが染色するYOKANG。
2人が生み出す世界観はとても斬新で
県内外、さらには国外にも熱狂的なファンを持っています。
いつかYOKANGのワンピースをさらりと着こなしてみたい!
そう想う女性は多いはず。もちろん私もその一人。
だから洋さんへの取材は数日前からワクワクしっぱなし!
 

 
もともと設計会社に務め店舗デザインをしていたという洋さん。
個人的に作る作品も立体物ばかりだったそう。
 
 
「染色を始めたのはYOKANGを立ち上げてから。
カンナと結婚して2人でできることを考えた時に
服を作ることになって。俺が仕事やめて
カンナについていくことにしたんだよね(笑)。
彼女のお母さんがオートクチュールの紅型を作ってたから
紅型を取り入れたのは必然だった」
 
 
そう、カンナさんのお母様は40年以上も前から紅型の
ファッションを提案する「マドンナ」のデザイナー。
これまた根強いファンがいるブランドです。
 
 
もちろん、洋さんのデザインは柄も手法も古典的な紅型とは違う斬新なもの。
一般的な紅型は図柄の中央しか使わないところを
YOKANGでは周りの捨てる部分もパターンとして使用。
さらに通常では2,3日かかる制作の工程を
洋さんならではの方法で3時間に短縮してしまった。
 

 
 
「染めに2,3日かけると商品の値段が高くなってしまう。
だから染めの工程をエアーブラシにしてるんです。
そうするとほんの3時間でなんの遜色もない紅型に仕上がる。
僕はこれをエアー紅型って呼んでます(笑)
もちろん、『それは紅型じゃない』って言う方もいると思いますが
高くて手が出なかった紅型の値段を下げられますから」
 

 
 
その新しい手法から最初は叩かれることも多かったというYOKANG。
でもカンナさんのお母さまは「おもしろい、もっとやれ!」と応援してくれたそう。
「お母さんが一番ぶっ飛んでるからね〜」と洋さん。
そうして10年前に立ち上がったYOKANGは
すぐに人気セレクトショップBEAMSのバイヤーの目にとまり全国へ。
今ではアジアでも展開するなど快進撃は止まらない。
 

 
 
その独特の世界観を作っている一つの要素が個性的な柄。
「普通の紅型では使わないものばっかり」と洋さんが言うように
タツノオトシゴやハブクラゲの柄も!
古典で使われる鳳凰も尾だけを大きくトリミングするなど
洋さんならではのセンスがYOKANGデザインを生み出しています。
 
 
「作る時に心がけてるのはいい意味での裏切りですね。
見る人が「こんなことできるの!」って感じるようなこと、
他の人が考えつかないようなことをやりたい」
 

 
 
2011年から個人での活動も始めた洋さん、
LOOCHOOにはYOKANGとしてではなく田仲洋として参加。
布ではなく和紙に染め幾重にも重ねた作品を展示します。
 
 
「壁に飾るんじゃなくて、作品を使って空間を作ります。
そこに生まれる光と影の陰影を見て欲しいですね。
僕の展示は入口からすぐの場所なのでお客さんが最初に目にする。
だから難しいことを伝えたいんじゃなくて
鮮やかな色とか柄とか、まずは沖縄を感じてもらえたら」
 
 
ほの明るいクリプトギャラリーに浮かび上がる鮮やかな紅型。
その美しさはきっと沖縄の気持ちいい風景や
おおらかな空気をロンドンに運んでくれる。
 
 
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 LOOCHOO展
 日時:2012年4月25日〜30日
 場所:ロンドン クリプトギャラリー
 HP:http://loochoo.ti-da.net/
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■プロフィール
【decco】仲村盛隆:磁器作家 仲村聡子:店長
 
02年よりアトリエをかまえ、03年沖縄では珍しい磁器制作・販売のオンラインショップdeccoを設立。07年にオフラインショップ(実店舗)を那覇市首里に開店。10年6月には初の個展を宜野湾市MIX Life-Styleで開催。11年6月に宜野湾市MIX Life-Styleで二度目の個展。同年10月に千葉県で開催された「第9回・工房からの風」に出展。同年12月東京日本橋ヒナタノオトで企画展出品。12年2月宜野湾市[そ]で企画展に出品。現在県内6店舗のギャラリーや雑貨店で作品の購入が出来、瓶入りオリーブ用に作った柄の長いスプーン等ユニークな作品が多く新しい沖縄産のおしゃれな磁器として女性を中心に人気を集める。
 
http://www.decco.jp/2010/index.php decco HP
http://decco.ti-da.net deccoブログ
 
【田仲洋】:YOKANGテキスタイルデザイナー/染色家
東京で設計会社勤務。沖縄に戻りデザイン会社を設立し、店舗デザイン等を多数手がける。02年よりアパレルブランドYOKANGでテキスタイルデザインと染めを担当。伝統工芸の紅型、藍型の技法を独自のスタイルで昇華させ新しいスタイルを提案。08年より伊是名淳とTHAIを結成YOKANGとして国内外で多数のコレクション発表とともに受賞作も多数。沖縄県出身の歌手や女優等の衣装デザインも手がける。田仲個人として11年には石垣ペンギンギャラリーにて初個展。同年9月にプラザハスGLOBAL GALLERYで万華鏡作家角敏郎氏と紅型で参加。その緻密なタッチと色彩は近年の若手作家の中で最も伝統工芸としての紅型に近いが、独創的なデザインは他に類をみず熱狂的なファンをかかえる。1969年 那覇市出身
 
http://www.yokang.jp/index.html YOKANG HP
 

2012 4月


 
4月20日(金)~29日(日)
初日には坂田敏子さん在廊予定
12:30~19:00
※初日はトークイベントを開催のため、18:00までの営業となります。
  
素材を手でしっかりと味わってから作られるmon Sakataの服。
逆さまにしたり、重ねたり、自由な着こなしが自分流に楽しめる。
洗ってくたくたになってからがまた気持ちがいい。
自由な発想、自由な着こなし。
ニットは8年前に買って、一番のお気に入りの麻のニットを
坂田さんがリバイバルで作ってくれました。
本当にいい形です!
ちなみに上の写真のパンツは「gagaパンツ」という名前だそうです。
2年ぶりのmon Sakataが楽しみです。
 
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「2年ぶりですねmon Sakata展」にあわせ、坂田敏子さんのトークイベントを開催します
 
「手の力 感覚を立体に」
 
4月20日(金)18:00~19:30まで 完全予約制  参加費300円(送迎代のみ)
(初日のみShoka:はトークイベントのため18:00にてクローズいたします)
 
坂田敏子さんのデザインは触感から始まります。
素材を触って、手と目で存分に味わってからその素材がどのような形になるといいのか、どんな風に着たいか、をイメージします。
自分の感覚を頼りにして何かをする事は、回り道のようだけれど実は自分に合った土台がしっかりと作れる確かなステップだと思います。
最初にマニュアルがあるのではなくて、自分で自分の中にある形を探り出してゆく。
こんなふうがいいよ、と提案されてみんなが鵜呑みにしていた様々な型が崩れてゆくことが多くなった今、自分の感覚を大事にし育ててゆく事はとても大切だと感じています。
目に見えるものを作る時にも、方法や仕組みなどの見えないことを作る時、そのどちらにも自分の感覚をONにして取り組むという事はとても大切なことだと思います。
 
 
今回田原は、感覚的でとてもユニークな坂田さんからそんな話しを聴いてみたいと思っています。
いつも予想外の反応が返ってくる坂田さんから、どんな応えが返ってくるのかとても楽しみです。
 
どんなお仕事をされている方でも、とても楽しく参加出来ると思います。
 
なお今回から駐車場からShoka:までの送迎を業者さんへ頼む事にしました。
代行に押されながらもがんばっている、地元のタクシー屋さんへ依頼しようと思っています。
なのでみなさまから300円ずつを参加費として頂戴する運びとなりました。
どうぞよろしくお願いします。
地元の仕事人も応援したいと思います。
 
では、Shoka:にてお会いしましょう。
 
予約方法 
 1 全員のお名前
 2 人数
 3 メールアドレス
 4 携帯番号
 5 車の台数
(当日は初日と重なり、駐車場が少ないため、近くのカフェRoguii(ロギ)に駐車していただく事となります。
何人かでお越しの際は乗り合わせのご協力をお願い申し上げます。
 
6 住所(Shoka:からイベントの案内が欲しい方のみ記入をどうぞ。もう届いている方は記入しなくても大丈夫です)
 
shoka.asako@gmail.com  関根麻子までメールでご予約ください。
 
 
◯Shoka:の展示期間中はお子様連れも大歓迎ですが、今回はお話に集中していただきたいことから
 大人のみのご参加とさせていただきます。ご理解のほどお願い申し上げます。 
◯先着順で定員に達ししだい、締め切りとさせていただきます。
◯ご予約のメールをいただきましたらこちらから、返信をお送りいたします。
◯2日たっても返信が届かない場合は、お手数ですが確認のお電話を(080-3221-8135 関根麻子まで)
 くださいますようお願いします。
 
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Shoka:
住所:沖縄市比屋根6-13-6
電話:098-932-0791
ブログ:http://shoka-wind.com
 
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2012 4月


 
「これ、嬉しい!
食べ終わったあとに気づく感謝のメッセージ。
いいアイディアだね」
 
発売まで残りわずか。
さまざまなパッケージ案を前に議論も白熱!
肝心のもずくのテリーヌはというと… 
 

 
「すごい!」
「こんなに美味しくなるなんて、想像以上!」
 
最後となる4回目の試食会では、
モニター全員が口々にその味を絶賛。
 
「もっと食べてもいいですか?」
 
と、おかわりまで要求する好評ぶり。
ついには、用意した試作品はすべてなくなってしまった。
 
「食べ尽くしちゃったね(笑)」
「できれば家族にもお土産で持って帰りたかったけど・・・」
 
その言葉を聞き、担当者の目には思わず涙が・・・
 

 
4回に渡るモニター会、思い返すともずくの既存イメージの払拭に苦労した。
私たちにすりこまれた「もずく=酢の物」というイメージは思いのほか根強かった。
一回目の試食会のあと、
寒天で寄せたゼリー状のテリーヌ案が見送られ、
豚肉ベースとすることに方向性が定まってからも、
 
「寒天で固めるタイプも捨てがたい」
「酸っぱみがあったほうがもずくらしい気がする」
 
という意見は後を絶たなかった。
 

 
沖縄ではさまざまなもずく商品が販売されており、
メニューの品数を増やすのにもってこいな手軽さもあり、
食卓に上がることも多い。
定食屋では小鉢に入っているし、
居酒屋にいけばお通しで出て来ることも。
 
つまり、沖縄県民にとっては非常に慣れ親しんだ食材。
しかし、そのほとんどが酢の物の味付け。
たまに珍しいもずく加工品も目にする事があるが、
今のところメジャーではない。
 
「私実は、心のどこかであまり期待してなかったんだ。
もずくと豚肉を合わせておいしい商品ができるなんて想像できなかった。
だって、酸っぱくないもずくなんて想像できないもん」
 
と、モニターの一人が打ち明ける。
 
「だから本当にびっくりした。こんなにおいしくなるなんて」
 

 

 
途中、
「なんだか物足りない気がする」
「加工途中のような・・・」
と、味の決め手に欠けるという意見が。
そこで出たのが
「沖縄ハーブ使用案」
さらに、県産品を使用して素材にはこだわってほしいという要望も。
 

 
最終試食会では、アグー、ぬちまーす、県産ハーブ(ローズマリーとタイム)を使用したテリーヌが登場。
冒頭で記したように好評を博した。
 
「お肉ベースでおいしくて、
その上おしゃれな沖縄土産って今までなくない?」
 
沖縄の豊かな風土に育まれた魅力的な県産品の数々。
組み合わせ次第で、その可能性はさらに広がる。
そう教えてくれるお土産になった。
 

 
大切なひとにあげたいお土産か?
もらったら嬉しいか?
自分へのご褒美としても?
そして、
沖縄の「おいしい!」がつまっているか?
 
そのすべてに「YES!」と言える、
私たちが作ったもずくのテリーヌ、
皆さんにお目見えするまであとわずか。
どうぞご期待ください。
 

写真・文 中井 雅代